テーマ:中古を買って、耐震等級3、狭小住宅
種類:内外部スケルトン
新宿の好立地エリアで中古住宅を長期間お探しされておられたS様、S様も不動産会社にお勤めで弊社のことは良くご存じの方でした。築50年の木造2階建て11.2坪の建物を仲介をさせていただきました。ワンストップで購入からリノベーションまでを対応させていただきました。
建物の内見をさせていただき耐震構造を含めた内外スケルトンを1300万程度で収めたいとのご希望でした。予算をオーバーしてしまう事もあり新宿区の耐震改修補助金を提案させていただきました。補助金の利用のケースでは、スケルトンリフォームでは役所とのやり取りも、通常の単純な耐震補強工事と比較し、複雑化しますので工期が長引くケースがあります。S様は既に家をお持ちでいたので、工期に余裕が取れることから補助金採用の方向でお話が進みました。
建物概要 | |
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名前 | S様 |
場所 | 東京都新宿区 |
築年数 | 築52年 |
構造種別 | 木造一戸建て |
家族構成 | 大人2人 |
対象面積 | 11.2坪 |
リフォーム部位 | 基礎補強/間取変更/断熱サッシ取替/外壁リノベーション/耐震等級3/外構 |
工期 | 6ヶ月 |
価格 | 1450万(税別)※新宿区耐震補助金申請事務手数料込 |
今回の東京都新宿S様フルリノベーションでのご要望は以下の4点です。
!Iw値とは?
1981年以前の旧耐震基準で建てられた木造家屋では、2000年の品確法で定められた『耐震等級』という耐震指標保有水平力、耐震等級によって耐震力を測れないため、Iw値という指標で耐震力を測ります。「Iw値=家の保有耐力/耐震のために必要な耐力」によって数値化されます。1.0をクリアすることで震度6強の地震に対して倒壊、または崩壊する可能性が低いとされており、国の耐震改修の最低基準値となっている指標であります。
新宿区の中古物件をご購入されてフルリノベーションのご要望を頂きました。
S様の間取りのご要望は1階に浴室・洗面所+1部屋洋室と2階にキッチンと洋室1部屋でした。
限られた空間なので、極力廊下を少なくして階段の位置を考慮しながらプランをさせて頂きました。
▲既存外観
▲既存外観
●外構も老朽化しているので外構工事も踏まえ、外壁・内壁をすべて解体して大幅な間取り変更をされたいとご要望があり、早速現地にお伺いいたしました。
▲既存玄関
▲1階既存廊下
●一部傾きがありましたので、スケルトン後にジャッキアップにて調整が必要と判断しました。
●既存1階
1階の水周り付近は床がフカフカ
しており下地や土台が腐食していることが想定されますのでこの辺りも説明させていただきました。主要構造部にまで腐食が進行していないことを願うばかりですが、このあたりのリスクもしっかりと説明させていただきます。
▲既存LDK
▲既存1階浴室
●築60年2階部
二階は人が住んでいたこともあり、一階ほどの痛みはありませんでした。1回ほどではありませんが若干の傾きを体感レベルで把握できたことから、解体後にはジャッキアップによる補正、もしくは屋起こしが必要な旨をお伝えしました。
▲2階和室
▲2階既存和室です。
間取りの変更プラン
▲1階 狭小住宅リフォーム前の既存平面図
▲2階 狭小住宅リフォーム前の既存平面図
▲1階 狭小住宅リフォームプラン平面図
▲2階 狭小住宅リフォームプラン平面図
北畠よりプランニングポイント
既存建物は水周りがとても小さかったので、新規水周りは既存より使用し易い大きさにプランをさせて頂きました。
●新宿区の狭小住宅リフォームのS様邸は手壊しでの人力解体になります。S様の耐震補強計画では、上部構造評点(Iw値)を国の最低基準の1.5倍以上をご要望されておられました。耐力を大幅に向上させるためには内部だけでなく外壁までを解体する躯体残しのスケルトンリフォームとなります。S様の建物は旧耐震基準の建物のため、基準の1.5倍以上の数値を計画する場合は、基礎補強が絶対条件となり、かつ内部からの補強だけにとどまらず、外部からの補強も必要となります。解体後は、非破壊段階での構造計算が、そのまま計画として成り立つのか、既存の構造体の状態を調査して入念に躯体チェックをしていきます
▲躯体の状態まで内壁を剥離していきます。
▲内部解体➡サッシ解体➡外壁解体と解体も順序が決まっております。
▲内部の解体が完了すると次はサッシを解体していきます。
▲二階の構造体は、腐食等はなく状態は良いと言えます。
▲建物の調査を進め、解体前に行った構造計算等が、現状の構造躯体でそのまま補強が可能か否かの判断をしていきます。第三者を入れての検査も行います。
▲1階キッチン部分も土台が朽ち果てており通し柱の根元の腐食が進行していました。
▲内部の解体が完了するといよいよ外壁を解体していきます。気がかりなのは一階部の構造躯体の傷み具合です。現場調査時に水周り周辺は腐食をよそうしておりましたので、この辺りを注意しつつ解体を進めていきます。
▲1階部の解体体が終了しました。やはり腐食が進んでおります。
▲土台は指が入るほど腐食が進行していました。
▲二階の外壁も注意深く解体を進めていきます。
▲1階浴室部分は土台が朽ち果てており柱まで腐食が進行していました。
▲1階玄関部分は玄関ポーチと土台の高さを考慮されておらず雨水がそのまま土台と触れてしまう高さとなっており柱まで腐食が進んでいる状況でした。
!大事な構造部のすべてが目視可能となるスケルトンリフォーム
S様邸では建物の傾きがありスケルトンリフォームを提案させていただきました。内壁だけでなく外壁までを解体するフルスケルトンリフォームの最大のメリットはこのように重要な主要構造部のすべての状態が目視でわかることになります。実際に一階の最も重要な構造材である通し柱が3本も腐食しており二階の荷重を背負えない状況となっていました。フルリノベーション後は、これらの構造上の弱点をすべて修正し補強することで新築と同水準、もくしくはそれ以上の建物性能をもつ構造躯体へ甦らせることが可能となります。
第三者の構造計算担当者と大工、監督との現況の構造のチェックが終わると、S様の狭小住宅リフォームは、基礎補強工事へと移行していきます。
他社の提案では基礎は補修をすれば大丈夫との提案を頂いていたとのことですが、築60年の旧耐震基準の建物であり、基礎に鉄筋が入っていない「無筋基礎」になることから、弊社では抱き合わせ基礎(添え基礎)補強での補強を提案させていただきました。
▲既存の布基礎の高さをチェック
▲アンカーサイズM12にて既存無筋コンクリートへ打ち太さD13の鉄筋をピッチ200㎜にて千鳥上に配筋していきます。
▲既存基礎の内側に、補強計画に基づき、配筋をあと施工アンカーにて施工していきます。
▲柱を設置する箇所へは、抱き合わせ基礎の配筋時に耐震用金物と耐震金物を緊結させることでコンクリート打設後に、基礎、土台、柱を連結一体化させることで抜け防止をします。大事な工程となります。
▲新たに基礎が必要な個所へは鉄筋コンクリート基礎を新設します。
▲コンクリートが打設されました。
▲型枠を外していきます。
▲枠が外されました。抱き合わせ基礎補強が完成です。既存基礎に抱き合うように増し打ちされているのがわかります。
●ポイント
S様邸では、当初はベタ基礎での補強をご要望でしたが、我々が提案したのは、抱き合わせ基礎補強でした。
その理由は、ベタ基礎は建物全体と同程度の荷重となりますので、建物の重さとのバランスもかかわってきます。足元だけ固めていても屋根を含めた建物とのバランスが悪いと大地震が起きた際にせん断力が働き、ホールダウン金物が抜けるような事態になるケースもあるからです。大手を含め多くのリフォーム会社が、基礎補強をしない現実がありますが、無筋基礎の状態の建物に基礎補強をしないのは、フルリフォームやリノベーションではありえないと弊社は考えております。基礎補強なしでいくら耐震といったところで、その計画は絵に描いた餅となるのです。
大規模な戸建てリノベーションをされる際には、木造を熟知し、実績が豊富な会社へ相談することをお勧めする理由でもあります。
●ベタ基礎って?
布基礎が立ち上がりとフーチングで持たせる基礎に対して、ベタ基礎は、立上りだけでなく、底板一面も耐圧盤を設け、立ち上がりと底面が一体化された鉄筋コンクリートになっている基礎をいいます。
建物の荷重を底板全体の面で受け止めるため、ベタ基礎は不同沈下を起こさない。といわれますが、それは良好な地盤での話です。
基礎の下の地盤面の地耐力が均一でない場合は、不同沈下が起こる可能性が充分あるのです。
耐震の世界では、重い瓦屋根は外して、軽いものに変えましょうと言われておりますが、それ自体は間違っていませんが、この理屈でいくと。屋根の瓦を外して、基礎はベタ基礎にしても、地盤に与える荷重は、瓦屋根以上の荷重がベタ基礎の荷重により地盤面にかかることになります。
地盤が軟弱な場合、布基礎を採用した方が有利な場合も出てきます。
戸建てフルリフォームやリノベーションで、基礎補強をする際は、このような知識のある会社に相談することが必要です。
1階 金物仕様及び柱位置
1階 補強後平面図
基礎補強工事が終わりメインとなる大工工事へと移行します。間取り変更による躯体の組み換えがメインとなります。使えない構造躯体はこの段階で差し替えです。新宿区S様邸の狭小住宅リフォームでは構造体の腐食が著しく、既存の柱を抜き、差し替えや梁を架けたり補強個所が多い現場となります。
▲仮の筋交いで補強を入れながら、使えない躯体を抜いていきます。
▲二階にも補強を入れながら仮筋交いを入れ倒壊を防止します。
▲基礎と土台の抜け防止を徹底的に行います。
▲柱と梁の仕口へは構造用金物を配置します。
▲ほとんどの構造材が新たに入れ直しとなりました。
▲二階床は水平耐力を担保するために、剛床工法しました。
➡剛床の詳しい解説はこちら
ほぼ新しい構造体となっているのがわかります。
▲1階の構造補強が完成しました。指示通りに金物補強を入れていきます。
▲2階の床は24㎜の構造用合板で補強をします。
東京都新宿区のS様の戸建て狭小住宅リノベーションでの断熱材は、高性能グラスウールを充填しました。
グラスウール断熱のポイントは、隙間なく充填することです。コンセント回りや筋交い部分などは特に隙間が出来ないように注意を払い充填していきます。床断熱はフェノバボード60㎜を採用し床暖房のいらない構造としました。
▲1階LDK部へのグラスウール断熱充填(壁への充填)
▲グラスウール断熱のポイントは隙間なく充填することです。少しの隙間があればそこが弱点となり建物全体
▲手で触ってもパンパンに膨らんでいるのがわかるほど充填していきます。
▲天井、壁の充填が完了しました。
S様は屋根は瓦棒葺きでしたので、撤去後に既存の野地板に増し打ちをして新たな仕上げ材を葺いていきます。
▲野地板増し打ち
▲ルーフィング張り完了
▲GL鋼板張り仕上げ
▲完了
新設フェンス図面
約6カ月の工事を経て、いよいよ竣工です。
S様邸の様子をご紹介します。
== 外観==
▲外壁はサイディング仕上げ
▲外壁はサイディング仕上げ
== 1F エントランス・玄関 ==
▲玄関はトステムの断熱ドアを使用。
▲玄関の位置は既存と同じ位置になります。
== 2F キッチン ==
キッチンは2階に持っていきました。階段上ってすぐのフロアに設置しました。
▲キッチンはLIXILシエラ I型1650サイズ
既存建物は昔ながらのブロックキッチンを使用し、1階にありました。
== 階段 ==
▲ 階段は既存より勾配を緩くして設置しています。
既存階段は昔ながらの急勾配の階段でした。
== 1F 洋室 ==
▲ 1階親世帯寝室です。
▲ 1階親世帯 寝室の収納スペースです。
▲ 1階親世帯 収納は階段下スペースになります。
== 水まわり ==
Before
▲既存キッチン
▲既存浴室
▲既存トイレ
After
▲新規キッチン:LIXILシエラ1650
▲新規浴室:LIXILアライズ1216
▲新規トイレ:オリジナルトイレ
== 2F 洋室 ==
▲二階洋室
▲二階洋室 収納
== 外構 ==
築52年新宿区S様のリノベーションでは、外構工事もお手伝いさせていただきました。
新宿の好立地エリアで中古住宅を長期間お探しされておられたS様、S様も不動産会社にお勤めで弊社のことは良くご存じの方でした。今回10坪程度の狭小住宅の仲介と共にワンストップでリノベーションまで対応させていただきました。
建物の内見をさせていただき耐震構造を含めた内外スケルトンを1300万程度で収めたいとのご希望でした。予算をオーバーしてしまう事もあり新宿区の耐震改修補助金とブロック工事の補助を提案させていただきました。補助金の利用のケースでは、スケルトンリフォームでは役所とのやり取りも、通常の単純な耐震補強工事と比較し、複雑化しますので工期が長引くケースがあります。S様は既に家をお持ちでいたので、工期に余裕が取れることから補助金採用の方向でお話が進みました。
S様、この度はご依頼をいただき、誠にありがとうございました。
■全国のフルリフォーム・リノベーション『ピックアップ事例』※プロの詳細解説付きレポート
戸建てリノベーションの専属スタッフが担当致します。
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※設計会社(建築家様)・同業の建築会社様のご相談につきましては、プランと共にご指定のIw値及びUa値等の性能値の目安もお願い申し上げます。
※現在大変込み合っております。ご提案までに大変お時間がかかっております。ご了承のほどお願い申し上げます。
2025年(令和7年)の4月1日建築基準法改正が決定、2025年(令和7年)4月以降に着手するフルリフォームに確認申請が義務化されることに伴い、2025年3月までの着工希望のお施主様の駆け込み相談で現在大変混みあっております。
お問い合わせ・ご相談多数のため、ご返信、プランのご提案までに日数を頂いております。ご了承の程お願い申し上げます。
現在、首都圏のリノベーションにつきましては、法改正前の着工工事枠は2月着工のお施主様まで埋まっております。
・直近は2025年3月中旬の着工スタートより空きありとなります。※2025年1月20日時点
※ご契約順に施工班の予定を組ませて頂いております。フルリフォームのご予定のお施主様はお急ぎくださいますようお願い申し上げます。
※ローンを利用予定のお施主様は、ローンの審査に平均1か月程度かかっておりますので事前に金融機関に審査依頼をされることをお勧めします。
※すでにプランをお持ちのお施主様・設計資料をお持ちのお施主様は内容をフォームで送信後、フォーム下のメールアドレスに資料をお送りください。対応がスムーズです。
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