戸建フルリフォームなら「増改築.com®」TOP > 断熱リフォーム(リノベーション)の費用や工期、工事内容について>戸建てリノベーションでBEI0.7以下を達成する方法
更新日:2025/02/26
YKK資料より
ここでは、戸建てリノベーションにおける「断熱性能向上」について、特に断熱等級とBEIの考え方を中心に解説します。木造住宅の改修で失敗しないためには、そもそも断熱等級がどのように規定され、どの程度の性能を目指せば快適な住環境が得られるのかを正しく把握することが大切です。また、近年注目を集めているBEIは「家全体の省エネルギー性能」を数値で示す指標であり、リノベーション後に得られる光熱費削減や快適性を左右する重要なポイントとなります。こちらを読むことで「なぜ断熱等級6やBEI0.7以下が推奨されるのか」「その基準を達成するためには何が必要なのか」を理解し、今後のリノベーション計画の方向性を具体化していただくことが狙いです。
ここでの目的:
まず断熱等級とは何か、どのような区分・指標で設定されているのかを詳しくお伝えします。断熱等級は数字が上がるほど高性能な断熱仕様であることを示していますが、具体的にどの程度の厚みや素材が必要になるのか、なぜ等級6や等級7など新しい基準が生まれているのかを整理し、リノベーションにおいてどの段階を目標とすべきかを考える材料を提供します。とくに木造住宅は構造や築年数によって断熱不足に陥りやすいため、このセクションで断熱等級の全体像を理解しておきましょう。
日本の住宅断熱に関する基準は、長らく「最低限の居住性」を意識した規定が中心でした。しかし、近年の省エネルギー政策の推進と、冬のヒートショックや夏の高温による健康被害への対策として、断熱性能の向上が急務となっています。
もともと「断熱等級」という呼称は住宅性能表示制度などで使われ、例えば“断熱等級4”が長らく標準とされてきました。しかし、より快適かつエネルギー効率の高い住宅を求める声から、国交省などを中心に水準を引き上げる動きが加速し、断熱等級5・6・7といった新たな指標が導入されています。
これらの上位等級では、外壁・屋根・床の断熱材を十分な厚みで施工するほか、窓やドアなどの開口部性能にも厳しい基準が課されます。今後は断熱等級4が“最低限の基準”に近い感覚へ移行し、等級6や7が多くの方にとって“目指すべき水準”になっていくと予想されます。
新築と異なり、既存住宅の改修では構造上の制約があり、断熱材の増厚やサッシ交換が容易ではないケースもあります。とくに木造住宅の場合、外張り断熱にしようにも敷地境界に余裕がなく、外壁を厚くできないという悩みは多くの施主様が抱えています。
そこで、内付加断熱(既存の壁内に加え、室内側でフェノバボード等を重ね貼りする方法)や、グラスウール24~32kg/m³を入れ替えるなどの工夫が重要になります。こうした内側からの断熱補強によって、理想的な等級6~7レベルへのアプローチが可能になるのです。
断熱等級6は、現行基準(等級4)よりも大幅に断熱性能が高い水準です。外皮平均熱貫流率(UA値)という数値を用いて評価されることが多く、地域区分ごとに目安となる値が定められています。たとえば、比較的温暖な地域でもUA値0.46W/(㎡・K)程度、寒冷地であれば0.40W/(㎡・K)やさらに低い値を求められたりします。
こうした性能を満たすには、壁断熱で120~150mmの高性能グラスウール+内付加断熱、屋根断熱で200mm超の吹き込みまたは板状断熱材などが必要となります。これに加え、窓サッシはアルミ樹脂複合か樹脂フレーム+Low-E複層ガラス、またはトリプルガラスへアップグレードすることが不可欠です。
なぜここまで高断熱化を行うかと言うと、建物の保温性を高めることで冷暖房負荷を削減し、夏も冬も快適な室内環境が得られるからです。ヒートショックによる浴室事故や、夏場の熱中症リスクも低減するなど、健康面でも大きな利点が期待できます。
国や自治体が推進する省エネルギー施策には、断熱改修に対する補助金や減税制度が多数存在します。最近では「先進的窓リノベ」や「断熱改修補助」といった制度が設けられ、条件を満たすと数十万円から数百万円の助成が受けられるケースがあります。
ここでは、断熱等級と合わせて理解しておきたいBEIの基礎知識を解説します。断熱等級が主に「建物の外皮性能」にフォーカスしているのに対し、BEIは「一次エネルギー消費全体」を数値化する点が特徴です。冷暖房、給湯、換気、照明などの設備性能を総合的に評価し、どの程度省エネな住宅であるかを示してくれます。本セクションでは「BEIはどのように計算されるのか」「BEI0.7以下とは何を意味するのか」「BEIが低いと光熱費にどのような好影響があるのか」といった疑問に答え、断熱等級だけに注目していた視点を広げる助けにします。
BEIは「Building Energy Index」の略称で、家が使用するエネルギー(一次エネルギー)を評価する指標です。断熱性能はもちろん、家の間取り、設備機器の種類、住まい方によっても結果が変わります。大まかに言うと、基準となる標準住宅を1.0としたとき、その建物がどれだけエネルギーを節約できているかを示す数字がBEIです。
たとえば「BEI0.7」をクリアするには、断熱や気密を徹底するだけでなく、冷暖房設備や給湯器、換気システム、照明、さらには太陽光発電(創エネ)の有無までトータルで検討する必要があります。断熱等級6を目指す理由とも重なりますが、家全体のエネルギー収支を最適化するという考え方こそが、BEIをうまく活用するポイントです。
これらを建物の規模・形状・地域の気候条件と合わせてシミュレーションすると、年間一次エネルギー消費量が算出され、BEIが求められます。
BEI0.7以下を達成する家は、基準住宅に比べてエネルギー消費が30%以上も低減されているわけですから、光熱費が大幅に安くなる可能性が高いです。家庭での電力やガス料金は年々変動しますが、仮に同地域の平均的な家と比べて年間数万円〜十数万円のコスト差が生じるとすれば、リノベーションの初期投資を考慮しても十分にお得と感じられるかもしれません。
また、断熱性が高まることによって夏や冬の室温が安定し、冷暖房に頼りすぎなくても過ごしやすい住環境を実現できます。特に木造戸建てでは、夜間の冷え込みや日中の外気温上昇が室内に伝わりやすく、夏冬の温度差が大きいほどヒートショックや熱中症のリスクが増します。BEI0.7を見据えた省エネ設計であれば、健康面の改善も見逃せないメリットです。
断熱等級の項でも触れましたが、BEIの達成度合いが補助金交付の条件となる場合があります。国が推進する断熱リノベ事業では、外皮性能(断熱等級)+一次エネルギー性能(BEI)を組み合わせて基準を設けており、例えば「断熱等級6・BEI0.7以下」というセットを満たすかどうかで補助金額が大きく変わる事例も報告されています。
つまり、断熱性能をしっかり高めつつ高効率給湯器や熱交換型換気などの設備を導入し、可能であれば太陽光発電も検討することが、トータルでお財布に優しい改修プランを実現する近道です。
さてここでは、これまでに解説してきた「断熱等級」と「BEI」の考え方を融合し、実際に木造戸建てリノベーションで断熱等級6とBEI0.7以下を同時に達成するためのポイントをまとめます。具体的には、外皮性能(壁・屋根・床など)の強化と、冷暖房や給湯器などの設備面の省エネルギー化、さらに太陽光発電などの創エネ要素をどう組み合わせるかが成功のカギになります。最後に、こうした高性能化がもたらす快適性や健康面のメリットにも触れ、「なぜそこまでして断熱に力を入れるのか」を再確認する場とします。
外皮性能の徹底強化
設備機器の省エネ化
創エネ(太陽光発電)の導入
外皮性能と設備効率だけでBEI0.7を達成できる場合もありますが、太陽光パネルを設置すればエネルギー収支をさらに改善しやすくなります。屋根形状や日射条件が合えば、創エネ部分がBEI計算上プラスに働くため、補助金や売電収入のメリットも含め総合的に判断しましょう。
木造住宅は、新築時のようにあらゆる部材を一から組み立てるわけではないため、どうしても増改築部や配管の取り合い部分で気密が途切れがちです。これを放置すると、計算上は高断熱でも実際の住み心地が伴わず、「隙間風で寒い」「BEI想定より消費量が多い」といったトラブルが生じます。
こうした対策を怠ると、どんなに高性能な断熱材を入れても実際の効果は半減してしまう恐れがあります。
最後に、これほど断熱に力を入れる理由の一つとして、施主様の健康・快適性を挙げたいと思います。
木造改修の第一人者として500棟以上の性能向上改修現場を見てきた経験上、外皮性能とBEIを両立したリノベーション後は、施主様が口をそろえて「冬の寒さが全然違う」「朝起きるときに部屋の中が暖かくて嬉しい」と驚かれるのが印象的です。断熱は目に見えない部分だからこそ手を抜きやすい要素ですが、暮らしやすさと経済性を根本から支えてくれる重要な基盤といえます。
ここでは、戸建てリノベーションにおいて大きな熱損失を生む「窓」の性能改善策に焦点を当てます。特に、断熱等級を高めるうえで開口部がどれほど重要なのか、そしてBEI0.7以下を実現するためにどのようなサッシやガラス仕様を選択すればよいのかを具体的に解説します。窓の交換や内窓設置といった手段から、現場での施工管理上の注意点まで幅広く取り上げることで、リノベーション全体の省エネ性能を大きく底上げするための知識を深めていただきます。
ここでの目的:
ここでは、まず「どうして窓の断熱改修がそれほど大切なのか?」という問いから入り、既存の木造住宅における窓の熱損失の大きさや気密性能の不足が引き起こす問題を探っていきます。さらに、断熱性や遮熱性が低い窓を放置していると、冷暖房効率にどれだけ悪影響があるのか、そして快適性や結露、健康リスクにまで及ぶ影響を具体的に解説します。ここで得られる知識は、窓の改修を「コストがかかるから後回し」にしないための根拠となり、次のセクションで扱う改善策を理解する土台にもなります。
「家の中で最も寒さや暑さが伝わりやすいのはどこだろう?」と考えたとき、多くの方が直感的に「窓」と答えるかもしれません。実際、壁や屋根がしっかり断熱されていても、窓が単板ガラス(シングルガラス)+アルミサッシのままだと、住宅全体の断熱性能を極端に下げてしまいます。以下に、窓が抱える代表的な問題を挙げます。
こうした問題から、窓は住宅内部の快適性を左右する大きな要因となっています。仮に壁や天井を最新の断熱仕様にアップグレードしても、窓が旧式のままだと家全体の断熱効果が大幅に低下し、BEI値も思うように下がらないという結果になりかねません。
断熱性能の低い窓は、冬場に室内と外気の温度差で結露を起こしやすくなります。とくにアルミサッシと単板ガラスの組み合わせは結露しやすく、サッシやガラス下端に水滴が溜まりやすいです。この結露が長引くと、カビやダニの温床となり、室内の空気環境を悪化させます。アレルギー疾患やぜんそくのリスクが高まることも深刻な問題です。健康面だけでなく、サッシや木枠を腐食させ、建物の耐久性にも悪影響を及ぼすため、窓の改修を後回しにするのは得策ではありません。
それでは、木造住宅のリノベーションではなぜ窓の改修を躊躇しがちなのでしょうか。主に以下のような制約要因が挙げられます。
しかし、こうした制約を抱えていても、高い断熱性能を得るためには窓の対策が不可欠です。近年は、内窓(インナーサッシ)を設置することで外観を変えずに断熱性能をアップさせる手法や、部分交換型のサッシリフォーム製品も登場しています。施主様の予算や好みに合わせて複数の手段を組み合わせることで、建物の個性を活かしながら省エネ性能を格段に向上させることが可能です。
戸建てリノベーションでBEI0.7以下を目指すなら、冷暖房エネルギーを大幅に削減する必要があります。窓改修によって室内外の熱交換を抑えられれば、エアコンの負荷も軽減され、結果としてBEIの数値が大きく下がる可能性が高まります。特に以下のような点がポイントです。
実際、私たちが手がけた施工事例でも、窓改修後にエアコンの運転時間が半分以下に減ったケースがありました。建物の断熱性能と設備が噛み合うことで、劇的な省エネ効果を得られるのです。
木造リノベーションの現場を数多く見てきたなかで、断熱材だけを厚くすれば問題ないと考え、窓改修に予算を割かなかった結果、以下のような苦い経験をされたお客様もいらっしゃいます。
こうした失敗を防ぐためにも、窓の性能改善を断熱リノベの最重要項目の一つとして認識することが不可欠です。
前項で「窓は断熱改修の要」と述べましたが、実際にはどのような窓を選び、どのように施工すればよいのでしょうか。ここでは、具体的な高性能窓の種類やガラスの仕様、さらには内窓を用いた二重サッシの効果などを解説していきます。また、工事の流れや注意点など、実務的な観点から詳述し、コストパフォーマンスや施工性、意匠面のバランスを考慮した選択肢を提示します。これにより、読者の方が「自宅の窓をどう改修すればBEI0.7以下をめざせるか」を判断する材料が得られるはずです。
樹脂サッシ vs アルミ樹脂複合サッシ
Low-E複層ガラス(ペアガラス)
近年、窓のガラスとして主流となっているのがLow-E複層ガラスです。Low-E(ローイー)とは特殊金属膜をガラス面にコーティングすることで、紫外線や赤外線を反射し、熱の伝わりを抑えます。ペアガラス内部には乾燥空気やアルゴンガスが封入され、さらに断熱性能が向上します。
トリプルガラス
さらに上位の断熱性能を狙うならトリプルガラスが視野に入ります。ガラスが3枚になる分コストは上がりますが、真冬の体感は格段に変わります。特に「断熱等級6~7を追求したい」「BEI0.7以下を確実に達成したい」という場合には検討する価値が高いでしょう。
高性能サッシへの交換が理想的な選択肢であっても、外壁を大きく壊したくない・外観を変えたくないという要望から、内窓(インナーサッシ)を導入するケースも増えています。内窓の代表的なメリットは以下のとおりです。
ここでは、実際に私たちが手がけた木造リノベーションでの窓改修フローを簡単にご紹介します。
事前調査・診断
サッシ選定・ガラス種類の決定
撤去・新規取り付け
最終仕上げとチェック
このように、窓改修は壁の断熱材充填作業とはまた異なる専門知識と手間がかかります。しかし、正しく施工すればリノベーション後の光熱費削減や結露対策の効果が顕著に表れるため、長期的には高いコストパフォーマンスが期待できるでしょう。
窓の性能改善が完了したら、今度は室内環境やエネルギー消費量の変化を把握することをおすすめします。
実際に木造リノベーションを経験されたお客様からは、「南向きのリビングに取り付けたトリプルガラスの大窓のおかげで冬場の冷え込みが激減し、エアコンの設定温度を2℃下げても寒くない」という嬉しい声をいただいたことがあります。こうした成功体験は施主様の満足度にも直結します。
最後に、窓の性能改善がもたらす暮らしの質的な変化を具体的にイメージしていただくため、ここでは主にライフスタイル向上の観点から解説します。断熱性の高い窓を取り入れ、自然光を適度に取り込めるような設計にすることで、冬は暖かく、夏は涼しく、昼間は明るいリビングを実現できます。さらに、騒音が気になる環境でも窓の防音効果が大きくなり、家の中でのリラックス度が格段に上がることでしょう。BEIの数値だけでなく、家族が過ごす空間の快適さに注目することが、リノベーション計画を成功に導くポイントになります。
窓の性能が上がると、冷暖房負荷の低減による光熱費の削減だけがメリットではありません。例えば、以下のような生活面の改善が期待できます。
窓を交換するタイミングでは、光の入れ方や景色の取り込み方も見直すと、住宅の印象ががらりと変わります。例えば、リビングに大きな窓を設けつつ、断熱性能を確保するためにトリプルガラスやLow-E複層ガラスを選ぶという方法です。こうすることで明るく開放的なリビングを実現しながら、冬も暖かく、夏も強い日射を遮って快適に過ごせます。
また、窓の形状やデザインもこだわると、部屋の雰囲気を大きく変えることができます。最近は、フレームがほとんど見えない超スリム枠のサッシや、縦すべり出し窓など個性的なスタイルの製品も登場しています。断熱とデザインを両立し、建築的な美しさを引き出すのもリノベーションならではの醍醐味です。
実際に、都市部の密集地で暮らすご家族のご依頼を受けた例では、「近隣との距離が近いためにカーテンを常に閉めておかないと落ち着かない」という悩みがありました。そこで、窓の高さや位置を再配置しつつ、高断熱かつ防音性にも優れた樹脂サッシとガラスを採用し、目線が気にならないようにすりガラス加工も部分的に取り入れました。その結果、「昼間も安心して自然光を採り入れられるリビングになった」「雨音や車の走行音が驚くほど気にならなくなった」と喜ばれました。
こうしたリノベーション事例からも分かるように、窓の性能改善は「断熱」「防音」「プライバシー保護」を兼ね備えた総合的な暮らしの品質向上に寄与します。BEI数値が良くなることで経済的メリットを得つつ、快適性や意匠面も高められるのが大きな魅力です。
ここでは、木造戸建てリノベーションにおいて断熱性能を高めた後に、どのような設備を導入・更新すればBEI(Building Energy Index)0.7以下を実現できるかを解説します。断熱材の厚みや窓性能をいくら強化しても、冷暖房や給湯などの設備機器が旧式のままでは、総合的な一次エネルギー消費量を大幅に削減することは困難です。また、木造住宅では間取り変更や配管の取り回しが複雑になりがちであり、機器の配置や配管形態によってエネルギーロスが生じるケースが少なくありません。本章で扱う機器選定や施工ポイントを把握いただくことで、家全体の省エネ性能をさらに底上げし、光熱費削減と快適性向上を同時に叶える具体的な方法を学んでいただけます。
ここの目的:
まずは、冷暖房設備に焦点を当てます。断熱と窓の性能を上げると、当然ながら冷暖房負荷が下がります。しかし、エアコン自体が過剰スペックだったり旧式機器をそのまま使い続けたりすると、エネルギー効率の改善が思うように進まないことがあります。また、木造特有の間仕切りや梁・柱の配置によって空調計画が難しくなる場合もあるため、本セクションでは「高効率エアコンの選び方」「暖房方式の検討」「間取りを活かした空調設計」などを幅広く取り上げます。ここでご紹介する実務的なノウハウを押さえていただくことで、断熱リノベと冷暖房設備の相乗効果を最大化し、BEIを効率良く引き下げるヒントを得られるはずです。
家の断熱性能が高まるほど、冷暖房負荷は小さくなります。そのため、過去の経験やカタログ値だけに頼り、大きすぎるエアコンを導入してしまうと、省エネどころか余計な電力を消費してしまうことにもなりかねません。
暖房には、エアコン(ヒートポンプ式空調)のほかにも方式があります。特に木造住宅の場合、床暖房や温水パネルヒーターを検討される方もいらっしゃるでしょう。以下に主な暖房方式を挙げます。
いずれの暖房方式を選ぶにしても、木造戸建ては構造上の制約が大きいため、リノベーション設計の初期段階から慎重に検討する必要があります。中途段階で方式を変更するのは費用がかさむ原因にもなるので、目標のBEI値や家族の生活パターンに合わせて早めに方向性を決めましょう。
高気密・高断熱化された住宅では、外気との温度差が少なくなり、室内全体を効率よく冷暖房することが容易になります。ただし、間仕切りが多い場合や、吹き抜けがある場合など、空気の流れに偏りが生じることもあり得ます。以下のような工夫をすると効果的です。
以上のように、断熱性能の高さと設備の省エネ性を組み合わせて最大限発揮するには、住宅内部の空気循環や運用方法を含めてプランニングすることが欠かせません。これを意識するだけで、実際のBEI数値をより低く抑えられる可能性が高まります。
次に、一次エネルギー消費量のなかで大きな割合を占める「給湯」について掘り下げます。給湯は料理や洗濯、入浴など、生活に密着した要素が多いため、家族の人数やライフスタイルによって最適解が変わる分野でもあります。本セクションでは、ハイブリッド給湯器、エコキュート(ヒートポンプ給湯器)、さらには太陽光発電との連携について解説し、それぞれの特徴やコスト面、施工時の注意点を示します。ここで得られる知識を活かせば、日常的に使う給湯エネルギーの削減を目指し、BEI0.7以下への道をより確実に進めることができます。
ハイブリッド給湯器とは、ガスと電気(ヒートポンプ)の両方を上手に活用し、必要に応じて効率の良い熱源を自動選択するシステムです。たとえば、湯量が多いときはガス給湯が瞬間的に対応し、少量のときはヒートポンプで加熱する、といった制御を行います。
エコキュートは大気中の熱を利用して効率的にお湯を作る「ヒートポンプ給湯」の代表的な製品です。とくにオール電化住宅や夜間電力を活用するプランを組み合わせる場合にメリットが大きいと言われます。
ハイブリッド給湯器やエコキュートは太陽光発電と非常に相性が良く、日中の余剰電力を使ってお湯を沸かせることで、さらに一次エネルギー消費量を削減できます。以下のような方法が考えられます。
給湯設備の更新だけでなく、以下のような細部の工夫を施すことで無駄なエネルギー損失を最小化できます。
断熱性や給湯効率が上がった家は熱が逃げにくくなる一方、計画換気や照明などの細部が整っていないと、期待ほどBEIが下がらないこともあります。ここでは、第一種換気やダクトレス熱交換換気の導入メリット、照明のLED化や調光システムの活用を具体例とともに解説します。また、木造住宅でありがちな「換気経路の取りづらさ」をどう克服するか、工事の流れや施工上の配慮点もあわせて取り上げます。ここで紹介するテクニックを押さえると、快適な室内空気環境と省エネ効果を両立できる手応えを得られるはずです。
24時間換気は住宅に義務づけられていますが、換気の方法によって失われる熱量が大きく異なります。特に、寒い時期に温めた室内の空気をそのまま外に捨てるタイプの換気(第三種換気など)では、せっかくの暖房エネルギーが無駄になってしまうのです。
照明は住宅でのエネルギー消費全体の1~2割程度を占めると言われています。以下のような対策によって消費電力を削減できるため、BEIにも好影響を与えます。
BEI0.7以下を達成するためには、家全体のあらゆるエネルギー消費箇所を最適化することが求められます。ここでは、補足的にいくつかの工夫を挙げます。
ここでは、戸建てリノベーションにおいて「太陽光発電」を活用する意義と、その具体的な導入方法や注意点を解説します。前章までで、断熱性能や窓の改善、設備機器の省エネ化を図り、家の基礎的なエネルギー消費を下げるアプローチを見てきました。そこに“創エネ”として太陽光発電を組み合わせることで、エネルギー収支をさらに有利にし、BEI0.7以下の達成により確実性を持たせることができます。本章では、木造住宅特有の屋根構造やスペースの制約に留意しながら、太陽光発電システムをどのように計画・設置すればよいかを、実務的な視点で詳しく取り上げます。
ここでの目的:
ここでは、「そもそも太陽光発電を導入すると何が変わるのか?」という根本的な疑問にお答えします。まず、家計における光熱費削減や環境負荷軽減といった一般的なメリットを整理したうえで、断熱リノベーションと組み合わせることでBEIが大幅に改善される仕組みを解説します。さらに、木造住宅の屋根耐久性やリフォーム計画とのタイミングの兼ね合いなど、実際に導入する際の着眼点も取り上げます。ここを読むことで、太陽光発電が「家の省エネ性能を支える創エネ設備」としてどのような位置づけを持ち、なぜBEI0.7以下を目指す方に特に有益なのかを理解していただけます。
太陽光発電は「屋根で発電した電気を家庭内で使い、余った分を売電する」仕組みが基本ですが、近年はFIT(固定価格買取制度)の変更や電気料金の変動など、状況がめまぐるしく変化しています。それでも、以下のようなメリットは依然として大きな魅力といえます。
すでにここまで解説してきたとおり、外皮性能を向上させ、窓や設備機器を省エネ化した家は、冷暖房や給湯で消費するエネルギーが通常よりも大幅に減ります。この状態で太陽光発電を導入すれば、「自己消費率が高まる」という点が特筆すべきポイントです。
例えば、高断熱・高気密化を進めた住宅の昼間の冷暖房負荷はそれほど大きくありません。そこに太陽光で生み出した電気を回せば、「エアコンや冷蔵庫、照明などの多くを太陽光エネルギーだけでまかなえる時間帯が増える」ことが期待できます。さらにエコキュートやハイブリッド給湯器と連携することで、昼間の余剰電力でお湯を沸かし、夜間の給湯エネルギーを軽減するといった仕組みも組み合わせられます。
木造戸建てに太陽光発電を導入する際、屋根の構造や勾配、スペース、荷重など、いくつかの制約や検討事項があります。特に重要なのが以下の点です。
リノベーション全体で耐久性を高めたいと考える場合、屋根の葺き替えや防水処理、断熱を兼ねた屋根改修を同時に行うと効率的です。例えば、外側から断熱パネルを張りつつ、その上に太陽光パネルを設置することで「屋根面をフルリニューアル」する施工も可能です。こうすることで、後から大掛かりな工事をやり直す必要がなくなり、工期やコストを抑えられる利点があります。
かつては高額売電が見込めるFIT制度が太陽光発電普及の大きな原動力でしたが、現在は売電価格が下がり、かつてのような“売電収入”をメインに据える時代ではなくなってきました。しかし、その分「自家消費率を高める」ことで光熱費削減効果を狙う方向性が強まっています。BEI0.7以下を目指す住宅にとっては、そもそもの消費エネルギーが少ない状態なので、太陽光でまかなえる割合が相対的に高くなるのがメリットです。
こうした仕組みを整えておくと、BEI上のエネルギー消費削減だけでなく、日常生活や非常時での電力の安定供給という観点でも大きな利点を得られるでしょう。
ここでは、太陽光発電を実際に導入する際の具体的な設計・施工の流れを解説します。リノベーションで他の改修工事と同時進行する場合、屋根の状態確認や耐震補強との連携、配線ルートの取り方など、計画初期からしっかりと洗い出しておくことが鍵になります。また、どれだけの発電容量が適正か、施工時に注意すべき雨仕舞や気密確保のポイントなど、木造リノベーションならではのノウハウを盛り込みます。ここを読むことで、太陽光発電システムを安心かつ長寿命に活用するための工程を理解し、BEI0.7以下を確実に現実化できる見通しを立てられるようになるでしょう。
木造戸建てで太陽光発電を設置する典型的な流れを示すと、以下のようになります。
太陽光パネル自体は、10〜20年以上の耐用年数を謳う製品が多く登場していますが、これは定期的な点検や掃除を前提としています。
断熱リノベーションを同時に行う場合、屋根部分の断熱強化と雨仕舞処理を丁寧に行うことで、結露や漏水のリスクを下げられます。太陽光パネルを固定するための金具やビスまわりには必ず防水テープやコーキングを適切に施工し、屋根裏の気密シートや断熱材との干渉がないかも確認します。
特に木造リノベーションでは、既存部分との取り合いが複雑になりやすいため、「設置後に雨漏りが発生して断熱材が濡れてしまう」などのトラブルが起きないよう、施工管理を厳重に行うのが大切です。
太陽光発電を導入すると、BEI(一次エネルギー消費量)計算で創エネルギー分が差し引かれる形になるため、結果としてBEI値の大幅な改善が期待できます。たとえば、断熱等級6を満たす外皮性能と高効率設備の組み合わせでBEI0.8程度まで下がっていた住宅に、3kW〜5kW程度の太陽光発電を乗せた結果、最終的にBEI0.6台を達成したという事例も報告されています。
このように、断熱・省エネ設備とのバランス設計を行ったうえで太陽光発電を追加導入すれば、BEI0.7以下をより確実にクリアできる可能性が高まります。
サステナブル建築物等先導事業は、国土交通省が推進する省エネルギー・脱炭素化に向けた補助制度の一つです。技術的に先進性の高い改修や、新しい省エネ技術の普及拡大を目的としており、旧来の住宅エコポイント制度などに比べて、高度な性能要件を満たす案件が対象となりやすい点が特徴です。
先導事業の主な狙いは以下の通りです。
先進技術の導入促進
断熱性や耐久性、再生可能エネルギー設備など、多角的な視点で建築物の性能を高める取り組みを評価します。ZEH水準以上の断熱性能を備えたリノベーションにも重点を置き、BEI値や断熱等級の向上を図る計画が歓迎されます。
事例蓄積と市場啓発
新築に比べて難易度が高いとされる木造戸建の性能向上事例を増やし、工務店や設計事務所、施主が利用しやすいノウハウを普及させることが目的です。とりわけ既存住宅を断熱等級6、BEI0.7以下まで引き上げた事例は高い評価を受け、次に続くプロジェクトの手本となります。
BEI0.7以下を狙う際の重要性
BEIが0.7以下という高い目標を達成するには、外皮性能(断熱・気密)と設備性能を徹底的に強化する必要があります。窓交換や断熱材の厚み増加、熱交換換気や高効率給湯器の導入など、複数の改修要素を総合的に計画することで、先導事業の趣旨に合致した案件として申請できる可能性が広がります。
先導事業で補助対象となる工事内容は、断熱や省エネ化を中核に据えながら、建物全体の性能向上を狙うプロジェクトが一般的です。具体的には以下のような改修が多く見られます。
国の補助金事業は、多くの場合「公募→審査→採択」という手順で進められます。先導事業においても同様で、以下の点を抑えておくと申請がスムーズになり、採択の可能性を高められます。
補助金を上手に活かすには、以下のようなステップでスケジュールを検討するのが一般的です。
先導事業と組み合わせられる可能性のある制度・措置には、以下の例があります。
ただし、複数の公的制度を同一工事に対して同時に利用できない「重複不可」の規定が設けられていることもあるため、各制度の要項を確認し、優先度やメリットを比較して最終的にどれを選択するか判断しましょう。
以下に、先導事業での直近採択事例を簡単に見てみます。
築30年以上の木造住宅(約100㎡)
築40年の木造2階建て
これらの事例が示すように、補助金のおかげで性能面のハードルを一段高いレベルに引き上げられるケースが多く、その分光熱費削減や住環境の向上が大きく期待できます。
補助金活用には多くのメリットがある一方、以下の点に注意しないと採択取り消しや補助金の減額が起こりえます。
ここでは、断熱等級6・BEI0.7以下を目指すうえで大切な「段階的な改修アプローチ」について解説します。木造戸建て住宅は構造や築年数によって状態が大きく異なるため、一度にすべてを高性能化するのが望ましいとはいえ、予算や生活スタイルの都合から段階的に改修を進める方が現実的なケースも少なくありません。その際に重要なのは、「最終的に断熱等級6・BEI0.7以下の目標を達成する」という全体像を失わずに、各ステップを計画的に実行することです。本章では、リノベーションの順序や工程をどのように組み、どの部分から手をつければ効率よく省エネ化を進められるのかを、具体的な施工事例とともに示します。
ここでの目的:
ここでは、限られた予算や段階的な進行を前提とする場合に、「どこから改修を始めるべきか」を考えるための基本的な優先順位を解説します。木造リノベーションでは、耐震補強や水回り更新といった機能面の課題と並行しながら、外皮性能(断熱・気密)を引き上げるのが鍵です。しかし、窓交換や設備機器の省エネ化を先行するのか、あるいは屋根・壁の断熱を先に行うのかなど、施工手順の組み方を誤ると、予算オーバーや施工不良のリスクにつながることもあります。本セクションでは、リノベ経験豊富な専門家の視点から「外皮・窓・設備・創エネを段階的にアップグレードする際の要点」を整理し、さらに補助金申請との関係も説明します。
断熱等級6・BEI0.7以下を最終目標とする以上、まずは外皮性能の向上(断熱・気密)が重要であることは言うまでもありません。外皮とは「壁、屋根、床、窓、ドア」など建物を包むすべての要素を指し、そこからの熱ロスを最小限に抑えられれば、以降の設備や創エネで高い効果を得やすくなります。
木造住宅で築年数が経過している場合、耐震性能の不足や柱・土台の劣化が見つかることがあります。そこで、耐震補強と断熱改修をまとめて実施するのが費用面・工期面・施工精度の面で有利となります。壁を開けるタイミングが同じであれば、構造補強と断熱材の充填を一括して行いやすいのです。一度開口してから再び解体しないと補強ができない、という無駄を省ければ、段階的改修の手戻りを最小限に抑えられます。
外皮性能が底上げされると、冷暖房負荷が格段に減るため、省エネ設備や太陽光発電の効果が最大化します。逆に、外皮が十分に断熱されていない状態で最新設備を導入しても、結果が思うように出ない可能性が高いです。
前項で述べた「サステナブル建築物等先導事業」や各種補助金を利用する場合、原則として一度の工事スパンで計画をまとめることが求められます。段階的改修を行う場合でも、複数期に分けた補助金申請が可能かどうかは制度ごとに異なるため、必要に応じて行政や専門家に相談しましょう。
一方で、先行して窓交換だけ補助金申請し、後日断熱工事も別枠で申請できるケースも存在します。制度を組み合わせる際は「どういう工事内容なら別の補助枠で実施可能か」を確かめながら、全体計画を立てるのが賢明です。
ここでは、実際に段階的な改修が進められた施工事例を取り上げながら、工程や費用配分、工期の管理方法を解説します。一度にフルリノベが難しい場合や、住みながら改修を行うケースで特に注意すべき点を示し、「どの工程を最初に、どの工程を後回しにすれば整合性を取りながら最終的にBEI0.7以下を実現できるのか」を具体的にイメージできるようにします。また、実際に現場で生じやすい想定外のトラブルや追加費用にどう備えるかも重要なポイントです。
段階的改修を選択する施主様の多くは「住みながら工事を進めたい」ケースが多いです。しかし、断熱改修には壁や床、天井を大きく開口する作業が伴うため、施工範囲が広いほど生活スペースへの影響は無視できません。
段階的に改修を進めていると、最初の施工中に見つからなかった不具合(シロアリ被害、土台の腐食など)が後の工事で露呈する可能性があります。加えて、補助金申請を見越して仕様変更や工期調整が発生すると、追加費用が生じる場合も考えられます。
断熱材の種類と長所と短所
フルリフォーム(全面リフォーム)で最も大切なのは「断熱」と「耐震」です。性能向上を第一に考え、末永く安心して住める快適な住まいを目指しましょう。
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2025年(令和7年)4月1日より建築基準法改正が施行されました。現在大変混みあっております。
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改正後の新法では、4号特例措置が廃止され、一般住宅の多くの建物である2階建て以下かつ200平方メートル以下の建築物は2号となり、大規模修繕・大規模模様替えを行う場合には、建築確認申請が必要となります。
大規模修繕や大規模模様替えを行う場合、
つまり、主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)の50%を超える修繕工事等を行う場合は、建築確認申請が必要となることが決まりました。
今回の改正では、床の下地を含む張替え、階段の変更、間取りの変更等が含まれます。
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