更新日:2023年01年06日
再建築不可物件とは、その名の通り、再建築が不可能な物件のことです。
詳しくは再建築不可物件の定義は、大きく分けて4つあります。
1つ目は、敷地の上空に17万ボルト以上の高圧線がある場合。
2つ目は既存不適格物件で、建築当時の法律と現在の建築基準法の間に何らかの理由で隔たりがあり、現在の建築基準法では同じ建物を建てることができない場合。
3つ目はその物件が市街化調整区域にある場合です。都市計画法で指定されている都市計画区域の一つで市街化調整区域と市街化区域に分けられる市街化調整区域にある場合です。市街化区域は都市の活性化のための地域であるが、反対に市街化調整区域は無秩序な都市の拡大を防ぐためにあまり開発しない地域であり、新築や増改築する場合は自治体の許可が必要になります。そのため、市街化調整区域では建物の建設に多くの制約があり、建物の建設が困難となります。
4つ目は、後述する接道義務違反です。建築基準法には「接道義務」と呼ばれる規定がある。接道義務とは、都市計画区域内で建物を建てる場合、原則として幅員4m(特定行政庁が幅員6m以上の道路を道路として扱う地域は6m)の道路に2m以上接していない敷地には建物を建ててはいけないというもので、建築基準法ではこの接道義務を定めています。
また、建築基準法では接道義務の対象となる道路も定められています。
多くの人が悩むことが多いのが4つ目の問題です。道路に面していないため、建物の建て替えができないなどです。
というのも、弊社にご相談いただく方の多くが、4つ目の問題である「接道義務違反で建物の建て替えができない」ことを懸念されているから方が多いからです。その他「旗竿地でトラブルなった」、「再建築不可リフォームを依頼したい」、「旗竿地や狭小地を理由に間取りに制限がある」、「再建築不可を購入したが不可の意味を理解できていなかった、どうしたらよいのか途方に暮れています」などの問合せもあります。立て直し(建て直し)意味は建て替えと一緒ですが、再建築不可でもどうにか救済措置がないのか、救済できないのかとお考えの方は是非最後までご覧ください。
以下、詳しく見ていきましょう。
再建築不可とは?
多くの敷地が再建築不可となった理由は、次の2つです。
再建築不可の敷地とは、前述でも説明しましたが、たとえその敷地に古い家があったとしても、取り壊して再建築することができない敷地(物件)のことです。もちろん、その家を建て替える、建て直し(新築)することもできません。また、確認申請が必要な「改築」「大規模修繕」「増築」などもできません。
なぜ再建築ができないのか?
接道とは?接道の重要性、よくある再建築不可物件
それは、その土地(物件)が接道義務を満たしていないからです。この場合の接道の道路とは、建築基準法第42条に規定されている幅員4m以上の道路を指します。建築基準法第42条に規定する道路に接していない敷地は再建築不可です。
また、建築基準法第43条において、敷地と道路との接道義務が明確に規定されています。(幅員4m未満の道路であっても、建築基準法上の道路とみなすことができる)。(幅員4m未満でも建築基準法上の「第2項道路」または「みなし道路」とみなされる場合があります)。
「ただし、敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通、安全、防火、衛生上支障がないと認め、建築審査会の同意を得て許可したものについてはこの限りでありません。ただし、建築審査会の許可を受けた建築物については、この限りではありません。」
上記2パターンに該当する敷地(建っている一戸建て)は、再建築不可となります。これらが、再建築不可物件になる理由です。この基準は、災害時に緊急車両が敷地内に入れないなどの理由から、建築基準法(昭和25年に接道義務が適用)で定められたものです。
実際に東京の下町などは再建築不可の敷地の場合、火災が発生したときに消防車などの緊急車両が敷地内に入ることができない場所が多くあります。
ここまで、再建築不可のケースは大きく2つに分かれると説明してきました。
(1)建築基準法第42条に規定される原則4m道路に接しているか
(2)そもそも敷地自体が建築基準法上の道路に接しているか
一見、2m以上の道路に接しているように見える敷地であっても、前面道路が建築基準法上の道路でなければ、再建築はできません。
ひと昔前までは、この再建築不可物件は価値がないとされ、不動産業界では相場の半値以下で流通していました。実際、一部の金融機関以外では住宅ローンが組めないケースが大半です。では、こうした再建築不可の敷地は全く価値がないのでしょうか?
デメリットしかないのでしょうか?
確かに、建物が倒壊してしまうと、再建築や建て替えができないことは、最大のデメリットです。
また、金融機関から融資を受けることが難しいため、融資を利用することが難しく、そのため売却が難しいという点は否めません。
しかし、一見すると価値がないように見える再建築不可物件でも、見方を変えれば大きな資産価値があると捉えることができる。
この点について考えてみたいと思います。
まず、メリットとして挙げられるのは、価格が相場より低いという値ごろ感が上げられます。付随して資産価値が低いので、固定資産税も安くなります。再建築ができないので、土地の評価も安くなりますし、再建築不可物件は築年数が古い物件が多いため建物の評価も安くなるのが理由です。弊社では、東京都心の再建築不可のフルリフォーム&リノベーションを数多く手がけており、再建築不可物件購入後に大規模なフルリフォーム&リノベーションを希望するお客様が随時順番待ちをされている状況になります。
なぜ、再建築不可物件を購入する人が多く、順番待ちが発生するのでしょうか?
大都市圏や主要駅や一部の人気エリアなどに限定されますが、そもそも都内や大都市圏の好立地なエリアでは駅から徒歩10分以内などでは、すでに空き地がなく、新築が建てられないまたは数が少ない状況です。物件がないのです。たまに中古の戸建て住宅が売れたとしても、都市部の駅近物件は価格が下がらず、すぐに売れてしまいます。
再建築不可物件はかなり古いものが多く、築50年、60年を超えているものも少なくありません。こうした物件は、超都心部の駅近で販売されることもあります。実際に数百棟のリノベーションを行いましたが、こうした物件を購入される方はかなりいらっしゃいます。
では、これらの購入者の多くはどのような目的で購入したのでしょうか。
もちろん、立地条件の良い場所に住んでいるケースもあります。しかし、購入者の多くは、その立地を武器に、賃貸アパートや賃貸併用住宅に生まれ変わらせているケースが多いのです。再建築不可の物件であっても、人が住むのに都合が悪いわけではありません。賃貸利用には影響はありません。
つまり、相場より安い価格で購入しました。大規模なフルリノベーションやリフォームを行い、賃貸にして、購入費用やリフォーム費用を家賃で回収しようというものです。一棟丸ごとマンションにしたり、賃貸住宅にしたりして、半分を住居、半分を賃貸物件として利用しているお客様を多く見かけます。購入費のイニシャルコスト固定資産税などのランニングコストが安いことが再建築不可物件の救済措置ともいえるのではないでしょうか。
ここまでが再建築不可物件の利用方法での救済措置です。次に再建築不可物件そのものの救済措置を解説していきたいと思います。
相当の築年数が経過していると思われる再建築不可物件です。再建築不可物件をリフォームして住む?再建築不可の建物をリノベーションして賃貸マンションにする?再建築不可物件で、そんなことができるのでしょうか?再建築不可物件の最大のウィークポイントは、文字通り「再建築不可」であることです。建て替えができない、建て替えができないリスクをどのようにヘッジするのか?再建築不可物件の救済措置これを次に説明したいと思います。
再建築不可物件を購入し、リノベーション・リフォームする際には、注意すべきポイントがあります。それは、大前提として再建築ができない敷地であるため、再建築不可できないというリスクを最大限に抑える必要があります。当たり前の話ですが、当たり前の話ではありません。
再建築物件の多くは、築30年、40年どころか、50年、60年、あるいは戦後間もない古い建物です。築30年、40年の建物もあれば、50年、60年の建物もあり、戦後間もない建物もあります。これらの建物にどう対処するかが最も重要なポイントになります。したがって、最も重要なのは「耐震性能」となってきます。再建築不可を購入しました。地震が起こりました倒壊してしまいました。が再建築不可を購入する上で一番のリスクです。購入した物件が地震で倒壊するリスクに対して、最大限の対処をすることが必要です。
私たち「増改築.com」にご相談いただいた施主様やオーナー様には、構造計算を行うことをお勧めしています。これは一般の木造2階建て住宅の新築時に免除される構造計算を行い新築時の最高耐震基準「耐震等級3」を基準として設計・施工を行う事を指しています。
現在の最高基準まで「耐震性能」を高めているからすべて大丈夫なのでしょうか?確かに、地震の揺れに対する不安は解消されます。しかし、再建築不可地域という立地の悪さから、もう一点注意すべき点があります。
それは、防火対策です。
再建築不可物件は人口密集地に建てられることが多く、場合によっては隣家との離隔がほとんどないこともあります。旗竿地になっており建物まで消防設備が届かない、届くまでに時間を要することがあります。そのような場所では、地震による火災や隣家からの出火で、延焼して建物全体が焼失する危険性があります。火災のリスクに備えることが必要なのです。「増改築.com」にご相談いただいた方には、外部は45分耐火性能をもつ外壁材で施工することをおすすめしています。また、隣家との距離の関係で足場が組めない建物には、外壁を内側から剥がして室内側から耐火セメントパネルを貼る「裏打ち工法」をご提案することもあります。足場が入らないなどを理由に外壁材の張替えを断られましたという方からも多く相談を承ります。
賃貸物件では、「耐震性能」と「耐火性能」は標準としても、各世帯の境界壁の防火対策・遮音対策も必要です。また、建て替えができないリフォームやリノベーションの場合、どこまでできるのか。再建築不可を新築のようにどこまでできるのか?そもそも、その線引きを明確にできる会社に相談することが必要です。こうした案件では、再建築不可の施工実績が豊富な会社に相談することが必要です。
売却事例
神戸市にあるA様(50代)所有の物件、司法書士からのご紹介で親から相続した物件を売却したいとのご相談からスタートしました。
ご紹介を頂けた理由は、弊社が再建築不可の物件に精通しており、売却をスムーズに行ってもらえるのではないかとアドバイスして頂けたとのことです。ありがとうございます。
この物件の特徴(第一印象)
問題点は、再建築不可物件である、建物が古すぎて築年数がわからない(検査済証、確認済証がない)、敷地に擁壁がある。敷地に擁壁があると擁壁から距離をとらないといけない可能性があります。通称ガケ条例。ガス管上下水道管が他人地を経由している。
良い点は敷地面積が広い、庭が広い、など立地がよいなどです。
今回のポイントはどのような理由で再建築不可物件なのかということでした。理由は接道が1.3mしかない旗竿地という接道の問題でした。また、200㎡(仮称)と登記簿上はなっておりますが、測量図はなく境界もあったりなかったりする状態でした。
ここで売主様に決めて頂きたいのが、どうやって(いつのタイミングで)売却するのかを決めて頂く必要があります。
現況渡しをしてしまうと安く販売するか販売の期間を長くかけるしかありません。また、申し込みがあった際にデメリットを価格交渉の理由にされるため、高く売れない可能性が高まります。その他、トラブルの危険性が高まります。所有者のA様は売却を急いでいるわけではないので、適正な価格で販売したいというご希望です。その際には、測量費用などもかかりますと説明させて頂きました。
以下順序立てて説明していきます。
物件の調査を行います。現地(建物と土地)調査と役所調査と法務局調査を行います。
今回問題になりそうな点
・測量と境界
・接道(再建築不可)
・旗竿地
でした。
最初に行ったのが測量です。土地家屋調査士の先生に依頼して、なんと約一年かかりましたが隣接するすべての所有者10軒と立会いを行い境界の確定を終え確定測量図が完成しました。一目見た時から違和感があったのですが、測量したところ土地面積が300㎡と登記簿上の1.5倍の面積がありました。ここまで面積が変わるのは珍しいのですが、東京など地価が高いエリアになると金額差もかなり大きくなるので、取引の際は注意が必要です。再建築不可の物件は近隣住民との話し合いができない、費用がかかりすぎるなど、さまざまな問題があるので注意が必要です。
次に接道です。下記図のような形状の土地と接道状況でした。
AとBの真ん中をCとおくとそれぞれの幅員が1.2m以上の場合43条2項2号(通称43条但し書き)の許可を取得することが可能な事ができました。
再建築不可だと思われた物件でしたが、但し書き認定を行う事で再建築不可物件が再建築不可を再建築可能にすることが出来ることが分かりました。実は43条2項2号の認定基準が利用できそうだという事は早い段階でわかっていましたが、ルール上専用通路(旗竿地で旗の形でいうなら持ち手の部分)20m以下の部分がすべて幅1.2m以上必要で、測量して初めて確実に1.2mを確保することができたのです。一部危ないところがありギリギリでした。
また、隣地との関係も良好で、お互いに通行の許可できるように覚書を作成できました。
こうして再建築不可物件を再建築可能にすることができ、土地として無事に販売することに成功しました。
購入編
実は続きがあります。実は購入の方も弊社で仲介を行いました。
購入して頂いたのは30代のご夫婦お子様の3人家族様で当初は再建築不可物件を新築同等の性能にする性能向上リノベーションを行うことをご希望頂いておりましたが、自己資金をあまり準備できずにフルローンをご希望なので、再建築物件の購入が難しい方でした。
再建築不可物件を購入する場合は現金で購入、ノンバンク系の金融機関を利用、建物はリフォームローンを使用するなど、場合にもよりますが、購入費用すべてを住宅ローンで賄う事が難しいのです。過去にはフルローンを組まれた方もおられますので、お気軽にご相談ください。
物件とリフォームを別々にローンをする際は、リフォームのみではローンがつかないケースもありますので、このようなケースでは、購入はローンを組み、リフォームは現金を使う方法です。購入時に現金で購入し、リフォームでローンアウトしてしまう事例もございますので、購入時に計画が必要です。
再建築不可物件ではなくなったため住宅ローンを使用する事が可能になりましたのでご紹介をさせて頂きました。今回購入頂いた方(買主様)はフルローンを組みたいということでした。ここで問題なのが先ほど説明させて頂いた43条2項2号道路は新築を建てる際に許可がおろされるといったものになり、リフォーム・リノベーションでは満額でローンを組むことができませんでした。
残念ながら新築戸建てに建て替えを行う事になりました。
このように、それぞれの自治体と協力、協議することによって買主様、売主様両方に最大限のメリットをもたらすことが出来ます。実例によってアドバイスの内容も細かく変わります。例えば性能向上リノベーションを行う事で新築同然の家を手に入れることができます。東京都23区と神戸市で購入をお考えの方、売却をお考えの方はお気軽にお問い合わせくださいませ。
建物の完成し無事にお引渡しを終えることが出来ました。売主様、買主様それぞれありがとうございました。
フルリフォーム(全面リフォーム)で最も大切なのは「断熱」と「耐震」です。耐震に関する正しい知識を知り大切な資産である建物を守りましょう。
スケルトンリフォームで最も大切なのは「断熱」と「耐震」です。性能向上を第一に考え、長期間安心して住める快適な住まいを目指しましょう。
ハイウィル株式会社 四代目社長
1976年生まれ 東京都出身。
【経歴】
家業(現ハイウィル)が創業大正8年の老舗瓦屋だった為、幼少よりたくさんの職人に囲まれて育つ。
中学生の頃、アルバイトで瓦の荷揚げを毎日していて祖父の職人としての生き方に感銘を受ける。 日本大学法学部法律学科法職課程を経て、大手ディベロッパーでの不動産販売営業に従事。
この時の仕事環境とスキルが人生の転機に。 TVCMでの華やかな会社イメージとは裏腹に、当たり前に灰皿や拳が飛んでくるような職場の中、東京営業本部約170名中、営業成績6期連続1位の座を譲ることなく退社。ここで営業力の基礎を徹底的に養うことになる。その後、工務店で主に木造改築に従事し、100棟以上の木造フルリフォームを職人として施工、管理者として管理。
2003年に独立し 耐震性能と断熱性能を現行の新築の最高水準でバリューアップさせる戸建てフルリフォームを150棟、営業、施工管理に従事。2008年家業であるハイウィル株式会社へ業務移管後、 4代目代表取締役に就任。250棟の木造改修の営業、施工管理に従事。
2015年旧耐震住宅の「耐震等級3」への推進、「断熱等級4」への推進を目指し、 自身の500棟を超える木造フルリフォーム・リノベーション経験の集大成として、性能向上に特化した日本初の木造フルリオーム&リノベーションオウンドメディア 「増改築com®」をオープン。
どのようなお悩みのご相談でも結構です。
あなたの大切なお住まいに関するご相談をお待ちしております。
営業マンはおりませんので、しつこい営業等も一切ございません。
※設計会社(建築家様)・同業の建築会社様のご相談につきましては、プランと共にご指定のIw値及びUa値等の性能値の目安もお願い申し上げます。
※現在大変込み合っております。ご提案までに大変お時間がかかっております。ご了承のほどお願い申し上げます。
2025年(令和7年)の4月1日建築基準法改正が決定、2025年(令和7年)4月以降に着手するフルリフォームに確認申請が義務化されることにより、現在大変混みあっております。
お問い合わせ・ご相談多数のため、ご返信、プランのご提案までに日数を頂いております。ご了承の程お願い申し上げます。
首都圏のリノベーションにつきましては、2024年度工事枠は11月解体着工のお施主様まで埋まっております。
・直近は2024年12月下旬の解体着工スタートより空きありとなります。※2024年10月9日時点
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