戸建フルリフォームなら「増改築.com®」TOP特徴的な工事ビルトインガレージの耐震補強のポイント

半地下木造二階建ビルトインガレージ住宅の耐震改修

ビルトインガレージ(半地下)住宅(2階建)をフルリフォームで構造評点1.5以上に耐震改修

半地下2階建て住宅は、構造計算上は3階(3層)扱いとなります。

都内では数多いビルトインガレージ。敷地内に車庫スペースが取れず、建物の中に車庫が埋め込まれている建物です。

タイプもさまざまですが、一階が車庫で3階建てのもの、半地下に車庫がありその上に二階屋が建っているものなどです。

今回ご紹介する事例は後者の半地下のビルトインガレージ2階建て住宅です。

今回のご相談内容は、フルリフォーム(リノベーション)にあたり、ビルトインガレージ住宅を耐震補強をして、耐震基準の1.5倍以上の建物にできないでしょうか?というご相談から始まりました。

相談者のS様は、すでに数社に耐震を相談してダメだったとのことで『増改築com®』にお問い合わせがありましたが、理由はズバリ難易度が高いからです。地下部が駐車場でRC造となり、その上に、1階2階が乗っている建物は、基本的な構造計算上の1階と2階の耐力は1.5倍にして計画する必要があります。しかも耐震補強にあたり構造計算をしますが、この半地下プラス2階建ての場合、3階建て(三層)として計算が必要になります。建物の荷重が最もかかるガレージ部の耐力を強くする必要があるわけです。本来横方向の耐力壁を取れるところが開口部となって大きな空洞になっている為、耐震的には大きな弱点となります。S様は上部構造評点1.5以上での計画をご要望されておられましたので、ハードルはかなり高いといえます。

このようなケースで、今回のビルトインガレージ住宅の耐震補強計画を立案するにあたり、正式な報告書の作成に当たり、構造計算においては日本建築防災協会の認定を受けている補強金物のみを使用する必要があります。世の中にはたくさんの補強材や金物がありますが、耐震設計においては、大臣認定及び日本建築防災協会の認定を受けていない商品や部材は採用できませんので、注意が必要です。弊社においてもまざまな方法を模索しました。

ポイントとなるのは

車を入れられる状態で、空洞部分に横方向の耐力を出すこと。

になります。

車を入れられる状態にする必要から、横方向に壁となるような補強壁部材は使用できません。そうなると真っ先に考えるのが仕口ダンパーになります。仕口で柱と梁に固定する方法があります。しかしながら、大臣認定を取得している仕口ダンパーかつ、耐力計算をして三層の建物の評点1.5を出せるものは存在しませんでした。

そのため、弊社が過去に日本初で施工した経験のあるYKKAP社の『フレームプラス』という商品よりヒントを得て、構造計算をスタートしました。

YKKAP社の『フレームプラス」とは?

写真は『フレームプラスG2』

弊社ハイウィルで日本初施工となった『フレームプラスG2』事例

耐震改修をする上で弱点となるのが、サッシとなります。窓などの開口部は、耐震計画上壁とみなすことはできませんので、単純に窓が多ければ多いほど耐力は落ちます。YKKAP社の 「フレームプラス」は、窓周りをフレームで補強することで、耐力壁と見なすことができる商品です。「フレームプラス」は耐震補強設計後に利用できる製品となり、「フレームプラス」を用いた耐震補強設計・施工管理は、YKK APの技術認定講習を修了した認定設計者および認定施工管理者が行うのがルールとなっています。

一階内部を先行して解体し、構造専門スタッフによる既存の構造体のチェックをしていきます。その際今回耐力壁として採用した「プレームプラス」をどのように納めるかを調査します。

「フレームプラス」は完全受注生産となるため2か月程度の納期がかかります。事前に寸法を出しフルオーダーしたものが現場に搬入されます。

築30年の建物で新耐震基準に建てられた建物である者の地下が無筋であることが判明し、基礎補強をしました。

フレームプラスを地中に埋めコンクリートで連結させるため埋め込み高さも入念にチェックします。

金既存の状態で、車がギリギリ収まる状態の間口の為、フレームを内側に設置してしまうと車と干渉してしまいます。一部を室内に埋め込み、計画しました。

室内側の半地下部分の基礎補強が完了

フレームプラス柱脚部の設置(コンクリート打設前)

フレームプラスの設置が完了

埋め込み深さを確認します。

室内側に一部埋め込み設置をしています。

400㎜以上地中に埋めて設置しています。

鉄骨での補強など技術的には工法はありますが、正式な耐震改修での報告書を作成するケースでは、鉄梁で補強をしてしまいますと混構造となり耐力とみなされないため、今回大臣認定製品である「フレームプラス」を採用し構造計算しています。

車庫スペースがフレームで補強されました。この白い部分が構造計算上の耐力壁とみなされるため、実際には空洞となっているガレージに横方向の耐力壁が設置された状態となります。

1階(中二階)も水平耐力の計算に当たり、剛床工法で施工しています。

地上面は構造評点を1.5以上にするために外壁も解体し構造用合板を全面張りし耐力を上げています。

画コンクリート打設前にスタイロフォームで養生をして、フレームプラスの柱脚部をコンクリートで連結します。

車庫内の室内部は木部をモルタルで塗ります。

外壁面もモルタルを塗ります。

完成です。車庫内は外壁と同じサイディングを張り、半地下車庫のビルトインガレージ住宅がフルリフォームにより上部構造評点1.5を超える性能向上が図れました。

フルリフォームの結果、評点は1.5以上での施工報告を提出することが出来ました。

様々な条件がありましたが、当初は、内部のみをスケルトン状態にして外壁は既存のモルタル壁を残す計画でおりましたが、それでは耐力が足りず、外壁までを剥離解体して、全面を構造用合板で全面張りし強度を上げております。

半地下二階建てビルトインガレージ住宅は構造計算上は3階建て扱いとなり、構造計算も半地下を一階として、1階を二階として、2階を三階として計算書を作成し報告書を提出させていただきました。

公開日:2020/10/22

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< 著者情報 >

稲葉 高志

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ハイウィル株式会社 四代目社長

1976年生まれ 東京都出身。

【経歴】

家業(現ハイウィル)が創業大正8年の老舗瓦屋だった為、幼少よりたくさんの職人に囲まれて育つ。

中学生の頃、アルバイトで瓦の荷揚げを毎日していて祖父の職人としての生き方に感銘を受ける。 日本大学法学部法律学科法職課程を経て、大手ディベロッパーでの不動産販売営業に従事。

この時の仕事環境とスキルが人生の転機に。  TVCMでの華やかな会社イメージとは裏腹に、当たり前に灰皿や拳が飛んでくるような職場の中、東京営業本部約170名中、営業成績6期連続1位の座を譲ることなく退社。ここで営業力の基礎を徹底的に養うことになる。その後、工務店で主に木造改築に従事し、100棟以上の木造フルリフォームを職人として施工、管理者として管理

2003年に独立し 耐震性能と断熱性能を現行の新築の最高水準でバリューアップさせる戸建てフルリフォームを150棟、営業、施工管理に従事。2008年家業であるハイウィル株式会社へ業務移管後、 4代目代表取締役に就任。250棟の木造改修の営業、施工管理に従事

2015年旧耐震住宅の「耐震等級3」への推進、「断熱等級4」への推進を目指し、 自身の500棟を超える木造フルリフォーム・リノベーション経験の集大成として、性能向上に特化した日本初の木造フルリオーム&リノベーションオウンドメディア 「増改築com®」をオープン

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