戸建フルリフォームなら「増改築.com®」TOP > ツーバイフォー住宅のリフォーム・リノベーション完全ガイド>ツーバイフォーでLDK拡張はどこまでできる?
更新日:2026年3月27日
ツーバイフォー住宅に住んでいる人からリフォームの相談を受けると、
間取りに関する悩みはほぼ3つのパターンに集約される。
「キッチンと居間の壁を取りたい」
「隣の和室をリビングに取り込みたい」
「廊下や納戸を削ってリビングを広げたい」の3つだ。
これらは一見バラバラな要望に見えるが、根底にある気持ちは共通している。
「家族が同じ空間に自然に集まれるようにしたい」
「今の間取りが今の暮らしに合っていない」という感覚だ。
ツーバイフォー住宅は「壁で支える構造だから間取り変更はできない」と思われがちだが、それは正確ではない。
日本ツーバイフォー建築協会が定める7つの構造ルールを守りながら設計すれば、
多くのケースでLDK拡張は実現できる。
重要なのは「どの壁が動かせるか」ではなく「どう補強すれば動かせるか」という問い方に切り替えることだ。
キッチンと居間をつなげたい
「対面キッチンにして、料理しながら子どもの様子を見たい」
「ダイニングとリビングを一体化して、もっと広く使いたい」
——この要望は、特に20〜30年前に建てられたツーバイフォー住宅に多い。
当時の間取りはキッチンが独立した壁で囲まれていることが多く、リビングとの行き来に不便を感じている人が多い。
この場合に問題になるのが、キッチンとリビングの間にある壁だ。
ツーバイフォーの構造上、外周に近い壁や上下階で位置が揃っている壁は耐力壁である可能性が高い。
ただし、キッチンとリビングの間仕切り壁は内部の壁であることが多く、
間仕切りとして設けられた雑壁(非耐力壁)のケースもある。
耐力壁であっても、必ずしも「完全に残す」か「完全に撤去する」かの二択ではない。
開口化という選択肢がある。
壁の一部に開口を設け、まぐさ(水平補強材)で荷重を受ける設計にすることで、
対面型のカウンターや引き戸を設けることができる。
注意点は2つある。
ひとつは、開口幅が広くなるほど補強材のグレードが上がり、費用も増えること。
もうひとつは、キッチン移設を伴う場合は給排水・換気ダクトの移設工事が別途必要になることだ。
「壁を取ってオープンキッチンにしたい」という希望の場合でも、
まず現状の壁が構造上どのような役割を持っているかを確認することが出発点になる。
構造図面がある場合は耐力壁線区画図で確認し、ない場合は建築士による現地調査が必要だ。
和室を取り込みたい
子どもが独立した、両親と同居しなくなった、来客が減った
——こうしたライフスタイルの変化によって、「使われない和室」が生まれることはよくある。
「この和室をリビングに取り込んで、広いLDKにしたい」という要望は、
ツーバイフォーリフォームの中で最も多いケースのひとつだ。
和室を取り込む場合の課題はいくつかある。
まず床の高さの問題だ。和室は畳敷きのため、フローリングのリビングより床が高い(または低い)場合がある。
バリアフリー化を兼ねて段差を解消するには、床の下地から工事が必要になることも多い。
次に仕上げ材の変更だ。
和室の壁(塗り壁・砂壁・ボード貼り)をリビングと統一感のある内装に変更するには、
全面的な壁・天井の仕上げ直しが必要になる。
畳→フローリングへの変更は素材費だけでなく、根太(ねだ)の調整や断熱材の追加が必要なことがある。
そして構造上の問題だ。
和室とリビングの間の壁は、外周に面していないとしても、耐力壁線上に設けられている可能性がある。
ツーバイフォーでは「壁線区画ごとに40㎡以下」というルールがあり、
和室との間の壁を撤去することで区画面積が超過しないか確認が必要だ。
一方で、和室の取り込みは比較的実現しやすいケースも多い。
和室が内部に位置する間取りの場合、外周耐力壁を触らずに済む可能性がある。
床・壁・天井の仕上げ変更と、間の壁の補強または一部残しで対応できれば、費用を抑えながら広いLDKを実現できる。
廊下や収納を縮めて広げたい
廊下を縮める・納戸を潰す・押し入れを撤去してリビングに取り込む
——これは、建物の床面積を変えずにリビングを実質的に広げる方法として注目されている選択肢だ。
廊下は「移動のための空間」であり、それ自体が生活に豊かさをもたらすわけではない。
廊下幅を必要最小限(建築基準法上は750mm以上、バリアフリー配慮では850mm以上が目安)に収めることで、
リビングや隣室に面積を回せる。
ただし廊下の縮小は、単純に壁を動かすだけでは済まない場合が多い。
廊下が耐力壁線と平行している場合、その位置を変えることで壁量バランスが崩れる可能性がある。
また廊下に面して扉が設けられている場合、扉の位置変更も必要になる。
収納(クローゼット・押し入れ)の撤去は、廊下縮小より比較的柔軟に対応できる場合がある。
収納の壁が雑壁(非耐力壁)であれば、撤去してリビングに取り込むことが可能だ。
ただし収納の奥行き(通常455mm〜910mm)をリビングに組み込んだとき、空間の形が複雑になることがある。
その場合は撤去するのではなく、扉を引き戸化して「見た目の開放感」を演出する方法も検討に値する。
廊下・収納の縮小は費用が比較的抑えやすく、100万円以下での対応事例も多い。
ただし「どこまで縮められるか」は構造の確認なしには判断できないため、
まず現地調査と図面確認からスタートするのが正しい手順だ。
「壁を取りたい」という要望を聞いたとき、多くの人は「壁をなくす=完全撤去」だけをイメージしている。
しかし実際には、壁の扱い方には3つの選択肢がある。
完全撤去・部分撤去・開口化だ。
この3つはデザインの仕上がりも、構造的な難易度も、費用も大きく異なる。
「どこまで開けたいか」と「どの壁を扱うか」の組み合わせによって、最適な手法は変わる。
この章では、3つの手法をデザインと構造の両面から整理する。
デザイン上の違い
完全撤去は、壁そのものを床から天井まで完全になくす方法だ。
視線が通り抜け、光と風が空間全体に広がる。
キッチン・ダイニング・リビングが一体化した「本物のオープンLDK」を実現できる。
一方で、料理のにおいが部屋全体に広がりやすい、テレビの音がキッチンに筒抜けになる、といった生活感の問題も生じやすい。空間に「区切り」のないことが、時に落ち着きのなさにつながることもある。
部分撤去は、壁の一部を残す方法だ。
床から90〜100cmほどを残す「腰壁」、壁の両端を一定幅残す「袖壁」、中央だけを柱状に残す「壁柱」など、残し方はさまざまだ。
残した部分はただの構造体としてではなく、カウンター・収納・間接照明の下地・植栽スペースといった用途に昇華できる。
「程よくつながっている」という感覚は、完全撤去より生活しやすいと感じる人も多い。
空間を仕切りながら視線は通す、という絶妙なバランスを生み出せるのが部分撤去の魅力だ。
開口化は、壁を大きく残したまま、通り道や採光のための開口部だけを設ける方法だ。
引き戸や折れ戸を設置すれば開閉で空間の使い方を切り替えられる。
「来客のときだけ和室と仕切りたい」「子どもが小さいうちは見渡せるようにしておきたい」など、
ライフステージに応じた使い分けができる柔軟性が特長だ。
デザイン的にも「抜けた感」は生まれないが、開口部の形・サイズ・建具のデザイン次第でおしゃれな仕上がりにできる。
3つを比較すると「完全撤去=最も開放的、開口化=最も控えめ、部分撤去=その中間」という位置づけになる。
どれが正解かは暮らし方の優先順位による。
構造上の違い
デザインの自由度が高い手法ほど、構造上の制約が大きくなる。
これが3つの手法を選ぶうえで最も重要な判断軸だ。
完全撤去の場合、対象の壁が雑壁(非耐力壁)であれば構造上の問題は小さい。
しかし耐力壁であれば、その壁が担っていた荷重を別の経路で受け直す設計が必要になる。
具体的には、撤去した壁の上端に新たな横架梁(おうかばり)を設けて荷重を両端に分散させる。
開口幅が広いほど梁に求められる強度は増し、幅1820mmを超えるとLVL(単板積層材)や集成材、さらに幅2730mmを超えると鋼梁の使用が検討される。
また撤去によって全体の壁量が建築基準法の規定を下回る場合は、
別の位置に新たな耐力壁を設けるか、既存の壁に構造用合板を増し張りして壁量を補う設計が必要になる。
部分撤去では、残した壁(腰壁・袖壁・壁柱)が引き続き構造的な役割を果たすため、
完全撤去に比べて補強の規模は小さくなる傾向がある。
残した部分の幅と高さによっては、まぐさの設置と簡易な補強だけで対応できるケースもある。
ツーバイフォーの構造ルール「コーナーから90cm以内の壁は残す」「耐力壁の開口幅は壁線長さの3/4以下かつ最大4m」という制約も、部分撤去であれば守りやすい。
開口化は3つの中で最も構造への影響が小さい。
開口部の上に適切なまぐさを設けることで荷重を分散させ、壁の大部分が残るため壁量への影響も限定的だ。
ただし開口幅が910mmを超える場合はまぐさの強度を上げる必要があり、「ちょっと穴を開けるだけ」という感覚で進めると後から設計変更が必要になることがある。
まとめると、ツーバイフォーで耐力壁を扱う場合の難易度は「完全撤去>部分撤去>開口化」の順になる。
費用も概ねこの順に高くなる。
希望の暮らし方を実現するうえで「必要最小限の変更」を選ぶことが、予算と工期と構造安全性のバランスを保つ最善策だ。
「LDK拡張の費用はいくらですか?」という質問に対して、正直に答えると
「壁1枚撤去するだけなら数十万円、設備移設や補強が重なると100〜200万円を超えることもある」となる。
この幅の大きさが、見積もりを取る前に漠然と不安を感じさせる原因だ。
費用が膨らむ理由は主に3つある。補強工事の規模、窓や設備の移設有無、そして床・天井の復旧範囲だ。
それぞれを理解しておくと、「どこは削れるか・どこは削れないか」の判断ができるようになる。
→ 構造ルールの全体像は、こちらの間取り変更完全ガイドで確認できます。
補強工事
補強工事の費用は、主に「開口幅」と「使う補強材の種類」で決まる。
開口幅が広くなるほど、まぐさ(水平梁)に求められる強度が増す。
開口幅と補強材の目安は以下のとおりだ。
・幅910mm以下:2×4材または2×6材の2枚組まぐさで対応可能。追加費用は比較的小さい。
・幅910〜1820mm:2×10または2×12材の2枚組、あるいはLVL(単板積層材)が必要。部材コストが上がる。
・幅1820〜2730mm:LVLや集成材などエンジニアードウッドが必要。加工費・取り付け工数も増える。
・幅2730mm超:鋼梁の採用を検討する必要がある。材料費・施工費ともに大幅に増加する。
さらに、壁を撤去・開口化することで建物全体の壁量が建築基準法の基準を下回る場合は、
別の位置に新たな耐力壁を新設するか、既存の壁に構造用合板を増し張りして壁量を補う工事が加わる。
これが「予想外に費用がかかった」と感じる主な原因の一つだ。
加えて、耐力壁に関わる工事では建築士による構造計算が必要になる。
設計料・確認申請費用として30万~60万程度を見ておくのが現実的だ。
補強工事のコストは「まぐさだけ」ではなく、設計・計算・申請・施工の合計で考える必要がある。
窓や設備移設
壁の移動やLDKの拡張に伴って、窓や水回り・電気設備の移設が発生すると、費用は一段大きく跳ね上がる。
外壁の窓を変更・新設する場合は、外壁の防水処理・外装材の補修・新しいサッシの設置が必要になる。
費用の目安は窓1箇所あたり20〜50万円、外壁仕上げの種類(サイディング・塗り壁・タイルなど)によってはさらに増える。
LDK拡張に伴い「明るさを確保したいから窓も増やしたい」という要望が重なると、この費用が積み上がっていく。
キッチンの移設は費用増加の代表格だ。
給水・給湯・排水の配管移設に加え、ガス管・換気ダクトの移設が必要になる。
配管の経路が長くなるほど、また床下や壁内を通す難易度が高いほど費用は上がる。
キッチン本体の交換を同時に行う場合はさらに100〜200万円が加わる。
電気配線の変更も見落とされがちだ。
壁を撤去するとコンセント・スイッチ・照明の配線が露出または断絶する。
新しい間取りに合わせた配線の引き直し、分電盤の容量確認と場合によっては交換が必要になる。
エアコンの移設も伴う場合は専用回路の工事が追加される。
設備移設は「やらなくて済む工事」ではなく「やり忘れると後から困る工事」だ。
計画段階で移設の有無を確定させ、見積もりに必ず含めることが重要だ。
床・天井の復旧範囲
壁を取ったあと、床と天井には必ず「撤去した壁の跡」が残る。
この跡をどう処理するかによって、仕上げ工事の費用が大きく変わる。
床の処理では、壁があった部分の床材が欠けた状態になる。
その部分だけを補修すると「継ぎ目」が生じ、フローリングの色や木目が合わなくなることが多い。
見た目を揃えるには、接続する2つの部屋のフローリングを全面張り替えるのが理想だが、
それだけで20〜40万円の追加費用になる場合がある。
コストを抑えるなら、ラグや家具で継ぎ目を隠す方法もあるが、長期的には全面張り替えの方が満足度が高い。
天井の処理はさらに難しい。
壁があった部分の天井には梁型が出たり、石膏ボードの撤去跡が残ったりする。
部分補修は技術的に可能だが、既存の仕上げと完全に合わせることは難しく、「修繕跡」が目立つ仕上がりになりやすい。
LDK全体として統一感を出すには、天井を全面張り替えるか、
あるいは梁型を活かした「見せ梁」デザインにするかの判断が必要になる。
範囲が広がるほど費用は増えるが、割高感は薄れるという特性がある。
たとえばLDK全体(30〜40㎡)のフローリングと天井を一気にやり直すなら、
1㎡あたりの単価が下がり、全体では思ったより費用増加が抑えられることもある。
壁工事と床・天井工事をセットで計画し、まとめて施工することが費用対効果を最大化する考え方だ。
「実際にやった人の話が一番参考になる」という声はリフォーム相談の現場でよく聞く。
カタログやシミュレーションではわからない、暮らしてみてはじめて気づくことがある。
この章では、LDK拡張を実施した事例のなかから「やってよかった」と感じているケースと「後悔した」と感じているケースを整理する。
どちらも実際の相談・施工経験から得られたパターンだ。
やってよかった事例
事例①:和室をリビングに取り込んでLDK化(子育て世帯)
子どもが3人いる家庭で、キッチン横の和室(6畳)をリビングに取り込んだケースだ。
和室との間の壁は耐力壁線上にあったが、腰壁を残す形で大開口を設け、引き込み戸を設置した。
工事費用は床の段差解消・フローリング張替え・建具を含めて約80万円。
仕上がりについて施主は「料理しながら全員の様子が見える。子どもが宿題しているところを確認しながら夕食が作れる。
これだけで毎日がラクになった」と話していた。
耐力壁を完全撤去せず腰壁として活かしたことで費用を抑えつつ、実用面では完全撤去に近い効果が得られた事例だ。
事例②:廊下を縮小してリビングを広げた(夫婦2人世帯)
子どもが独立した夫婦2人世帯で、玄関からリビング前を通る廊下(幅約1200mm)を850mmに縮小し、
余剰スペースをリビングに組み込んだ。
廊下側の壁が雑壁だったため、補強工事なしで対応可能。
工事費は床と壁の復旧を含めて80万円台に収まった。
「たった350mmの差なのに、リビングがこんなに広く感じるとは思わなかった」というのが施主の感想だ。
小規模な変更でも体感の変化が大きいことを示す事例であり、予算を抑えながら効果を出したいケースの参考になる。
事例③:キッチン壁を腰壁化してカウンターを新設(共働き世帯)
「完全撤去ではなく、腰壁にカウンターをつけてほしい」という要望で進めたケース。
腰壁の天板をカウンター兼収納として設計し、キッチン側には棚を組み込んだ。
においと音を程よく遮りながら視線は通るため、「開けすぎず・閉じすぎず」の絶妙なバランスが生まれた。
完全撤去に比べて構造上の制約も少なく、費用も50万円台に収めることができた。
残した壁をデザインに昇華させた好例だ。
後悔しやすい事例
パターン①:完全撤去したらにおいと音が筒抜けになった
「全部開けてオープンにしたい」という要望で壁を完全撤去したところ、
キッチンの調理においがリビング全体に広がり、テレビ音がキッチンにも漏れるようになったケースがある。
換気計画が不十分だったことが原因だ。
オープンLDKを実現する場合は、レンジフードの排気能力・換気経路の設計をセットで考える必要がある。
「壁を取ること」だけを計画し、換気設備の更新を後回しにすると、生活してから後悔する原因になる。
パターン②:見積もりより費用が大幅に増えた
「壁1枚撤去で30万円と聞いたのに、最終的に150万円になった」という事例は珍しくない。
壁を開けてみたら配管が通っていた、補強が想定より大規模になった、
床の継ぎ目が目立つため全面張替えになった——
こうした「開けてから判明する追加工事」が費用を押し上げる。
対策は着工前の現地調査を丁寧に行い、想定外費用を含めた予算枠を設定しておくことだ。
「見積もりは最低額、実際は最大額になることもある」と認識しておくと心理的な準備ができる。
パターン③:壁を取ったら梁型が露出して見た目が悪くなった
ツーバイフォーの場合、壁を撤去すると天井付近にまぐさや横架材が露出することがある。
「すっきり開放的にしたかったのに、天井に梁の出っ張りができてしまった」という後悔だ。
対策は2つある。事前に天井裏を点検口から確認して内部構造を把握しておくことと、
露出した梁型をデザインとして活かす「見せ梁スタイル」に転換することだ。
後者はカフェ風・ヴィンテージ風のインテリアとの相性がよく、むしろ好評になるケースもある。
パターン④:確認申請が必要だったと後から判明した
耐力壁の撤去を伴う大規模な模様替えは、建築基準法上の確認申請が必要な場合がある。
「工務店に任せたら申請なしで進めてしまった」というケースでは、将来の売却時や増改築時に問題が発覚するリスクがある。
工事前に建築士または施工会社に「確認申請の要否」を確認し、必要な場合は申請込みで計画を組むことが必須だ。
LDK拡張のリフォームを計画しているとき、断熱改修の話を持ち出すと「それは別の話では?」と思われることがある。
しかし実際には、壁を開ける工事と断熱改修は「同時にやることで初めて費用対効果が成立する」組み合わせだ。
壁を閉じてしまってから断熱材を入れ替えようとすると、仕上げ材を全部剥がすところからやり直しになる。
壁を開けているタイミングが、断熱材にアクセスできる唯一の機会であることを理解しておくと、判断が変わる。
→ 壁や窓も触るなら、断熱改修の全体像もあわせて見ておくと判断しやすくなります。
同時施工が合理的な3つの理由
理由①:壁の中身に触れるタイミングは工事中だけ
ツーバイフォー住宅の断熱材は壁内部に充填されている。
外壁側の構造用合板と内側の石膏ボードの間に収まっているため、通常の生活では手が届かない。
LDK拡張で壁を撤去・開口する工事では、必然的にこの部分が露出する。
このタイミングで断熱材の状態を確認し、必要に応じて入れ替えや追加充填を行うのが最も合理的だ。
同じ壁を二度解体する手間と費用を考えれば、「どうせ開けるなら断熱も」という判断は費用面でも時間面でも正しい。
理由②:築年数によっては断熱材が劣化・沈下している
築20年以上のツーバイフォー住宅では、グラスウール断熱材が沈下・変形していることがある。
充填直後は壁内いっぱいに収まっていても、経年で下方に沈み、上部に空気層が生じているケースだ。
この状態では断熱性能が大幅に低下し、冬の結露・夏の熱さの原因になる。
また防湿シートが施工されていない時代の建物では、壁内結露が断熱材を濡らし、カビや木材腐朽が進んでいる場合もある。
壁を開けた際に断熱材の状態を必ず目視確認することを習慣にすべき理由がここにある。
理由③:性能向上リノベの観点で補助金が使いやすくなる
断熱改修を伴うリフォームは、国や自治体の補助金・減税制度の対象になりやすい。
代表的なものとして「子育てエコホーム支援事業」「省エネ改修に係る固定資産税の減額」「住宅ローン減税(断熱等性能等級要件)」などがある。
LDK拡張単体では補助対象になりにくい工事も、断熱改修をセットにすることで申請対象となるケースがある。
補助金の申請要件は年度ごとに変わるため、工事前に最新情報を確認することが前提だが、
「断熱込みで計画する」という方針が予算全体を有利にすることは覚えておきたい。
特に同時施工を検討すべきケース
すべての家で断熱改修が必要なわけではない。
以下の条件に当てはまる場合は、特に同時施工を強く検討すべきだ。
築25年以上の建物
グラスウールの充填断熱が標準だった時代の建物は、現在の省エネ基準(断熱等性能等級4以上)を満たしていないことが多い。
壁を開けた際に断熱材の状態を確認し、沈下・劣化があれば高性能品への入れ替えを行う。
合わせて窓の断熱性能(単板ガラスのまま、または普通複層ガラスのみ)も見直すと、体感温度が大きく変わる。
LDK拡張後に窓を増設・拡大する計画がある場合
窓を新設・拡大すると、その部分の壁断熱は当然失われる。
窓の断熱性能(Low-Eガラス・トリプルガラス等)を確保しないまま開口を大きくすると、冬の寒さ・夏の暑さが悪化する。
LDK拡張と窓工事を同時に行う場合は、窓の断熱性能のグレードアップをセットで計画することが必須だ。
→ 窓位置変更や採光改善が絡む場合は、窓リフォーム比較も参考になります。
寒い・結露するという体感がある場合
「冬にリビングが寒い」「窓まわりに結露が出る」という体感は、断熱性能が不足している直接的なサインだ。
LDK拡張で空間を広げた場合、断熱が不十分なままだとさらに寒さが増す可能性がある。
広げた空間を快適に使うためには、断熱と暖房設備を合わせて見直すことが前提になる。
断熱改修の費用と優先順位
断熱改修の費用は、施工範囲と使用材料によって幅がある。
LDK拡張工事に付随する形で行う場合の目安は以下だ。
・壁内断熱材の入れ替え(壁1面分):5〜15万円程度
・床下断熱材の追加充填:10〜20万円程度
・天井断熱材の入れ替え:10〜20万円程度
・内窓(インナーサッシ)追加:1箇所あたり10〜20万円程度
・樹脂サッシへの交換:1箇所あたり15〜35万円程度
これらをLDK拡張工事と同時に行うと、別々に施工するより仮設・養生・廃材処理などの共通費用が削減でき、
全体で15〜25%程度の費用圧縮が期待できる。
「今やらないと、次に機会が来るのは何年後か」という視点で考えると、同時施工の判断がしやすくなる。
断熱改修はLDK拡張の「おまけ」ではなく、快適な空間を長く使い続けるための「基盤工事」だ。
壁を開けているタイミングを、建物の性能を底上げするチャンスとして活かしてほしい。
【Q1】ツーバイフォー住宅でも、LDKを本当に広げることはできますか?
【A】できます。ただし「どの壁を動かすか」によって、方法と費用が変わります。
ツーバイフォーは「面で支える構造」のため、壁をむやみに撤去することはできません。
しかし日本ツーバイフォー建築協会が定める構造ルールを守りながら設計すれば、
多くのケースでLDK拡張は実現できます。
重要なのは、対象の壁が耐力壁かどうかの確認です。
耐力壁であっても、完全撤去・部分撤去・開口化という3つの手法があり、
補強設計を加えることで開口を設けることが可能です。
「壁が抜けるかどうか」より「どう変えれば構造が成立するか」という問い方に切り替えることが、
LDK拡張計画の第一歩です。まず構造図面の確認と現地調査から始めてください。
【Q2】和室をリビングに取り込む工事は、ツーバイフォーでもしやすいですか?
【A】比較的実現しやすいケースが多いです。ただし事前確認は必須です。
和室とリビングの間の壁が内部間仕切り壁であり、耐力壁線上にない場合は、
補強の規模が小さく、費用を抑えながら取り込みが実現できます。
確認が必要なポイントは3つです。
①和室との間の壁が耐力壁かどうか、
②撤去後に壁量が規定を下回らないか、
③床の高さ(段差)の処理方法です。
とくに床の段差解消は見落とされがちで、根太の調整や断熱材の追加が必要になる場合があります。
和室の畳をフローリングに変更する際も、下地工事の費用が想定より増えるケースがあります。
事前に図面確認と現地調査を行い、間の壁の構造的役割を明確にしてから計画を進めることをお勧めします。
【Q3】LDK拡張の費用が高くなるのは、どんな場合ですか?
【A】主に「補強工事の規模」「設備移設の有無」「床・天井の復旧範囲」の3点で費用が変わります。
まず補強工事については、開口幅が広くなるほどまぐさ(水平梁)の強度を上げる必要があり、
幅1820mm超ではLVL(単板積層材)や鋼梁が必要になります。
また撤去によって壁量が基準を下回る場合は、別の位置に耐力壁を新設する工事が加わります。
次に設備移設では、キッチンの給排水・換気ダクトの移設、
外壁への窓の新設・拡大、電気配線の引き直しがそれぞれ10〜100万円単位で加算されます。
最後に床・天井の復旧では、撤去した壁の跡を補修する際に隣接する部屋全体のフローリングや天井を張り替えると、
仕上がりの統一感は増しますが費用も増加します。
これらが重なると、当初の見積もりより費用が大幅に増えるケースがあります。
計画段階で「想定外費用の余裕枠」として15〜20%程度を上乗せして予算を設定しておくことをお勧めします。
ハイウィル株式会社 四代目社長
1976年生まれ 東京都出身。
【経歴】
家業(現ハイウィル)が創業大正8年の老舗瓦屋だった為、幼少よりたくさんの職人に囲まれて育つ。
中学生の頃、アルバイトで瓦の荷揚げを毎日していて祖父の職人としての生き方に感銘を受ける。 日本大学法学部法律学科法職課程を経て、大手ディベロッパーでの不動産販売営業に従事。
この時の仕事環境とスキルが人生の転機に。 TVCMでの華やかな会社イメージとは裏腹に、当たり前に灰皿や拳が飛んでくるような職場の中、東京営業本部約170名中、営業成績6期連続1位の座を譲ることなく退社。ここで営業力の基礎を徹底的に養うことになる。その後、工務店で主に木造改築に従事し、100棟以上の木造フルリフォームを大工職人として施工、管理者として管理。
2003年に独立し 耐震性能と断熱性能を現行の新築の最高水準でバリューアップさせる戸建てフルリフォームを150棟、営業、施工管理に従事。
2008年家業であるハイウィル株式会社へ業務移管後、 4代目代表取締役に就任。
250棟の木造改修の営業、施工管理に従事。
2015年旧耐震住宅の「耐震等級3」への推進、「断熱等級4」への推進を目指し、 自身の通算500棟を超える木造フルリフォーム・リノベーション経験の集大成として、性能向上に特化した日本初の木造フルリオーム&リノベーションオウンドメディア 「増改築com®」をオープン。
フルリフォーム(全面リフォーム)で最も大切なのは「断熱」と「耐震」です。性能向上を第一に考え、末永く安心して住める快適な住まいを目指しましょう。
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