戸建フルリフォームなら「増改築.com®」TOP>性能向上リノベーションとは?>新耐震基準の家で、まるごと改装しつつ「断熱」をコストを抑えてやりたい方向けの全改装+インナーサッシ
「築20年ほどで、そろそろ壁紙や設備が古くなってきた。見た目を一新して気持ちよく住みたい。でも間取りを変える予定はないし、大掛かりな耐震補強もいらない。でも冬場の寒さはちょっとつらいので、手軽に断熱だけアップできないか……」
こうしたお悩みは、2000年以降(または1981年以降)の新耐震基準で建てられた家にお住まいの方からよく寄せられます。一般的な「戸建てまるごとリフォーム」は、家の外観や内装、水回りなど表面的な部分をリフレッシュする工事が中心です。
新耐震基準の家であれば、耐震構造がある程度整っていることが多く、「わざわざ大きく補強しなくてもよいかも」という場合も多い。さらに間取り変更もなければ、比較的工期や費用を抑えて家全体を見た目・使い勝手ともに改装できます。
とはいえ、寒暖差が激しい季節になると「もう少し断熱をどうにかしたい」という声は根強い。その解決策として、既存の窓はそのまま、内窓(インナーサッシ)だけを追加するという方法が選ばれています。今回はそうした「改装メイン+インナーサッシで断熱強化」についてまとめました。
「戸建てまるごとリフォーム」といっても、リフォームの内容や範囲は施主様の要望や予算によって大きく変わります。代表的な工事項目としては、以下のようなものが挙げられます。
外装リフォーム: 外壁塗装、屋根塗装(または屋根葺き替え)、雨樋交換、玄関ドアの交換
内装リフォーム: 壁紙の張り替え、フローリングの張り替え(もしくは重ね張り)、和室の畳や壁の塗り直し
水回りリフォーム: キッチン、浴室、トイレ、洗面台などの設備交換
建具リフォーム: 室内ドアの取り換え(またはリフォーム用デザインシートの貼り付け)、収納扉の交換など
これらを「パッケージ」として設定しているリフォーム会社も多く、一定の坪数(たとえば30坪、あるいは延床面積25~35坪)を目安に、「外壁塗装+内装張り替え+水回り設備交換+玄関ドア交換」のセットメニューを設けているケースがよく見受けられます。
家の見た目を一新したい場合に選ばれることの多いプランです。外壁を塗り替え、屋根も再塗装し、玄関ドアを交換するといった工事内容がメインになります。築年数が10~20年程度で、まだ大きな構造劣化が少なく、外壁のクラックも軽微なうちに行うケースが多いです。
中古住宅を購入して「キッチンや浴室は新品を使いたい」という方が、このパターンをよく選びます。間取り変更をせずに、既存の位置・大きさのまま設備機器を入れ替えるだけなので、配管工事も最低限で済み、費用を抑えやすいという特徴があります。
いわゆる「フルリフォーム」と言われるものがこれに当たります。外壁・屋根、水回り設備、内装材、建具など、家の中と外をまるごと改装するため、家の見た目と使い勝手の両方をリフレッシュできます。費用は高めですが、その分中古物件が一気に“新築同様”の雰囲気になるのが魅力です。
改装リフォームならではの特徴やメリット・デメリットを整理します。ここでいう「戸建てまるごと改装リフォーム」は、基本的に構造補強や断熱性能の向上を目指さない、表面的な改装であることを前提としています。
まるごとリフォームの商品を見てみると、多くの場合「床は上張り」「水回りは同じ位置に同じサイズのユニットを入れる」「サッシは変えず、玄関ドアのみ交換」など、極力“家の骨格”をいじらないメニューで構成されています。そのため、工事期間やコストが性能向上リノベより軽減されるという利点がある一方、住まいの根本的な耐震性や断熱性は変わらないという点が最大の特徴です。
特に、2000年以降に建てられた「新耐震」の家であれば、法的な耐震基準を満たしている可能性が高いので、大掛かりな耐震補強をあえてやらずに済む場合もあります。このときに“まるごとリフォーム”を採用すれば、見た目はほぼ新築に近い仕上がりになるのに、比較的リーズナブルに済ませられるメリットが期待できるわけです。
間取り変更がない、設備の配置も基本的には移動しない、床や壁は重ね張りが中心、という形態なので、大工工事や躯体工事の手間が少ないのが改装リフォームの利点です。その結果、坪あたりの費用単価も30万~50万円程度で済む例が多く、中古戸建の購入後に「ひとまずきれいに住める状態にしておきたい」というニーズには十分応えられます。
ただし、あくまでこれは“標準的な家”かつ“追加解体が不要”な場合の目安。もし床下地が傷んでいて張り替えが必要だったり、外壁のクラックが予想外に深刻だったりすれば、追加の下地補修や構造補強が必要となり、費用が膨らむケースもあるので要注意です。
もう一度強調しますが、まるごとリフォームは 性能向上リノベーションではありません。したがって、耐震面に不安がある築古物件や、断熱材が不十分な地域での住宅などにはあまり向きません。新耐震基準をクリアしている建物で、さらに「そこまで断熱を重視していない」場合には、まるごとリフォームは十分選択肢になり得るということです。
水回りの移動はせず、そのままキッチンや浴室を入れ替えるだけなので、配管工事も比較的簡便です。ただし、築20年ほどの家でも、床下の給排水管が劣化している可能性はあります。リフォーム時に床を全く開けない方針だと、配管の老朽化を見落としたまま表層だけきれいにしてしまう恐れもあります。施工会社と相談のうえ、最低限の下地点検を行い、必要に応じて管を交換するのか確認しましょう。
ここでは、まるごとリフォーム(改装)の費用を具体的にイメージするためのポイントをいくつか取り上げます。
「一戸建てをフルリフォームする」と広告やチラシで謳われている商品を見ると、多くの場合は30坪前後の建物を想定して、30~50万円/坪程度のパッケージ価格を設定している会社が多いです。たとえば延床面積30坪の家なら、900万~1,500万円くらいの幅をイメージしておくとよいでしょう。
この価格には、以下のような工事が含まれているケースが一般的です。
外壁・屋根の塗装塗り替え(葺き替えではなく、あくまで塗装)
玄関ドア交換(リフォーム用ドアを既存枠に取り付けるなどの工法)
室内の壁紙張り替え(洋室・寝室・リビング・廊下など)
フローリング(上張りか張り替えかは商品により異なる)
畳の表替え(もしくはフローリングへの変更)
扉の交換またはシート貼り
水回り設備(キッチン・浴室・洗面・トイレ)を同位置で素取り換え
給湯器交換
逆に言えば、これら以外の“オプション的要素”——たとえばサッシの入れ替え、耐震補強、基礎補修、あるいは床下の土台交換などが発生すると、当然プラスアルファの費用がかかります。パッケージ商品を選ぶ際は、標準工事範囲に何が含まれていて、何がオプション扱いなのかを必ず確認しましょう。
築30年以上の家でも「新耐震基準で建てられた」ケースは珍しくありません。しかし、築30年経てば外壁・屋根・給排水管など、かなり劣化が進行している可能性があります。改装だけで済ませると、あとあと構造面やインフラ面で不具合が出るかもしれません。一方、築15~20年程度の家であれば、主要な構造劣化がまだ少ない場合が多く、外壁や床下も軽微な下地補修で間に合うことがあります。そうすると、まるごとリフォームで表層を大きく変えるだけでも“新築同様”の見た目に近づけられ、かつリスクも比較的低いでしょう。
もっとも、築20年程度でも結露や雨漏りが起きている場合は例外です。必要に応じて壁内部の下地点検や木材の含水率測定などを行ってもらい、表面だけ取り繕わないように注意することが大切です。
まるごとリフォームの最中に「これは標準範囲外だった」として追加費用が発生しがちな項目を挙げておきます。
床や下地の腐朽・傷み
いざフローリングをめくってみたら、根太や大引がシロアリ被害でボロボロだった……というケースは珍しくありません。
外壁のクラックが想定より深刻
塗り替えだけで済むと思ったら、下地の木部や防水シートに損傷があり、部分解体&補修が必要になることも。
配管の劣化
床下に入らない方法で簡易的に配管をつなぎ替えるだけのはずが、全交換が必要になる可能性あり。
設備のサイズ変更
「もう少し広いシステムキッチンを」となると、壁を動かしたり下地を組み直したりで費用が増加。
既存設備の撤去が想定外に手間取る
浴室が在来工法だったり、壁内配管が特殊だったりすると撤去&復旧が標準工事を超えることも。
こうした項目は、リフォーム会社の調査力や経験がものを言います。事前にしっかりと現地調査してもらい、「追加が出るかもしれないリスク」まで説明してもらうと、後々トラブルを回避できます。
「戸建てまるごとリフォーム」と「戸建てリノベーション」はしばしば混同されがちですが、実際には性格が大きく異なります。簡潔にまとめると以下のような違いがあります。
改装工事(まるごとリフォーム)
目的: 見た目や使い勝手をリフレッシュ。水回り・内装・外装を一新。
構造補強: 原則なし。新耐震基準なら既存の耐震性能を信頼する前提。
断熱改修: 原則なし。サッシもオプション扱い。
間取り変更: 基本的にしない。水回りの位置も変えない。
費用感: 坪単価30~50万円ほどが相場。
性能向上リノベーション
目的: 耐震や断熱など家そのものの性能を底上げ。
構造補強: 筋かいや耐力壁を追加、基礎補修、金物補強など大規模に行う。
断熱改修: 壁・天井・床に断熱材を追加、サッシ交換など。
間取り変更: 必要に応じて大胆なレイアウト変更もOK。
費用感: 坪単価50~100万円以上に及ぶことも多い。
新耐震基準で建てられた住宅なら、そもそも現行の耐震性能に近い要件を満たしている場合が多いので、「大改築しなくてもいいや」と考える施主様が少なくありません。このとき、まるごとリフォーム(改装)を選択するのは自然な流れと言えます。ただし、もし築年数が30年を超えていたり、サッシが旧規格のままで断熱が厳しい寒冷地の場合は、性能向上リノベも視野に入れたほうが賢明です。
結局のところ、家の骨格自体にどれだけ不満や不安を抱えているかが、改装とリノベの分かれ目といえます。
今回のケースは、間取りも変えず、耐震補強もやらない一方で、インナーサッシなど簡易断熱は取り入れたいという、改装リフォームの延長線上にある内容です。「大がかりな構造工事は不要だけど、少しでも冬の寒さや結露を緩和したい」というイメージで考えるとよいでしょう。
新耐震基準で建てられた住宅は、最低限の耐震性は整っていることが多く、大きな地震の際も倒壊リスクは1981年以前の「旧耐震」よりは低いと言われています。
一方、断熱性能に関しては「家を建てた時代の断熱意識がそれほど高くなく、窓ガラスは単板、アルミサッシのみ」という状態であるケースが珍しくありません。壁断熱材が一応入っていても、窓から熱が逃げてしまい、夏は暑く冬は寒いまま……という声が多いのです。
ただし、大幅に壁を剥がして断熱材を詰め直すほどの予算は割きたくない。そこで注目されるのがインナーサッシによる手軽な断熱向上策というわけです。
間取りを変えず、キッチンや浴室の位置も同じまま、つまり「既存のレイアウトを継続」するなら、大掛かりな解体は必要ありません。解体費用や構造補修費用が最小限で済むため、リフォームコストを抑えながら家全体をきれいにすることができます。
さらに断熱強化は「全部屋の壁を大改修する」のではなく、窓まわりのインナーサッシ設置が中心なら、そこまで大きな追加工事も発生しにくいのがメリットです。
「新しい断熱サッシに交換する」となると、外壁との取り合い調整や枠の大きさが合わないなど、解体や補修工事が大きくなりがち。一方、今あるアルミサッシの内側に、樹脂製など断熱効果の高い内窓を取り付けるだけなら、外壁にほぼ影響しないため、既存窓の“内側”で工事を完結できます。ここでは、インナーサッシ導入時のポイントを解説します。
断熱性能アップ: 窓が二重になることで、外気との間に空気層が生まれ、熱損失が大幅に低減。
結露軽減: ガラス面の表面温度が上がり、冬場の結露発生が減りやすい。
施工が簡易: サッシ交換と比べると、外壁や窓枠の大きな解体が不要。
防音効果: 窓が二重になることで、騒音が気になる場所でも防音効果が期待できる。
開閉スペースがやや狭くなる: 窓が二重になるぶん、内側にもう1枚分のレールや枠が来るので、部屋がわずかに狭く感じられることがある。
掃除手間が増える: ガラスが二重になるため、両方の間のホコリなどメンテナンスが必要。
サイズや形状によって取り付け不可の場合も: 特殊形状の窓や、窓周辺に十分なスペースがない場合は設置が難しい。
断熱改修は完璧ではない: 壁や床下・天井に断熱不足がある場合、家全体を高断熱にするわけではないので、状況によっては期待ほどの効果が得られないこともある。
とはいえ、「壁を剥がしたくないし、費用も最低限に抑えたい。でも寒さはどうにかしたい」という場合、インナーサッシは最も手軽かつ効果を感じやすい断熱施策です。
外装リフォーム
外壁塗装または屋根塗装など
玄関ドアの交換(リフォーム用ドア)
内装リフォーム
床フローリングの張り替え or 上張り
壁紙の張り替え
和室なら畳表替えや簡易的な壁塗り替え
水回りリフォーム
キッチン・浴室・洗面・トイレなどを同じ位置・サイズで素取り換え
インナーサッシ追加(今回のポイント)
部屋の窓を二重窓化して断熱性・防音性UP
一般的に「戸建てまるごと改装リフォーム」は30坪前後の延床面積を想定し、30万~50万円/坪ほどの設定を目にすることが多いです。つまり900万~1500万円程度が目安。
ここにインナーサッシ導入が加わると、窓1カ所あたり数万円~十数万円が追加になります。窓数が多いとそれなりに費用がかさむため、「LDKと寝室だけ」「北側の部屋だけ」など、導入範囲を絞る方もいます。
「間取り変更なし」「耐震補強なし」とはいえ、以下のような要因で予定外の費用アップがあるかもしれません。
床や壁の下地が腐朽していた
フローリングを張り替えようとめくったら土台や大引がシロアリ被害に遭っていた……という例は珍しくありません。
給排水管の老朽化
水回りを素取り換えするだけのはずが、床下配管が実は劣化していて交換が必要に。
外壁のクラックが深刻
塗装塗り替えのはずが、下地補修をしないと塗っても意味がないレベルだった。
インナーサッシが取り付けにくい窓
窓周辺の壁に歪みや段差があって、枠の修正工事が追加で要る場合がある。
想定外がまったくない場合はスムーズに進みますが、築20年超の建物だと何かしら出てくる可能性は否定できません。施工前の現地調査でしっかりチェックしてもらいましょう。
「家の骨格には触れず、内外装をきれいにする」工事が得意な会社は数多くありますが、断熱(特にインナーサッシ)のメリット・デメリットをきちんと説明できる会社を選ぶと安心です。内窓を入れたい部屋の条件(レール確保ができるか等)を正しく判断してくれるかがカギ。
インナーサッシは簡易工事とはいえ、窓周辺の下地が傷んでいたら、そこを補修せずに取り付けると結局トラブルの元になります。安いパッケージプランの追加オプションとして内窓を雑に扱っていないか、よく確認するのがおすすめです。
「うちの家は新耐震だから大丈夫ですよ」と、一切床下を見ないで済ませるようなリフォーム会社は要注意。少なくとも水回り付近の点検は行い、配管や土台に問題がないか確認したいところです。
性能向上リノベーションとは、主に、耐震性能と断熱性能を現行の新築最低基準を上回る性能値でリノベーションをすることを言いますが、
それぞれの建物の築年数よりどこを優先すればよいのかが見てきます。
まずは簡単に築年数でわかる建物の耐震性能からみていきましょう。
我が国は、大地震の教訓から法律を改正し段階的にルールを義務化してきました。木造住宅での大きな改正は2回と考えてください。
〇1回目の改正以前(1981年以前)の建物 ➡旧耐震基準の建物
〇2回目の改正以前(1981以降2000年以前)の建物 ➡81-00(ハチイチゼロゼロ)住宅 ※新耐震基準
〇2回目の改正以降(2000年以降)の建物 ➡2000年基準の建物
で大きくわけると3つの基準の建物があることがわかります。
下記の図でみてみましょう。それぞれの年代の切れ目に赤いラインを引いてあります。
建築基準法改正の変遷
日本の住宅市場において最も大きな改正となったのが、1978年に起きた宮城県沖地震の教訓から改正となった1981年の建築基準法大改正となります。この改正以降に建てられた建物を 「新耐震基準」、それ以前の建物を「旧耐震基準」と分けられるようになりました。
その後の阪神淡路大震災を受け2000年に建築基準法が改正され、以降の基準を「2000年 基準」と呼んでいます。
皆さんの家が建てられた時代はどの時代になりますか?
と、その前にもう一つの性能となる断熱性能についても見ていきましょう。
断熱性能のグレード
日本の建物は、なぜ夏暑く、冬寒い家なのか?
この現象は今現在新築されている建物の多くもこの現状は変わっておりません。
それは我が国が、耐震性能以上に、断熱性能を軽視してきたからにほかなりません。先進国のサッシの性能を見れば一目瞭然ですが、数年前までは、先進国最下位の性能となっておる状態でした。ここ数年、やっと国が省エネを叫ぶようになり、サッシメーカーからもようやく高性能サッシが発売されることになりました。ただし、義務化されていませんので、しっかりとした知識や経験がない施工会社、設計会社でないとサッシを含め断熱性能はないがしろにされるケースが大半となっている悲しい現実があります。
ここまで、お話すればお分かりかと思いますが、先の耐震の法改正ほど劇的な特徴はなく、今現在の建物であっても平成11年の基準で建てられている、つまり30年以上前の基準で建てられているということになります。
我が国では、昭和55年に省エネ基準が制定されて以来、4回の改正を得て現在に至っておりますが、4回目の改定の平成25年改正省エネ基準を2020年に最低限達成する基準として義務化される予定でしたが、努力義務として見送りされました。
理由は、施工する施工会社の断熱に対する知識、技術が追い付いていないからというお粗末なものです。さまざまな技術優位の施工会会社から寄せられた意見書などが多数届けられ、ここにきて大きな変化も起きておりました。
2022年4月より断熱等級5が新設され、2022年10月より断熱等級6・7が新設されました。とりわけ、断熱等級6・7は、これまでの断熱等級4と比べてはるかに高いレベルの断熱性能を求められるようになります。
以下で、3つの年代別の性能向上リノベーションのポイントを解説していくのですが、断熱性能については、とりわけ上図のZEH基準(断熱等級5)レベルではじめて断熱性能を体感できるというレベルですので、これから解説する3つの年代を問わず、断熱性能を大幅に向上させる必要があると言えることを念頭においていただければと思います。
★新耐震基準の建物の断熱のポイント
断熱性能を向上させるポイントは、窓の数の調整でになりますが、断熱改修はご予算との折り合いが必要です。
この時代の建物は、窓の数が多く窓の性能も低いため、夏暑く冬寒い建物になっています。
ZEH以上の性能を求めるケースでは最上階の天井裏や1階の床下への断熱材充填に加え、外に面する内壁の4面はすべて剥離し、断熱材の充填をした上で窓の数を調整し高性能サッシへ入れ替える。工事が必要となります。
しかし、ここまでやってしまうと内部はほとんどスケルトン状態にしなければなりません。
最も費用が掛かるのは、外に面している4面の内壁を剥離解体する解体費用と処分費用、さらに解体後に断熱材を充填した後には、復旧をしなければなりません。一階の床もすべてを解体すると同様に現在の仕上げ材も新たに復旧が必要です。
内壁の解体をしない方法では、既存のモルタル壁4面の上に外断熱パネルをはり断熱強化をする方法などもありますが、現状の窓の厚みよりも断熱材の厚み分外壁が出てきますので、この辺りの処理も検討する必要があります。
この時代の建物は、窓が大きく、数も多いため、高額な断熱サッシをすべてに導入すると相当な費用がかかること、さらに高性能サッシを入れたとしましても熱還流率が断熱材よりも数値が劣ります(壁にした方が暖かい)ので、よくプランを練り不要な窓は断熱壁、耐力壁としていくのが費用を抑え性能を上げるポイントとなります。
少しでも予算をセーブするためには、
サッシを入れ替えると外壁工事も必要になることから、予算をセーブするために、既存の窓の内側にインナーサッシを設置し2重窓にする方法も有効です。
もしくは、建物全体での断熱性能を大幅に向上させてしまうと費用面での折り合いがつかないケースでは、居室単位、例えば最も居住時間の長いLDKや寝室など、部屋単位での断熱改修をお勧めします。
続いて、通称ハイイチゼロゼロ住宅と言われている1981年の大改正以降から2000年までの建物でのポイントをみていきましょう。
今までの風潮として、「新耐震基準」は安心とされてきました。
なぜならば「新耐震基準」では、中規模地震ではほとんど損傷を生じないことを目標とし、 大規模地震に対しては、建物に損傷は残るものの、倒壊や崩壊はせずに建物内の人命を守れ るようにすることを目標として改正されたからです。
この改正後に建てられた「新耐震基準」の建物は、壁量が大幅に増えたことから一定の効果 はあり、事実、阪神淡路大震災でも一定の効果をみせました。 (被害の多くが旧耐震基準のものが多く新耐震基準の被害は少なかった)
この大改正の最大の特徴は必要壁量が大幅に強化されたことです。
鉄筋コンクリート基礎での施工が始まったのもこのころからです。
その為、国は今現在も先に解説した旧耐震基準の住宅の耐震化に注力していますが、 ハチイチゼロゼロ住宅への耐震化は思うように進んでいないのが実情です。熊本地震で新耐震住宅での不安が露呈されていながらもこちらの新耐震住宅までの耐震化は手つかずとなっているのが現実です。
そのため注意が必要な年代ともいえるのです。
お施主様の耐震への関心も旧耐震の建物に住まわれている方は、現状の建物の性能を不安 視するケースが多いのですが、新耐震住宅に住まわれている方は安心していることが多いのを現場で感じます。
この年代の建物の弱点を知るためには、この後に改正された2000年基準において、何が大きく変わったのかを見ていく必要があります。
2000年の改正での木造住宅のポイントは3つです。
地耐力に応じた基礎の構造形式の規定 壁配置のバランス 使用する金物を具体的に指定、 つまり、壁の配置バランスと金物の指定が2000年にはじめて明確化されたのです。
そのため、2000年以前のハチイチゼロゼロ住宅は、接合部がくぎ打ち程度の状態であることがかなり多いのです。金物を使用している住宅も見られますが、この当時は国が定める明確な規定が ないわけなので、施工法もばらつきがあります。ホールダウン金物の規定もこの当時はあり ませんので、柱が抜けてしまった被害が多数でています。
この年代の方に、建物をよく見て欲しいのが、南側にLDKと大開口の窓を設け、北側にトイレなどを配置している間取りになっていませんか?
壁の配置もバランスを考慮されていなかった時代の特徴となります。
このような建物は北側に耐力壁が集中しているため、耐震上はバランスの悪い(剛心が偏った)建物が多いのです。
そのため、耐震性能においては既存不適格と言えます。
事実、熊本地震では、この建物の多くが倒壊したのです。 (識者の100棟の調査で60%~70%が倒壊、大破しています)
★ポイント
8100住宅の性能向上リノベーションのポイントは、耐震面の弱点となる、ホールダウン金物の代わりとなる基礎と柱の緊結、間取り変更後の耐力壁の配置を考慮し、偏心率を下げる補強計画、金物による耐震補強が必要でしょう。 既存の耐震評点をみると0.7程度の建物が多いです。(1.0が現行基準) 補強計画を立てる際は、評点1.5以上を目指しましょう。
断熱性能を向上させるポイントは、窓の数の調整です。この時代の建物は、窓の数が多く窓の性能も低いため、夏暑く冬寒い建物になっています。天井裏や1階の床下への断熱材充填に加え、外に面する内壁の4面はすべて剥離し、断熱材の充填が必要です。その際に、窓が大きく、数も多いため、高額な断熱サッシをすべてに導入すると相当な費用がかかること、さらに高性能サッシを入れたとしましても熱還流率が断熱材よりも数値が劣りますので、よくプランを練り不要な窓は断熱壁、耐力壁としていくのが費用を抑え性能を上げるポイントとなります。
ここでは「2000年基準」の建物の性能向上リノベーションについて解説します。2000年以降改正はありませんので、2000年以降の建物は現行基準になります。
現行の耐震基準をクリアしているため、誰もが「さすがに安心でしょう。」と言いたいところではありますが、熊本地震では、識者 の調査において、益城町の宮園、辻の城、惣領の各地区で205棟の調査結果では、1割 が2000年基準住宅であり、その30%~40%が倒壊・大破していると報告書をあげていま す。
2000年住宅(現行基準の住宅)にはどこに弱点があるのでしょうか?
2000年基準の住宅で熊本地震の被害にあっている建物をみていると、設計の配慮不足や施工不備による事例が多くみられました。
設計の配慮不足というのは、ニュースなどでも取り上げられていましたが、「直下率」の問題です。
いわゆる「2階の耐力壁と1階の耐力壁が同じ位置にないケース」です。「1階と2階の窓の位置が揃っていない建物」など、1階と2階の 柱の位置が揃っていない建物は直下率を考慮していない建物となります。
これらは設計の配慮不足と言わざるをえない問題といってよく、基準はクリアしていても配置計画 が間違っているケースです。 施工のミスも含めて、耐震を熟知している会社へ依頼することが大切なことがわかります。 もちろん業者も耐震についての知識を深める必要があるということです。 施工では筋交いの入れ方も問題視されました。現行規定ではルールが確立されてこそいないですが、被害にあっている多くが筋交いの断面寸法が小さいものが多かったことがわかっています。このような配慮ができる施工会社への相談が大切ということになります。
このような現状を踏まえて、性能向上リノベーションをする際のポイントは何になるか考えていきましょう。
まず、耐震性能については、現実問題として、お施主様ご自身において大地震が起きた際に、どの程度の被害を許容できるのか?
ここが大事なポイントとなります。
熊本地震では「建築基準法(最低基準)と被害のギャップ」だけではなく、「建てる(または補強する)耐震性能と施主の要望レベル(施主が許容できる被害レベル)に乖離」があることが、今回の地震で露呈されたからです。基準をクリアしながらも倒壊した建物が多数ある中で、ほぼ無傷であった建物は、現行の2倍の壁量が入っていました。
これは現行の1.5倍の耐震最高基準である耐震等級3をはるかに超える水準です。
お施主様 は建築基準法を守っているのだから全壊することはないだろうと考えている方が大半だとおもいます。
それが、耐震等級3で設計、施工をした場合、半壊で満足できるでしょうか? ということです。
ここに大きな温度差があります。
識者のシミレーションの結果、今回の連続して起きた熊本地震で現行基準では倒壊、1.25倍 の耐震等級2で全壊、1.5倍の耐震等級3で半壊、もしくは軽微な被害になると結論づけて おります。
つまり、現行基準の1.25倍以上、1.5倍程度の計画が必須なるということがわかります。
この辺りをリノベーション前に検討し、どの水準まで向上させるのかを検討しましょう。
★ポイント
2000年基準の性能向上リノベーションのポイントは、耐震面の弱点となる、リノベーション後の間取りにおいて直下率を考慮してリノベーションプランを策定し、改めて補強計画を見直し、最低でも上部構造評点1.5以上の計画で施工をすることになります。2000年基準の建物も先の8100住宅同様、断熱性能は低いため、断熱性能を向上させるポイントは、窓の数の調整です。この時代の建物も、窓の数が多いのは良いのですがサッシ自体の性能が低いため、夏暑く冬寒い建物になっています。天井裏や1階の床下への断熱材充填に加え、外に面する内壁の4面はすべて剥離し、断熱材の充填が性能を向上させるためには必要です。
※予算との相談になりますが、今あるサッシの内側に樹脂製のサッシを部屋側に設置し2重窓を設置する方法もございます。
数を減らす=断熱壁を増やす・耐力壁を増やすこちになりますので、窓数が多いこの時代の建物のサッシすべてを、高額な断熱サッシをすべてに導入すると相当な費用がかかること、さらに高性能サッシを入れたとしましても熱還流率が断熱材よりも数値が劣りますので、よくプランを練り不要な窓は断熱壁、耐力壁としていくのが費用を抑え性能を上げるポイントとなります。
出典:日経ホームビルダー
増改築.com®運営のハイウィル株式会社は創業大正八年、業界経験100年を超える弊社では、旧耐震基準で建てられた建 物の耐震改修を数多く手がけて参りました。また難易度の高い木造改修を主として活動し て参りました。
今ご覧いただいている「増改築.com®」は、日本初の木造スケルトンリフォー ムに特化した専門のサイトとなり、ここでの目的は通常公開されない木造の構造補強、断熱改修の中身を公開し続けることです。
性能向上リノベーションとは、通常のリフォームとは、全く異なります。
最低限の基準で建てられた新築の性能を大きく超える耐震性能と断熱性能となりますので費用も通常のリフォームとは違い費用も掛かります。
耐震性能については、法改正に伴い建物の弱点を補強し性能を向上させること。断熱性能については、現行の努力水準であっても、高断熱であるとは言えない現実を理解し、どの年代であっても性能値を向上させることを主眼に置くケースでは、本格的な断熱改修になるということになります。
優先順位として、年代が古い建物は耐震改修の優先順位が高く、年代が新しくなるにつれ、耐震改修の費用ウェイトは下がり、断熱性能に費用ウェイトを置くのがよろしいと考えます。
いずれにしても、これから性能向上リフォームをされる方は、耐震性能を数値化できる会社、断熱性能の性能を数値化できる会社、かつ耐震や断熱における多数の施工実績がある会社へのご相談をお勧めいたします。
最後に、改装リフォームを成功させるためのポイントを改めて整理します。
耐震や間取り変更は必要なく、見た目をきれいにしたい → “戸建てまるごと改装リフォーム”が有力。
でも少し冬の寒さが気になる → 壁を剥がす断熱改修までは不要でも、インナーサッシなら導入しやすい。
インナーサッシは手軽だが、すべての窓に導入すると意外とコストがかさむ → 優先度の高い部屋(LDK、寝室など)から検討。
床下や外壁の劣化には注意 → 大きな構造補修はしない前提でも、軽微な下地補修は不可欠かもしれない。
新耐震基準の家が前提
耐震面が大きく劣る築古物件では改装だけでは不安です。2000年以降に建てられた家であれば、大掛かりな耐震補強をしなくてもよい可能性が高く、まるごとリフォームが適しています。
構造や下地の状態を最低限チェック
改装は、あくまで“表層のやり替え”が中心です。しかし床下や壁の内部が腐朽・劣化していると、いくら外壁や床、壁紙を張り替えても根本的な問題は解決しません。施工前に床下点検や雨漏りチェック、設備配管の状態確認をしてもらいましょう。
水回りの移動はコスト増に注意
キッチンや浴室を今と同じ場所・サイズで交換するのであれば、比較的費用を抑えられます。しかし大幅な位置変更を希望すると、配管や間取り変更に伴う費用がかさみ、“まるごとリフォーム”の範囲を超える改築扱いになるかもしれません。
大工事になる可能性を踏まえて予備費を
床や壁を剥がしてみないと分からない不具合が見つかり、補修や交換が必要になるケースは多々あります。あらかじめ追加工事のリスクを想定し、予算に余裕をもたせておくことが大事です。
中古戸建の再販物件には注意
不動産業者が安く中古戸建を仕入れ、改装後に売り出しているケースがありますが、見た目は新築同様でも躯体の痛みが放置されている場合も。リフォーム済み物件を検討する際は、耐震診断や下地補修の履歴などをよく確認しましょう。
最終的に改築が必要なら性能向上リノベも検討
もし築年数が古く、実際に躯体を開けてみて腐食がひどい場合は、思い切って性能向上リノベに移行したほうが結果的に安心できることもあります。特に耐震や断熱に不満があれば、改築扱いになる工事を視野に入れておきましょう。
「戸建てまるごとリフォーム」と銘打つパッケージは、大手リフォーム会社から地元工務店まで、実に多種多様な商品が存在します。その多くは「化粧直し中心の改装」であり、間取り変更や構造補強を伴わないため、表面的な仕上げが新しくなる反面、建物自体の耐震や断熱が根本的にアップするわけではない点に注意が必要です。
しかし、新耐震基準で建てられた家であれば、大がかりな耐震補強を必ずしも要しないケースも多く、ある意味で「表面を一新するだけ」で十分満足度が得られるかもしれません。築年数が比較的浅く(15~20年程度)、下地の痛みが少ない物件なら、なおさら改装リフォームが有効でしょう。一方、築30年以上の物件や、雨漏り・腐朽が疑われる場合には、やはり性能面に目を向けた診断を行い、必要な箇所には補修や補強を加えることが賢明です。
家全体を表層リフォームするだけで、パッと見は新築同様の仕上がりに近づけられます。そこにインナーサッシを数カ所入れるだけで、窓断熱がアップし、日常の快適度合いは確実に増すでしょう。
「大がかりな耐震補強や断熱施工をするほどではないし、間取りをいじらなくても十分今の家に満足」という場合、新耐震基準の家ならこうした“改装+インナーサッシ”がちょうどいい選択肢と言えます。コストバランスと仕上がりイメージをしっかり話し合い、経験豊富なリフォーム会社に相談してみてください。
フルリフォーム(全面リフォーム)で最も大切なのは「断熱」と「耐震」です。耐震に関する正しい知識を知り大切な資産である建物を守りましょう。
ハイウィル株式会社 四代目社長
1976年生まれ 東京都出身。
【経歴】
家業(現ハイウィル)が創業大正8年の老舗瓦屋だった為、幼少よりたくさんの職人に囲まれて育つ。
中学生の頃、アルバイトで瓦の荷揚げを毎日していて祖父の職人としての生き方に感銘を受ける。 日本大学法学部法律学科法職課程を経て、大手ディベロッパーでの不動産販売営業に従事。
この時の仕事環境とスキルが人生の転機に。 TVCMでの華やかな会社イメージとは裏腹に、当たり前に灰皿や拳が飛んでくるような職場の中、東京営業本部約170名中、営業成績6期連続1位の座を譲ることなく退社。ここで営業力の基礎を徹底的に養うことになる。その後、工務店で主に木造改築に従事し、100棟以上の木造フルリフォームを職人として施工、管理者として管理。
2003年に独立し 耐震性能と断熱性能を現行の新築の最高水準でバリューアップさせる戸建てフルリフォームを150棟、営業、施工管理に従事。2008年家業であるハイウィル株式会社へ業務移管後、 4代目代表取締役に就任。250棟の木造改修の営業、施工管理に従事。
2015年旧耐震住宅の「耐震等級3」への推進、「断熱等級4」への推進を目指し、 自身の500棟を超える木造フルリフォーム・リノベーション経験の集大成として、性能向上に特化した日本初の木造フルリオーム&リノベーションオウンドメディア 「増改築com®」をオープン。
戸建てリノベーションの専属スタッフが担当致します。
一戸建て家のリフォームに関することを
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どのようなお悩みのご相談でも結構です。
あなたの大切なお住まいに関するご相談をお待ちしております。
営業マンはおりませんので、しつこい営業等も一切ございません。
※設計会社(建築家様)・同業の建築会社様のご相談につきましては、プランと共にご指定のIw値及びUa値等の性能値の目安もお願い申し上げます。
※現在大変込み合っております。ご提案までに大変お時間がかかっております。ご了承のほどお願い申し上げます。
2025年(令和7年)4月1日より建築基準法改正が施行されました。現在大変混みあっております。
お問い合わせ・ご相談多数のため、ご返信、プランのご提案までに日数を頂いております。ご了承の程お願い申し上げます。
改正後の新法では、4号特例措置が廃止され、一般住宅の多くの建物である2階建て以下かつ200平方メートル以下の建築物は2号となり、大規模修繕・大規模模様替えを行う場合には、建築確認申請が必要となります。
大規模修繕や大規模模様替えを行う場合、
つまり、主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)の50%を超える修繕工事等を行う場合は、建築確認申請が必要となることが決まりました。
今回の改正では、床の下地を含む張替え、階段の変更、間取りの変更等が含まれます。
詳細解説はこちらをお読みください。
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