戸建フルリフォームなら「増改築.com®」TOP >木造リノベーションの“全”疑問に答える|匠が教える460の知恵>築年数 リフォーム 時期, 築30年 リフォーム内容, 築40年 耐震補強, ハーフスケルトンリフォーム, 確認申請不要
更新日:2025/12/17
序章:永遠のテーマ「新築か、中古か」に終止符を打つ
第1章: 【メリット】なぜ、賢い人は「新築」ではなく「中古リノベ」を選ぶのか?
第2章: 【デメリット】中古住宅の「3大リスク」と、技術による解決策
第3章: 【費用比較】イニシャルコストとランニングコストの真実
第4章: 【物件選び】プロだけが知る、性能向上リノベで「狙うべき」お宝物件
第5章:成功の秘訣は「ワンストップ」での依頼
「誰も使っていない、ピカピカの新品の家(新築)」か。
それとも、「好立地で広さを取り、自分好みに作り変える家(中古リノベ)」か。
多くの人がマイホーム購入という人生最大の決断を前に、この二択の間で揺れ動きます。
これは、日本の住宅市場における「永遠のテーマ」と言われてきました。
しかし、私、増改築.com代表の稲葉高志は、建築と不動産のプロフェッショナルとして、そして一人の経営者として、ここに断言します。 この議論には、2026年現在、すでに明確な「終止符」が打たれています。
結論から申し上げます。 経済合理性、資産価値の保全、そして人生の質を最優先するならば、現代における賢い選択は「中古リノベ(性能向上リノベーション)」一択です。
誤解を恐れずに言えば、今の日本で、何の戦略もなく「新築」を選ぶことは、資産をドブに捨てる行為に近いリスクを孕んでいます。 なぜ、これほど強い言葉を使うのか。
それは、2026年という時代が、かつてないほどの「パラダイムシフト」を迎えているからです。
かつて、日本には確固たる「新築神話」がありました。
「新しいものは良いものだ」「新築こそが成功の証だ」。
高度経済成長期においては、それは正しかったのかもしれません。
しかし、令和の、特に2026年の日本において、その前提は完全に崩れ去りました。
第一に、「建築費の異常な高騰」です。 ウッドショック以降、資材価格は高止まりし、職人の人件費も上昇を続けています。
その結果、今の新築住宅(特に建売住宅)はどうなっているでしょうか?
価格を抑えるために、材料の質を落とし、断熱性能を削り、設備をグレードダウンさせています。
「高いお金を出して、質の低い家を買う」。これが新築市場の冷酷な現実です。
第二に、「税制の逆転」です。 長年、中古住宅のデメリットとされてきた「住宅ローン減税の期間短縮(10年)」が、2026年度税制改正により撤廃され、新築と同じ「13年」に延長されました。
さらに、省エネ性能の低い新築は減税対象外となる一方で、性能向上リノベーションを行った中古住宅は、最大級の優遇を受けられるようになりました。
国は明確に、「新築を減らし、良質なストック(中古)を増やせ」とメッセージを発しているのです。
第三に、「立地の枯渇」です。 あなたが住みたいと思う便利な街、駅に近いエリアを見渡してください。
そこに空き地はありますか? ありません。あるのは、すでに誰かが住んでいる「中古住宅」だけです。
新築にこだわるということは、不便な郊外へ追いやられることを意味します。
もちろん、私は「中古なら何でも良い」と言っているわけではありません。
むしろ、無防備に中古住宅を買うことには、新築以上に強い警鐘を鳴らしています。
あなたの中には、強烈な不安があるはずです。
「地震で倒れないか?」
「冬、凍えるように寒くないか?」
「壁の中にシロアリがいるんじゃないか?」
「あと何年住めるのか?」
その不安は正しい。中古住宅には、確かに「見えないリスク」が潜んでいます。
しかし、ここからが重要です。 私たちプロにとって、それらのリスクは「運任せのギャンブル」ではありません。
すべて、「診断」と「技術」によって、100%コントロール可能な課題に過ぎないのです。
耐震性が足りなければ、計算して補強すればいい。 寒ければ、断熱材を入れ替えればいい。
シロアリがいれば、部材を交換して防蟻すればいい。
本記事では、単なる「中古リノベのすすめ」ではなく、これらの中古特有のリスクをどのように物理的に排除し、新築以上の性能を持つ「資産」へと昇華させるのか。
その具体的な手法と、1円単位までシビアに見積もったコスト比較を提示します。
これは、不動産屋のポジショントークでも、工務店の技術自慢でもありません。
あなたの資産を守るための、極めて冷徹で、論理的な「財務・建築設計」の講義です。
「新築か、中古か」で迷う時間は、今日で終わりにしましょう。
結論として、合理的な判断ができる賢明な人々が「中古リノベ」を選ぶ理由は、単に「価格が安いから」ではありません。彼らは、「立地(時間)」「資産価値(金)」「自由(精神)」という、人生における3つの最重要資源を最大化するために、戦略的に中古を選んでいるのです。
多くの人が「中古は予算がない人の妥協案」だと勘違いしています。
しかし、富裕層や投資家思考を持つ人ほど、あえて中古物件を購入し、フルリノベーションを施して住んでいます。
なぜでしょうか? 彼らは知っているからです。「新築」というラベルに支払うプレミアムがいかに無駄であり、中古住宅という「原石」がいかに大きな可能性を秘めているかを。
本章では、その3つの本質的なメリットについて、深く掘り下げていきます。
都市計画の歴史を紐解けば明らかですが、街というのは「駅」や「中心部」から順に発展していきます。
利便性の高い一等地、環境の良い高台、学区の良い住宅街。
これらは全て、明治、大正、昭和の時代に開発され、すでに誰かの家が建っています。
2026年の今、あなたが「新築」を建てようとして探せる土地は、以下の2種類しか残っていません。
郊外のバス便エリアや造成地: 駅から遠く、通勤・通学に毎日往復1時間以上のロスが出る場所。
極小の旗竿地や変形地: まともな家が建たないような、条件の悪い売れ残り。
新築にこだわるということは、自動的に「立地の妥協」を強いられることと同義です。
毎日往復1時間の通勤時間は、年間で約250時間。35年間で8,750時間。実に「約1年間」もの時間を、あなたは電車やバスの中で過ごすことになります。 これは、人生という有限な時間の浪費です。
一方で、中古住宅(既存ストック)に目を向ければ、世界は一変します。 あなたが「住みたい」と憧れるあの街にも、売り物件はあるはずです。 上物が古くてボロボロでも関係ありません。
私たちにはリノベーションという魔法があります。
重要なのは「土地」です。土地の場所だけは、どんなにお金を積んでも、後から動かすことはできません。
中古リノベを選ぶ最大のメリットは、「人生の時間効率が良い、最高の立地を手に入れられること」。これに尽きます。
日本の不動産市場には、「新築プレミアム」という奇妙な慣習があります。
新築マンションや建売住宅の価格には、純粋な土地と建物の原価に加え、デベロッパーの莫大な広告宣伝費、営業マンの人件費、そして「新品であること」への上乗せ利益が含まれています。
これらは、あなたが購入し、鍵を開けた瞬間に蒸発します。
一般的に、新築は入居直後に価格が15%〜20%下落すると言われています。
6,000万円の新築を買った瞬間、その資産価値は4,800万円〜5,100万円になっているのです。
あなたは、住む前から1,000万円近い「含み損」を抱えることになります。
対照的に、中古住宅(特に木造戸建て)の価格推移は非常に合理的です。
日本の税制上、木造住宅の法定耐用年数は22年とされています。
市場実勢としても、築20年〜25年を超えた木造住宅は、建物価値がほぼ「ゼロ」と査定されます。
つまり、売り出し価格のほとんどが「土地の値段」だけになっているのです。
ここが、投資的な視点での最大のチャンスです。 土地の価格は、景気変動がない限り、築年数で下がることはありません。
「底値(土地値)で買って、リノベーションで価値を上乗せする」。 これが、資産防衛の鉄則です。
例えば、4,000万円(ほぼ土地値)の中古物件を買い、1,500万円かけて性能向上リノベーションをしたとします。
総額5,500万円です。 この家は、「新耐震基準適合」「断熱等級6」「長期優良住宅化」などの付加価値を持ちます。
将来、売却することになった時、ただのボロ家ではなく「性能が証明された優良住宅」として評価されます。
新築のような急激な価値下落(減価償却の崖)がなく、緩やかに価値を維持できる。
これが、賢い人が中古を選ぶ経済的な理由です。
新築建売住宅や、多くのマンションの間取りは、「nLDK」という画一的なフォーマットで作られています。
「4人家族なら4LDK」「南側にリビング」「北側に水回り」。
それは、「誰にとっても70点で、誰からも文句が出ない」ように設計された、最大公約数の箱です。
しかし、あなたの人生は平均的なものでしょうか?
「週末は自転車をいじりながらコーヒーを飲みたい」
「夫婦二人暮らしだから、壁はいらない。50畳のワンルームがいい」
「料理教室を開きたいから、キッチンの周りに10人座れるようにしたい」
こうした「個別の夢」を新築(注文住宅)で叶えようとすると、莫大なオプション費用がかかり、予算オーバーになります。
結果、多くの人が「まあ、普通でいいか」と妥協します。
中古リノベーション、特に構造躯体だけを残して解体する「スケルトンリノベーション」では、間取りの制約はほぼありません。
水回りの位置を動かすことも、2つの部屋をぶち抜いて大空間にすることも自由自在です。
さらに、コスト配分の自由度が違います。
新築の場合、基礎や屋根、外壁といった「箱を作るお金」で予算の大半が消え、内装にかけられるお金はわずかです。
しかし、中古リノベなら、既存の基礎や構造体(骨組み)を再利用できるため、その分の数百万円を「内装」や「設備」に回せます。 同じ総予算でも、新築では安っぽいフローリングしか選べなかったのが、リノベなら無垢のチーク材や、海外製のオーダーキッチンを採用できるのです。
「自分らしい暮らし」を諦めない。 家という箱に自分を合わせるのではなく、自分の人生に合わせて家を作り変える。 このクリエイティブな喜びこそが、中古リノベを選ぶ最大の精神的メリットと言えるでしょう。
結論として、中古住宅に潜む「耐震」「断熱」「劣化」という3大リスクは、運任せのギャンブルではありません。これらはすべて、現代の建築工学と正しい施工プロセスによって、数値的に診断し、新築以上の水準まで物理的に「アップデート」可能なエンジニアリングの課題に過ぎません。
あなたが中古住宅の購入を躊躇する理由は、痛いほど分かります。
「大きな地震が来たら、潰れるんじゃないか?」
「冬、すきま風で凍えるような寒さなんじゃないか?」
「壁を剥がしたら、柱がシロアリに食い尽くされているんじゃないか?」
その不安は、正常です。そして、事実でもあります。
日本の既存住宅(ストック)の大半は、現在の基準から見れば「既存不適格」であり、性能不足です。
そのまま住めば、命や健康を脅かすリスクがあります。
しかし、だからといって「中古はダメだ」と切り捨てるのは、あまりにも早計であり、思考停止です。
私たちプロのリノベーション技術者にとって、これらは「欠陥」ではなく、「伸びしろ」です。
悪い箇所が分かっているなら、直せばいい。それも、ただ直すのではなく、最新の技術で「強化」すればいいのです。
本章では、これら3つのリスクを、私たちがどのように技術的に克服し、新築建売住宅を凌駕する性能へと変貌させているのか。その「再生の全貌」を詳細に解説します。
結論:勝てます。築40年を超える「旧耐震基準」の物件であっても、骨組み(スケルトン)まで解体し、構造計算に基づいた補強を行えば、現行の最高等級である「耐震等級3」相当まで性能を引き上げることは物理的に可能です。
まず、敵を知ることから始めましょう。建物が地震に弱い最大の原因は「老朽化」ではありません。
「設計時の基準が古いこと」です。 日本の耐震基準には、大きな分岐点が2つあります。
1981年(昭和56年)6月「新耐震基準」導入: これ以前(旧耐震)は「震度5強で倒れない」が基準。これ以降は「震度6強〜7で倒れない」が基準になりました。
2000年(平成12年)6月「2000年基準」導入: 阪神淡路大震災の教訓を受け、木造住宅における「地盤調査」「柱と梁の接合金物」「耐力壁のバランス」が厳格化されました。
つまり、あなたが検討している中古物件が1990年築だとすると、「新耐震だから安心」とは言いきれません。
2000年基準を満たしていない「グレーゾーン」であり、大地震で接合部が外れ、倒壊するリスク(ホゾ抜け)が残っているのです。
リノベーションの第一歩は、解体ではありません。「診断」です。
私たちファイナンシャル・アーキテクトは、必ず「一般診断法」または「精密診断法」による耐震診断を実施します。
床下に潜り、天井裏を覗き、壁の量、屋根の重さ、基礎の状態をチェックし、コンピュータで解析します。
結果は「上部構造評点(Iw値)」という数字で出されます。
1.5以上: 倒壊しない(耐震等級3相当)
1.0以上: 一応倒壊しない(現行基準ギリギリ)
0.7未満: 倒壊する可能性が高い
多くの中古住宅は、この評点が「0.4〜0.7」程度です。
ここで絶望する必要はありません。現状を知ることが、治療のスタートラインだからです。
評点が低い原因が分かれば、そこをピンポイント、かつ全体的に補強します。
スケルトンリノベーションでは、以下のような「外科手術」を行います。
壁を強くする(耐力壁の増設): 筋交い(すじかい)を入れる、または構造用合板を柱に打ち付けることで、横揺れに耐える強い壁を作ります。重要なのは「量」だけでなく「バランス」です。偏った補強は逆に家をねじれさせます。
関節を固める(金物補強): 2000年以前の家で最も足りないのがこれです。柱と土台、柱と梁が抜けないよう、「ホールダウン金物」などの専用金具でガチガチに固定します。
基礎を補修する: 古い家の基礎にひび割れ(クラック)がある場合、エポキシ樹脂を注入して固めます。鉄筋が入っていない「無筋基礎」の場合は、炭素繊維シートで補強したり、新たなコンクリートを抱き合わせたりして強化します。
屋根を軽くする: 重い日本瓦を撤去し、軽量なガルバリウム鋼板に葺き替えます。頭(屋根)を軽くするだけで、耐震性能は劇的に向上します。
さらに、リノベーションならではの強みとして、「制震ダンパー」の導入があります。
新築建売ではコストカットで省かれがちなこの装置を、壁の中に組み込むことで、地震の揺れを熱エネルギーに変換し、建物のダメージを吸収します。 「耐震(耐える)」+「制震(吸収する)」。
このハイブリッド構造により、繰り返す余震にも耐えうる、避難所のような安全性を持った家へと生まれ変わるのです。
結論:変えられます。壁・床・天井を魔法瓶のように包み込み、熱の最大の逃げ道である「窓」を交換することで、冬でもTシャツで過ごせる「断熱等級5(ZEH水準)」や「等級6(HEAT20 G2)」の快適性を実現できます。
日本の既存住宅の約90%は、現代の省エネ基準を満たしていません。
昔の家は「風通し」を重視して作られており、断熱材が入っていない、あるいは薄いグラスウールが隙間だらけに入っているだけ、というのが実態です。
この「無断熱住宅」は、冬場の脱衣所やトイレが極寒になります。 急激な温度差により血圧が乱高下し、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす「ヒートショック」。
これによる年間死亡者数は、交通事故死者数の数倍にのぼります。 「中古は寒い」を放置することは、家族の命を危険に晒すことと同義です。
家の熱の50%〜70%は、「窓」から逃げていきます。
古い家の象徴である「アルミサッシ+単板ガラス」は、断熱性の観点からは「穴が空いている」のと同じです。
リノベーションでは、ここを徹底的に塞ぎます。
樹脂サッシへの交換: 熱伝導率が高い(熱を通しやすい)アルミではなく、熱を伝えにくい樹脂(プラスチック)製の枠に変えます。
Low-E複層ガラス・トリプルガラス: ガラスを2枚、3枚にし、間にアルゴンガスを入れたものに交換します。
2026年の補助金(先進的窓リノベ)を使えば、この高額な窓交換費用の約半額がカバーされます。
これを活用しない手はありません。
スケルトンリノベーションの最大のメリットは、壁の中まで手が入ることです。
単に新しい断熱材(高性能グラスウールや現場発泡ウレタン、セルロースファイバーなど)を入れるだけでは不十分です。
重要なのは「気密(隙間をなくすこと)」と「防湿(結露を防ぐこと)」です。
古い家は隙間だらけです。
いくら分厚いダウンジャケット(断熱材)を着ても、ジッパーが開いていれば(隙間があれば)寒いのと同じです。
私たちは、気密シートやテープを使って、家の隙間をミリ単位で塞ぎます(C値の向上)。
これにより、暖房の熱を逃さず、計画的な換気ができる「燃費の良い家」になります。
新築建売住宅では、コスト削減のために断熱材の施工精度が低いケースが多々見受けられます。
一方で、私たちが手がける性能向上リノベーションでは、熟練の職人が壁の裏側まで丁寧に施工し、サーモカメラ等でチェックを行います。 結果として、「新築よりも暖かい中古」が出来上がるのです。
結論:恐れる必要はありません。シロアリや腐朽は、開けてみなければ分かりませんが、開けてしまえば「交換」できます。木造住宅の最大の利点は、部品(木材)の交換が容易であることです。私たちは腐った部分をすべて取り除き、新築時以上の防蟻処理を施して、家をリセットします。
中古住宅購入における最大の恐怖は、ブラックボックス(見えない部分)でしょう。
「インスペクションで問題なしと言われたのに、壁を剥がしたら柱が腐っていた」
これは実際に起こり得ます。非破壊検査には限界があるからです。
しかし、私たちプロは「腐っているかもしれない」ではなく、「腐っているだろう」という前提で計画を立てます。
築30年以上の木造住宅で、水回り(風呂・トイレ・台所)周辺の土台や柱が無傷であるケースの方が稀です。
だからこそ、私たちは表面だけを綺麗にする「表層リフォーム」ではなく、骨組みまで露出させる「スケルトンリノベーション」を推奨するのです。
壁や床をすべて撤去し、構造体が露わになった瞬間、家の健康状態がすべて白日の下に晒されます。
もし、浴室周りの土台が腐ってボロボロになっていたらどうするか?
答えはシンプルです。「ジャッキアップ」して家を持ち上げ、腐った土台を引き抜き、新しいヒノキやヒバの土台に入れ替えます。 柱がシロアリに食われていたら?
その柱を撤去し、新しい柱に入れ替えるか、添え木をして補強します。
これは、人間で言えば「患部を切除し、人工関節を入れる」ような手術です。
木造住宅は、鉄筋コンクリートと違い、部材単位での交換が非常に容易な構造をしています。
「腐っている=廃家」ではありません。「腐っている=交換時期」に過ぎないのです。
悪い部分を直しただけでは、また数年後にシロアリが来ます。
重要なのは「予防」です。 日本の一般的なシロアリ駆除剤(農薬系・ネオニコチノイド系)は、効果が強力ですが、揮発して健康被害が出るリスクがあり、しかも効果は5年程度で切れてしまいます。
私たちが推奨するのは、「ホウ酸」による防蟻処理です。 ホウ酸は、海水や土壌に含まれる天然物で、人間には無害(食塩程度)ですが、腎臓を持たない昆虫(シロアリ)にとっては猛毒となります。
そして最大の特徴は、「揮発せず、効果が半永久的に続く」ことです。 欧米やオーストラリアではスタンダードなこのホウ酸処理を、リノベーション時に木部全体に施すことで、あなたの家は「シロアリが食べられない家」になります。
いかがでしたか? 耐震性の不足、断熱性の欠如、構造材の劣化。
これらは確かに中古住宅のデメリットですが、同時に「リノベーションで劇的に改善できるポイント」でもあります。
何も対策せずに住めば、それらは「リスク」のままです。 しかし、エンジニアリングの力で介入すれば、それらは「新築以上の性能を手に入れるための伸びしろ」へと変わります。
「中古は怖い」と感情的に避けるのではなく、「直せば新築より良くなる」と論理的に捉えること。
この思考の転換こそが、2026年の住宅購入で勝者となるための条件です。
(続く第3章では、これらを実現するための「具体的なコスト」について、新築と中古リノベを35年スパンで徹底比較します。)
結論として、住宅購入において比較すべきは目の前の「物件価格」ではなく、35年間に支払う「総支払額(トータルコスト)」です。初期費用、税金、光熱費、メンテナンス費を全て合算してシミュレーションすると、「中古+性能向上リノベーション」は、同等条件の新築と比較して、総額で1,000万円〜1,500万円もの資産差を生み出すことが判明します。
あなたはスーパーで買い物をするとき、10円でも安い卵を探すかもしれません。
しかし、家を買うとなると、なぜか「数百万の差」に無頓着になってしまう人が多いのです。
「新築の方が気持ちいいから、多少高くてもいいか」 その「多少」の感覚が、老後の資金を食い潰す元凶です。
家は「買った時」がゴールではありません。
「維持し、払い続ける」マラソンのスタートです。
本章では、見落とされがちな「隠れコスト」を含めた完全な収支決算書を公開します。
結論:新築の提示価格は「裸の価格」です。住める状態にするには数百万円のオプションが必要です。一方、リノベーションは「全て込み」で計画できます。結果として、初期投資だけで約750万円〜1,000万円の差がつきます。
エリア: 都内近郊のベッドタウン(人気学区)
条件: 土地30坪、延床面積30坪(約100㎡)の木造2階建て
比較対象:
A:新築建売住宅(土地+建物)
B:築25年の中古住宅購入 + フルスケルトンリノベーション
チラシに「4,980万円!」と書いてあっても、その金額では住めないことをご存知でしょうか。
日本の建売住宅の価格表示は、徹底的に削ぎ落とされた数字です。
物件価格: 6,000万円(土地3,500万+建物2,500万)
諸費用: 300万円(仲介手数料、登記費用、ローン保証料など)
【隠れコスト】オプション工事: 250万円
網戸(実は付いていないことが多い):20万
カーテンレール・カーテン:30万
照明器具:30万
エアコン(4台+工事費):50万
テレビアンテナ・ネット回線工事:10万
フロアコーティング等:30万
カップボード(食器棚):30万
外構追加(カーポート、フェンス):50万
初期総額: 6,550万円
一方、中古リノベは「土地値」で物件を仕入れます。
物件価格: 4,000万円(土地3,500万+古家500万)
リノベ費用: 1,500万円(フルスペック性能向上)
この中に、照明、カーテン、エアコン、最新キッチン、外構補修など「全て」を含みます。
諸費用: 250万円(仲介手数料、登記費用等 ※建物評価額が低いため新築より安い)
初期総額: 5,750万円
差額: ▲800万円 この時点で、高級外車1台分、あるいはお子様一人分の大学費用(私立理系)が浮いています。
同じエリアに住み、新築と同等(あるいはそれ以上)の内装と性能を手に入れながら、ローン元本が800万円少ない。
これが、スタートラインでの決定的な差です。
結論:新築は「税金が高い」。これは35年間逃れられない事実です。リノベーション(確認申請不要の範囲)であれば、建物の評価額は上がらないため、新築に比べてトータルで数百万円の節税になります。
毎年春に送られてくる納税通知書。この金額を決めるのは「固定資産税評価額」です。
新築: 最新の資材、最新の設備で作られた新品として評価されるため、評価額はMAXです。
中古: 築年数が経つごとに評価額は下がり、築20〜25年で下限に達します。
ここが重要です。 日本の税制では、「建築確認申請を伴わないリノベーション(増築や大規模な構造変更以外)」であれば、いくら内装を豪華にしても、断熱材を高級なものに変えても、原則として建物の評価額は上がりません。
つまり、住み心地は「新築」なのに、税務署からの扱いは「ボロ家のまま」なのです。
(※新築の減税措置期間終了後を平均化して試算)
A:新築
平均年額:15万円 × 35年 = 525万円
B:中古リノベ
平均年額:6万円 × 35年 = 210万円
差額: ▲315万円 初期費用の差(800万)に加え、さらに300万円以上の差が開きました。 固定資産税は、生きて家に住んでいる限り払い続ける「家賃」のようなものです。これを安く抑えることは、老後の家計防衛に直結します。
結論:ただの中古(無断熱)を買うと、光熱費で破産します。しかし、「断熱等級6(HEAT20 G2)」レベルまでリノベした家は、新築(等級4〜5)よりも光熱費が安くなります。さらに太陽光を載せれば、その差は圧倒的になります。
2026年、電気代は上がり続けています。
「家が安いから」といって断熱性能の低い中古住宅にそのまま住むのは自殺行為です。
冬場の暖房費だけで月3万〜4万円が消えていきます。
しかし、第2章で解説した「性能向上リノベ」を行い、さらに東京都などの助成金(第4章参照)を使って太陽光パネルを載せた場合はどうなるでしょうか。
A:一般的な新築(断熱等級4・太陽光なし)
月平均:2.5万円 × 12ヶ月 × 35年 = 1,050万円
B:高性能中古リノベ(断熱等級6・太陽光+蓄電池あり)
月平均:0.5万円(売電・自家消費込み)× 12ヶ月 × 35年 = 210万円
差額: ▲840万円 驚くべき数字ですが、これが現実です。 「高断熱+太陽光」の家は、エネルギーを自給自足するため、外部から
買う電気が激減します。
新築建売で太陽光まで標準装備している物件は稀ですが、中古リノベなら「浮いた予算」で太陽光を載せることが可能です。
結論:新築も中古も、10年〜15年ごとにメンテナンスが必要です。しかし、35年後に「土地値」でしか売れない新築に対し、中古リノベは「購入時とほぼ同じ価格(土地値)」で売れる可能性があります。資産の目減りが最も少ないのは中古リノベです。
「新築はメンテナンスフリー」ではありません。 外壁のサイディングの目地(コーキング)は10年で切れます。
屋根のスレートも15年で塗装が必要です。 新築購入者の多くが、10年後の「100万円規模の修繕費」の積み立てを忘れています。
一方、中古リノベは、入居時に外壁塗装や屋根の葺き替え(高耐久ガルバリウム等)を行っています。
つまり、メンテナンスのサイクルを自分でコントロールしてスタートできるため、突発的な出費に怯える必要がありません。
35年ローンを完済した時、その家はいくらで売れるでしょうか。
A:新築(6,000万円で購入)
35年後:建物価値ゼロ。土地価格のみ。
想定売却額:3,500万円(地価横ばいの場合)
資産減少額: ▲2,500万円
B:中古リノベ(4,000万円で購入+1,500万リノベ)
35年後:建物価値ゼロ。土地価格のみ。
想定売却額:3,500万円
資産減少額: ▲2,000万円(※リノベ費は消費したが、土地値での購入のため減少幅が小さい)
さらに、もしリノベ時に「長期優良住宅化」などの認定を取っていれば、建物に価値が残り、プラス査定になる可能性すらあります。 「高く買って、安く売る」新築に対し、「安く買って、価値を維持して売る」中古リノベ。 投資効率の差は歴然です。
ここまでの差額を合計してみましょう。
初期費用の差: 800万円
税金の差: 315万円
光熱費の差: 840万円
合計: 約1,955万円
これが、35年間であなたの手元に残る金額の差です。
2,000万円あれば、何ができるでしょうか。 夫婦で世界一周旅行に行けます。
老後の資金問題は解決します。お子様に奨学金を借りさせずに大学へ行かせられます。
「新築か、中古か」という選択は、単なる家の好みの問題ではありません。
「2,000万円を家に払うか、自分の人生に使うか」という選択なのです。
(続く第4章では、これらのメリットを確実に手に入れるための「物件選びの選球眼」について、絶対に手を出してはいけないNG物件の条件を含めて解説します。)
~2025年の新常識。見た目の綺麗さを捨て、構造のポテンシャルを買え~
結論として、性能向上リノベーションを前提とするならば、物件を見る視点を180度転換する必要があります。「内装や設備のキレイさは無視(価値ゼロ)」「外壁はモルタル仕上げを狙う」「階段と屋根の状態は妥協しない」。この3つの鉄則を守ることで、あなたは法的な制約(建築確認申請)を回避しつつ、最もコストパフォーマンスに優れた「金の卵」を手に入れることができます。
これまでの常識を一度すべて忘れてください。 「キッチンが新品で嬉しい」「壁紙が張り替えられていて綺麗」。
これらは、私たちプロから見れば「価値」ではなく、むしろ解体費用がかさむだけの「負債」です。
2025年の建築基準法改正により、リノベーションの難易度は劇的に上がりました。
これからの時代、賢い投資家が探すべきは、表面がきれいに化粧された物件ではありません。
多少古びていても、法的な「大規模の修繕」に該当させずに、低コストで高性能化できる「骨格の良い物件」です。
本章では、5000棟以上の現場を知る私たちが、実際にどのような基準で物件を選定しているのか。
巷の不動産サイトには決して載らない、現場のプロだけが知る「選球眼」を完全公開します。
結論:内装の美しさや住宅設備の最新性は、将来の解体を前提とする我々にとっては価値ゼロです。むしろ、販売価格に上乗せされた「見せかけのリフォーム費用」は、無駄な投資でしかありません。
中古物件の内覧に行くと、多くの人が「うわあ、キッチンがピカピカ!」「お風呂も新しい!」と目を輝かせます。
しかし、その瞬間こそが、最も陥りやすい罠です。
私たちプロは、内装や設備の状態を評価項目から完全に除外します。
極論すれば、キッチンが30年前のボロボロのものであろうと、壁紙がタバコのヤニで黄色かろうと、全く問題にしません。
なぜなら、それらは全て、性能向上リノベーションの過程で「いずれにせよ解体・撤去されるもの」だからです。
ITプロジェクトに例えるなら、サーバーの性能を根本から刷新するプロジェクトにおいて、筐体(ケース)の色や、プリインストールされているお試し版ソフトの有無を評価するようなものです。
プロジェクトマネージャーであるあなたなら、それが無意味であることは即座に理解できるでしょう。
本当に重要なのは、CPUやメモリ(構造躯体や断熱性能)といったコア・コンポーネントのはずです。
私たちが手掛けるリノベーションは、床・壁・天井をすべて解体して構造躯体を剥き出しにする「スケルトン状態」から再構築します。その過程で、既存のキッチンや内装材はすべてゴミになります。
つまり、あなたが「綺麗だ」と感じたその内装に支払う物件価格の上乗せ分は、「解体費用を払って捨てるものに対して、お金を払っている」ことと同義なのです。
この観点から、最も避けるべきなのが、不動産会社が販売目的で表面的な化粧直しをした「リノベ済み物件(再販物件)」です。
彼らの戦略: 低コストで見栄えを良くするため、「壁紙の張替え」「床材の上貼り」「安価な設備の交換」を行う。
隠された真実: 壁の裏にある断熱材の欠損、構造躯体の劣化、耐震性の不足には一切手が付けられていない。
これは、デザインだけを美しく見せかけた、バグだらけのアプリケーションのようなものです。
もしあなたがこの物件を買い、真の性能向上リノベを行おうとすれば、購入時に支払った「見せかけのリフォーム費用」は全額ドブに捨て、さらに解体費を払って撤去することになります。
これは「負の遺産」からのスタートです。 成功への第一歩は、「内装がボロボロで、設備も古い。だからこそ安く買える物件」にこそ、最高のポテンシャルが眠っていると気づくことです。
結論:リノベ総額を抑える鍵は、「解体・撤去」ではなく「性能向上」そのものに予算を集中できる物件を選ぶことです。そのために絶対に見るべきは、「外壁の仕上げ」「階段の状態」「屋根の状態」の3点です。これらは後から変更すると、莫大な費用と法的な手間(建築確認申請)の引き金になります。
内装を無視する代わりに、私たちは一体どこを見ているのか。
それは、「性能向上リノベーションの過程で、余計なコストや法的な手続きを発生させないポテンシャルを持っているか」
という一点です。
意外かもしれませんが、私たちが最も歓迎するのは、サイディング(パネル張り)ではなく、昔ながらの「モルタル壁(塗り壁)」です。
なぜか? それは「窓の交換(断熱強化)」と密接に関係しています。
2026年の基準で快適な家を作るには、既存のアルミサッシを撤去し、高性能な樹脂サッシに入れ替える工事が必須です。
この時、外壁の種類がコストを大きく左右します。
× サイディング壁の場合: 窓のサイズを変えると、周囲のパネルをカットする必要があります。しかし、既存のパネルは色褪せているため、部分補修するとそこだけ色が合わず、パッチワークになります。 結果、美観を保つために「外壁全体の張り替え(数百万円)」が必要になります。
◎ モルタル壁の場合: 職人が手で塗った壁です。サッシ交換で生じた隙間や段差を、再度モルタルで塗り、部分塗装することで、安価かつ綺麗に補修できます。
つまり、モルタル壁の家を選ぶことは、将来の高性能サッシへの交換費用を安く抑え、その浮いた予算を断熱材に回すための、極めて合理的な戦略なのです。
次に重要なのが、階段と屋根です。これらは状態が悪いと、2025年改正建築基準法の「確認申請」の罠にハマります。
階段の状態: 「急すぎるから架け替えたい」と思うかもしれません。しかし、階段の架け替えは法的に「主要構造部の大規模修繕」にあたり、建築確認申請が必要になる可能性が高いのです。申請を出すと、家全体を現行法規に適合させる義務が生じ、想定外のコスト増になります。 多少のきしみは許容しても、構造的にしっかりしており、勾配も許容範囲で「そのまま使える階段」であることが理想です。
屋根の状態: 屋根は雨漏りに直結する最重要パーツです。葺き替えには100万円以上かかります。 この費用を断熱や耐震に回すためにも、少なくとも今後10年は大規模メンテが不要な状態(瓦のズレがない、塗装が生きている等)であることが、コスパの観点から重要です。
築50年以上の古民家に多い「板張り」の外壁。趣はありますが、板や下地が腐っている場合、外壁改修が「大規模修繕」とみなされ、やはり確認申請が必要になります。
「趣(デザイン)」と「コスト」はトレードオフです。合理性を取るなら、板張りは避けるのが無難です。
結論:建築確認申請という法的なハードルを回避し、コストを抑えながら性能を最大化する。この相反する課題を解決する唯一の解が「内部ハーフスケルトンリフォーム」です。この戦略があるからこそ、私たちはあえて「モルタル壁」や「無筋基礎」の物件を狙うのです。
2025年4月以降、木造住宅のリノベーションにおいて「主要構造部の過半(1/2超)」を修繕する場合、建築確認申請が必須となりました。 これを避けるためには、「主要構造部(壁・柱・床・屋根など)の改修範囲を1/2以下に抑える」必要があります。
そこで私たちが採用するのが、「内部ハーフスケルトン」です。
外側: 屋根と外壁は原則触らない(塗装などのメンテに留める)。
内側: 床・壁・天井をすべて解体し、スケルトンにする。
これにより、法的には「大規模修繕」に該当させず、確認申請を回避します。
面倒な手続きやセットバック(道路後退)義務を発生させずに、純粋な性能向上工事だけを行うことが可能になります。
この戦略を理解すると、先ほどの「物件選びの基準」の意味がすべて繋がります。
なぜモルタル壁なのか? 内部ハーフスケルトンでは、唯一外部を触るのが「サッシ交換」です。モルタルなら部分補修で済むため、外壁の「過半」を触らずに済み、確認申請を回避しやすいからです。
なぜ無筋基礎を恐れないのか? 「旧耐震の家は基礎に鉄筋が入っていない(無筋)からダメだ」と言われます。しかし、内部ハーフスケルトンでは「1階の床」をすべて剥がします。 床を剥がせば、基礎は丸見えになります。そのタイミングで、内側から新たなコンクリートを抱き合わせたり、炭素繊維で補強したりすることが可能です。 つまり、無筋基礎であっても、床の断熱工事のついでに、合理的かつ安価に補強ができるのです。
この「内部ハーフスケルトン」を行えば、確認申請を回避しながらも、以下の性能を実現できます。
耐震性: 上部構造評点1.5以上(耐震等級3相当)
断熱性: 断熱等級6(HEAT20 G2)
新築同様の性能を、新築よりも圧倒的に安いコストで、しかも法的な泥沼を避けて実現する。
これが、プロだけが知っている「意図的にボロい家(ただし骨格は良い家)を買う」という戦略の全貌です。
いかがでしたか。 一般の人が「汚い」と敬遠する物件こそが、私たちにとっては「最高のキャンバス」に見える理由がお分かりいただけたでしょうか。
× 一般人の視点: キッチンが綺麗か? 壁紙は新しいか?(表層の価値)
◎ プロの視点: 外壁はモルタルか? 階段は再利用できるか? 内部を解体しやすいか?(構造のポテンシャル)
この視点を持てば、ライバルが見向きもしない「売れ残りの古い家」が、実はリノベーション総額を数百万円も引き下げる「金の卵」であることに気づけるはずです。
しかし、この判断を素人判断で行うのは危険です。
「この階段は再利用できるか?」
「この外壁は補修で済むか?」
そのジャッジを下すためには、物件探しの段階から建築のプロを同行させる必要があります。
(次章では、この「物件探し」と「リノベ診断」を同時に行うためのパートナー選び、「ワンストップサービス」の重要性について解説します。)
~物件探しとリノベを分けるな。「財務・建築の設計者」と組め~
結論として、中古リノベーションを成功させるための絶対条件は、物件探し、資金計画、そしてリノベーション設計・施工を一つの窓口で完結させる「ワンストップサービス」を利用することです。不動産屋と工務店を別々に回る「分離発注」は、予算オーバー、責任の押し付け合い、そして「直せない家を買ってしまう」という致命的なミスを招く構造的な欠陥があります。
想像してみてください。 「最高の食材(物件)」を自分で市場へ買い出しに行き、それを「シェフ(工務店)」の元へ持ち込んで、「これで最高のフランス料理を作ってくれ」と頼む。
もし、あなたが選んだ食材が腐っていたら? シェフの得意料理と違う食材だったら?
料理は失敗し、食材費も調理費も無駄になります。
家づくりも全く同じです。 素人であるあなたが、不動産屋という「食材売り」の言葉だけを信じて物件を買い、後から建築のプロに見せる。この順序が間違っているのです。
本章では、なぜ従来の方法が失敗するのか、そして私たちが提供する「同行インスペクション」がいかにしてあなたの資産を守るのかを解説します。
結論:不動産仲介業者のゴールは「売買契約」であり、その後の暮らしやリノベーションの成否には責任を持ちません。「リフォームすれば綺麗になりますよ」という無責任な営業トークを鵜呑みにすることは、資産を危険に晒す行為です。
不動産屋の内見でよくある光景です。 ボロボロのキッチンや剥がれた床を見て不安がるあなたに、営業マンはこう囁きます。
「大丈夫です。中古ですからこんなものですが、リフォームすれば300万くらいでピカピカになりますよ」
断言します。その数字に根拠はありません。 彼らは建築のプロではありません。
壁の裏の断熱材がどうなっているか、耐震補強にいくらかかるか、2025年の法改正で確認申請が必要になるか。何も分かっていません。 彼らの頭の中にあるのは、「早く契約させて仲介手数料を得たい」という一点のみです。
彼らの言葉を信じて物件を購入し、いざ私のような工務店に見積もりを依頼すると、現実はこうなります。
「佐藤さん、この家、断熱材が入っていません。耐震も補強が必要です。希望される水回りの移動を含めると、最低でも1,200万円はかかります」
予算オーバー確定です。 すでに物件購入でローンを組んでしまっているため、追加融資も難しい。
結果、性能向上を諦め、表面だけをなぞる「妥協のリフォーム」をするか、借金を重ねるか。
これが、不動産と建築を切り離して進めた人の末路です。
予算の問題ならまだマシです。
「この壁は構造上、抜けません(希望の間取り不可)」
「この土地は法的に増築も大規模修繕もできません(再建築不可の制約)」
購入後にこれが判明した場合、あなたの理想のマイホーム計画はその時点で破綻します。
不動産屋は「重要事項説明書には書いてありました(専門用語で)」と言って逃げます。
結論:失敗を防ぐ唯一の方法は、物件の契約「前」に、建築のプロによる診断と見積もりを完了させることです。これを可能にするのが、増改築.com®が提供するワンストップサービスです。
私たち「ファイナンシャル・アーキテクト(財務・建築の設計者)」と進める家づくりは、順序が逆です。
総予算の確定(ファイナンス): 物件価格ではなく、「月々の返済額」から逆算し、リノベ費用を含めた総予算を先に決めます。
プロ同行による物件選定(アーキテクト): 候補物件が見つかったら、建築士が同行します。 「この壁は抜けるか」「配管は更新できるか」「断熱改修にいくらかかるか」をその場で判断します。
セットローン審査・契約: 物件価格とリノベ費用の総額が見えた段階で、住宅ローン(一体型ローン)の審査を通し、それから売買契約を結びます。
これにより、「買ったけど直せない」「予算が足りない」というリスクを100%排除できます。
さらに、リノベ費用も住宅ローンの低金利(0.3%〜0.6%程度)で借りられるため、金利の高いリフォームローン(2%〜4%)を使う必要がなくなり、総支払額で数百万円の差が出ます。
結論:物件の状態を科学的に数値化せずに買うのは、中身の分からない福袋を数千万円で買うのと同じです。増改築.com®では、正式契約前に建物の健康状態を丸裸にする「購入前インスペクション」を提供しています。これは、あなたの交渉力を劇的に高める武器になります。
私たちが提供する「中古戸建て住宅インスペクション(建物状況調査)」は、不動産屋の案内で行く「内見」とは次元が異なります。 建築士の資格を持つインスペクターが、専門機材を持ち込み、建物の深部までチェックします。
床下・小屋裏への進入: シロアリの被害はないか? 雨漏りの跡はないか? 断熱材は入っているか? 基礎にひび割れはないか?
レーザーレベル測定: 床や柱に傾きはないか?(不同沈下の兆候を見抜く)
サーモグラフィ調査(オプション): 壁の中の断熱材の欠損や、隠れた雨漏りを熱画像で可視化する。
▶ サービス詳細:中古住宅購入前のホームインスペクション(住宅診断)
このインスペクションの最大のメリットは、「値引き交渉の根拠」になることです。
「なんとなく古いから安くして」と言っても、売主は首を縦に振りません。
しかし、インスペクション報告書を提示し、
「床下にシロアリ被害が見つかりました。駆除と補修に100万円かかります。その分を物件価格から引いていただけるなら、購入します」
と交渉すればどうでしょうか? これは合理的な要求であり、売主も受け入れざるを得ません。
実際、私たちのクライアントの多くが、インスペクション結果を元に100万円〜300万円の値引き交渉に成功しています。
インスペクション費用(数万円〜十数万円)など、一瞬で回収できるのです。
そして、最も重要なのは「買わない勇気」を持てることです。
インスペクションの結果、「基礎が致命的に壊れている」「是正不可能な違法建築である」と判明した場合、
私たちは「この物件はやめましょう」とアドバイスします。
契約直前で踏みとどまれたこと。これこそが、数千万円の損失を防いだ「最大の利益」です。
物件選びで迷っている佐藤さんへ。 最高の物件(原石)を見つける方法は、SUUMOを毎日チェックすることではありません。 その原石を鑑定し、磨き上げる技術を持った「パートナー」を見つけることです。
不動産屋: 「売る」のが仕事。リスクには目をつぶる。
リフォーム屋: 「直す」のが仕事。物件の良し悪しは分からない。
増改築.com(ワンストップ): 「資産を守る」のが仕事。悪い物件は買わせない。
あなたがこれから35年、安心して住める家を手に入れたいなら。 契約書にハンコを押す前に、私たちに声をかけてください。
その一本の電話が、あなたの資産を、そして家族の未来を守る最初の防衛線になります。
新築には「新品」という心地よさがありますが、そのブランドのために、立地の選択肢を狭め、高額なローンを背負う必要はありません。中古リノベーションは、「賢さ」と「自由」を手に入れるための選択です。 正しい知識と技術があれば、耐震や断熱といった見えないリスクは完全にコントロール可能です。そして、新築よりも圧倒的に有利なコストで、注文住宅すら超える自由な空間を実現できます。
「誰かが作った家に合わせる」のではなく、「自分の人生に合わせて家を作る」。 性能向上リノベーションは、その理想を最も合理的に実現するための、現代における最適解です。
さあ、賢い家づくりを始めましょう。 まずは「インスペクション」から。あなたのための「本当の物件探し」が、そこから始まります。
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ハイウィル株式会社 四代目社長
1976年生まれ 東京都出身。
【経歴】
家業(現ハイウィル)が創業大正8年の老舗瓦屋だった為、幼少よりたくさんの職人に囲まれて育つ。
中学生の頃、アルバイトで瓦の荷揚げを毎日していて祖父の職人としての生き方に感銘を受ける。 日本大学法学部法律学科法職課程を経て、大手ディベロッパーでの不動産販売営業に従事。
この時の仕事環境とスキルが人生の転機に。 TVCMでの華やかな会社イメージとは裏腹に、当たり前に灰皿や拳が飛んでくるような職場の中、東京営業本部約170名中、営業成績6期連続1位の座を譲ることなく退社。ここで営業力の基礎を徹底的に養うことになる。その後、工務店で主に木造改築に従事し、100棟以上の木造フルリフォームを大工職人として施工、管理者として管理。
2003年に独立し 耐震性能と断熱性能を現行の新築の最高水準でバリューアップさせる戸建てフルリフォームを150棟、営業、施工管理に従事。
2008年家業であるハイウィル株式会社へ業務移管後、 4代目代表取締役に就任。
250棟の木造改修の営業、施工管理に従事。
2015年旧耐震住宅の「耐震等級3」への推進、「断熱等級6」への推進を目指し、 自身の通算500棟を超える木造フルリフォーム・リノベーション経験の集大成として、性能向上に特化した日本初の木造フルリオーム&リノベーションオウンドメディア 「増改築com®」をオープン。
フルリフォーム(全面リフォーム)で最も大切なのは「断熱」と「耐震」です。性能向上を第一に考え、末永く安心して住める快適な住まいを目指しましょう。
戸建てリノベーションの専属スタッフが担当致します。
一戸建て家のリフォームに関することを
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営業マンはおりませんので、しつこい営業等も一切ございません。
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