新建ハウジング社主催で開催された「性能向上リノベーションセミナー」を振り返ります

耐震改修セミナー(ハイウィル株式会社代表稲葉高志)解説

古民家再生(リフォーム)の種類や活用できる補助金、事例を紹介!

2021年11月2日に「新建ハウジング」主催で開催された工務店向けの技術セミナー「性能向上リノベ設計施工テクニック」において、増改築com運営会社であるハイウィル株式会社代表の稲葉が講師として登壇しました。おかげさまで満足度94%のアンケート結果となり満足いただける内容になったと思います。

こちらのセミナーは全国の工務店、とくに注文住宅をメイン事業とする技術優位の会社、業界団体向けに開催されたもので、技術的に突っ込んだハイレベルな内容のものですが、こちらのコンテンツでは、お施主様向けにセミナーの要点を解説してセミナーを振り返っていきます。

当日は、性能向上リノベーションについて、「耐震性能」と「断熱性能」について2部構成でセミナーが行われました。

ハイウィル代表の稲葉が講師としてお話したのが「耐震性能」パートです。耐震改修についての実務者としての考え方や注意点などを全国の工務店向けに解説しました。新建ハウジングを年間購読されていない会社様は1万円をお支払いいただいているセミナーとなります。

当日は55枚のスライドで解説をさせていただきましたが、ここでは要点を抜粋して、これから性能向上リノベーションを予定されている方向けにポイント解説したいと思います。

満足65.1%・やや満足28.9%(回答数83社)満足度90%達成

1. 耐震改修の定義

古民家再生リフォームとは?

耐震改修とは、既存住宅の耐震性能を向上させるために行う補強工事を指します。地震が頻発する日本において、耐震改修は建物の安全性を確保し、居住者の命を守るための重要な対策です。一般的には「耐震補強」や「耐震リフォーム」と呼ばれることもありますが、正式には「耐震改修」という名称が公的に認められています。耐震改修の基準は、㈶日本建築防災協会が発行する「木造住宅の耐震診断と補強方法」のガイドラインに基づいており、このガイドラインに従った補強方法のみが評価対象となります。

耐震改修を行う際には、ガイドラインに示された手法に従わない補強は一切評価されないため、独自の判断で行う補強は無効とされます。特に、耐震改修で補助金を利用する場合、ガイドラインに適合した補強計画が求められます。そのため、施工計画がガイドラインに適合しているかどうかを確認しながら進めることが重要です。

 

耐震改修の目的と必要性

耐震改修の主な目的は、既存の建物の耐震性能を向上させ、地震による倒壊や損傷を防ぐことです。日本は世界有数の地震多発国であり、過去の大地震のたびに建築基準法が改正され、耐震基準が強化されてきました。しかし、古い基準で建てられた住宅は新しい基準に適合していないことが多く、耐震改修が必要となるのです。特に、1981年以前に建築された住宅は「旧耐震基準」によって建てられており、耐震性能が不十分なため、補強の必要性が高いとされています。

耐震改修は、単なる補強工事ではなく、住まいの安全性を大きく向上させる重要な措置です。建物の耐震性能を向上させることで、地震の際の被害を軽減し、居住者の安全を守ることができます。また、耐震改修を行うことで建物の価値が上がり、将来的な売却時にも有利に働くなど、さまざまなメリットがあります。

 

耐震改修の法的基準とガイドライン

耐震改修には法的な基準が設けられており、㈶日本建築防災協会が発行する「木造住宅の耐震診断と補強方法」がその基本的なガイドラインとなっています。このガイドラインは、木造住宅の耐震診断や補強方法について詳細に規定しており、全国の自治体が耐震改修補助金の判断基準として採用しています。したがって、耐震改修を行う際には、必ずこのガイドラインに従った手法で補強を行う必要があります。

このガイドラインに基づかない補強は、評価の対象外となるため、独自の判断や施工者の経験に頼った補強工事は、補助金の対象から外れる可能性が高いです。特に、耐震改修で補助金を利用する場合には、ガイドラインに準拠した補強計画が求められ、自治体の審査をクリアする必要があります。そのため、ガイドラインに適合するかどうかを確認しながら進めることが重要です。

 

耐震改修の手順とプロセス

耐震改修のプロセスは、以下のステップを踏んで進められます。

  1. 耐震診断の実施
    専門の診断士が耐震診断を実施し、建物の現状の耐震性能を評価します。診断結果をもとに、補強が必要な箇所を特定します。

  2. 補強計画の作成
    診断結果に基づいて、具体的な補強計画を立てます。計画には、基礎補強、耐力壁の増設、接合部の強化など、さまざまな補強手法が含まれます。

  3. 補助金の申請
    耐震改修には、自治体の補助金を利用できる場合があります。申請には、診断結果と補強計画書が必要で、自治体の基準を満たしているかどうかが審査されます。

  4. 施工の実施
    専門の施工業者が補強工事を行います。補強工事は建物の安全性に直結するため、信頼できる業者を選ぶことが重要です。

  5. 完了検査と報告
    工事が完了した後、補強工事が計画通りに実施されたかの確認が行われます。補助金を申請している場合は、完了報告書を提出する必要があります。

1-1. 既存基礎は3タイプに分かれる

基礎の種類

 耐震改修は基礎が鉄筋コンクリートであることが前提となっています。まずここを間違えると計画自体が絵に描いた餅となってしまうため注意が必要です。耐震改修における耐震性能の指標である上部構造評点(Iw値)は基礎から上の軸組部分だけを評価しているという前提を理解しましょう。 評点1.0は新築における現行法規同等、評点1.5は耐震等級3に概ね相当するという理屈です。

耐震改修の成否は、既存の基礎の状態に大きく左右されます。既存の基礎は、一般的に次の3つのタイプに分けられ、それぞれの評価や補強の必要性が異なります。

  1. 鉄筋コンクリート基礎(基礎仕様Ⅰ)
    鉄筋コンクリート基礎は耐久性と強度に優れ、最も高く評価されます。このタイプの基礎は健全な場合、補強の対象にはなりません。

  2. 無筋コンクリート基礎(基礎仕様Ⅱ)
    鉄筋の入っていない無筋コンクリート基礎は、耐久性が低くひび割れが生じやすいのが特徴です。平成25年の耐震改修促進法の改正では、無筋基礎に対して補強義務を求めない方針が示されていますが、上部構造の耐力評価の際には約3割減(0.7掛け)で評価されるため、建物全体の耐震性能が不利になります。このため、無筋基礎のままでは、上部構造のみの補強で評点1.2程度が限界となり、耐震等級2相当を目指すのが精一杯です。耐震等級3相当には届かないことが多いです。

  3. 玉石・ブロック基礎(基礎仕様Ⅲ)
    玉石やブロック基礎は、特に古い住宅で多く見られ、耐久性が低いため補強が必須です。このタイプの基礎も無筋基礎と同様に、上部構造の耐力判定で評価が3割減となり、基礎補強が求められます。

無筋基礎や玉石・ブロック基礎の建物では、基礎補強を行わない場合、建物全体の耐震性能が著しく低く評価されます。しかし、無筋基礎に対して適切な基礎補強を行うことで、鉄筋コンクリート基礎と同等に評価されるため、上部構造の評点を1.5まで引き上げ、耐震等級3相当を達成することも可能になります。基礎補強の施工は、㈶日本建築防災協会が技術評価を得ている工法に基づいて行う必要があり、正しい補強が行われれば、高い耐震性能を得ることができます。

 

 

1-2. 上部構造評点の考え方

耐震改修において、建物の耐震性能は「上部構造評点」(Iw値)によって評価されます。この評点は、建物の上部構造部分の耐震性能を数値化したもので、評点1.0は現行の建築基準法と同等の耐震性能を示し、評点1.5は耐震等級3に相当します。自治体の補助金制度では、評点1.0以上を達成することが条件となっており、技術的なハードルは比較的低く設定されています。

しかし、無筋基礎や玉石・ブロック基礎の場合、基礎の評価が低いため、上部構造の補強だけで評点1.0以上を達成するのは難しく、基礎補強を併用する必要があります。無筋基礎の場合、基礎補強を行わなければ評点が1.2程度にとどまり、耐震等級2相当が限界となるため、耐震等級3相当を目指すためには基礎補強が不可欠です。

正しい基礎補強を行うことで、基礎の評価が改善され、上部構造の耐力も向上します。これにより、評点1.5(耐震等級3相当)を達成することが可能となり、地震に対する安全性が大幅に向上します。耐震改修の計画においては、基礎の状態と補強方法をしっかりと確認し、必要な補強を行うことが重要です。

耐震改修のまとめ

耐震改修は、既存住宅の耐震性能を向上させるための重要な工事です。正式には「耐震改修」と呼ばれ、㈶日本建築防災協会が発行するガイドラインに従った補強のみが評価されます。無筋基礎や玉石・ブロック基礎に対して適切な補強を行うことで、鉄筋コンクリート基礎と同等の評価が得られ、耐震等級3相当の性能を目指すことが可能です。補助金を活用しながら、適切な耐震改修を進め、安全で安心な住まいを実現しましょう。

 

2. 年代別の耐震改修アプローチ

年代別耐震改修

日本では大地震などを契機に建築基準法を改正。耐震基準を向上させてきた歴史があります。その経緯より既存住宅は建てられた年代により耐震性能にバラツキがある点に注意しましょう。

建築基準法の耐震性能に関する大改正が行われたのは1981年と1995年、2000年。

①1981年以前を旧耐震基準の建物

②1981年以降2000年までを新耐震基準の建物

③2000年以降を2000年基準の建物

と分けることができます。

これらの節目となる3つの時代ごとに耐震改修のアプローチは異なってくるため、それぞれの時代別の改修方法について、各時代の特徴を見ることで、自ずと方法がみえてきます。

まずは、ベースとなる基礎の年代別の特徴を見てみましょう。

 

建物の竣工年と基礎の規定の変化

基礎については、1971年の改正により、布基礎とする規定が設けられました。従って旧耐震の建物のうち1971年以降の建物は概ね布基礎となっている建物がほとんどとなります。ここで問題となるが、鉄筋コンクリート基礎とすることが義務化されていない為、多くの木造住宅は無筋基礎であることが大半となっているので注意が必要であるということです。

これらの前提を踏まえたうえで各年代の改修方法をみていきましょう。

 

年代別耐震改修

2-1. 旧耐震基準の建物

 

1981年以前に建築された木造住宅は「旧耐震基準」に基づいて設計されており、現行の耐震基準と比較すると著しく耐震性能が劣っています。この時代の建物は、地震対策が不十分で、特に無筋基礎の採用や耐力壁の配置バランスの欠如といった問題が多く見られます。耐震改修が必要な物件として代表的な年代の建物であり、改修における注意点や対策が重要となります。本項では、旧耐震基準の建物に見られる特徴や、耐震改修の際の具体的な対応策について詳しく解説します。

 

旧耐震基準の住宅の特徴

1981年より前に建てられた木造住宅は、主に無筋コンクリート基礎が採用されています。無筋基礎とは、鉄筋が入っていないコンクリート基礎のことで、耐久性や強度が低く、ひび割れが発生しやすいのが特徴です。この無筋基礎は、地震の揺れに対する抵抗力が不足しており、建物全体の耐震性能に大きな影響を及ぼします。また、これらの建物は、耐力壁の配置バランスが悪く、揺れに対する建物の安定性が十分に確保されていません。

耐力壁とは、建物の揺れを吸収し、倒壊を防ぐための重要な構造要素ですが、旧耐震基準の建物ではこれが不足しているケースが多いです。さらに、耐力壁の配置が不均衡で、建物全体のバランスが悪くなっているため、地震時に偏った揺れが発生しやすくなります。

 

接合部の脆弱性

旧耐震基準の建物では、筋かいや柱、梁などの接合部に弱点があります。筋かい端部は、かすがいや釘留めで固定されていることが多く、一部には平金物が使用されていますが、その数は少なく、耐力としては非常に脆弱です。筋かい自体の耐力も現行基準のものと比べて劣っており、実際の耐力は十分とは言えません。また、柱や梁などの主要な接合部も釘留めや羽子板ボルト程度の接合方法が多く、これらの部材間の結合力が弱いため、建物全体の強度が不足しています。

 

増築部分の問題点

1981年以前の建物は、時代背景から違法増築が行われていることが多く、その増築部分ではさらに耐震性能が低下しているケースが見られます。特に、ブロックや大谷石を使用した基礎が多く、これらの材料は耐久性が低く、地震に対する抵抗力もほとんどありません。増築部分の構造は、元の建物に比べて一層不安定であり、建物全体の耐震性能を大きく損なう要因となっています。

 

旧耐震基準の建物に対する耐震改修方法

旧耐震基準の建物に対して耐震改修を行う場合、最も重要なポイントは無筋基礎の補強です。無筋基礎は現行の耐震基準に適合しないため、基礎補強を行うことで、建物全体の耐震性能を向上させる必要があります。

 

1. 無筋基礎の補強方法

無筋基礎を補強する一般的な方法として「抱き基礎」という手法があります。抱き基礎とは、既存の無筋基礎に新しい基礎を片側から添わせ、差し筋で一体化する補強方法です。この手法により、無筋基礎の耐力を向上させ、建物全体の安定性を高めることができます。具体的には、以下のプロセスを踏んで施工します。

  1. 既存基礎の調査
    まず、既存の基礎の状態を詳細に調査し、ひび割れや劣化の有無を確認します。この段階で、基礎が無筋であることや、劣化の程度を把握し、補強の必要性を明確にします。

  2. 新設基礎の施工
    既存の無筋基礎に沿って新しい基礎を設置します。この際、基礎と基礎をつなぐための差し筋を用い、既存の基礎と新設基礎を一体化させます。差し筋は鉄筋を用い、既存の基礎に穴を開けて埋め込むことで、補強基礎と既存基礎の一体化を図ります。

  3. 基礎全体の一体化
    差し筋を使用して、基礎同士を強固に結合させます。これにより、従来の無筋基礎よりもはるかに高い耐力が得られ、地震に対する抵抗力が大幅に向上します。

  4. 仕上げと検査
    補強工事が完了した後、仕上げを行い、耐震性能の向上が確保されているか検査します。この検査結果をもとに、必要に応じて追加の補強を行う場合もあります。

2. 増築部分の補強

増築部分の補強も重要な課題です。増築部分の基礎がブロックや大谷石で構成されている場合、既存の基礎の両側に新規基礎を添わせて一体化する補強が必要です。この補強により、増築部分の基礎も現行の耐震基準に近い状態に改善され、建物全体の耐震性能が向上します。

 

3. 耐力壁の追加とバランスの改善

旧耐震基準の建物では、耐力壁の配置バランスが悪いため、揺れに対する建物の安定性が不足しています。耐力壁の不足や偏った配置は、地震時の建物の変形を招き、倒壊のリスクを高めます。そのため、耐震改修では耐力壁を追加し、建物の揺れに対する抵抗力を高めることが求められます。

  1. 耐力壁の追加
    建物の揺れを吸収するために、バランスよく耐力壁を設置します。特に開口部が多い南側の壁面など、強度が不足しがちな場所に耐力壁を追加することで、建物全体の耐震性能を均一に高めます。

  2. 接合部の補強
    N値計算書に基づき柱と梁、筋かいの接合部に金物を追加し、釘留めや羽子板ボルトだけでは不十分な接合強度を補います。特に、筋かいの両端にしっかりとした金物を取り付けることで、地震時の変形を最小限に抑えることができます。

 

旧耐震基準の建物に対する調査の重要性

旧耐震基準の建物を改修する際には、事前の調査が非常に重要です。特に、1980年前後の建物は、新耐震基準の採用直前であり、建物の耐震性能にばらつきがあることが多いです。例えば、鉄筋コンクリート基礎であっても、配筋の間隔が不十分であったり、鉄筋の有無が曖昧なケースも見られます。そのため、耐震改修を計画する際には、鉄筋探知機などを用いて基礎の状態を確認し、適切な補強の必要性を判断することが求められます。

 

増築や確認申請時の注意点

増築や確認申請を行う際には、既存の基礎が鉄筋コンクリートであるかどうかの確認が求められる場合があります。自治体の耐震改修補助金を申請する際には証明書が不要なケースもありますが、増築などの確認申請時には必要となることがあります。このため、事前に基礎の状態を調査し、必要な書類を準備することが重要です。

 

まとめ

1981年以前の旧耐震基準で建てられた建物は、無筋基礎や不均衡な耐力壁配置など、多くの耐震上の弱点を抱えています。これらの建物に対して適切な耐震改修を行うことで、安全性を大幅に向上させることが可能です。基礎補強や耐力壁の追加など、建物の構造を根本から見直し、現行の耐震基準に近づけることが、住まいの安心を守るための重要なステップとなります。調査を徹底し、適切な施工を行うことで、旧耐震基準の建物でも安全で快適な暮らしを実現することができます。

 

2-2. 新耐震基準の建物(81-00住宅)

 

1981年から1999年に建てられた木造住宅(通称「81-00住宅」)は、「新耐震基準」に基づいて設計されています。1981年に大幅な建築基準法の改正が行われ、耐震性能が強化されたことから、現行基準に近い性能を持つ建物が多いです。しかし、この時代の建物にもいくつかの弱点があり、適切な耐震改修が求められる場合があります。ここでは、81-00住宅の特徴や耐震改修のポイントについて詳しく解説し、耐震性向上のための重要な対策を紹介します。

 

81-00住宅の特徴と耐震改修の必要性

1981年の建築基準法改正では、耐震性の強化が行われ、「新耐震基準」として多くの住宅が建てられました。この基準では、中規模の地震では損傷をほとんど受けず、大規模な地震でも倒壊や崩壊を防ぎ、人命を守ることを目標としています。その結果、耐力壁の量が大幅に増え、建物の耐震性が強化されました。実際、1995年の阪神淡路大震災では、この新耐震基準の建物は旧耐震基準の建物に比べて被害が少なかったことが確認されています。

しかし、「新耐震基準」にも弱点が存在します。例えば、この基準では偏心率の規定がないため、建物の重心と剛心(建物の中心点)が一致していないケースが多いです。特に、南側にLDKを配置し、大きな窓を設ける一方、北側にトイレなどの水回りを配置する間取りが多く見られます。このような間取りは、耐力壁の配置が偏っており、地震時に建物が不均等に揺れる原因となります。

 

新耐震基準の建物の弱点と改修ポイント

1. 壁配置のバランスの問題

1981年から2000年までの建物では、耐力壁の配置が偏っていることが多く、耐震性能に影響を及ぼしています。特に、南側に大開口の窓を設け、北側に耐力壁を集中させる間取りは、建物の剛心が偏る原因となります。この偏心があると、地震時に建物がねじれるように揺れ、倒壊のリスクが高まります。そのため、耐震改修の際には耐力壁を新設して偏心率を低減し、建物全体のバランスを改善することが求められます。

 

改修方法:
耐力壁を新たに設けることで、建物の揺れに対する抵抗力を均等に分散させます。特に、南側の開口部の多い壁面に耐力壁を追加することが効果的です。また、建物の偏心率を計算し、どの部分に耐力壁を追加するべきかを慎重に検討する必要があります。

 

2. 接合部の強化と金物の不足

この時代の住宅は、基礎に鉄筋コンクリートが採用されているため、基礎自体の補強は不要ですが、接合部の補強が重要な課題となります。1981年から2000年の建物では、接合部に使用される金物に法的な規定がなく、施工にバラツキが見られることが多いです。特に柱頭柱脚の接合部では、ホールダウン金物などの引き抜き防止金物の使用が不十分であるため、地震時に柱が抜けてしまう被害が報告されています。

改修方法:
接合部には、ホールダウン金物や筋交い金物などを適切に取り付け、接合部の強度を向上させます。特に、柱の引き抜き防止対策として、柱頭柱脚の接合部に十分な金物を使用することが重要です。また、柱と梁の接合部も、専用の金物で補強し、全体の耐震性能を強化します。

 

3. 南北の間取りバランスの見直し

81-00住宅では、南側に大きな開口部を設け、北側に耐力壁が集中する間取りが多く見られます。この配置は、地震時の建物の揺れを大きくし、耐震性能を低下させる原因となります。実際、2016年の熊本地震では、このような間取りの建物が倒壊するケースが多く、改修の必要性が指摘されています。

改修方法:
改修プランでは、南北の間取りバランスを見直し、耐力壁の配置を最適化することが推奨されます。間取り変更を行う際には、できるだけ壁配置の偏りを是正し、建物の中心に耐力を集中させないようにすることが重要です。壁の配置をバランス良くすることで、偏心を抑え、地震時の揺れを軽減します。

 

2000年基準との違いと81-00住宅の改修ポイント

2000年に建築基準法が再度改正され、木造住宅の耐震性はさらに強化されました。2000年基準では、地耐力に応じた基礎の構造形式や壁の配置バランス、使用する金物が具体的に規定され、耐震性が一層向上しました。つまり、2000年以前の81-00住宅は、これらの新しい規定が導入される前の建物であるため、接合部のくぎ打ちや金物の未使用が散見されるなど、耐震性能にばらつきがあります。

81-00住宅の改修ポイント:

  • 基礎と柱の緊結強化
    ホールダウン金物の代わりに、基礎と柱を強固に接合し、柱の引き抜き防止を徹底します。

  • 耐力壁の配置見直し
    偏心率を低減するため、耐力壁の配置を最適化し、建物全体の揺れに対するバランスを改善します。

  • 接合部の補強
    金物を使用して、柱と梁、筋交いの接合部を強化し、地震時の建物の変形を防ぎます。

 

耐震改修で目指すべき評点と改修計画

新耐震基準の住宅であっても、既存の耐震評点は0.7程度であることが多く、これは現行基準の1.0に達していないことを意味します。耐震改修の際は、評点1.5以上を目指すことで、耐震等級3相当の安全性を確保し、地震時の安心を提供します。具体的な補強計画としては、耐力壁の追加、金物補強、柱と基礎の強化を組み合わせ、建物全体の耐震性能を向上させることが重要です。

 

まとめ

1981年から1999年に建てられた「新耐震基準」の81-00住宅は、旧耐震基準と比べて耐震性能が強化されていますが、偏心率の問題や接合部の金物不足といった弱点があります。これらの弱点を理解し、適切な耐震改修を行うことで、地震に強い安全な住まいへと改善できます。耐震改修では、壁の配置バランスを考慮し、偏心率を低減すること、接合部を金物で補強することがポイントです。これらの対策を講じることで、81-00住宅の耐震性を向上させ、安全で快適な住まいを実現しましょう。

 

2-3.2000年基準以降の建物

 

2000年以降に建てられた木造住宅は、現行の耐震基準を満たしており、基礎は鉄筋コンクリートで耐力壁や偏心率の問題も改善されています。しかし、現行基準を満たしているからといって必ずしも地震に対して万全ではありません。特に、2016年の熊本地震では、現行基準の建物であっても倒壊や大破した事例が多く報告されています。本記事では、2000年以降に建てられた現行基準の建物に潜む耐震上の弱点と、その改修ポイントについて解説します。

 

2000年基準の住宅の特徴と耐震上の弱点

2000年以降の木造住宅は、現行の建築基準法に基づき設計されています。現行基準では、耐力壁の量や偏心率の問題が大きく改善され、建物の耐震性能が向上しています。特に、基礎が鉄筋コンクリートであるため、基礎補強の必要がなく、施工の標準化が進んでいる点が特徴です。しかし、いくつかの設計や施工の配慮不足が原因で、実際の地震時に想定外の被害が発生しています。

 

1. 筋かいの断面寸法と接合部の問題

現行の耐震基準では、筋かいの配置や接合部の設計に対して明確な規定が設けられていますが、筋かいの断面寸法が小さいケースや、端部の接合が不十分である場合があります。筋かいとは、柱と柱の間に斜めに取り付けられ、建物の水平力(地震の揺れなど)に対抗する部材ですが、断面寸法が小さいと十分な耐力が得られません。

また、接合部の施工に関しても、金物の使用が不適切であったり、施工不備があると、地震の際に接合部が破壊され、建物全体の耐震性能が低下する原因となります。熊本地震の調査では、接合部の金物が正しく設置されていなかったために建物が倒壊した事例が多く見られました。

 

2. 直下率の問題と柱の配置の不整合

「直下率」とは、建物の2階の耐力壁と1階の耐力壁がどれだけ重なっているかを示す指標です。直下率が低い場合、2階の壁や柱が1階の壁や柱の上に適切に配置されていないため、建物が地震時に不均等に揺れ、倒壊リスクが高まります。熊本地震でも、この直下率が低い建物が多く倒壊したことが確認されています。

1階と2階の柱や窓の位置が揃っていない建物は、直下率が低く、地震時の耐震性能が劣るため、現行基準を満たしていても不十分であることが多いです。特に、設計段階で直下率を考慮せずに、自由な間取りを優先した結果、建物全体の耐震バランスが崩れているケースが目立ちます。

 

3. 設計の配慮不足と施工の不備

2000年基準の住宅では、設計や施工の質が耐震性能に大きく影響します。基準をクリアしているからといって安心できるわけではなく、設計の段階で耐震性に対する十分な配慮がなされていないことがあります。特に、耐震性を熟知していない施工業者によるミスが、建物の安全性を脅かす要因となります。

設計の配慮不足には、直下率の問題以外にも、耐力壁の配置バランスや柱と梁の接合部の不適切な処理が含まれます。こうした設計上の問題は、施工時の適切な処置によってある程度改善できますが、現場での判断ミスや施工不備が発生すると、建物全体の耐震性能が大幅に低下します。

 

2000年以降の建物の耐震改修ポイント

現行基準の建物であっても、耐震性能を向上させるためには、改修が必要な場合があります。以下に、2000年基準の建物の改修ポイントを示します。

 

1. 直下率の是正と耐力壁の配置計画

まず、建物の直下率を適正化するために、1階と2階の耐力壁の位置を調整することが重要です。直下率を高めることで、建物の耐震バランスを改善し、揺れに対する抵抗力を均等にします。耐力壁の配置は、2階の壁が1階の壁と重なるように設計し、建物全体が一体となって地震の揺れに耐える構造を作ります。

改修方法:

  • 耐力壁を新設して、1階と2階の壁位置を揃える。
  • 壁の配置バランスを調整し、偏心率を低減することで、ねじれに対する抵抗力を高める。

 

2. 筋かいの強化と金物の適正使用

筋かいの断面寸法を増やし、適切な金物で接合部を強化することが改修の基本です。筋かい自体を太くし、地震時の揺れに対する耐力を強化することで、建物の耐震性能を向上させます。また、金物の使用においては、ホールダウン金物など、建物の重要な接合部に適切な金物を用いることで、柱の引き抜きなどの被害を防ぎます。

改修方法:

  • 筋かいの断面寸法を確認し、必要に応じて筋かいを補強。
  • 接合部に適切な金物を追加し、全体の結合力を高める。

 

3. 床剛性の強化と断熱改修の併用

2000年基準の建物では、床の剛性が不十分な場合があります。床剛性が低いと、建物全体が揺れやすくなり、耐震性能に悪影響を及ぼします。そのため、床剛性を強化し、建物全体のねじれを防ぐことが大切です。さらに、断熱改修を同時に行うことで、開放的で快適な居住空間を維持しつつ、高い耐震性能を実現できます。

改修方法:

  • 床に耐震用の補強材を追加し、剛性を向上させる。
  • 断熱材を併用し、快適な環境を維持しながらの改修を実施。

 

耐震性能とお施主様の許容できる被害レベルの乖離

熊本地震では、建築基準法を満たしているにもかかわらず、多くの建物が倒壊しました。このことから、基準を満たすだけでは十分でないことが明らかとなり、施主が許容できる被害レベルと実際の耐震性能の乖離が問題視されています。例えば、耐震等級3の建物でも半壊する可能性があり、ほぼ無傷で残った建物は、現行基準の1.5倍から2倍の壁量を有していました。耐震改修を行う際には、お施主様と相談しながら、どの程度の耐震性能を目指すのかを明確にすることが重要です。

シミュレーション結果:

  • 現行基準:倒壊のリスクあり
  • 耐震等級2(現行基準の1.25倍):全壊リスクあり
  • 耐震等級3(現行基準の1.5倍):半壊または軽微な被害

 

まとめと改修のポイント

2000年基準の住宅における耐震改修のポイントは、設計段階での配慮不足や施工不備を是正し、耐震性能を向上させることです。具体的には、直下率を考慮した耐力壁の配置計画、筋かいの強化、接合部の補強が必要です。また、耐震等級3相当の上部構造評点1.5以上を目指すことが、現行基準を超える安全な住まいを実現するために重要です。耐震改修を通じて、安全で安心な住まいを提供し、地震から家族を守る対策をしっかりと行いましょう。

 

3. 基礎補強の正しい方法

古民家再生リフォームで活用できる補助金

 

 

3-1. 基礎補強の仕様

基礎補強

耐震改修において、基礎補強は建物の安全性を確保するための重要なステップです。基礎補強の仕様は、㈶日本建築防災協会が発行する「木造住宅の耐震診断と補強方法」のガイドラインに準拠することが必須です。このガイドラインに従わない補強は、耐震改修とは認められず、補助金の対象外となることもあります。本記事では、耐震改修における正しい基礎補強の仕様とその重要性について解説します。

 

基礎補強の基本的な仕様と注意点

基礎補強の施工では、既存の基礎をベースに補強するだけでは不十分です。特に、単にメッシュ配筋を使用した補強は、ガイドラインに適合しないため、耐震改修として認められません。正しい基礎補強は、既存基礎の立ち上がり部分に新規基礎を添わせ、あと施工アンカーを用いて一体化させる必要があります。この一体化により、基礎全体が強化され、地震の揺れに対する耐力が大幅に向上します。

 

1. 既存基礎と新規基礎の一体化

基礎補強の際には、既存の基礎に新たに基礎を添わせる「抱き基礎工法」が標準的です。この工法では、既存基礎の側面に新規基礎を追加し、差し筋とあと施工アンカーを用いて両基礎を結合します。これにより、既存基礎の強度を高めるとともに、建物全体の耐震性能を向上させます。

  • 差し筋の設置:既存基礎にドリルで穴を開け、鉄筋を差し込むことで新規基礎としっかりと一体化させます。
  • あと施工アンカーの使用:既存基礎と新規基礎を固定し、地震時のずれや動きを防ぎます。

 

2. 新たな耐力壁を設けるための基礎新設

耐震改修において、耐力壁を追加する場合には、その耐力壁が設置される位置に新規の基礎を設ける必要があります。この新設基礎は、建物の揺れを効果的に吸収し、倒壊を防ぐための重要な要素です。新設基礎が不十分だと、耐力壁の効果も半減するため、正確な位置と強度を確保することが重要です。

 

ベタ基礎への改修の注意点

一部の施主からベタ基礎への改修が求められることがありますが、これには慎重な判断が必要です。ベタ基礎は全体が一体化しているため、優れた耐震性能を持ちますが、リノベーション時に地盤調査を行わないケースが多いため、基礎の重量が増えるベタ基礎への変更はリスクを伴います。

 

1. 地盤の確認が不十分

ベタ基礎は建物全体を支えるため、基礎が増える重量に耐えられる地盤であることが前提です。リノベーション時に地盤調査を行わない場合、地盤が基礎の重量に耐えられないリスクがあり、結果として建物の沈下や傾斜の原因となる可能性があります。地盤の状況を正確に把握せずにベタ基礎への変更を行うと、改修後の耐震性能が低下する恐れがあります。

 

2. 都市部での施工の課題と費用

都市部で基礎補強を行う際には、工事スペースの確保が困難であるため、機材の搬入ができず手掘りでの作業が必要になることがあります。この手掘り作業は人手がかかり、施工期間が延びるだけでなく、費用も割高になります。したがって、基礎補強に関する計画を立てる際には、こうしたコスト面の課題も考慮する必要があります。

 

正しい基礎補強の重要性

基礎補強は建物全体の耐震性能を大きく左右するため、ガイドラインに適合する正しい施工を行うことが不可欠です。既存基礎の補強だけではなく、新規基礎を添え、あと施工アンカーで一体化することで、建物の揺れに対する耐性が向上します。誤った施工は、建物の安全性を損なうだけでなく、耐震改修として認められないため、補助金の対象から外れるリスクもあります。

 

1. 耐震性能を最大限に引き出すための施工

基礎補強の際にガイドラインに従った仕様で施工することで、建物の耐震性能を最大限に引き出すことができます。特に、あと施工アンカーの使用は基礎の結合力を高め、基礎全体が地震の揺れにしっかりと耐える構造を作り上げます。

 

2. 補助金の適用と改修の費用対効果

耐震改修には自治体の補助金を活用できる場合があり、正しい基礎補強を行うことで費用負担を軽減できます。補助金の適用には、ガイドラインに準拠した施工が求められるため、施工前に施工業者と詳細な計画を立て、適切な補強方法を選定することが重要です。

 

まとめ

基礎補強は、耐震改修において非常に重要な役割を果たします。正しい施工方法を選び、ガイドラインに従って基礎全体を強化することで、建物の耐震性能を大幅に向上させることが可能です。ベタ基礎への改修を希望する場合も、慎重な判断が必要であり、費用や施工の課題を考慮した上で進めるべきです。基礎補強の仕様をしっかりと理解し、適切な耐震改修を行うことで、安心で安全な住まいを実現しましょう。

 

3-2. 基礎補強の範囲

基礎補強の範囲

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基礎補強を行う場合、㈶日本建築防災協会発行の「木造住宅の耐震診断と補強方法」のガイドラインより構造計算の方法によって基礎補強の範囲が異なってきます。一般的な耐震診断ソフトを使用する場合、無筋基礎の全周に基礎を添えてください。 許容応力度計算を行う場合、耐力壁の直下とその左右910㎜を抱き基礎補強すればよいとされています。前出のガイドラインに部分補強の方法が明記されています。 

 

3-3. 基礎補強の注意点

基礎補強の仕様

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 新設される補強部の基礎は既存基礎の内外側どちらに設置しても基本的には良いとされています。しかし弊社ハイウィルでの推奨は内側への補強です。都市部は敷地が狭いこともありますが、外側に施工すると庭や外構が狭くなることや隣地が接近していると施工が難しいといったロケーションの問題もありますが、外側に基礎補強を行うと既存の土台水切りの高さ付近に新設基礎の天端がくるため、雨水が躯体内に侵入しやすくなる為、雨仕舞の処理は忘れないようにしなければなりません。

 

3-4. 基礎補強の手順

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基礎補強の施工の流れ

補強後の基礎伏せ図の作成→基礎配筋・差し筋→ベース部分コンクリート打設→立ち上がり部の型枠施工→コンクリート打設→脱型

 ポイントは、まず外壁を解体する際に間取り変更により不要となる基礎を撤去しておくこと。次いで既存基礎の高さと基礎断面図と照合して必要な深さと幅に根伐りをします。 根切り幅は既存基礎の目荒しやあと施工アンカー、配筋が行える寸法にしてください。その後、砕石敷きと転圧を行っていきます。

配筋は基礎伏せ図や断面図に従い施工。差し筋はD13。日本ヒルティの接着系注入式アンカーを使用して一体化。ウエハラのジベル金物も併用する。また底面のスラブ筋と継手筋・補強筋をしっかり定着させる(下図参照)

新設基礎のコンクリートは2度打ち。ベース配筋にコンクリートを打設した後に立ち上がりの型枠を組んで立ち上がりコンクリート打設します。

基礎補強断面図

4. 耐力壁の確保について

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ここでは、上部構造体の補強について解説していきます。一般的な耐力確保であれば、特に内部をスケルトンにするようなリノベーションや外壁を解体するリノベーションであれば、構造用合板を全面張りすることで大幅に耐力確保をすることが可能となります。

しかし、間口が狭く奥行きが長い建物や、大スパンの空間を必要とされるようなケースでは、耐力壁不足となることが実務レベルでは多くなります。ここでは、実際のケースに基づいて耐力壁確保のテクニックを紹介していきましょう。

 

ケース①梁間方向の耐力不足を解消した事例

古民家再生リフォーム事例①

都市部で多い間口(梁間)が狭くて奥行きが長い建物の場合、外周を耐力面材で覆っても梁間方向の耐力壁が不足する現象が起きてしまいます。こ

れらを解消するには基礎を新設して高倍率の耐力壁工法を用いることになります。 耐震改修の対象となる日本建築防災協会の技術評価を取得している工法が1つが「ベースセッター」(BXカネシン)となります。450㎜幅の集成材を用いた小幅の耐力壁。専用の柱脚金物で基礎と接合する。壁倍率は5倍のため耐震性能向上リノベーションでの採用が多いといえます。門型フレーム代わりに使用するケースが多いです。

実際の施工事例の詳細は下記よりご覧ください。

ケース②ビルトインガレージで評点1.5をクリアしたい

古民家再生リフォーム事例②

こちらの商品はYKKapの「フレームプラス」となりますが、「フレームプラス」には2種類の商品があります。基本的には、耐震補強計画を立案する上で弱点となる窓サッシを耐力壁とみなすことができる門型フレームとなります。それぞれの違いは、既存の基礎の状況で変わってきます。

既存の基礎が無筋基礎である場合は、基礎補強した上で門型フレームを設置する「フレームプラス」と鉄筋コンクリート基礎のケースでの「フレームプラスG2」となります。G2は後から発売された商品ですが、日本第一号の施工事例が、弊社ハイウィルでしたので、本社より施工指導や撮影班など多くのスタッフの方の協力をいただき設置をしました。

ここでのポイントは、サッシ周りの補強ではなく、あくまで梁間方向の耐力を上げる目的でこれらを使用するテクニックをご紹介いたします。

使用するのは、「フレームプラス」となります。

都心では多くの悩みとなっている、ビルトインガレージの住宅です。これらは、耐震上かなり不安定であることが多く、リノベーションの現場においても、鉄骨梁などで補強しているケースも散見されます。しかしながら鉄骨での梁補強をしてしまうと混構造扱いとなり、正式な構造計算書を作ることができません。鉄梁を使用せずに梁間方向の補強としてしようするのが、フレームプラスとなります。

下記のリンクより、その事例の詳細を解説していますので参照ください。

ケース③内部はスケルトンまではしたくないが構造評点は1.5をクリアしたい

古民家再生リフォーム事例③

旧耐震基準の建物で上部構造評点1.5をクリアするためには、基礎補強が必須であることは説明してきた通りですが、一部の特殊工法を採用することで数字上はクリアできるレアケースがある。下記に詳細の事例解説をしていますので参照してください。

『鎧ガード』を採用した施工事例はこちらへ

まとめ

古民家再生リフォーム まとめ

今回は、工務店の技術者向けのセミナーの内容をお施主様にもわかりやすい形で、要点のみをピックアップして解説しました。

耐震改修には、ルールが定められており、業者の考えで補強をすることはできないということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

また、時代別に耐震改修の方針は違い3つの年代で必要な改修方法を紹介しました。

ポイントとなるのが基礎補強となるため、基礎補強を中心に解説を致しました。

旧耐震基準の建物は、基礎補強が必須になることをご理解いただき、安心で快適なリノベーションを行っていただけましたら幸いです。

 

投稿日:2021/11/25

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< 著者情報 >

稲葉 高志

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ハイウィル株式会社 四代目社長

1976年生まれ 東京都出身。

【経歴】

家業(現ハイウィル)が創業大正8年の老舗瓦屋だった為、幼少よりたくさんの職人に囲まれて育つ。

中学生の頃、アルバイトで瓦の荷揚げを毎日していて祖父の職人としての生き方に感銘を受ける。 日本大学法学部法律学科法職課程を経て、大手ディベロッパーでの不動産販売営業に従事。

この時の仕事環境とスキルが人生の転機に。  TVCMでの華やかな会社イメージとは裏腹に、当たり前に灰皿や拳が飛んでくるような職場の中、東京営業本部約170名中、営業成績6期連続1位の座を譲ることなく退社。ここで営業力の基礎を徹底的に養うことになる。その後、工務店で主に木造改築に従事し、100棟以上の木造フルリフォームを職人として施工、管理者として管理

2003年に独立し 耐震性能と断熱性能を現行の新築の最高水準でバリューアップさせる戸建てフルリフォームを150棟、営業、施工管理に従事。2008年家業であるハイウィル株式会社へ業務移管後、 4代目代表取締役に就任。250棟の木造改修の営業、施工管理に従事

2015年旧耐震住宅の「耐震等級3」への推進、「断熱等級4」への推進を目指し、 自身の500棟を超える木造フルリフォーム・リノベーション経験の集大成として、性能向上に特化した日本初の木造フルリオーム&リノベーションオウンドメディア 「増改築com®」をオープン

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