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更新日:2022.1.5

カーボンニュートラル実現を目指して、住宅の省エネ基準が引き上げられます!

これから新築・リフォームするなら知っておくべき「2025年省エネ基準適合義務化」とは?

こどもみらい住宅支援事業
2020年10月カーボンニュートラル実現宣言

▲2020年10月所信表明演説での菅首相(当時)

2020年10月、当時の菅首相は所信表明演説で、

「我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」

と力強く表明しました。

 

政府の方針に沿って、住宅建築やリフォームの業界でもカーボンニュートラル実現に向けて様々な施策が行われます。

最も注目すべきは、省エネ基準の引き上げと適合義務化への動きです。

何がどう変わるのか???

これから住宅を新築したい、今の住宅をリフォームしたいと考えている方に、ぜひ知っておいていただきたい省エネ基準についての説明と、住宅関連の施策について解説します。

1. カーボンニュートラルとは

 

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスの排出量と吸収量のバランスを均衡させることです。

現実的に温室効果ガスを全く排出しないことは難しいため、排出した量から吸収または除去した量を差し引いて「全体としてゼロに」するという意味で使われています。

実質的に排出量をゼロにした状態を「脱炭素」といい、それを実現した社会を「脱炭素社会」と呼ぶのです。

 

1-1. 日本政府がカーボンニュートラル実現を目指す2つの理由

 

それではなぜ日本政府は「カーボンニュートラルを実現する」ことを宣言したのでしょうか。

①持続可能な社会の実現

②経済競争に勝つこと

 

ひとつは、これからを生きる子供たちに安心して暮らせる世界を残すこと、持続可能な社会を作るために必要だからです。

近年国内外で異常気象や、気候変動による災害が数多く起きています。

これらの原因の一つである地球温暖化による世界の平均気温の上昇を抑え、気候変動リスクを回避するために、今からカーボンニュートラル実現に向けて取り組んでいかなければなりません。

 

そしてもうひとつは、世界的経済競争の中では、もはや無視することができない問題だからです。

カーボンニュートラル実現に向けて対策が足りない国や企業は、投資家や消費者に選ばれず、世界規模の経済競争に生き残ることはできません。

 

1-2. 温室効果ガス削減目標を従来よりも大きく引き下げることに

 

2021年11月13日に閉幕した地球温暖化対策の枠組みを決める国際会議「COP26」では、世界130か国以上の首脳が出席し、温室効果ガス排出削減をさらに進めていくことが改めて確認されました。

この流れに遅れまいと、日本政府もこれまで2013年対比80%としていた2050年までの削減目標を、2013年対比100%つまり2050年までにカーボンニュートラル社会を達成するという目標に引き上げたのです。

温室効果ガス削減目標引き下げのあゆみ

 

それを受けて国の「エネルギー基本計画」も大きく見直しが進んでいます。

そして住宅・建築物についても、計画達成に向けて更なる省エネ化を求められることになりました。


2. 日本政府が目指す住宅・建築物のあり方とは

2021年8月23日に、脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方が公表されました。

(現時点では決定ではありません)

 

2030年までに 新築住宅・建築物について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能が確保され、新築戸建て住宅の6割に太陽光発電設備が導入されていること
2050年までに 新築・既築平均でZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能が確保され、導入が合理的な住宅・建築物において太陽光発電設備等の再生可能エネルギーの導入が一般的となること

 

これらのあり方を実現するために、住宅事業者(販売業者や建築業者など)は対応を進めることが求められます。


3. 2025年適合義務化はゴールではない!省エネ基準引き上げの道すじ

では具体的に基準の引き上げとはどのような内容なのでしょうか。

 

3-1. その前に、「省エネ基準」とはナニ?

住宅の省エネ基準には次の2つの基準があります。

 

外皮性能基準:屋根や外壁などの断熱性能に関する基準。高断熱になるほど良い。日本列島を8区分に分けそれぞれ基準値以下であることが求められる。

一次エネルギー消費量基準:冷暖房や照明、給湯器など住宅内で消費されるエネルギー量に関する基準。省エネ・高効率設備にするとエネルギー消費量が少ない。

 

日本政府が求めている省エネ住宅とは、外皮性能が高く、一次エネルギー消費量が少ない住宅のことです。

 

3-2. 2025年度から一律適合義務化

現行法では、延べ床面積300㎡以上の中規模・大規模建築物については省エネ基準への適合義務がありますが、小規模建築物や住宅については対象外でした。

それを小規模建築物・住宅へも広げようというのが新しい部分です。

重要なのは、2025年度にすべての建築物・住宅において、省エネ基準への適合が義務化される見込みであることです。

義務化です。適合していない建築物・住宅は建てられないということなのです!

 

3-3. 2030年度に省エネ基準がさらに厳しくなる

さらに省エネ基準の水準も上がる見込みです。

現時点では決定ではありませんが、住宅でいうと2030年度には「ZEH(ゼッチ)基準」に引き上げられます

 

ZEHとは、「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称です。

ゼロエネルギーという名の通り、年間の一次消費エネルギーをゼロ以下にした住宅のことを指します。

「断熱性能」「省エネ性能」「創エネルギー」の3要素が必要で、それぞれクリアすべき基準が設定されています。

ZEH基準をクリアした住宅とは、断熱・省エネに加えて太陽光発電などの導入でエネルギーを作り出し、消費エネルギーを差し引きゼロ以下に抑えることができる住宅のことです。

 

しかし、「創エネルギー」については現在の状況では基準クリアはまだ難しいとして、将来的な太陽光パネル等の設置促進の取り組みを進めるレベルに留め、設置義務化は当面見送りとされています。

2030年に引き上げられる水準としての「ZEH基準」では、「創エネルギー」を除いた「断熱性能」「省エネ性能」のクリアが求められます。

 

それでも「ZEH基準」は従来の「省エネ基準」よりも厳しいものですので、2025年度から義務化される基準適合が2030年度からはさらに厳しく引き上げられるということになります。

厳しいというとマイナスのイメージですが、カーボンニュートラル実現に向けて前進するということでもあるのです。


4. もう始まっている!省エネ住宅関連の施策

2025年度からの省エネ基準適合義務化に合わせて、すでにさまざまな省エネ住宅関連の施策が始まっています。

 

【2021年度】

○補助金「こどもみらい住宅支援事業」:新築住宅の場合現行省エネ基準適合~ZEH基準適合に応じて補助。リフォームは省エネ性能UPのための工事内容に応じて補助。

住宅ローン減税の延長・変更:減税期間の延長、所得要件の引き下げ、省エネ性能に応じた借入限度額など。

【2022年度】

適合義務化へ向けた誘導基準をZEHレベルに引き上げる

低炭素建築物、長期優良住宅の認定基準をZEHレベルに引き上げる

住宅性能表示制度の上位等級新設

【2023年度】
融資制度「フラット35」における省エネ基準適合要件化(未適合には融資不可)
【2024年度】

新築住宅の販売・賃貸時における省エネ性能表示制度が義務化される

【2025年度】

省エネ基準適合義務化

住宅トップランナー(=大手注文戸建・賃貸アパート事業者や大手分譲マンション事業者)基準をZEHレベルに引き上げる

【遅くとも2030年度までに】
省エネ基準をZEHレベルに引き上げ・適合義務化

 

このように次々と施策が予定されています。

これから住宅を購入、建築を計画されている方に限らず、売却や賃貸、リフォームにも関係してくる施策ですので、正しく理解しておきましょう。

すでに始まっている補助金制度や減税制度なども利用して、賢く住宅を取得・メンテナンスしていけるといいですね。

 

最後に大事なポイントをお話しします。

「2025年省エネ基準義務化」の流れは、世界的な流れの中で義務化の流れと今回なりましたが、

わが国では2020年から義務化が予定されていた「省エネ住宅の義務化」が白紙となっていた経緯があり2020年以降に新築されるすべての家は省エネ性能(断熱性)を持っている住宅のみ建築されることになっていました。 これが先延ばしとなっていた今回の省エネ基準義務化は、健康で快適な生活を送る上でも喜ばしいことです。

注意しなければならないのが、義務化までに建てられる家や、リノベーションされる建物についてです。2021年~2030年までの義務化の流れを追っていきますと、基準がますます上がることがわかります。つまり現状の基準で家を建ててしまったり、リフォームをしてしまうと2030年以降には建物の価値は大きく棄損してしまうということです。

 

義務化はまだだからと考えるのではなく、長期的な視点で、2030年以降の基準も想定したうえで、建物の省エネ性(断熱性能)を考える必要があります。

 


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< 著者情報 >

稲葉 高志

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ハイウィル株式会社 四代目社長

1976年生まれ 東京都出身。

【経歴】

家業(現ハイウィル)が創業大正8年の老舗瓦屋だった為、幼少よりたくさんの職人に囲まれて育つ。

中学生の頃、アルバイトで瓦の荷揚げを毎日していて祖父の職人としての生き方に感銘を受ける。 日本大学法学部法律学科法職課程を経て、大手ディベロッパーでの不動産販売営業に従事。

この時の仕事環境とスキルが人生の転機に。  TVCMでの華やかな会社イメージとは裏腹に、当たり前に灰皿や拳が飛んでくるような職場の中、東京営業本部約170名中、営業成績6期連続1位の座を譲ることなく退社。ここで営業力の基礎を徹底的に養うことになる。その後、工務店で主に木造改築に従事し、100棟以上の木造フルリフォームを職人として施工、管理者として管理

2003年に独立し 耐震性能と断熱性能を現行の新築の最高水準でバリューアップさせる戸建てフルリフォームを150棟、営業、施工管理に従事。2008年家業であるハイウィル株式会社へ業務移管後、 4代目代表取締役に就任。250棟の木造改修の営業、施工管理に従事

2015年旧耐震住宅の「耐震等級3」への推進、「断熱等級4」への推進を目指し、 自身の500棟を超える木造フルリフォーム・リノベーション経験の集大成として、性能向上に特化した日本初の木造フルリオーム&リノベーションオウンドメディア 「増改築com®」をオープン

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