戸建フルリフォームなら「増改築.com®」TOP>戸建てリノベーションの費用について>スケルトンリフォームとは?施工事例で費用・相場を徹底解説
リフォームの相談を日々受ける中で、ここ数年の問い合わせの多くが、「中古住宅を購入しました、"スケルトンリフォーム"を検討しています。」「実家に二世帯で住むことになりました。"スケルトンリフォーム"を検討しています」といった「スケルトンリフォーム」という言葉でダイレクトにご相談がくることが大変増えてきました。
「スケルトンリフォーム」とはいったいどのようなリフォームで、どのような種類があるのでしょうか?そして、実際にどのような工事をするのか?スケルトンリフォームは、その他のリフォームと比較して、どんなメリットがあるのか?デメリットはないのか?また、「スケルトンリフォーム」をする際に、どのようなことに注意をすればよいのか?
リフォームポータルサイトを見ても、リノベーション事例として掲載されているのは、キレイなビフォー&アフターの写真ばかりで実際の工事現場の中身をみることはなかなかできません。ここでは、実際の現場の中身の写真と共に、スケルトンリフォームを1000棟以上手掛けてきた『増改築com®』運営会社で創業大正八年の老舗工務店四代目社長がスケルトンリフォームの種類や費用、施工事例や注意点、メリットやデメリットを徹底解説します。
スケルトンリフォームとはどのようなリフォームをいうのでしょうか?
「スケルトンリフォーム」とは、建物を骨組み(構造躯体)の状態まで解体し、内部や外部を一から作り直すリフォーム方法です。「スケルトン」とは「骨格」や「骨組み」を意味し、リフォームではその名の通り、建物の骨格部分だけを残し、内装、設備、間取り、断熱材などを全面的に刷新します。木造一戸建ての場合、柱や梁といった木組みが露出する状態、マンションではコンクリートの躯体がむき出しの状態にして行うのが一般的です。
スケルトンリフォームの普及の背景には、「スケルトン&インフィル(Skeleton & Infill)」という建築思想があります。これは、建物の耐久部分であるスケルトン(骨格)と、住むための空間を形成するインフィル(居住空間)を分けて考え、それぞれの寿命に応じて更新していくという考え方です。1960年代にオランダの建築家ジョン・ハブラーゲンが提唱した「オープンビルディング」という概念に基づき、スケルトンは長く保ちつつ、インフィルをライフスタイルに応じて更新することが重視されてきました。
スケルトンリフォームの特徴と種類
スケルトンリフォームの大きな特徴は、既存の建物の骨組みを残しながら、内部のレイアウトや設備を完全に作り直せる点です。例えば、築年数の経過した古い住宅を現代のライフスタイルに合わせた新しい間取りに変更したり、古い配管を一新したりすることが可能です。このため、耐震性の向上や断熱性能の改善がしやすく、リフォーム後の建物の快適性や安全性が大幅に向上します。
スケルトンリフォームには、内部のみのスケルトンリフォームと、内外部のスケルトンリフォームの2種類があります。内部のみのスケルトンリフォームでは、内部の壁や床、天井を解体し、外観はそのままで内部を新築同様に仕上げます。このタイプは費用を抑えながらも間取りの自由度が高く、リフォームのコストパフォーマンスが優れています。一方、内外部のスケルトンリフォームは、外壁も含めて全面的に解体し、建物全体の断熱性や耐震性を向上させることができます。このため、建物全体を大幅に改良したい場合や、外観のデザインを一新したい場合に適しています。
スケルトンリフォームのメリット
スケルトンリフォームの最大のメリットは、自由な間取り変更と性能向上が可能な点です。リフォームでは間取りの変更が難しいことが多いですが、スケルトンリフォームでは一から間取りを設計し直せるため、現代の家族構成やライフスタイルに合わせた空間を実現できます。また、リフォーム時に建物の骨格を強化することで、耐震性を現行の建築基準法に対応させることもできます。
さらに、スケルトンリフォームでは断熱材の追加や高性能な窓への交換が可能となり、冷暖房の効率が向上するため、光熱費の削減や住環境の快適性の向上が期待できます。例えば、古い住宅でよく見られるのは、断熱性能が低く、冬は寒く夏は暑いといった問題です。スケルトンリフォームでは、壁内に新たな断熱材を充填し、最新の高断熱サッシに交換することで、断熱性能を大幅に改善できます。
スケルトンリフォームのデメリットと注意点
スケルトンリフォームのデメリットとして挙げられるのは、費用の高さと工期の長さです。建物の骨格まで解体するため、一般的なリフォームよりも手間がかかり、工事費用が高額になります。また、スケルトンリフォームを行う際には、事前に建物の劣化状況をしっかりと調査し、補強計画を立てることが重要です。例えば、建物の基礎部分に劣化や問題が見つかった場合、補強工事が必要になることもあります。
さらに、リフォーム後の住宅が長期的に快適であるためには、構造部分の補強やメンテナンスを重視する必要があります。スケルトンリフォームでは、建物の躯体を剥き出しにして工事を行うため、柱や梁の状態を確認し、必要に応じて補強や交換を行います。また、断熱材の劣化が進んでいる場合には、新しい断熱材を充填し、外壁の耐久性も向上させる必要があります。
特に築年数が30年を超える住宅では、既存の建物が旧耐震基準で建てられていることが多いため、耐震補強が必須となります。このような場合、スケルトンリフォームによって柱や梁の強度を高め、建物全体の揺れに対する耐性を強化します。補強方法としては、金物補強や耐震パネルの設置が一般的ですが、建物の状態に応じた最適な補強計画が求められます。
スケルトンリフォームの進化と将来性
スケルトンリフォームは今後もさらに進化していくリフォーム手法です。近年では、耐震性だけでなく、断熱性能や省エネ性能の向上にも注目が集まっており、高性能な断熱材や省エネ型設備を導入するケースが増えています。また、AI技術を活用したリフォームプランのシミュレーションなど、デジタル技術との融合も進んでおり、より効率的で快適なリフォームが可能となっています。
また、スケルトンリフォームは、環境負荷の低減や資産価値の向上といった観点からも注目されています。建物を一から建て替えるよりも、既存の構造を活かして改修するスケルトンリフォームは、資源の節約にもつながります。さらに、性能を向上させた住宅は、将来的な売却時にも高い評価を得られるため、投資としての価値も高まります。
スケルトンリフォームは、建物を新築同様に生まれ変わらせるだけでなく、長期的に安心して住み続けられる住まいを実現するための手法です。これからの時代、環境に配慮し、快適な暮らしを追求するためのリフォームとして、ますます需要が高まることでしょう。下記は弊社の過去のスケルトンリフォームでの解体後の構造別の写真です。
スケルトンリフォームが可能な建物と不可能な建物の違い
スケルトンリフォームは、既存の建物を骨格(構造躯体)の状態にまで解体して行うリフォームです。基本的に内部の間取りや設備を一新できるため、多くのケースで採用されていますが、全ての建物で可能なわけではありません。特に建物の構造や工法によっては、スケルトンリフォームが不向き、あるいは不可能なケースも存在します。ここでは、スケルトンリフォームができない建物について、具体的な例を挙げて詳しく解説します。
1. 枠組壁工法(ツーバイフォー工法)の建物
木造建物には、主に「在来工法(木造軸組工法)」と「枠組壁工法(ツーバイフォー工法)」があります。在来工法は柱や梁で構造を支え、耐力壁や筋交いを組み合わせることで建物を補強します。このため、柱や梁の配置をある程度自由に変更でき、間取り変更にも柔軟に対応できることがスケルトンリフォームに向いている理由です。
一方、枠組壁工法(ツーバイフォー工法)は、柱や梁ではなく、床・壁・天井の6面体で構造を支える「面構造」になっています。ツーバイフォー工法では、壁自体が構造の一部となっており、壁の一部を撤去するだけで建物全体の強度が大幅に低下してしまいます。そのため、スケルトンリフォームでよく行われる「間取り変更」が構造上困難です。特に耐力壁の位置を変えたり、取り除いたりすることができないため、希望するプランに変更できないケースが多くなります。
ツーバイフォー工法は、1970年代から広く普及し、日本国内の木造住宅の約30%がこの工法で建てられています。地震や風圧に対して強度が高く、耐火性能も優れているため、マンションや集合住宅でも採用されていますが、リフォームの自由度が低いことがデメリットです。リフォームを検討する際には、専門家に構造の詳細を確認してもらい、スケルトンリフォームが可能かどうか判断する必要があります。
2. 鉄筋コンクリート造(RC造)のマンション
マンションのスケルトンリフォームは、内部の内装や設備のリニューアルに適していますが、構造上の制約が多い点に注意が必要です。鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションでは、基本的に建物の構造体に手を加えることができません。RC造は、柱や梁、壁などの構造部材が一体となって建物の強度を保つため、構造壁(耐力壁)を撤去することは建物全体の安全性を損なう危険があります。
マンションの多くは、専有部分(住戸内)のみがリフォームの対象範囲であり、共用部分(建物の外壁や柱、廊下など)はリフォームできません。さらに、管理規約や管理組合の許可が必要な場合が多く、工事内容にも制約があります。例えば、間仕切り壁の撤去や水回りの位置変更は許可される場合が多いですが、外壁に面する窓の変更や新たな開口部の設置は認められないことがほとんどです。
また、壁式構造のマンションでは、内部の壁が建物の構造そのものである場合が多いです。壁式構造では、耐力壁の配置を変えることができず、部屋のレイアウト変更が難しいため、スケルトンリフォームの効果を最大限に引き出すことができません。マンションリフォームの際は、施工前に管理組合への申請や建物の構造図の確認を徹底し、工事の可否を見極めることが重要です。
3. 古い木造建物の特殊な構造や工法
築年数の古い木造建物では、当時の建築基準や工法に基づいて施工されているため、現行のリフォーム手法に対応しにくいことがあります。例えば、伝統的な木造建築では、釘や金物を使わずに木材を組み合わせる「木組み工法」が用いられており、建物の強度や耐震性が現代の基準を満たしていないことがあります。
また、無筋基礎(鉄筋が入っていない基礎)や石場建て(石の上に直接柱を立てる)など、耐震性能が著しく低い基礎工法が採用されているケースもあります。このような建物では、基礎の補強や耐震工事が必要になるため、費用や工事期間が大幅に増加する可能性があります。特に、無筋基礎の建物では、スケルトンリフォームの際に基礎から補強する必要があり、簡単に柱や壁を抜いたり、間取りを変更することができない場合があります。
こうした特殊な構造を持つ建物では、スケルトンリフォームの実施には専門的な知識が必要です。リフォーム前に専門家による耐震診断や構造調査を行い、どの程度の補強が必要かを明確にすることが求められます。場合によっては、スケルトンリフォームを諦め、部分的なリフォームで対応することも検討する必要があります。
4. 建築基準法に違反している建物
建築基準法に違反している建物は、スケルトンリフォームを含む大規模な改修工事ができないケースがあります。例えば、増築や改築が建築基準法の許可を得ずに行われた建物や、既存不適格建築物(建築後に法改正があり、現在の基準に適合しない建物)は、構造を変えるリフォームが制限されることがあります。こうした建物では、スケルトンリフォームを行う前に、既存不適格部分の是正や補強が必要となり、費用と手間が増大します。
2025年以降の建築基準法の改正により、これまで適法であったリフォームも一部で確認申請が必要となることが予定されています。特に耐震補強や基礎の改修を伴うスケルトンリフォームでは、新たな規制が影響する可能性があり、計画段階から法改正に対応したリフォーム計画を立てることが重要です。
スケルトンリフォームは、建物の状態や構造によって可能な場合と不可能な場合があり、全ての建物に適用できるわけではありません。リフォームを検討する際は、事前に建物の構造や法的規制を専門家に確認してもらい、最適なリフォームプランを立てることが大切です。
スケルトンリフォームと混同して使われる言葉に「リノベーション」という言葉も、最近では一般的に使用されるようになりました。「リノベーション」の意味はもともと「刷新」という意味です。現在の状態に新たな機能や新たな価値を付加する工事という意味合いで使われます。
2世帯住宅への変更や、家全体をバリアフリー化したり、使用の用途を変更したり。このような新たな価値を持たせるような、機能変更を加する場合に「リノベーション」という言葉を用います。このように、リノベーションをする場合、その手段として、結果としてスケルトンリフォームを選択することが大変多いのですが、それぞれの言葉にはこのような意味があります。リノベーションの中に、スケルトンリフォームというリフォームの方法がある。と考えるとわかりやすいと思います。
一口に、「スケルトンリフォーム」と言っても建物の構造体はさまざまで、木造、鉄骨、鉄筋コンクリート、木造&鉄骨、あるいは木造&鉄筋コンクリートの混構造など、躯体自体の仕様が違いますし、スケルトンリフォームの工事の中身もいくつか種類がございます。
スケルトンリフォームはリノベーションの手段の一つとして位置づけられます。スケルトンリフォームは「構造躯体を残して内部をすべて新しくする」ことにフォーカスしているのに対し、リノベーションは「既存の建物に新たな価値や機能を追加する」という目的に沿って多様な改修が含まれます。
また、リノベーションは、建物の外観や内部のデザインを刷新するだけでなく、耐震補強や省エネ改修など性能面の向上も視野に入れている点が特徴です。スケルトンリフォームはそのリノベーションの中でも最も大規模な方法と言え、建物の骨組みから新しく設計し直すことで、現代の住環境に適した居住空間を作り上げます。
結論としての違い
まとめると、スケルトンリフォームは建物の骨格を残した状態で一から住まいを作り直す大規模リフォームであり、リノベーションは建物全体を新たに生まれ変わらせることを目的とした広範な改修工事です。スケルトンリフォームはリノベーションの中に含まれる大規模な手法であり、間取り変更や耐震・断熱性能の向上を図ることで、住まいの快適性と資産価値を大きく向上させます。どちらを選ぶかは、施主の目的や建物の状況に応じた適切な判断が必要です。
これらの工事の種類を次に見ていきたいと思います。
建物を躯体(スケルトン)の状態まで解体をして、新たなライフスタイルに沿った間取りへリフォームをする「スケルトンリフォーム」ですが、大きくわけて、3つのパターンにわけることができます。
皆さんが想像する「スケルトンリフォーム」はどのようなものでしょうか?木造であれば、柱と梁、桁や母屋組のみが残っている状態、つまりは、下の写真のような、新築時の棟上げをした状態、建舞をする状態を想像される方がほとんどではないでしょうか?
この写真は、外壁までも解体し、完全な躯体(スケルトン)の状態にするスケルトンリフォームになります。このようなスケルトンリフォームをご要望される方は大変多いですが、費用的な問題もあり、内部のみを解体しスケルトン状態にする内部スケルトンリフォームをされる方も大変多いです。
内部スケルトンリフォームは下の写真のように、室内の天井、壁、床をすべて解体し、骨格(躯体)の状態にするリフォームを言います。
内部スケルトンリフォームとは?
内部スケルトンリフォームとは、建物の内部だけを解体し、骨格(構造躯体)を残して再生させるリフォーム手法です。外壁や屋根などの外部はそのままに、室内の天井、壁、床、設備機器などの内装材をすべて取り除き、柱や梁などの構造体を露出させた状態にします。そこから新たな間取りや設備、内装を組み上げるため、内装の自由度が非常に高いリフォームとなります。この手法は、外観に影響を与えず、建物の内部を一新したい場合や、耐震補強・断熱性能の向上を目指す場合に最適です。
内部スケルトンリフォームの詳細な工事内容
内装材の解体と撤去
内部スケルトンリフォームの第一段階は、既存の内装材のすべてを撤去することから始まります。具体的には、壁紙、床材、天井材、仕切り壁、古い配管、配線、そして水回りの設備など、目に見えるものをすべて取り外します。このプロセスでは、古くなった木材や断熱材の撤去も行うため、建物の内部が完全に剥き出しの状態となります。
構造体のチェックと補強
内部を解体した状態で構造体が露出するため、建物の骨組みである柱や梁、基礎の状態をしっかりと点検します。特に築年数の経過した建物では、木材の腐食やシロアリの被害、接合部の緩みなどが見つかることがあります。このタイミングで必要に応じた補強工事を行い、建物の耐久性を向上させます。例えば、劣化している柱の交換や、梁の補強、金物による接合部の強化などが行われます。
耐震補強の実施
内部スケルトンリフォームの大きなメリットの一つに、耐震補強がしやすいことが挙げられます。内部をすべて解体しているため、耐震補強工事の自由度が高く、耐力壁の新設や制震装置の導入、筋交いの増設などが容易にできます。特に、旧耐震基準で建てられた住宅では、現行基準に適合させるための耐震補強が必須となる場合が多いです。このような補強により、地震に強い安全な住まいを実現します。
断熱性能の向上
内部スケルトンリフォームでは、断熱材の交換や追加が容易に行えます。既存の断熱材は劣化が進んでいることが多く、断熱性能が著しく低下している場合があります。新たに高性能な断熱材を充填することで、夏は涼しく冬は暖かい快適な住環境が実現できます。また、内壁を解体しているため、断熱改修の方法も選択肢が広がります。例えば、高性能グラスウールやセルロースファイバー、吹き付け断熱材など、建物の仕様に合わせた最適な断熱材を選定し、施工することが可能です。
間取り変更とインフィルの再設計
内部スケルトンリフォームの醍醐味は、間取り変更の自由度が高いことです。既存の間取りを一度リセットして、現代のライフスタイルに合った間取りを設計できます。例えば、LDKを広く一体化することで開放的な空間を作り出したり、収納を増やして使い勝手を向上させたり、家事動線を改善するなど、住まいの利便性が格段にアップします。また、インフィル(居住空間)の設計には、施主の要望や生活スタイルを反映させたオリジナルなデザインが可能です。
新規配管・配線の設置
解体後の骨組み状態を活かして、古くなった水道管や電気配線、ガス配管をすべて新しく引き直します。築古の住宅では配管類が経年劣化していることが多く、漏水や電気トラブルのリスクが高いのが実情です。これを機に、新しい配管や配線を最新の仕様にアップデートすることで、住宅の安全性を高めるとともに、快適な生活をサポートします。また、新しい配管経路を考える際には、将来的なメンテナンス性も考慮し、アクセスしやすい位置に配管を配置することも重要です。
内装仕上げと設備の新設
内部スケルトンリフォームの仕上げ段階では、新しい内装材や設備機器を設置します。床材には無垢フローリングやタイル、壁にはクロスや塗り壁、天井にはデザイン天井や間接照明を取り入れるなど、多彩な選択肢があります。設備についても最新のシステムキッチンやユニットバス、トイレ、洗面化粧台などを設置し、快適な生活環境を整えます。施主のデザインや機能に対するこだわりを最大限反映できるのも、内部スケルトンリフォームの大きな魅力です。
内部スケルトンリフォームのメリット
間取りの自由度が高い
内部スケルトンリフォームは、既存の間取りを完全に変更できるため、施主の要望に応じた最適なプランが実現できます。広々としたLDKや趣味を楽しむための専用スペース、収納量を確保したクローゼットなど、自由自在に設計できます。
耐震・断熱性能が向上
解体後の内部構造に対して、最新の耐震補強や断熱改修が行えるため、安全で快適な住環境を構築できます。特に、耐震性能の向上は住宅の資産価値を高める重要な要素です。
設備の一新で利便性が向上
内部スケルトンリフォームでは、老朽化した配管や配線をすべて新しいものに交換できるため、設備のトラブルリスクを低減できます。また、最新の省エネ設備を導入することで、光熱費の削減も期待できます。
内部スケルトンリフォームのデメリット
工事費用が高額になりがち
内部をすべて解体し、新しい間取りや設備を導入するため、通常のリフォームと比較して工事費用が高くなる傾向があります。特に、耐震補強や断熱改修を行う場合、費用はさらに増加します。
工期が長くなる
内部スケルトンリフォームでは、解体から再生までの工程が多いため、工期が長くなることが一般的です。特に、予期せぬ構造補強の必要性が発生する場合など、計画通りに進まないこともあります。
住みながらの工事が難しい
内部全体を解体するため、工事中は居住できない場合がほとんどです。そのため、一時的な仮住まいや引っ越しが必要になるケースが多いこともデメリットとして挙げられます。
内部スケルトンリフォームを成功させるためのポイント
内部スケルトンリフォームを成功させるためには、工事経験が豊富で、構造補強や断熱改修に精通した施工会社の選定が重要です。また、施工前には十分な現地調査とプランニングを行い、予算に見合った最適な工事内容を見極めることが必要です。リフォーム後の暮らしやすさと建物の安全性を高めるために、しっかりと計画を練り、信頼できるプロと共に進めていくことが成功への鍵となります。
続いて、内外部スケルトンリフォームの紹介をします。多くの方が想像されるスケルトンリフォームがこの内外部スケルトンリフォームになるのではないでしょうか?
内部及び外部スケルトンリフォームとは?
内部及び外部スケルトンリフォームは、建物の内部と外部を両方とも解体し、骨格である構造躯体を残した状態で再生させる大規模なリフォーム手法です。内部の天井、壁、床の解体に加えて、外壁や外装材も取り除くことで、建物全体を構造体の状態まで解体します。このリフォームは、既存の建物の骨組みを最大限に活用しながら、内部と外部の両方を一新するため、見た目も性能も新築同等、あるいはそれ以上のレベルに引き上げることが可能です。
この方法は、築年数が古く、外壁の劣化が激しい場合や、外観デザインも大きく変えたい場合、または構造体の補強を強化し、耐震性能や断熱性能を大幅に向上させたい場合に最適なリフォーム手法です。
内部及び外部スケルトンリフォームの詳細な工事内容
全面解体:内部と外部の完全なスケルトン化
内部及び外部スケルトンリフォームでは、建物の内部と外部のすべての仕上げ材を取り除きます。室内の天井、壁、床だけでなく、外壁材、サッシ、屋根材なども撤去し、建物の柱や梁、基礎だけを残した状態にします。この解体作業は、建物を一から新築する以上の手間と時間がかかり、全体の工程の中でも最も重要なステップとなります。
構造躯体の点検と補強
解体によって建物の骨格が露出するため、構造材の状態を徹底的にチェックします。特に古い建物では、柱や梁の劣化や接合部の不備が見つかることが多く、その場で適切な補強を行います。例えば、腐食した部分の交換、梁の補強、必要に応じた柱の追加や金物の強化などが行われます。基礎も無筋基礎である場合は、補強が必要です。既存の基礎に新たに鉄筋を入れて補強する抱かせ基礎による補強が実施されることがあります。
外壁の新設と防水・断熱の強化
外壁を解体することで、新たな外装材を選定・設置できるのが内部及び外部スケルトンリフォームの大きな特徴です。例えば、外壁に高性能な構造用合板を取り付け、壁倍率を大幅に向上させることで耐震性を強化することができます。また、外断熱工法を採用することで、建物全体の断熱性能が飛躍的に向上します。防水透湿シートを貼った上で、モルタル仕上げやサイディング仕上げなど、お好みの外装材で仕上げます。これにより、建物の外観も新築同様に美しく、性能面でも優れたものにすることが可能です。
屋根の新設と断熱強化
外部まで解体することで、屋根の葺き替えも可能となります。特に、屋根の形状や素材を見直し、断熱性能の高いガルバリウム鋼板や遮熱効果のある屋根材に交換することで、夏の熱を大幅に遮断し、室内温度の上昇を抑えることができます。また、ルーフィング材の防水性能も強化することで、雨漏りリスクを最小限に抑え、耐久性の高い屋根を実現します。
サッシや開口部の最適化
内外部スケルトンリフォームでは、窓や玄関ドアなどの開口部も自由に位置変更が可能です。これにより、日当たりや風通しの良い快適な間取り設計ができます。断熱性の高い複層ガラスの樹脂サッシに交換することで、冷暖房効率が大幅に向上し、エコで快適な住まいを実現します。特に、断熱性能が重要視される寒冷地や猛暑地においては、サッシの性能向上が室内環境の改善に直結します。
耐震補強の強化
内外部スケルトンリフォームの大きな利点は、耐震補強を内部と外部から同時に行えることです。壁倍率を向上させるために構造用合板を貼り付けたり、制震ダンパーを設置したりすることで、建物全体の耐震性を劇的に改善します。これにより、耐震等級3相当、すなわち現行の新築住宅の最高レベルの耐震性能を目指すことが可能です。
断熱性能の強化
内部スケルトンリフォームとは異なり、内外部スケルトンリフォームでは外断熱も可能です。外壁の内側だけでなく、外側にも断熱材を取り付けることで、建物全体の断熱性能を大幅に向上させます。これにより、室内の温度を年間を通して安定させることができ、冷暖房費の削減にもつながります。断熱材には、硬質ウレタンパネルやセルロースファイバーなど高性能な素材を使用し、隙間なく施工することが重要です。
内部の再設計と新しい内装の設置
内外部を解体しているため、内部の間取りも完全に自由に設計し直すことができます。家族のライフスタイルに合わせた間取り設計を行い、新しい壁や天井、床を設置します。無垢材のフローリングやタイル、デザイン性の高いクロスや左官仕上げなど、デザインも自由自在です。また、最新のシステムキッチンやユニットバス、洗面台なども導入し、快適な住空間を実現します。
内部及び外部スケルトンリフォームのメリット
建物の性能を新築以上に向上できる
内部だけでなく外部まで解体することで、耐震性能、断熱性能、防音性能、防水性能など建物の性能を新築同等、またはそれ以上に引き上げることが可能です。これにより、長期にわたって安心・安全な住まいを実現します。
間取り変更の自由度が非常に高い
外壁やサッシ、屋根なども取り除くため、間取りの自由度が高く、窓の位置や大きさ、玄関の位置なども変更可能です。これにより、家族のニーズに合わせたオーダーメイドの空間設計ができます。
外観デザインを完全に刷新できる
外壁材や屋根材を新しくすることで、建物の外観も一新され、新築同様の美しい仕上がりが得られます。これにより、住宅の資産価値も大幅に向上します。
内部及び外部スケルトンリフォームのデメリット
工事費用が高額になる
内部と外部をすべて解体し、新たに構造補強や断熱強化を行うため、工事費用は一般的なリフォームよりも高くなります。また、サッシの交換や外壁材の選定など、仕上げ材にこだわるほど費用が膨らむ傾向があります。
工期が長期化する
工事範囲が広いため、工期も長くなります。特に、解体後の補強計画の変更や追加工事が発生した場合、さらに期間が延びることがあります。工事期間中の仮住まいの手配も考慮する必要があります。
予期せぬ問題が発生しやすい
解体後に構造体の不具合や予想以上の劣化が発見されることがあります。その際、追加補強や修繕が必要となり、当初の予算やスケジュールに影響を及ぼすことがあります。
まとめ
内部及び外部スケルトンリフォームは、建物の内部と外部を全面的に解体し、構造体から再生させる大規模なリフォーム手法です。耐震性や断熱性を大幅に向上させることができ、新築以上の性能を実現することが可能です。しかし、工期や費用が大きくなるため、しっかりとした計画と信頼できる施工業者の選定が重要です。専門的な知識を持つプロと共に進めることで、安心・安全で快適な住まいを手に入れることができるでしょう。
3つ目のパターンは、どちらかというとレアなスケルトンリフォームになります。
外部スケルトンリフォームとは?
外部スケルトンリフォームは、建物の外部、すなわち外壁や屋根をすべて解体し、外装部分を中心に改修するリフォーム方法です。内部には手を加えず、外観や断熱性能、防水性能を大幅に向上させることができます。このリフォームは、外壁のひび割れや劣化、外装材の経年劣化が激しい場合に採用されることが多く、特に外部からの雨水の浸入が懸念される場合には有効な選択肢です。
外壁や屋根を取り除くことで、建物の外周部が完全に露出します。これにより、躯体の劣化状態を直接確認し、必要な補強や改修を行うことが可能です。また、断熱材の追加や交換、外部からの耐震補強も同時に行えるため、建物全体の耐久性と居住性を大幅に向上させることができます。
サッシの扱いと内装工事の必要性
外部スケルトンリフォームでは、外壁をすべて解体するため、既存の窓やサッシも一度取り外す必要があります。これにより、外部だけでなく、内装にも影響を及ぼし、サッシ周りの内装工事が必要となるケースが多いです。外壁の改修に伴い、サッシの位置を変更したり、新たなサッシに交換することが求められることが少なくありません。
サッシ交換の方法:カバー工法とインナーサッシ
サッシの交換には主に2つの方法があり、それぞれの方法によって工事の範囲や費用、効果が異なります。
1. カバー工法によるサッシ交換
カバー工法は、既存のサッシ枠を残し、その上から新しいサッシを取り付ける工法です。この方法では、既存の壁を大幅に傷めることなくサッシを交換できるため、工事が迅速に進みます。外部スケルトンリフォームでは外壁を解体する際にサッシ枠が残っている場合、カバー工法が最も適した選択となります。
カバー工法のメリット:
施工の簡便さ:既存の枠を活用するため、解体や大規模な復旧工事が不要です。これにより、工期が短縮され、コストの削減にもつながります。
断熱・防音性能の向上:カバー工法で取り付けるサッシは、最新の断熱仕様や防音仕様の製品を選ぶことが可能です。これにより、建物の外部環境からの影響を大幅に軽減し、居住空間の快適性が向上します。
見た目の向上:既存の窓の枠が見えることがないため、窓周りのデザインが一新され、モダンな外観に仕上がります。
ただし、カバー工法ではサッシ枠の幅がやや小さくなり、光の取り入れが若干制限されることがデメリットです。しかし、それを補う断熱性能やデザイン性の向上を考慮すると、非常に有効な選択肢です。
2. インナーサッシの設置でコストを抑える
予算を抑えつつ断熱性能を強化したい場合は、「インナーサッシ」を設置する方法がおすすめです。インナーサッシとは、既存のサッシの内側にもう一枚新たなサッシを追加する方法で、外壁を解体しなくても断熱性と防音性を向上させることができます。
インナーサッシのメリット:
低コストでの断熱強化:既存のサッシを残したまま追加で取り付けるため、工事費用を抑えられます。施工も短期間で完了し、手軽に断熱性を高めることが可能です。
防音効果:インナーサッシを取り付けることで外部からの騒音を遮断し、室内の静寂性を確保します。特に都市部や交通量の多いエリアでは、防音効果の向上が大きなメリットとなります。
結露防止:インナーサッシは室内の暖かい空気と外気との温度差を緩和するため、冬場の結露を防ぐ効果も期待できます。これにより、室内環境の快適さがさらに高まります。
サッシ交換の選定と施工ポイント
外部スケルトンリフォームでは、サッシ交換が建物の快適性やエネルギー効率に大きく影響する重要なポイントです。カバー工法を採用することで、既存のサッシ枠を活用しながらも新しいサッシを導入し、断熱や防音性能を大幅に向上させることが可能です。一方、予算を抑えたい場合はインナーサッシの設置を検討することで、効果的に断熱強化を図ることができます。
それぞれの方法には特有のメリットがありますが、リフォームの目的や予算に合わせた最適な選択をすることが重要です。建物の状況や住まい手のニーズに合わせて、最も適したサッシ交換方法を選定することで、外部スケルトンリフォームの効果を最大限に引き出すことができます。施工前には、信頼できるリフォーム会社としっかりと相談し、最善のプランを策定することが成功の鍵となるでしょう。
スケルトンリフォームのメリットは、なんといっても新築同レベルの建物性能まで建物の価値を引き上げながら費用価格が新築の2分の1から3分2程度で実現できるコストパフォーマンスにあります。スケルトンリフォームは、既存の建物を骨組みの状態に戻し、間取りや設備、断熱性能を含むすべてを一新する大規模なリフォームです。この方法は、一般的なリフォームとは異なり、住まいの隅々まで改修できるため、多くのメリットがあります。増改築.comを運営する立場として、スケルトンリフォームの主なメリットを詳しく解説いたします。
1. 間取り変更の自由度が高い
スケルトンリフォームの最大のメリットは、間取り変更の自由度が圧倒的に高い点です。従来のリフォームでは、間取りの変更が部分的にしかできず、建物の構造によって制限されることが多いです。しかし、スケルトンリフォームでは内装と外装をすべて取り払い、建物を骨組みの状態にするため、既存の間取りに縛られることなく、希望の間取りに再設計することが可能です。
例えば、家族構成の変化に伴い、子供部屋を増やしたい、ワンルームの大空間を作りたい、バリアフリーに対応した住まいにしたいといった要望にも柔軟に応じられます。また、将来の二世帯住宅や賃貸併用住宅としての用途変更も、スケルトンリフォームなら実現可能です。このように、ライフスタイルに合わせた間取りの最適化が図れるのは、スケルトンリフォームならではの強みです。
2. 耐震性能の向上
日本は地震大国であり、住宅の耐震性は非常に重要です。スケルトンリフォームでは、建物の構造を見直しながら補強することができるため、耐震性能の大幅な向上が期待できます。特に、旧耐震基準で建てられた築30年以上の建物は、現行の耐震基準を満たしていないことが多く、耐震補強が必要です。
スケルトンリフォームでは、耐震金物の取り付けや、筋交いや耐力壁の追加、さらには構造計算に基づく精密な補強が可能です。これにより、耐震等級3(新築住宅の最高等級)を目指すこともでき、地震に対する安全性が格段に向上します。構造の見直しと補強を同時に行うことで、新築と同等、あるいはそれ以上の耐震性能を持つ建物に生まれ変わることができるのです。
3. 断熱性能の向上で省エネ効果が期待できる
スケルトンリフォームでは、壁や床、天井をすべて解体するため、断熱材の設置や交換が容易に行えます。従来の断熱リフォームでは、壁を部分的に開口する必要があり、効果的な断熱改修が難しいことがありますが、スケルトンリフォームではそのような制約はありません。
断熱材を高性能なものに変更したり、外断熱と内断熱の併用により、断熱性能を飛躍的に向上させることが可能です。これにより、夏は涼しく、冬は暖かい快適な住環境が実現し、冷暖房の効率が大幅にアップします。その結果、光熱費の削減にもつながり、長期的な省エネ効果が期待できるのです。また、断熱性能の向上は、結露防止やカビの発生を抑える効果もあり、建物の健康を守ることにもつながります。
4. 給排水や電気配線の一新で安心の生活環境を提供
スケルトンリフォームでは、給排水管や電気配線といった建物のライフラインもすべて更新することが可能です。古い住宅では、配管の劣化や配線の老朽化が進んでいることが多く、これが水漏れや電気トラブルの原因になるケースが見受けられます。スケルトンリフォームでは、これらの設備を最新のものに交換することで、生活の安全性と利便性が大幅に向上します。
特に、築年数が経過した住宅では、見えない部分での設備の劣化が進んでいるため、スケルトンリフォームのタイミングでの一新が重要です。最新の設備機器を導入することで、生活の利便性も向上し、家全体の快適性を底上げすることができます。
5. 建物の価値を大幅に向上させる
スケルトンリフォームを行うことで、建物の耐震性や断熱性が向上し、設備も一新されるため、建物の資産価値が大幅にアップします。特に、築年数の経過により価値が下がっていた住宅でも、スケルトンリフォームにより現行の基準をクリアする性能を持たせることで、資産価値が再評価されることになります。
リノベーション住宅として販売する場合や、賃貸物件として活用する場合にも、高い付加価値を持つ物件として市場での評価が高まります。また、持ち家の場合でも、将来的に子どもや孫へ引き継ぐ際に、性能の向上が資産価値を保つ要因となります。住まいの長期的な維持管理を考えるうえでも、スケルトンリフォームは非常に有効な手段です。
6. 長寿命化と環境への配慮
建物の骨組み(スケルトン)を活かしながら再生するスケルトンリフォームは、建て替えに比べて廃材を少なくできるため、環境への負荷が低い点も大きなメリットです。また、しっかりと補強や断熱を施すことで建物自体の寿命を延ばし、将来的なメンテナンスコストの低減にも寄与します。
持続可能な住宅として、長く安心して住み続けるためのリフォームを実現できることは、環境意識の高まりとともに、今後ますます重要なポイントとなるでしょう。
まとめ
スケルトンリフォームは、単なる表面的なリフォームとは異なり、建物の基礎から全体的な性能を向上させることが可能な画期的なリフォーム方法です。耐震性や断熱性の向上、ライフラインの一新など、住まいの価値を大幅に高めることができ、住む人にとって長期的な安心と快適性を提供します。古い建物を再生し、新築同等、あるいはそれ以上の住み心地を実現するスケルトンリフォームは、これからの住宅リフォームの最良の選択肢といえるでしょう。
スケルトンリフォームは、建物を骨組み状態まで解体し、間取りや設備を一新することで新築同等の性能を得られる大規模なリフォームです。しかし、その多くのメリットの陰には、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、専門的な立場からスケルトンリフォームのデメリットについて解説します。
1. 地盤の問題には対応が難しい
木造戸建てのスケルトンリフォームでは、建物の骨組みや基礎の補強は可能ですが、地盤自体の補強には手が届きません。特に軟弱地盤や傾斜地に建てられた建物では、地盤改良が必要になるケースがありますが、これには相当な費用がかかります。地盤改良を含めた大規模な改修を行う場合、新築工事と比較するとコストパフォーマンスが劣るため、新築を検討する方が合理的なケースも少なくありません。スケルトンリフォームでは、既存の地盤条件に左右されやすく、地盤に問題がある建物には適していない場合があるのです。
2. 増築には制約が多く、固定資産税が増加する可能性
スケルトンリフォームは、建物を再生する方法ですが、増築を伴う場合には建築確認申請が必要になります。増築によって延べ床面積が増えると、固定資産税が増加するため、ランニングコストが上がるリスクがあります。特に都市部では防火地域や準防火地域に該当するケースが多く、小規模な増築でも申請が必要です。また、スケルトンリフォームでは、既存の建物を活かして改修することが前提となるため、増築を検討する際はその費用対効果を慎重に検討する必要があります。
3. 住宅ローンの利用に制限がある場合がある
中古物件を購入してスケルトンリフォームを行う場合、住宅ローンの手続きに影響が出ることがあります。金融機関によっては、スケルトンリフォームを行うために確認申請が必要とされるケースがあり、その申請が通らないと融資が受けられない場合があります。また、ローン審査の過程で改修内容や施工計画の詳細が求められることがあり、手続きに時間と手間がかかることもあります。リフォームの計画を立てる際には、事前に金融機関との確認を怠らないことが重要です。
4. マンションの制約が多い
マンションのスケルトンリフォームでは、建物全体の構造に関わる部分、特に躯体壁(耐力壁)や天井の高さなどに制約が多く、自由に改修できないケースが多いです。鉄筋コンクリート造のマンションでは、構造的な理由から壊せない壁や柱が存在し、間取り変更の自由度が制限される場合があります。また、管理規約により工事時間や工事範囲に制限があるため、スケルトンリフォームを計画通りに進めるのが難しいこともあります。特に古いマンションでは、給排水管の移設ができないなどの制約が多く、当初想定していたリフォームプランの実現が困難になることもあるのです。
5. 壁式工法の木造住宅には不向き
木造住宅の約30%を占めるツーバイフォー(2×4)工法の建物は、スケルトンリフォームに不向きです。ツーバイフォー工法では、壁・床・屋根の6面が一体となって建物の強度を支える構造であるため、間仕切り壁の撤去が難しく、構造を保ちながらの間取り変更が困難です。これにより、スケルトンリフォームで理想の間取りを実現することが難しいというデメリットがあります。スケルトンリフォームを検討する際は、建物の工法や構造を十分に理解したうえで、適した工事内容を選ぶことが重要です。
まとめ
スケルトンリフォームは、建物の再生や性能向上を目指す有効な手段ですが、その一方で地盤の制約、増築に伴う税金の増加、ローン手続きの煩雑さ、マンションやツーバイフォー工法の建物における構造的制約など、いくつかのデメリットがあります。これらの課題を正しく理解し、計画を進めることが成功の鍵となります。スケルトンリフォームを検討する際には、これらのデメリットを踏まえ、専門家との相談を通じて最適なリフォーム計画を立てることが大切です。
内部の解体より進めていきます。解体はすべて機械壊しではなく、手壊しとなります。木造のスケルトンリフォームでの解体は、室内の天井・床・壁をすべて撤去するところから始まります。主要構造部が見えてきたら、間取り変更後の間取りに必要な柱や基礎の位置をチェックしつつ、間取り変更により撤去する柱を抜いていきます。この際、補強を入れながら解体していく工事になるため、木造を熟知した職人の施工が必須となります。内部の解体が終わり次第、外壁の剥離も合わせて施工していきます。
木造のスケルトンリフォームでは、構造計算をした上で、新たな間取りに対して解体後の現況の軸組の構造を再度照らし合わせ、補強工事を行っていきます。柱を抜いた部分への梁補強も空間のスパンによっては、鉄梁を入れるケースもあります。
その他、耐力壁となる筋交いの金物補強、制震ダンパーの設置など新規の間取りに対して、耐力が最大化かつ偏心率を最小化させるよう用バランスを検討し耐震補強を施工します。これらの構造補強は、木造新築のみを施工している工務店、マンションを施工している内装大工では、出来ない工事となりますので、木造の改築の実績が豊富な施工会社(工務店・リフォーム業者)へ相談をされることをおススメします。
築30年以上の建物では、布基礎になってることも多く、中でも昭和56年の旧耐震基準の建物は無筋基礎であることが大変多いため、「ベタ基礎への基礎補強工事」、「アラミド繊維による補強」、「抱かせ基礎(ツイン基礎)による基礎補強」などさまざまな基礎補強法からその建物にベストな補強を検討することになります。既存の基礎高(立ち上がり)によって補強法も変わって参ります。
外壁まで解体する内外部スケルトンリフォームでは、外部からの補強工事も可能となります。既存の外壁を剥離し、外周面の柱や桁に壁倍率の高い構造用合板等を全面張りすることで、壁倍率が倍になります。その他建設大臣認定の補強金物工法などを使用することで、新築でいう最高基準の耐震等級3相当の評点1.5以上を目指すことが可能です。
スケルトンリフォームでは、断熱工事の選択肢も広がります。外周面の内壁が剥がされることから、新たに家全体の断熱工事が可能となり、高性能グラスウールやセルロースファイバー、硬質ウレタン充填等セレクトできます。外部までのスケルトンリフォームをされる場合、外断熱工法での断熱も選択肢に入ってきます。せっかくのスケルトンリフォームです。あまりに遅れている日本の断熱基準の現状を知っていただき最低でもZEH基準以上のUa値を目指したいところです。
夏の暑さの7割、そして冬の寒さの6割の原因が、窓(サッシ)と言われています。スケルトンリフォームでは、窓サッシを取り換えないケースもありますが、外部まで解体するスケルトンリフォームではサッシは新規で設置となります。また、内部のスケルトンリフォームであってもサッシをカッターで開口し、新たな間取りに合わせてサッシを新設するケースがあります。スケルトンリフォームをされるなら、生活された後のことを考え、サッシにはある程度費用ウエイトをかけておくことをおススメしています。
地域によってサッシの選定は変わってきますが、東京都内など準防火地域が大半をめるエリアでは、理想は樹脂サッシの防火タイプ、最低でもアルミ(外側)+樹脂(室内側)サッシに通常の複層ガラスではなく、Low-Eペアガラス以上の仕様にはしておきたいところです。
準防火以外のエリアであれば費用対効果からも樹脂サッシのLow-Eガラスには最低しておきたいところです。
スケルトン状態になった外部(屋根・壁)は、早い段階で屋根をの工事があります。新築と同じで室内作業をしやすくするためにまず屋根を構造用合板等で増し打ち(下地が痛んでいる場合は下地まで交換)し、ルーフィングを張ります。
ルーフィング施工後、仕上げ工事となりますが、屋根は、瓦・ガルバリウム鋼板等
選択が可能なことが一般的です。外壁はサッシを入れ、外周面を構造用合板等、壁倍率の高い面材を全面に張り、その後、防水透湿シートを張り、通気胴縁を打ち、仕上材のサイディング施工が一般的ですが、外断熱をするケースでは、構造用合板の上に、断熱材を張り、その後モルタルを塗り、左官仕上げとするなど、仕上も選択が可能です。
構造的な補強工事や断熱工事が完了しますと、表装(美装)工事へと移行していきます。仕上の仕様はさまざまです。床や建具は、新建材なのか?無垢材ないのか?
壁や天井は、壁紙なのか左官仕上げなのか?選択肢は沢山あります。ご予算に応じてセレクトされることをおススメします。
築年数を経過した旧耐震の建物へのスケルトン解体から、基礎補強、軸組部の補強、外部からの補強を加え、さらに、断熱工事をすることで、新築における最高基準での建物へバージョンアップすることが可能です。冒頭のリフォーム前の古屋が、間取りを大幅に変更することで、ここまで変わります。
施工の流れをみていただきましたこのスケルトンリフォームですが、工事の流れを見て頂いた通り、リフォームでは大規模なものとなり、木造一戸建ての内外部を解体するスケルトンリフォームになると、建替え(新築)以上に工期もかかります。
スケルトンリフォームの工事期間はどのくらいかかるのでしょうか?
スケルトンリフォームは、建物を一旦骨組み状態にして再生する大規模なリフォーム工事です。そのため、工事期間も大幅にかかることが一般的です。多くのリフォームサイトでは、「リフォームは新築建て替えよりも工期が短い」とされていますが、それは部分的な改装や簡易的なリフォームの場合です。スケルトンリフォームは内部から外部まで全面的に手を加えるため、場合によっては新築以上に時間がかかることを理解しておきましょう。
1. スケルトンリフォームの工事期間の目安
スケルトンリフォームの工期は、建物の種類やリフォーム内容によって異なります。たとえば、マンションのスケルトンリフォームは、解体から始まり約1か月から1か月半程度が標準的です。一方で、木造一戸建ての場合、内部のみをスケルトンにするリフォームで約3か月、内外部の解体を伴う場合は4か月から5か月程度が目安となります。この期間はあくまで標準的なものであり、実際には現場の状況や想定外の事象が発生することで工期が延びることがあります。
2. 解体後に発覚する想定外の問題とその対応
スケルトンリフォームでは、解体後に初めて明らかになる問題も少なくありません。特に築年数の経過した住宅では、柱や梁の腐食、土台の劣化、過去の工事履歴が不明な場合など、想定外の状態が多く発見されます。「柱が抜けない」「構造が不安定で補強が必要」などの問題は、工事が進行してから判明することが多いため、リフォーム前に正確な工期を断言するのは難しいのが現実です。これらの問題が見つかった場合、追加工事や補強が必要となり、工期がさらに延びることも考慮しなければなりません。
そのため、スケルトンリフォームを検討する際には、**現場調査をしっかりと行い、可能な限りリスクを洗い出すことが大切です。**また、予想外の事態に対応できる柔軟なスケジュール管理が求められます。仮住まいが必要な場合は、工期延長のリスクも踏まえて、余裕を持った契約を結んでおくと安心です。
3. 工事の変更や追加要望がもたらす工期延長のリスク
スケルトンリフォーム中に「やっぱりここはこうしたい」「素材を変更したい」といった変更が発生することは珍しくありません。しかし、**工事進行中の変更や追加要望は、工程の見直しや材料の手配、職人の再調整が必要になり、結果的に工期が大幅に延びる要因となります。**そのため、工事内容の最終決定は工事開始前にしっかりと行い、可能な限り途中での変更を避けることが重要です。
特に、素材の変更や設備の追加は納期に影響を与え、職人のスケジュールにも影響します。例えば、特殊なタイルやオーダーメイドのキッチンが必要な場合、注文から納品までに数週間を要することもあります。工事の遅れを防ぐためにも、材料選定やデザインの確定は工事前に十分に行い、施工会社と綿密に打ち合わせを重ねておくことが大切です。
4. 施工会社選びの重要性と工期への影響
スケルトンリフォームの工事期間を左右する大きな要因の一つに、施工会社の選定があります。**経験豊富な会社であれば、工事の進行中に起こり得るトラブルへの対応力も高く、柔軟に対処することができます。**しかし、スケルトンリフォームの経験が浅い会社や、木造住宅の構造を理解していない施工会社では、想定外の問題に対応しきれず、工事が遅れるリスクが高まります。施工会社の選定は、工期を守るための重要なポイントです。
施工会社選びの際は、**過去の施工事例を確認することや、現場での対応力を確認するために複数の業者と打ち合わせを行うことをおすすめします。特に、木造住宅に強い工務店や、マンションリフォームの実績が豊富な会社など、専門分野に特化した施工会社を選ぶことで、工事期間のトラブルを最小限に抑えることができます。
5. 仮住まいの計画と工期の見通し
スケルトンリフォームでは長期間の工事が避けられないため、仮住まいの手配も必要となるケースが多いです。仮住まいの期間中に工事が遅れると、予期せぬ住居費用の増加につながるため、余裕を持った仮住まいの契約を結んでおくことが推奨されます。また、仮住まい先が工事現場に近い場所であれば、定期的に進捗を確認できるため、工事内容の確認や変更に迅速に対応できます。
仮住まいの期間が長引く場合も想定し、短期の契約が可能な物件や柔軟な更新ができる契約内容を選ぶと安心です。工事が進む中で発生する予期せぬ問題にも迅速に対応できるように、仮住まい先の選定は慎重に行いましょう。
6. 工事期間中のリスク管理と施工管理の重要性
スケルトンリフォームの工事期間中には、様々なリスクが伴います。天候の影響による外装工事の遅れや、職人のスケジュール調整の問題など、工事現場では常に予測できない要素が絡みます。**こうしたリスクを最小限に抑えるためには、施工管理の徹底と、施工会社との連携が重要です。**工期の進捗を定期的に確認し、問題が発生した際には迅速に解決策を講じることが求められます。
まとめ
スケルトンリフォームの工事期間は、建物の状況や工事内容、施工会社の対応力によって大きく左右されます。**内部のみの解体リフォームで3か月程度、内外部の解体を伴う場合は4〜5か月が目安となりますが、想定外の問題が発生すればさらに延びる可能性があります。**施工計画をしっかりと立て、工事内容を事前に決定しておくこと、経験豊富な施工会社を選ぶことが、工事期間を短縮し、スムーズに進めるための重要なポイントです。スケルトンリフォームを成功させるためには、スケジュール管理とプロフェッショナルなサポートが欠かせません。
さて、最も気になる費用価格について、お話をしていきたいと思います。スケルトンリフォームは、いったいどれくらいの工事費用がかかるリフォームなのでしょうか?
会社によっては、木造一戸建ての場合、坪単価で、マンションであれば平米単価で計算しているところもあります。一戸建てのケースやマンションのケース、また木造と鉄筋コンクリートの場合で費用価格も異なってきます。木造の場合では、前述している内部のスケルトンリフォームと外壁を解体する内外部スケルトンリフォームでは、解体費用が変わることから、費用価格も変わってきます。これからスケルトンリフォームをされる方にとって一つの指標(目安)となる相場ともいえる金額帯をお話していきましょう。ご要望とされているスケルトンリフォームの内容と、ご予算を照らし合わせてみてください。
築年数が30年以上を経過している建物、旧耐震以前に建てられた建物で耐震を見直したいが、外部外装をすべて解体するほど外壁の傷みがないケースでは、この内部スケルトンリフォームは採用が多いスケルトンリフォームになっています。
基本外壁を傷めない(解体しない)ことが前提となります。大手リフォーム会社の「新築●●」や「まるごと新築●●」などとネーミングされているスケルトンリフォームがこれにあたります。サッシを変更する場合は外壁にカッターをいれ入れ替え、もしくは間取り変更後に窓の位置が変わる場合などはプラスアルファの費用が掛かってきます。間取り変更、階段位置変更が可能で自由度が高い工事です。内部を躯体残しにすることで、構造体の全体的な補強が可能です。床を剥がすため、基礎の補強も必要に応じて施工することが可能となります。
外周面の内壁を剥がすことから、外周面への断熱工事も断熱材の選択肢が広がります。施工面積によって費用も変わって参りますが、下記の金額が一つの指標になるはずです。
2階建て建築面積30坪の場合のスケルトンリフォーム 工事費(費用相場) ※過去事例平均 | 2100万円 |
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築30年以上経過、旧耐震時代に建てられた建物で外壁の傷みが激しい、もしくは家をすべて解体して、新築を建ててしまいたいがセットバックの問題で、現在よりも建築面積が狭くなってしまうため、希望の間取りが実現できない。
というような問題を抱えておられる建物が現行の新築のレベルの性能まで引き上げることが可能になるのがこの内外部スケルトンリフォームになります。
外部までの解体を進め、一戸建て(一軒家)が完全なスケルトン(躯体)状態になるのがこの工事になります。プランも自由度が最も高く、建物も形によっては、玄関の位置を変更することも可能になるため、2世帯住宅へのリフォームをされるケースなどで採用されるケースが多いリフォームになります。
耐震面では基礎補強工事に加え、耐震補強は構造内部からの補強、さらに外部から補強が加わります。外壁面は壁倍率の高い合板で全面張りが可能です。断熱についても、断熱性能の高い窓サッシの設置が自由に設置できることや、内部のスケルトンリフォームでは不可能な外断熱など断熱の選択肢は広がります。
解体は既存の躯体を残すためすべて手壊しの為、内部スケルトンリフォームよりも費用がかかってきます。施工面積によって費用も変わって参りますが、下記の金額が一つの指標になるはずです。
2階建て建築面積30坪の場合のスケルトンリフォーム 工事費(費用相場) ※過去事例平均 | 2700万円 |
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マンションスケルトンリフォームでは専有部のみの躯体残しの解体、その後自由に間取りを変更できるリフォームになります。
鉄筋コンクリートが壁式構造なのかラーメン構造なのか、年代により異なります、
S40年代に建てれた壁式構造では、スケルトンにしても天井高が取れないケースもあります。木造との大きな違いとして、躯体にかかわる工事がないこと、外部工事がないことがあげられ、基本的に内装、造作主体の工事となります。給排水の排水の出口は移動できないため、排水の水勾配を検討し水周りの設置位置を決定することが大切です。多くのリフォーム会社が定額制のパッケージを用意しており、60㎡程度で平米当たり10万以上が相場となっています。
施工面積によって費用も変わって参りますが、下記の金額が一つの指標になるはずです。
専有面積100㎡の場合のスケルトンリフォーム 工事費(費用相場) ※過去事例平均 | 1000万円 |
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スケルトンリフォームの最大のポイント、醍醐味ともいえますが、なんといっても、既存の建物の性能を大幅に上げることができること。
間取り変更を重視され、仕上がりのイメージばかりに囚われがちですが、マンションのスケルトンリフォームであれば、造作工事がメインとなるため、仕上がりやデザイン重視で工事をされるのは大変良い事だと考えますが、木造では仕上がり以上に大切なポイントとして、長期間安心して暮らせる安心を担保してくれる「耐震工事」と長期間快適な生活を約束してくれる「断熱工事」があります。これらをお話していきましょう。
スケルトンリフォームでの耐震補強は、一般的な耐震補強リフォームと呼ばれる工事に限定されない補強の自由度があることから、国が推奨している評点1.0という指標、いわゆる現行の建築基準法と同等の耐力、この数字をはるかに超える性能へ引き上げる上げることが可能です。
熊本地震では耐震等級2(耐震補強でいう評点1.25)の建物が倒壊しました。つまり、1.0という現行の建築基準法レベルでの耐震補強では、全く安心ができないのです。スケルトンリフォームをされる際は、是非、簡易診断だけではなく、許容応力度計算をして、評点1.5(新築でいう耐震等級3)を目指すことを強く推奨しています。
建物の外周面の内側を解体するスケルトンリフォームをするからこそ、外部に面する建物の壁面にしっかりとした断熱工事が出来るため、断熱工事は是非しっかりと考えたいところになります。
経済産業省が発表している満足度調査に、引き渡し後、2年程度の一戸建て住宅に住まわれている方を対象としたアンケートで、家を建てた後に後悔していることの1位が暑さ、2位が寒さ、3位が結露というTOP3すべてが断熱に起因している結果があります。
家を建てる前は、「価格」や「間取り」、「デザイン」に最大の関心があるお施主様ですが、住まわれた後の後悔という点で断熱にかかわる後悔が上位を占めている現状があります。
スケルトンリフォームでは、内部のスケルトンリフォームであれば、内断熱工事、内外部のスケルトンリフォームであれば、内断熱、外断熱、または両方断熱という選択肢があります。
日本は先進国でありながらも、断熱では圧倒的に遅れているという事実があり、サッシの断熱性能も含めて、断熱工事は見落としがち、かつ、工事施工会社にも断熱に詳しい会社は、正直少ない現状があります。
断熱においても経験値が豊富な施工会社(工務店・リフォーム業者)へ相談することをおススメ致します。
3パターンのスケルトンリフォームを中心にみてきましたが、いずれのパターンも改装を主体とした化粧直しのリフォームとは違いますので費用は通常のリフォーム以上にかかって参ります。では費用をいったいどこで抑えるのかは誰もが気になるところであります。
スケルトンリフォームは、一般的な部分的なリフォームとは異なり、建物を一旦骨組み状態にして再生する大規模な工事です。そのため、費用も通常のリフォームに比べて高くなりがちです。しかし、予算を抑えるための工夫をすることで、費用対効果を高めることが可能です。
ここでは、スケルトンリフォームの費用を抑えるための3つのコツを詳しく解説していきます。
1. 解体の範囲を決める:優先順位を明確にすることがカギ
スケルトンリフォームには、内部のみを解体するものから、外部まで含めた全面解体まで、さまざまな範囲のリフォームがあります。解体の範囲が広がれば広がるほど、復旧工事の範囲も広がり、それに伴う費用も増加します。そのため、まずはどこまで解体するのか、どの部分をリフォームするのが本当に必要なのかを明確にすることが重要です。
例えば、間取りの変更が必要なのはどこまでか、耐震や断熱の改善をどの程度行うべきかといった点を家族でよく話し合い、優先順位をつけて決定します。リフォーム業者と話す際にも、すべてを新しくするのではなく、**「ここはそのまま使えるから残そう」「この部分は補強が必要だから解体しよう」**といった具体的な希望を伝えると、解体範囲の無駄を削減することができます。結果として、必要以上に工事範囲が広がらず、費用も抑えられるのです。
また、スケルトンリフォームでは、性能向上が目的となることが多いため、見えない部分の工事が重要になります。外壁や基礎部分をそのままにして、内装のみの解体で済ませることで、大幅にコストダウンが可能です。このように、リフォームの目的に合わせて最適な解体範囲を決めることが、費用を抑える第一歩です。
2. 採用設備・建材仕様の見直し:隠れた部分に予算を割り当てる工夫
スケルトンリフォームの魅力は、間取りの自由度と建物性能の向上ですが、予算を抑えるためには、どこにお金をかけ、どこを抑えるかの見極めが重要です。特に表面的な仕上げ材や最新の設備機器にばかり予算をかけてしまうと、本当に必要な耐震補強や断熱工事が手薄になってしまうというケースが多々あります。
スケルトンリフォームで重視すべきは、「ハコ」の部分、すなわち建物の基礎、構造、断熱などの隠蔽部分です。これらは一度工事をしてしまうと後から変更するのが難しく、高い耐久性と快適な住環境を保つためには非常に重要です。たとえば、耐震補強に関しては、見た目には現れませんが、安全性に直結する部分ですので、ここをしっかりと行うことで、家全体の価値が大きく向上します。
一方で、キッチンやバスルームの設備などは、いつでも交換が可能ですし、グレードを落とすことで費用を削減することもできます。**「今は標準仕様で、数年後にグレードアップする」というように、設備や仕上げ材は後回しにできる部分です。**このように、見えない部分の工事に優先的に予算を割り当てることが、長期的な満足度を高めるポイントになります。
3. 地元の実績豊富な優良工務店を探す:無駄なコストを省き、施工の質を確保
スケルトンリフォームは、業者選びによって大きく費用が変わります。大手リフォーム会社や有名なハウスメーカーはブランド力がありますが、それに伴う広告費や人件費が価格に反映されるため、費用が高くなる傾向にあります。また、営業マンやデザイナーが主体の会社は、デザイン性や営業コストが上乗せされるため、施工費用が割高になることが多いです。
そのため、地元で実績が豊富な優良工務店に依頼することが、費用を抑えるための大きなポイントです。地元の工務店は、営業マンがいないことが多く、技術者が社長を兼ねているケースも珍しくありません。そのため、広告費や人件費を削減できる分、価格が抑えられ、工事費用のコストパフォーマンスが非常に高いです。
さらに、地元の工務店は、地域の建物や気候に精通しているため、その土地に合った最適なリフォームプランを提供できます。特に木造のスケルトンリフォームでは、木工事に強い工務店が最適です。現場管理者が営業も兼ねているような工務店では、現場での対応がスムーズで、施主の要望にも柔軟に応じてくれるケースが多いのも魅力です。
ただし、施工業者の選定に際しては、性能向上の実績が豊富であることが前提ですので、過去の施工事例を確認したり、評判を調べたりすることが大切です。工事の見積もりを依頼する際も、必ず複数の業者から取り、内容を比較することが必要です。信頼できる施工業者を選ぶことが、予算を抑えつつも高品質なスケルトンリフォームを実現する最も重要なポイントです。
まとめ
スケルトンリフォームは、改装工事とは異なり、大幅な解体や性能向上を伴うため費用がかかります。しかし、解体範囲の最適化、設備・仕上げ材の見直し、そして信頼できる地元の工務店の選定を行うことで、費用を抑えながらも高品質なリフォームを実現することが可能です。リフォームの計画段階から家族でしっかりと話し合い、必要な優先順位をつけたうえで、プロの意見を取り入れながら進めていくことで、理想の住まいを手に入れることができるでしょう。
スケルトンリフォームの種類には大きく3つのパターンがあることを解説しました。
①内部スケルトンリフォーム
②内外部スケルトンリフォーム
③外部スケルトンリフォーム
の3種類でした。
ここでは、3つのスケルトンリフォームの実際の施工事例を見てみたいと思います。
木造のスケルトンリフォームの対象は、在来工法の建物がメインとなります。
ツーバイフォー工法など壁工法の建物は、間仕切り壁自体が耐力壁、床自体を梁と考える構造なっているため、基本的にスケルトンにすることはできません。柱と梁で構成される木造軸組工法、在来軸組工在来工法と呼ばれる木造住宅で、スケルトンリフォームのメリットが生かされます。外部までの解体をする完全なスケルトンリフォームでは、プランも自由度が最も高く、建物も形によっては、玄関の位置を変更することも可能になります。
鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションスケルトンリフォームは、木造の戸建てリフォームとは工事ができる範囲が変わります。管理組合の規定に沿い、リフォームプランを作ることになりますが、サッシの変更をする際は、木造と比較しても、溶接が必要なカバー工法が主体となりますので、費用が高くなります。中古マンション物件を選択する際には、この規約を良く見て工事範囲がどこまで可能かの確認をご自分でまずされることをおススメします。
マンションスケルトンリフォームは、木造と違い構造体に手を加える工事はないのですが、コンクリート躯体に囲まれた限られた天井高で、排水の勾配、ダクトをどこに計画するのか?既存の開口部を利用できるのか?など空調計画、排水計画などもしっかりと行う必要があります。
スケルトンリフォームについて詳しく解説してきましたが、改めてその注意点と施主様が検討する際に押さえておきたいポイントを整理してお伝えします。スケルトンリフォームには、内部のみを解体するケースと、外壁まで剥がして躯体から再生するケースがあり、それぞれの費用感や工事内容が大きく異なります。施主様がどのようなリフォームを希望するかによって、選択肢や予算、工事期間も変わってくるため、慎重な検討が必要です。
1. スケルトンリフォームと新築との比較:性能向上の可能性
スケルトンリフォームは、従来の建て替え(新築)と比較されることが多いリフォームです。「新築の方が建物の性能が高いのでは?」と思われがちですが、現在では構造計算や断熱改修をしっかり行うことで、スケルトンリフォームでも新築と同等、あるいはそれ以上の性能を持たせることが可能です。具体的には、耐震等級3や断熱等級4といった新築の最高基準を目指すこともでき、基準をギリギリで満たす新築以上のパフォーマンスを実現することもあります。
特に、築年数が経過している住宅でのスケルトンリフォームは、建物を構造から見直して再生するため、既存の住宅の弱点を克服し、性能を飛躍的に向上させるチャンスでもあります。このような性能向上が、新築と比較してコストパフォーマンスに優れたリフォーム方法として注目されている理由の一つです。
2. 高度な技術力が求められる:信頼できる施工会社の選定が重要
スケルトンリフォームは、「リフォーム」と名がついているものの、その内容は一般的なリフォームを超え、新築以上に高度な技術力が求められる大規模工事です。特に木造住宅の場合、雨漏りや壁内結露などによる躯体の痛み、建物の傾き、基礎の劣化、外壁の傷みなど、建物の状態を細かく把握して対応する必要があります。これらの問題は見えない部分に潜んでいることが多く、解体して初めて発見されることも珍しくありません。
また、築年数が経過した建物では、何度もリフォームが行われているケースが多く、その施工内容が不明なことも多いため、予測しながら工事計画を立てることになります。現場で想定外の事態が発生した際には、即座に判断して適切な対策を講じる経験と技術力が施工業者に求められます。木組みの状態を確認し、構造体の状態や補強法の見直しが必要になった際にも、柔軟に対応できる施工業者を選ぶことが非常に重要です。
3. スケルトンリフォームの注意点:予期せぬトラブルに備える
スケルトンリフォームでは、予期せぬトラブルや問題が発生する可能性が高いため、計画段階での綿密な検討と、工事開始後の柔軟な対応が必要です。例えば、解体後に躯体の損傷が見つかることや、計画していた補強が現場の状況に合わないことが判明するなど、様々なケースが考えられます。これらの問題に対して、どのように対処するかを事前に施工業者と確認しておくことがポイントです。
また、マンションと木造住宅では工事内容が大きく異なります。マンションでは内装大工による造作工事がメインとなりますが、木造住宅では軸組の修正や新たな構造材の手刻みといった棟梁の技術が必要です。この違いを理解し、それぞれの工事に特化した施工会社を選ぶことが、スケルトンリフォームを成功させるためのカギとなります。
4. 施工会社選びのポイント:専門性と実績を重視する
スケルトンリフォームを成功させるためには、施工会社選びが最も重要な要素となります。特にマンションのリフォームでは、マンションの施工実績が豊富で、内装大工の経験が豊かな会社を選ぶことが重要です。一方、木造住宅の場合は、木造改築の経験が豊富で、構造体の補強や修正に強い会社に依頼することが推奨されます。
施工業者を選ぶ際には、過去の施工事例を確認することが大切です。実績や評判、具体的な工事内容についての説明がしっかりとできる業者は信頼性が高いと言えます。また、施工の際の不測の事態に対してどのような対応が可能かを事前に確認しておくことも、施工会社選びの際のチェックポイントです。
5. 施主様へのアドバイス:リフォームのゴールを明確にし、信頼できるパートナーと進める
スケルトンリフォームを検討する際には、施主様がどのような住まいを目指しているのか、そのゴールを明確にすることが最も大切です。リフォームの目的が間取りの変更なのか、建物性能の向上なのか、あるいは快適性やデザインの追求なのかによって、選ぶべきリフォームの内容も変わってきます。
そして、リフォームのパートナーとなる施工会社とのコミュニケーションが、リフォームの成功を左右します。経験豊富な施工会社であれば、施主様の希望に寄り添いながらも、プロとしての的確なアドバイスを提供してくれます。信頼できる施工会社とともに、一緒に理想の住まいを作り上げることが、スケルトンリフォームを成功させる最大のポイントです。
スケルトンリフォームは、費用も手間もかかる大規模な工事ですが、家の性能を根本から見直し、長期的に安心して暮らせる住まいを手に入れるための最適な方法です。しっかりと準備をし、信頼できるパートナーと進めることで、そのメリットを最大限に享受できることでしょう。
更新日:2024/9/3
フルリフォーム(全面リフォーム)で最も大切なのは「断熱」と「耐震」です。性能向上を第一に考え、末永く安心して住める快適な住まいを目指しましょう。
ハイウィル株式会社 四代目社長
1976年生まれ 東京都出身。
【経歴】
家業(現ハイウィル)が創業大正8年の老舗瓦屋だった為、幼少よりたくさんの職人に囲まれて育つ。
中学生の頃、アルバイトで瓦の荷揚げを毎日していて祖父の職人としての生き方に感銘を受ける。 日本大学法学部法律学科法職課程を経て、大手ディベロッパーでの不動産販売営業に従事。
この時の仕事環境とスキルが人生の転機に。 TVCMでの華やかな会社イメージとは裏腹に、当たり前に灰皿や拳が飛んでくるような職場の中、東京営業本部約170名中、営業成績6期連続1位の座を譲ることなく退社。ここで営業力の基礎を徹底的に養うことになる。その後、工務店で主に木造改築に従事し、100棟以上の木造フルリフォームを職人として施工、管理者として管理。
2003年に独立し 耐震性能と断熱性能を現行の新築の最高水準でバリューアップさせる戸建てフルリフォームを150棟、営業、施工管理に従事。2008年家業であるハイウィル株式会社へ業務移管後、 4代目代表取締役に就任。250棟の木造改修の営業、施工管理に従事。
2015年旧耐震住宅の「耐震等級3」への推進、「断熱等級4」への推進を目指し、 自身の500棟を超える木造フルリフォーム・リノベーション経験の集大成として、性能向上に特化した日本初の木造フルリオーム&リノベーションオウンドメディア 「増改築com®」をオープン。
どのようなお悩みのご相談でも結構です。
あなたの大切なお住まいに関するご相談をお待ちしております。
営業マンはおりませんので、しつこい営業等も一切ございません。
※設計会社(建築家様)・同業の建築会社様のご相談につきましては、プランと共にご指定のIw値及びUa値等の性能値の目安もお願い申し上げます。
※現在大変込み合っております。ご提案までに大変お時間がかかっております。ご了承のほどお願い申し上げます。
2025年(令和7年)の4月1日建築基準法改正が決定、2025年(令和7年)4月以降に着手するフルリフォームに確認申請が義務化されることにより、現在大変混みあっております。
お問い合わせ・ご相談多数のため、ご返信、プランのご提案までに日数を頂いております。ご了承の程お願い申し上げます。
首都圏のリノベーションにつきましては、法改正前の着工工事枠は1月着工のお施主様まで埋まっております。
・直近は2025年2月上旬の着工スタートより空きありとなります。※2024年11月25日時点
※ご契約順に施工班の予定を組ませて頂いております。スケルトンリフォームには6ヶ月程度の期間が必要になります。余裕をもったスケジュールでご相談をお願い申し上げます。
※すでにプランをお持ちのお施主様・設計資料をお持ちのお施主様は内容をフォームで送信後、フォーム下のメールアドレスに資料をお送りください。対応がスムーズです。
図面や写真等を送信いただく場合、また入力がうまくいかない場合は、上記内容をご確認のうえ、下記メールアドレスまでご連絡ください。
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