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今回弊社にフルリフォームをご依頼いただきましたのたのは、宮大工のS様です。
長年弊社でもお世話になった弊社の熟練棟梁であり、弊社の大工達の恩師的立場のいわば大先輩が所有するアパートリノベーションです。
S様は引退後の現在は、福島の実家に帰り奥様と生活されておりますが、50年前に一人で建てたアパートの老朽化に伴い、リノベーションしたいと弊社4代目代表に依頼があり、4代目代表も二つ返事でお請けしたものです。
打ち合わせに福島にも何度か足を運び、下小屋から使える材木など見にいっては温泉に入って帰ってくるなど大変お世話になりました。
建物概要 | |
---|---|
名前 | S様 |
場所 | 東京都目黒区祐天寺 |
築年数 | 築50年 |
構造種別 | 木造一戸建て |
家族構成 | 4世帯 |
対象面積 | 41.2坪 |
リフォーム部位 | ベタ基礎/間取変更/断熱サッシ取替/外壁サイディング/断熱/外構 |
工期 | 6ヶ月 |
価格 | 3200万 |
今回のリフォームで、S様からのご要望は以下の4点です。
既存のワンルームアパート6世帯を1LDKの4世帯へ変更しました。
お施主様であるS様は棟梁であったため、間取り変更で必要になる柱の撤去などでは、お施主様自らが、「ここは抜けないから間仕切りはこの配置で」など平面だけでなく、床伏図や梁伏図まで手書きで書いていただきリフォーム後にありがちなプラン変更が全くない現場となりました。
●S様の目黒区祐天寺の入り組んだ住宅街にあり、大型のトラックが搬入しずらいロケーションでありました。解体時の搬出処理には手間がかかることが予測ができます。
●建物の構造と納め方については、施主自身が棟梁であったため、解体前に軸組がわかることから、抜けない柱などは事前にわかったためプランの制作は、施主であるS様と一緒に決めてしまいました。
●一番のネックは建物の道路付けにありました。坂の途中に建物が建っていることと
道路から建物が坂がったところに建てられている為、搬入搬出の手間がかかるというということでした。
●既存1階部分
●既存2階部分
階段はマメに塗装をされておりましたので、既存の鉄骨階段の傷みもほぼない状態でした。今回の目的がこの先、孫の代まで持たせる資産にしたいとのことでしたので、性能面で一新させてほしいのが第一のご要望でした。すべてを躯体にしてリニューアルをさせていただきます。
間取りの変更プラン
既存は1階3世帯、2階3世帯の計6世帯の造りでした。
リフォーム後は1階2世帯、2階2世帯の計4世帯に変わります。
既存は和室がメインでしたが、リフォーム後は全て洋室の造りになります。
●解体は内部と外部の2回に分け手壊し作業
S様のアパートフルリノベーションでは、内部のみのスケルトン解体ではなく、外壁までを解体する内外部スケルトンリフォームとなります。その為、完全な躯体(スケルトン)残しとなります。解体は2回に分け内部と外部の2工程に分け進めさせていただきました。
入り組んだ住宅街かつ普通車がギリギリ通れる道路付けの条件となりましたので、搬入搬出は工夫が必要です。
内外部の解体ですがまずは内部の解体から。機械壊しではなく、人力での手壊しとなります。
S様邸のアパートフルリフォーム&フルリノベーションでは、廃棄物を仮置きするスペースが無かったため、室内にまとめながら、複数回に分け廃棄物処理車を呼び、こまめに搬出が必要でした。
●解体後の躯体チェック
S様邸は内部解体と外部解体を分けて行いました。内部のスケルトン化(躯体状態)になった段階で、施主のS棟梁と弊社の棟梁とで構造状態のチェック、そして今後の補強方法について、入念に打ち合わせを行いました。S様の建物は築50年を経過しておりましたが、構造体はさすがに全く傷んでおりませんでした。使える構造体と取り換える構造体、梁の架け方など打ち合わせを行いました。
!大事な構造部のすべてが目視可能となるスケルトンリフォーム
今回のS様は自身が棟梁であることから、木構造を熟知されていることから傷みはほぼなく補強もスムーズでしたが、本来のスケルトンリフォームのメリットは、一度構造躯体を裸にすることで、雨仕舞による構造の腐食、内部結露による構造体のダメージなど、外からではわからない傷みを明らかにすることが可能であることです。木構造へのダメージを与える要素は、雨仕舞の施工不備による浸水、内部結露による腐食、白蟻被害の3点です。この基本を当たり前にやっている施工者がいかに少ないかということです。中古住宅などを購入された場合は、前オーナーがどのような工事をしたのか、どのようなメンテナンスをしたのか?などが不明なことが多い為、スケルトンリフォームを推奨しております。
構造躯体のチェック、補強法の確認をしたところで、工程は基礎工事へと移行していきます。
S様邸では地盤が良好であることからベタ基礎を採用しました。本来地盤が安定しているところでの採用を推奨する工法となりますが、
すべてがベタ基礎が良いというとそうではありません。ベタ基礎自体の荷重は建物全体と同程度の荷重となります。コンクリートは1立米あたり2.5tの荷重がかかります。掘った土は1立米あたり1.6tの荷重ですから、差し引いても約1t分荷重が増す事になるからです。この荷重増から安定していた地盤が沈下する恐れがあるからです。
大規模な戸建てリノベーションをされる際には、木造を熟知し、実績が豊富な会社へ相談することをお勧めする理由でもあります。
●ベタ基礎って?
布基礎が立ち上がりとフーチングで持たせる基礎に対して、ベタ基礎は、立上りだけでなく、底板一面も耐圧盤を設け、立ち上がりと底面が一体化された鉄筋コンクリートになっている基礎をいいます。
建物の荷重を底板全体の面で受け止めるため、ベタ基礎は不同沈下を起こさない。といわれますが、それは良好な地盤での話です。
基礎の下の地盤面の地耐力が均一でない場合は、不同沈下が起こる可能性が充分あるのです。
耐震の世界では、重い瓦屋根は外して、軽いものに変えましょうと言われておりますが、それ自体は間違っていませんが、この理屈でいくと。屋根の瓦を外して、基礎はベタ基礎にしても、地盤に与える荷重は、瓦屋根以上の荷重がベタ基礎の荷重により地盤面にかかることになります。
地盤が軟弱な場合、布基礎を採用した方が有利な場合も出てきます。
戸建てフルリフォームやリノベーションで、基礎補強をする際は、このような知識のある会社に相談することが必要です。
基礎が終わり、本格的な補強工事へと工程は進みますが、ここで外壁を解体し、完全なスケルトン状態にします。
担当大工は、弊社で和風建築を作らせたら一番の棟梁を指名し、メインで木工事を進めていきます。お孫様の代まで十分に耐えられる構造躯体を組んでいきます。
●目黒区祐天寺のS様のアパートリノベーションでは、最も時間がかかる木工事の重要パートで、施主のS棟梁がすべての納まりをチェックしていただいたこともあり、これ以上ないほど現場の進行はスムーズとなりました。若い大工をこれを機会に増員して、スキルアップもさせていただくなど我々にとっても大変ありがたい工事となりました。
東京都目黒区祐天寺のS様(元棟梁)の戸建てアパートリノベーションでの断熱材はグラスウールを採用しています。
グラスウールは、施工に最も注意を払う断熱材となります。隙間があればそこが弱点となりますので、隙間なく張り込んでいきます。
構造部の構造補強が終わると、造作工事に入ります。
目黒区 木造アパートフルリノベーション竣工致しました。
外観も以前はモルタル塗装仕上げだったのが、メンテナンスも考慮しサイディングに変えました。
サッシは基本あまり場所移動せず、同じ位置に性能UPしたサッシに取替ました。
== 外観==
== 1F エントランス・玄関 ==
== 1F 101号室==
既存建物は和室がメインのお部屋でした。世帯数も1階に3軒、2階に3軒
計6世帯の造りでした。
新たに設計した世帯数は、1階2世帯2階2世帯の計4世帯です。
大人2人暮らすにはちょうど良い大きさです。
== 外階段 ==
既存階段はかなりの急階段でした。新規階段はゆったりめに造りご提案させて頂きました。
== 2F 202号室 ==
== 1F ・2F水まわり ==
Before
S様は、熟練の棟梁であり弊社でも大変お世話になった方でした。昔の大工は、なんでもできてこそ大工と私も幼き頃から言われて育ちましたが、まさにその言葉を体現しているような大工さんです。大工仕事だけでなく、左官や塗装などは当たり前にこなしてしまいます。福島のお住まいには初めてお伺いしましたが、築60年経過の建物ですが傷みは全くなく見事な納まりとなっており大変勉強にもなりました。このような一流の大工からの指名を受け工事が出来たことを誇りに思いますし、施工者の立場ながら学びが多い現場となりました。弊社の職人たちにも良い刺激となり感謝いたしております。工事の途中、弊社の大工と何度かS様で福島まで資材を取りに行き、構造材を使用させていただくなどS様にとっても特別な工事であったのだと思いました。半年の工程となり、大変長い工事となりましたが、ほぼ毎日現場に来られ、大工と打ち合わせをしてくださいました。
お孫様の代までしっかりと見守らせていただきたいと強く決意をさせていただきました。
S様、この度はご依頼をいただき、誠にありがとうございました。
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