戸建フルリフォームなら「増改築.com®」TOP>戸建てリノベーションの費用について>スケルトンリフォームとは?施工事例で費用・相場を徹底解説
リフォームの相談を日々受ける中で、ここ数年の問い合わせの多くが、「中古住宅を購入しました、"スケルトンリフォーム"を検討しています。」「実家に二世帯で住むことになりました。"スケルトンリフォーム"を検討しています」といった「スケルトンリフォーム」という言葉でダイレクトにご相談がくることが大変増えてきました。
「スケルトンリフォーム」とはいったいどのようなリフォームで、どのような種類があるのでしょうか?そして、実際にどのような工事をするのか?スケルトンリフォームは、その他のリフォームと比較して、どんなメリットがあるのか?デメリットはないのか?また、「スケルトンリフォーム」をする際に、どのようなことに注意をすればよいのか?
リフォームポータルサイトを見ても、リノベーション事例として掲載されているのは、キレイなビフォー&アフターの写真ばかりで実際の工事現場の中身をみることはなかなかできません。ここでは、実際の現場の中身の写真と共に、スケルトンリフォームを1000棟以上手掛けてきた『増改築com®』運営会社で創業大正八年の老舗工務店四代目社長がスケルトンリフォームの種類や費用、施工事例や注意点、メリットやデメリットを徹底解説します。
●2022年最新!資材高騰・値上げ情報とスケルトンリフォームでの対策法とは?
コロナパンデミック以降2021年より、ウッドショック、オイルショック、アイアンショック(メタルショック)と3つの波がトリプルパンチで押し寄せてきて、素材産業を直撃しております。住宅を構成するあらゆる素材が高騰しております。鉄鋼、非鉄、金属製品の業界だけではなく、建設業にも波及してきており、2022年初頭より価格転嫁が各メーカーより始まっております。
性能向上を前提としたスケルトンリフォームにおいて、最も厳しい値上げとなっているのが、木材での構造材の高騰・高断熱サッシの高騰・断熱材の高騰・基礎補強における配筋・コンクリートの高騰・外壁、屋根に使用する金属(ガルバリウム鋼板)・仕上げ建材などです。
小刻みに値上げをしてきた住宅業界ですが、2022年は過去にない値上げとなりました。すでに2023年にもちらほら値上げの話が出始めている今、戸建て一軒家のスケルトンリフォームをされる方はどのような点に注意すればよいのか、ポイントを解説しています。
↓のバナーで詳しく解説しています。これからスケルトンリフォームを検討されている方はぜひ一読ください。
スケルトンリフォームとはどのようなリフォームをいうのでしょうか?
「スケルトン」には、骨格という意味があります。
建築では、骨格という意味からこの「スケルトン」を構造媒体を指していいます。つまり、建物を一旦骨格(骨組)の状態に、構造躯体の状態にしてリフォームをすること。これを「スケルトンリフォーム」と呼んでいます。
木造一戸建てであれば、柱と梁の木組みの状態、マンションであれば、コンクリート躯体の状態、ここまで裸にして、新たに間取りなどをつくっていくリフォームを総称していっています。スケルトンリフォームという言葉が普及したのは、「スケルトン&インフィル」という考え方が業界で浸透しだしたこととも関係しているのではないでしょうか?1960年代のオランダのハブラーゲンという建築家が提唱したオープンビルディングという考え方にもとづいてできた言葉になります。
スケルトン(骨格)とインフィル(居住空間)を分けて考える発想が生まれたことが大きな要因かもしれません。インフィルとは充填したり、詰め替えをいいますが、ここではインフィルを住んでから変えられるものつまり、躯体以外の間取りを含む内装や設備、断熱材等を指して使うことから、居住空間まで含めて使われいます。対してのスケルトンは、変えられないものつまり、頑丈で良いスケルトン(変えられないもの)を作れば、インフィル(住んでからかえられるもの)はライフスタイルの変化に応じて変更しながら、長く暮らしていける家のことをいいます。
スケルトンリフォームは、この躯体を生かし、今後長期的に安心して暮らしていけるようスケルトンを補強をして、現在のライフスタイルに合った間取りや設備へ自由に変更できるリフォームであると言えるでしょう。
基本的に、どの構造であってもスケルトン(躯体)の状態までの解体が可能です。下記は弊社の過去のスケルトンリフォームでの解体後の構造別の写真です。
北区N様 木造スケルトンリフォーム
杉並区 T様邸
鉄骨造スケルトンリフォーム
新宿区K様邸 鉄筋コンクリート造
スケルトンリフォーム
市川市S様邸 混構造
スケルトンリフォーム
間取りを自由に変更できるスケルトンリフォームですが、建物によってはスケルトンリフォームできないものもあります。
木造ではスケルトンリフォームの代表格として在来工法(木造軸組構法)が挙げられますが、木造枠組壁工法と呼ばれる「2×4工法」で建てられた建物はスケルトンリフォームには不向きといえます。我が国では木造住宅では在来工法が約70%の普及率を誇りますが、残りの約30%がこの2×4住宅となります。在来工法(木造軸組構法)が柱と梁で構造体を組み筋交いや耐力壁で補強する工法に対して、「2×4(ツーバイフォー)工法(木造枠組壁工法)」は、床と壁と屋根の面で構造をくみ上げる壁式構造となりますので、部屋自体も6面体の“箱”を組み合わせてくみ上げるという考え方になります。柱や梁を組み合わせた骨組みを造って建物を支えるのか、床・壁・屋根で造られた6面で建物を支えるかです。このような面でくみ上げる工法の特性から、スケルトンリフォームで間取りを変更する点では構造上難しい点が挙げられます。つまり、生活スタイルが変わり、「二世帯にしたい」「壁を壊してリビングを広くしたい」、ましてや階段の位置を変更したい、窓の位置を変えたいといったことが難しい建物となります。
建物を骨格(構造体)の状態にして、新たに再生するリフォームするのが、スケルトンリフォームです。では、「スケルトンリフォームは、リノベーションということでしょうか?」その違いを次でお話します。
スケルトンリフォームと混同して使われる言葉に「リノベーション」という言葉も、最近では一般的に使用されるようになりました。「リノベーション」の意味はもともと「刷新」という意味です。現在の状態に新たな機能や新たな価値を付加する工事という意味合いで使われます。
2世帯住宅への変更や、家全体をバリアフリー化したり、使用の用途を変更したり。このような新たな価値を持たせるような、機能変更を加する場合に「リノベーション」という言葉を用います。このように、リノベーションをする場合、その手段として、結果としてスケルトンリフォームを選択することが大変多いのですが、それぞれの言葉にはこのような意味があります。リノベーションの中に、スケルトンリフォームというリフォームの方法がある。と考えるとわかりやすいと思います。
一口に、「スケルトンリフォーム」と言っても建物の構造体はさまざまで、木造、鉄骨、鉄筋コンクリート、木造&鉄骨、あるいは木造&鉄筋コンクリートの混構造など、躯体自体の仕様が違いますし、スケルトンリフォームの工事の中身もいくつか種類がございます。
これらの工事の種類を次に見ていきたいと思います。
建物を躯体(スケルトン)の状態まで解体をして、新たなライフスタイルに沿った間取りへリフォームをする「スケルトンリフォーム」ですが、大きくわけて、3つのパターンにわけることができます。
皆さんが想像する「スケルトンリフォーム」はどのようなものでしょうか?木造であれば、柱と梁、桁や母屋組のみが残っている状態、つまりは、下の写真のような、新築時の棟上げをした状態、建舞をする状態を想像される方がほとんどではないでしょうか?
この写真は、外壁までも解体し、完全な躯体(スケルトン)の状態にするスケルトンリフォームになります。このようなスケルトンリフォームをご要望される方は大変多いですが、費用的な問題もあり、内部のみを解体しスケルトン状態にする内部スケルトンリフォームをされる方も大変多いです。
内部スケルトンリフォームは下の写真のように、室内の天井、壁、床をすべて解体し、骨格(躯体)の状態にするリフォームを言います。
内部スケルトンリフォームは外壁こそ解体しないものの、既存の構造躯体が見えている状態になりますので、既存の軸組の診断に加え耐震補強、基礎の補強、断熱性能アップなどをはかる事が可能です。もちろん躯体残しの状態になっていますので、一部抜けない柱などは出てきますが、大幅な間取り変更も可能となります。大変人気の高いスケルトンリフォームになっています。
大手リフォーム会社のCMされている「新築●●さん」といった商品は、このスケルトンリフォームを指しています。
また、マンションのスケルトンリフォームも専有部内での工事のみしかできない制約がありますので当然外壁を壊すような工事はできません。従って、マンションの場合内部スケルトンリフォームとなります。
続いて、内外部スケルトンリフォームの紹介をします。多くの方が想像されるスケルトンリフォームがこの内外部スケルトンリフォームになるのではないでしょうか?
外壁が老朽化していたり、外壁のクラックから雨水が浸入して、躯体が腐食している建物や、完全分離型の二世帯住宅へのリフォーム、賃貸併用住宅へのリフォームといった大幅に間取りが変更になるリフォーム、また間取り変更の際にサッシ窓の位置が大幅に変わってくるケースなどには、この内外部スケルトンリフォームが有効になります。既存の躯体外周部に構造用合板を全面に張ることで、壁倍率は2倍以上向上します。サッシの位置も自由に移動が可能になるため、間取り変更の自由度もかなり上がります。断熱も内部からの充填断熱だけでなく外張り断熱も可能となります。基礎補強を加えれば、新築とほぼ同水準、性能によっては新築以上の建物へ性能向上が可能なリフォームが、この内外部スケルトンリフォームになります。
3つ目のパターンは、どちらかというとレアなスケルトンリフォームになります。
外部のスケルトンリフォームです。外部のモルタルやサイディングといった外壁仕上げ材を剥離解体するスケルトンリフォームです。外壁解体後は、外周部の躯体が見える状態になります。外壁の傷みが激しく、モルタル壁が浮いてきている、上張りでサイディングを張りたいが、下地として現在の壁が傷んでいて機能しないケース、室内の間取り変更は予定していないが、断熱材が外周部に入っていない為、外部より断熱材を充填、もしくは外断熱にしたいケースなどで採用されるスケルトンリフォームになります。
※佐倉市 M様邸 外部スケルトンリフォーム 外壁解体写真より
スケルトンリフォームのメリットは、なんといっても新築同レベルの建物性能まで建物の価値を引き上げながら費用価格が新築の2分の1から3分2程度で実現できるコストパフォーマンスにあります。水周り設備(キッチン・バス・トイレ・洗面)の入れ替えに化粧直しの内装工事をするいわゆる改装工事とは、工事の中身が変わってきます。
全体改装リフォームとスケルトンリフォームでは、完了後のイメージは変わりませんが、工事の中身がまったく違うということです。スケルトンにすることで、現在のライフスタイルへ間取りを大幅に変更できるメリットはもちろんですが、既存の建物の耐震性能と断熱性能を現行の最高基準まで底上げすることができることが最大のメリットとなります。
スケルトンリフォームは、大変メリットの多いリフォームですが、デメリットもあります。木造戸建てのスケルトンリフォームでは、基礎までの補強は可能となりますが、基本的には地盤は触れないということです。
もし、軟弱地盤に問題がある建物であれば、技術的にできないということではありませんが、費用が相当かかってきますので、新築され地業工事をする方が有利となるでしょう。また、確認申請を行うスケルトンリフォームのケースを除き、増築は申請が必要になり固定資産税の増加にも影響してきますので、増築をされる場合も検討が必要でしょう。また中古物件購入と同時に、スケルトンリフォームもされるケースでは住宅ローンを組む際に、確認申請が必須となる金融機関もあります。
マンションのスケルトンリフォームでは躯体壁を解体することはできないので、建物の作りによっては、想像以上に壁が壊せないケースがありま。木造の場合、普及率が30%程度と言われているツーバイフォー工法で建てられた建物の場合、壁工法となっているため、内部の間仕切り壁の解体ができません。従ってスケルトンリフォーム向きではないということが言えるでしょう。
スケルトンリフォームの手壊し解体
解体時の廃材の搬出
内部の解体より進めていきます。解体はすべて機械壊しではなく、手壊しとなります。木造のスケルトンリフォームでの解体は、室内の天井・床・壁をすべて撤去するところから始まります。主要構造部が見えてきたら、間取り変更後の間取りに必要な柱や基礎の位置をチェックしつつ、間取り変更により撤去する柱を抜いていきます。この際、補強を入れながら解体していく工事になるため、木造を熟知した職人の施工が必須となります。内部の解体が終わり次第、外壁の剥離も合わせて施工していきます。
木造のスケルトンリフォームでは、構造計算をした上で、新たな間取りに対して解体後の現況の軸組の構造を再度照らし合わせ、補強工事を行っていきます。柱を抜いた部分への梁補強も空間のスパンによっては、鉄梁を入れるケースもあります。
その他、耐力壁となる筋交いの金物補強、制震ダンパーの設置など新規の間取りに対して、耐力が最大化かつ偏心率を最小化させるよう用バランスを検討し耐震補強を施工します。これらの構造補強は、木造新築のみを施工している工務店、マンションを施工している内装大工では、出来ない工事となりますので、木造の改築の実績が豊富な施工会社(工務店・リフォーム業者)へ相談をされることをおススメします。
H鋼による鉄梁補強
筋交いへの柱頭、柱脚部への金物補強、仕口への制震ダンパー設置
抜いた柱への梁補強(尺梁)
築30年以上の建物では、布基礎になってることも多く、中でも昭和56年の旧耐震基準の建物は無筋基礎であることが大変多いため、「ベタ基礎への基礎補強工事」、「アラミド繊維による補強」、「抱かせ基礎(ツイン基礎)による基礎補強」などさまざまな基礎補強法からその建物にベストな補強を検討することになります。既存の基礎高(立ち上がり)によって補強法も変わって参ります。
外壁まで解体する内外部スケルトンリフォームでは、外部からの補強工事も可能となります。既存の外壁を剥離し、外周面の柱や桁に壁倍率の高い構造用合板等を全面張りすることで、壁倍率が倍になります。その他建設大臣認定の補強金物工法などを使用することで、新築でいう最高基準の耐震等級3相当の評点1.5以上を目指すことが可能です。
セルロースファイバー充填
スケルトンリフォームでは、断熱工事の選択肢も広がります。外周面の内壁が剥がされることから、新たに家全体の断熱工事が可能となり、高性能グラスウールやセルロースファイバー、硬質ウレタン充填等セレクトできます。外部までのスケルトンリフォームをされる場合、外断熱工法での断熱も選択肢に入ってきます。せっかくのスケルトンリフォームです。あまりに遅れている日本の断熱基準の現状を知っていただき最低でもZEH基準以上のUa値を目指したいところです。
夏の暑さの7割、そして冬の寒さの6割の原因が、窓(サッシ)と言われています。スケルトンリフォームでは、窓サッシを取り換えないケースもありますが、外部まで解体するスケルトンリフォームではサッシは新規で設置となります。また、内部のスケルトンリフォームであってもサッシをカッターで開口し、新たな間取りに合わせてサッシを新設するケースがあります。スケルトンリフォームをされるなら、生活された後のことを考え、サッシにはある程度費用ウエイトをかけておくことをおススメしています。
地域によってサッシの選定は変わってきますが、東京都内など準防火地域が大半をめるエリアでは、理想は樹脂サッシの防火タイプ、最低でもアルミ(外側)+樹脂(室内側)サッシに通常の複層ガラスではなく、Low-Eペアガラス以上の仕様にはしておきたいところです。
準防火以外のエリアであれば費用対効果からも樹脂サッシのLow-Eガラスには最低しておきたいところです。
スケルトン状態になった外部(屋根・壁)は、早い段階で屋根をの工事があります。新築と同じで室内作業をしやすくするためにまず屋根を構造用合板等で増し打ち(下地が痛んでいる場合は下地まで交換)し、ルーフィングを張ります。
ルーフィング施工後、仕上げ工事となりますが、屋根は、瓦・ガルバリウム鋼板等
選択が可能なことが一般的です。外壁はサッシを入れ、外周面を構造用合板等、壁倍率の高い面材を全面に張り、その後、防水透湿シートを張り、通気胴縁を打ち、仕上材のサイディング施工が一般的ですが、外断熱をするケースでは、構造用合板の上に、断熱材を張り、その後モルタルを塗り、左官仕上げとするなど、仕上も選択が可能です。
構造的な補強工事や断熱工事が完了しますと、表装(美装)工事へと移行していきます。仕上の仕様はさまざまです。床や建具は、新建材なのか?無垢材ないのか?
壁や天井は、壁紙なのか左官仕上げなのか?選択肢は沢山あります。ご予算に応じてセレクトされることをおススメします。
築年数を経過した旧耐震の建物へのスケルトン解体から、基礎補強、軸組部の補強、外部からの補強を加え、さらに、断熱工事をすることで、新築における最高基準での建物へバージョンアップすることが可能です。冒頭のリフォーム前の古屋が、間取りを大幅に変更することで、ここまで変わります。
施工の流れをみていただきましたこのスケルトンリフォームですが、工事の流れを見て頂いた通り、リフォームでは大規模なものとなり、木造一戸建ての内外部を解体するスケルトンリフォームになると、建替え(新築)以上に工期もかかります。
スケルトンリフォームの工事期間はどのくらいかかるのでしょうか?多くのリフォームサイトで新築建て替えとリフォームの比較が解説されていますが、リフォームの方が工期が短いという記述を目にしますが、それは改装だからです。スケルトンリフォームでは、新築以上にかかりますので、注意が必要です。
木造一戸建てのスケルトンリフォームでは、解体後に、「柱が想像以上に腐っていた」「柱が抜けなかった」また、中古住宅を購入される方に多いのが前の持ち主の工事履歴が不明であることから、解体後に「改築していることが判明」など想定以外の躯体状態になっていることも多く、厳密な工期とは、解体後にわかるといっても過言ではありません。既存躯体の傷み具合では、補強工事期間が長くなることもあります。
仮住まいをされる方は、そのあたりで柔軟に対応できる仮住まいを探すこともポイントになってきます。また、木造一戸建て、マンションスケルトンリフォームを問わず、工程が遅れる要素として、工事開始後のお客様の追加、変更があげられます。工事が進んでいく中で、「この部屋はやっぱりこうしたい」「素材を変えたい」など工事の進行中に変更が入りますと、それらの納期が問題となって、職人の手が止まることになります。そのため、工事内容をしっかりと決めて、工事をスタートすることも大切です。そうなりますと、工程の段取りを仕切り直しし再度調整をはかることになりますので、工程が遅れて、結果として、工事期間が延びていく要因となります。
スケルトンリフォームの工事期間は、マンションであれば、解体からスタートして、1か月~1か月半程度が目安となるでしょう。木造一戸建てのスケルトンリフォームでは、内部のみを解体するスケルトンリフォームで、3か月程度。内部の解体に加え外壁を剥離する内外部のスケルトンリフォームで、4カ月~、坪数や工事のロケーションによっては5カ月程度を目安とする必要があります。
スケルトンリフォームは、想定外のことが起こりうるリフォームになります。その為、スケルトンリフォームにおいて、経験値の高い、場数を踏んでいる会社へ相談するのが最も良いでしょう。スケルトンリフォームの実績が豊富であっても、マンションに強い会社、木造強い会社などその会社によって全く工事体制が異なります。このあたりを良く見極め、施工会社(工務店・リフォーム業者)へ相談をされることをおススメします。
さて、最も気になる費用価格について、お話をしていきたいと思います。スケルトンリフォームは、いったいどれくらいの工事費用がかかるリフォームなのでしょうか?
会社によっては、木造一戸建ての場合、坪単価で、マンションであれば平米単価で計算しているところもあります。一戸建てのケースやマンションのケース、また木造と鉄筋コンクリートの場合で費用価格も異なってきます。木造の場合では、前述している内部のスケルトンリフォームと外壁を解体する内外部スケルトンリフォームでは、解体費用が変わることから、費用価格も変わってきます。これからスケルトンリフォームをされる方にとって一つの指標(目安)となる相場ともいえる金額帯をお話していきましょう。ご要望とされているスケルトンリフォームの内容と、ご予算を照らし合わせてみてください。
※増改築.com®過去平均に基く
築年数が30年以上を経過している建物、旧耐震以前に建てられた建物で耐震を見直したいが、外部外装をすべて解体するほど外壁の傷みがないケースでは、この内部スケルトンリフォームは採用が多いスケルトンリフォームになっています。
基本外壁を傷めない(解体しない)ことが前提となります。大手リフォーム会社の「新築●●」や「まるごと新築●●」などとネーミングされているスケルトンリフォームがこれにあたります。サッシを変更する場合は外壁にカッターをいれ入れ替え、もしくは間取り変更後に窓の位置が変わる場合などはプラスアルファの費用が掛かってきます。間取り変更、階段位置変更が可能で自由度が高い工事です。内部を躯体残しにすることで、構造体の全体的な補強が可能です。床を剥がすため、基礎の補強も必要に応じて施工することが可能となります。
外周面の内壁を剥がすことから、外周面への断熱工事も断熱材の選択肢が広がります。施工面積によって費用も変わって参りますが、下記の金額が一つの指標になるはずです。
2階建て建築面積30坪の場合のスケルトンリフォーム 工事費(費用相場) ※過去事例平均 | 2100万円 |
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築30年以上経過、旧耐震時代に建てられた建物で外壁の傷みが激しい、もしくは家をすべて解体して、新築を建ててしまいたいがセットバックの問題で、現在よりも建築面積が狭くなってしまうため、希望の間取りが実現できない。
というような問題を抱えておられる建物が現行の新築のレベルの性能まで引き上げることが可能になるのがこの内外部スケルトンリフォームになります。
外部までの解体を進め、一戸建て(一軒家)が完全なスケルトン(躯体)状態になるのがこの工事になります。プランも自由度が最も高く、建物も形によっては、玄関の位置を変更することも可能になるため、2世帯住宅へのリフォームをされるケースなどで採用されるケースが多いリフォームになります。
耐震面では基礎補強工事に加え、耐震補強は構造内部からの補強、さらに外部から補強が加わります。外壁面は壁倍率の高い合板で全面張りが可能です。断熱についても、断熱性能の高い窓サッシの設置が自由に設置できることや、内部のスケルトンリフォームでは不可能な外断熱など断熱の選択肢は広がります。
解体は既存の躯体を残すためすべて手壊しの為、内部スケルトンリフォームよりも費用がかかってきます。施工面積によって費用も変わって参りますが、下記の金額が一つの指標になるはずです。
2階建て建築面積30坪の場合のスケルトンリフォーム 工事費(費用相場) ※過去事例平均 | 2700万円 |
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※渋谷区I様マンションスケルトンリフォーム現場写真より
マンションスケルトンリフォームでは専有部のみの躯体残しの解体、その後自由に間取りを変更できるリフォームになります。
鉄筋コンクリートが壁式構造なのかラーメン構造なのか、年代により異なります、
S40年代に建てれた壁式構造では、スケルトンにしても天井高が取れないケースもあります。木造との大きな違いとして、躯体にかかわる工事がないこと、外部工事がないことがあげられ、基本的に内装、造作主体の工事となります。給排水の排水の出口は移動できないため、排水の水勾配を検討し水周りの設置位置を決定することが大切です。多くのリフォーム会社が定額制のパッケージを用意しており、60㎡程度で平米当たり10万以上が相場となっています。
施工面積によって費用も変わって参りますが、下記の金額が一つの指標になるはずです。
専有面積100㎡の場合のスケルトンリフォーム 工事費(費用相場) ※過去事例平均 | 1000万円 |
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スケルトンリフォームの最大のポイント、醍醐味ともいえますが、なんといっても、既存の建物の性能を大幅に上げることができること。
間取り変更を重視され、仕上がりのイメージばかりに囚われがちですが、マンションのスケルトンリフォームであれば、造作工事がメインとなるため、仕上がりやデザイン重視で工事をされるのは大変良い事だと考えますが、木造では仕上がり以上に大切なポイントとして、長期間安心して暮らせる安心を担保してくれる「耐震工事」と長期間快適な生活を約束してくれる「断熱工事」があります。これらをお話していきましょう。
軸組金物補強
スケルトンリフォームでの耐震補強は、一般的な耐震補強リフォームと呼ばれる工事に限定されない補強の自由度があることから、国が推奨している評点1.0という指標、いわゆる現行の建築基準法と同等の耐力、この数字をはるかに超える性能へ引き上げる上げることが可能です。
熊本地震では耐震等級2(耐震補強でいう評点1.25)の建物が倒壊しました。つまり、1.0という現行の建築基準法レベルでの耐震補強では、全く安心ができないのです。スケルトンリフォームをされる際は、是非、簡易診断だけではなく、許容応力度計算をして、評点1.5(新築でいう耐震等級3)を目指すことを強く推奨しています。
外断熱パネル
建物の外周面の内側を解体するスケルトンリフォームをするからこそ、外部に面する建物の壁面にしっかりとした断熱工事が出来るため、断熱工事は是非しっかりと考えたいところになります。
経済産業省が発表している満足度調査に、引き渡し後、2年程度の一戸建て住宅に住まわれている方を対象としたアンケートで、家を建てた後に後悔していることの1位が暑さ、2位が寒さ、3位が結露というTOP3すべてが断熱に起因している結果があります。
家を建てる前は、「価格」や「間取り」、「デザイン」に最大の関心があるお施主様ですが、住まわれた後の後悔という点で断熱にかかわる後悔が上位を占めている現状があります。
スケルトンリフォームでは、内部のスケルトンリフォームであれば、内断熱工事、内外部のスケルトンリフォームであれば、内断熱、外断熱、または両方断熱という選択肢があります。
日本は先進国でありながらも、断熱では圧倒的に遅れているという事実があり、サッシの断熱性能も含めて、断熱工事は見落としがち、かつ、工事施工会社にも断熱に詳しい会社は、正直少ない現状があります。
断熱においても経験値が豊富な施工会社(工務店・リフォーム業者)へ相談することをおススメ致します。
メーカーショールームでのプランニングシート
3パターンのスケルトンリフォームを中心にみてきましたが、いずれのパターンも改装を主体とした化粧直しのリフォームとは違いますので費用は通常のリフォーム以上にかかって参ります。では費用をいったいどこで抑えるのかは誰もが気になるところであります。費用を抑える方法は主に3つのポイントがありますので、解説していきましょう。
●【解体の範囲を決める】
スケルトンリフォームには、3つのタイプがございました。その違いは、解体の範囲でしたね。中すべてを解体するのか、外まで解体するのか、など要は、解体をする範囲が広がれば広がるほどに、それに伴う復旧工事が必要になりますので、費用が上がります。スケルトンリフォームでも性能の影響がないところで解体の範囲を抑えるなどの工夫が必要になってきます。
つまり、どこまで間取り変更が必要なのか?そのような間取りにすることが優先順位として本当に高いのかといったことを住まわれる皆様で良くお話し合いをすることが必要になります。
●【採用設備建材仕様の見直し】
スケルトンリフォームをするメリットは何といってもライフスタイルの変更等に伴う大幅な間取りの変更ができる点です。そして何といっても、その建物を”ハコ”として捉えた際に、そのハコの性能を大幅に向上することができることが挙げられます。性能向上とは主に『耐震性能』と『断熱性能』です。
この性能向上に伴う工事の多くは、スケルトンリフォーム後には仕上がりとして見えなくなってしまう隠蔽部になります。そしてこの”ハコ”部分は、一度工事をしてしまうと、その後頻繁に工事ができる部分ではないということです。どうしても表面上のおしゃれな仕上げ材や最新型の住宅設備機器(システムキッチン・システムバス・洗面化粧台・トイレ便器)に目が行きがちですが、このような表面の仕上げ材は、いつでも取り換えが可能であり、”ハコ”自体の性能には関係のないパーツになって参ります。”気を見て森を見ず”的な発想にならずに、建物の全体の性能に目を向け仕上げ材の費用を抑える工夫も必要でしょう。
●【地元の実績豊富な優良工務店を探す】
スケルトンリフォームする会社は様々です。
代表的な会社として、大手リフォーム会社が挙げられますが、大手のブランドは確かにあるのですが、大手の社員が職人ではありませんので、目安としては会社の信用のみと考えてよいでしょう。多額な広告費やショールームと人件費がかかっておりますので、費用が高いのは当たり前といえば当たり前です。ではリフォーム会社はどうか?こちらもデザイナーや営業マンが主体の会社ですと経費がかかっているため費用感は割高な印象です。デザイン性を重視するマンションでスケルトンリフォームでは選択肢の一つにはなるでしょう。木造のスケルトンリフォームでは、やはり木工事に強い地元の工務店が一番お勧めです。工務店の多くは営業マンは不在であることが多く、技術者が社長であることも多いです。現場管理者が営業も兼ねているような会社が安心です。もちろん、性能向上の実績が豊富であることが前提です。
スケルトンリフォームの種類には大きく3つのパターンがあることを解説しました。
①内部スケルトンリフォーム
②内外部スケルトンリフォーム
③外部スケルトンリフォーム
の3種類でした。
ここでは、3つのスケルトンリフォームの実際の施工事例を見てみたいと思います。
※横浜市T様戸建てスケルトンリフォームより
木造のスケルトンリフォームの対象は、在来工法の建物がメインとなります。
ツーバイフォー工法など壁工法の建物は、間仕切り壁自体が耐力壁、床自体を梁と考える構造なっているため、基本的にスケルトンにすることはできません。柱と梁で構成される木造軸組工法、在来軸組工在来工法と呼ばれる木造住宅で、スケルトンリフォームのメリットが生かされます。外部までの解体をする完全なスケルトンリフォームでは、プランも自由度が最も高く、建物も形によっては、玄関の位置を変更することも可能になります。
※新宿区K様マンションスケルトンリフォームより
鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションスケルトンリフォームは、木造の戸建てリフォームとは工事ができる範囲が変わります。管理組合の規定に沿い、リフォームプランを作ることになりますが、サッシの変更をする際は、木造と比較しても、溶接が必要なカバー工法が主体となりますので、費用が高くなります。中古マンション物件を選択する際には、この規約を良く見て工事範囲がどこまで可能かの確認をご自分でまずされることをおススメします。
マンションスケルトンリフォームは、木造と違い構造体に手を加える工事はないのですが、コンクリート躯体に囲まれた限られた天井高で、排水の勾配、ダクトをどこに計画するのか?既存の開口部を利用できるのか?など空調計画、排水計画などもしっかりと行う必要があります。
今回は、スケルトンリフォームについて、施工事例を見ながら解説させていただきました。
スケルトンリフォームにも内部のみをスケルトン解体するケース、外壁までを剥離して、躯体残しの状態にする内外部のスケルトンリフォームではまったく費用感も変わってくるということがお分かりいただけたのではないでしょう。
スケルトンリフォームは、建て替え(新築)との費用比較をされますが、従来は、建物の性能面でどうしても建て替え、新築が良いに決まっているという見方が通例でした。
しかし、しっかりとした構造計算、断熱改修等を行うことで、新築での最高基準となる耐震等級3、断熱等級4といったグレードを目指すことも可能となりました。基準ギリギリで建てられた低性能の新築以上に性能向上をすることが可能です。
スケルトンリフォームの注意点として、これらの工事は「リフォーム」と名がついてはいますが、木造のスケルトンリフォームは、新築とは比較にならないほどの技術力が必要とされます。
雨水侵入による雨漏りや壁内結露で、躯体が痛んではいないか、建物の傾きがないか、基礎の状況はどうか、外壁の傷み具合はどうか、さらには、築年数が経過していると、何度もリフォームを重ねたような建物もあります。
これらが、どのような工事をしているのか、予想しながら計画を立てることになりす。また、着工後は、予期せぬ例外的なケースも多く、スケルトン状態になった段階で、木組み(構造体)を見て、構造体の傷み具合がどうなのか?抜ける柱、抜けない柱、計画していた補強法で間違いはないのか?例外的なケースが起きた際に、どのような対処法をもっているのか?この技量が試されるからです。
マンションと木造では、まったく工事の内容が違ってきます。マンションでは内装大工と呼ばれる造作中心の大工工事が主体となり、木造では、軸組修正などでは、新たに構造材を手刻みするような棟梁主体の工事になってきます。
そのため、施工業者選定のポイントは、マンションスケルトンリフォームであれば、マンションの施工経験が豊富な施工会社(工務店・リフォーム業者)へ、木造のスケルトンリフォームに関しては、木造改築の経験値が豊富な施工会社(工務店・リフォーム業者)へ相談をされることをおススメします。
更新日:2022/10/13
フルリフォーム(全面リフォーム)で最も大切なのは「断熱」と「耐震」です。性能向上を第一に考え、末永く安心して住める快適な住まいを目指しましょう。
ハイウィル株式会社 四代目社長
1976年生まれ 東京都出身。
【経歴】
家業(現ハイウィル)が創業大正8年の老舗瓦屋だった為、幼少よりたくさんの職人に囲まれて育つ。
中学生の頃、アルバイトで瓦の荷揚げを毎日していて祖父の職人としての生き方に感銘を受ける。 日本大学法学部法律学科法職課程を経て、大手ディベロッパーでの不動産販売営業に従事。
この時の仕事環境とスキルが人生の転機に。 TVCMでの華やかな会社イメージとは裏腹に、当たり前に灰皿や拳が飛んでくるような職場の中、東京営業本部約170名中、営業成績6期連続1位の座を譲ることなく退社。ここで営業力の基礎を徹底的に養うことになる。その後、工務店で主に木造改築に従事し、100棟以上の木造フルリフォームを職人として施工、管理者として管理。
2003年に独立し 耐震性能と断熱性能を現行の新築の最高水準でバリューアップさせる戸建てフルリフォームを150棟、営業、施工管理に従事。2008年家業であるハイウィル株式会社へ業務移管後、 4代目代表取締役に就任。250棟の木造改修の営業、施工管理に従事。
2015年旧耐震住宅の「耐震等級3」への推進、「断熱等級4」への推進を目指し、 自身の500棟を超える木造フルリフォーム・リノベーション経験の集大成として、性能向上に特化した日本初の木造フルリオーム&リノベーションオウンドメディア 「増改築com®」をオープン。
戸建てリノベーションの専属スタッフが担当致します。
一戸建て家のリフォームに関することを
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あなたの大切なお住まいに関するご相談をお待ちしております。
営業マンはおりませんので、しつこい営業等も一切ございません。
※設計会社(建築家様)・同業の建築会社様のご相談につきましては、プランと共にご指定のIw値及びUa値等の性能値の目安もお願い申し上げます。
※現在大変込み合っております。ご提案までに大変お時間がかかっております。ご了承のほどお願い申し上げます。
2025年の建築基準法改正が決定、フルリフォームに確認申請が義務化されることから、現在大変混みあっております。
お問い合わせも殺到状態のため、プランのご提案までに日数を頂いております。
首都圏のリノベーションにつきましては、2023年度工事枠は埋まっております。
・直近は2024年2月解体着工スタートに1枠が空きありとなります。※2023年10月27日時点
※ご契約順に施工班の予定を組ませて頂いております。スケルトンリフォームには6ヶ月程度の期間が必要になります。余裕をもったスケジュールでご相談をお願い申し上げます。
図面や写真等を送信いただく場合、また入力がうまくいかない場合は、上記内容をご確認のうえ、下記メールアドレスまでご連絡ください。
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