S様は、ハイウィル株式会社の本部である東京の日暮里より徒歩圏内のお施主様で、毎日弊社を通勤で通っていたため相談にこられました。弊社のお膝元である日暮里は下町情緒溢れる街ですが住宅が密集しているエリアでもあります。S様の相談内容は、外壁は土壁で、片側は隣家と10cm程度しか空いていないため、 他社にご相談したところ、外壁を残したままリフォームする提案しかいただけないとのことで、外壁を解体して張り替えたいのと、一部サッシも開かないところがあり建物がゆがんでいるため、しっかりと耐震補強したい。夏は暑く冬は寒く音漏れもひどいため、断熱対策や防音対策もお願いできないでしょうか?というご相談を頂きました。
建物概要 | |
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名前 | S様 |
場所 | 東京都荒川区 |
築年数 | 築59年 |
構造種別 | 木造一戸建て |
家族構成 | 大人2人 |
対象面積 | 20.7坪 |
リフォーム部位 | 基礎補強/間取変更/断熱サッシ取替/セルロースファイバー/外壁サイディング |
工期 | 5ヶ月 |
価格 | 1650万(税別) |
今回のリフォームで、S様からのご要望は以下の7点です。
S様のご要望が、陽当たりの良い2階にワンルームでLDKを持ってきたいとご要望を頂き2階スペースは階段以外全てLDKワンフロアでプランをさせて頂きました。1階は洋室1部屋と、大きめのWICを設置し残りスペースに浴室・洗面・トイレを配置致しました。
『2階LDKの1角に小さくても収納が出来る畳スペースが欲しいです』とご要望頂きました。4畳の小上がりの畳スペースを設置させて頂いております。
▲既存外観
▲隣家との離隔距離はわずか10㎝
●S様が最もお悩みであったのが、玄関脇の隣家との離隔距離が10センチ程度しか離れていない為、老朽化している外壁を張り替えたいがどのリフォーム会社やハウスメーカーに相談しても不可能だと言われていたことでした。今回フルリフォームを検討するにあたって、やはり外壁はそのままでのリノベーション提案をうけておられました。
▲既存屋上には屋根置きのベランダがありました。
▲10㎝以上はありますが足場が建てられるロケーションではありませんでした。
●逆側となる隣家との離隔距離も足場が入る立地ではなくリノベーションをする施工側からは大変手間がかかる立地であることがわかりました。
●室内から玄関をみて、玄関扉の右側の壁が土壁となっており、ここを今回の戸建てリノベーションでは解体したいと強くご要望がありました。離隔距離がないため、「外壁裏打ち工法」しかないとご提案しました。
▲既存玄関ドア、3枚戸です。
▲玄関脇のお部屋がLDKになります。
▲既存2階洋室
●既存の間取りは、1階にリビング、2階に居室といった間取りでしたが、戸建てリノベーション後は日当たりのよい2階にLDKを変更したいご要望でした。
▲既存1階ダインニング
●既存2階より急階段で屋上に出れる作りとなっておりましたが、現状ほぼ使用していない為、今回の戸建てリノベーションを機会に、ベランダを撤去してほしいご要望を頂きました。
▲既存屋根の上のベランダ
▲2階から屋上への急階段
間取りの変更プラン
▲1階 既存平面図
▲2階 既存平面図
▲屋上 既存平面図
▲1階 新規平面図
▲2階 新規平面図
*既存の間取りは、建物の中央に階段が設けられており、2階の上がり口を階段で仕切り各部屋へつなぐ間取りとなっておりましたが、今回の戸建てリノベーションプランでは、階段を壁側に配置することで、2階のリビングルームをオープンになるように設計しました。
築60年東京都荒川区S様の戸建てリノベーション工事はこうしてはじまりました。
●解体は機械壊しはできませんので、手壊し作業、人力解体となります。S邸の戸建てリノベーションでは、隣家との距離がないため、一面の外壁面を部屋内から解体し、部屋内から外壁を張る、「裏打ち工法」となるため、まずは室内の天井、間仕切り壁などを解体し、躯体状態にしていきます。
▲内装材の解体から進めていきます。
▲既存の躯体を傷つけないように剥がしていきます。
▲天井、内装壁が解体されました。
▲二階天井を解体し二階母屋組が見えてきました。
●解体後の躯体チェック
S様邸は内外部を解体するフルスケルトンの戸建てリノベーションとなります。外壁解体前に、内部の躯体が見えた段階で、お施主様を交え、既存の躯体状態の傷み具合を再度調査していきます。その後、簡易ではなく精密診断後の耐震補強構造計算を行っていく流れです。この段階で使えない柱や土台などを検査していきます。検査完了後、外壁を解体していきます。
▲内部の解体後にお施主様もお呼びして、大工、構造担当技術者、施工管理者による検査を行います。
▲外壁のみ残した状態
▲部屋内から外壁を足した状態。
▲外壁を部屋内から解体後。臨家の外壁が見えてきました。隣家との距離がわずか10㎝です。
▲解体直後のシート養生をしている状態の写真です。
▲逆側の外壁も決して十分な離隔距離があるわけでではなく解体時には外壁が飛散しないよう養生に注意を払います。
!大事な構造部のすべてが目視可能となるスケルトンリフォーム
内外部のスケルトンリフォームの最大のメリットはこのような重要な主要構造部のすべての状態が目視でわかることになります。
戸建てリノベーション後は、これらの構造上の弱点をすべて修正し補強することで新築と同水準、もくしくはそれ以上の建物性能をもつ構造躯体へ甦らせることが可能となります。
構造上のチェックが終わると、構造の専門家による構造計算が行われ、その補強計画通りにS様邸戸建てリノベーションでは、基礎補強工事へと移行していきます。S様は布基礎からベタ基礎への基礎補強工事となります。隣家との距離がない為、立ち上がり筋を既存布基礎の内側に補強していきます。
▲ベタ基礎補強のポイントは、立上り基礎の補強筋をしっかりと等間隔で差し筋を行い既存のん無筋基礎へ緊結させることにあります。
▲等間隔で差し筋を行いシッカリと緊結させていきます。
▲間取り変更により新たに布基礎が新設させる箇所へは配筋を立ち上げます。
▲ベース基礎の打設が完了しました。
▲ベタ基礎のコンクリート打設は二度打ちとなります。ベース完了後、立上り基礎へのコンクリート打設に向け立上り枠工に入ります。
▲立ち上がり基礎への枠工
▲立ち上がり基礎へのコンクリート打設
▲立ち上がり基礎へのコンクリート2度打ちが完了しました。
S様邸の戸建てリノベーションではベタ基礎補強を採用しました。
ベタ基礎への変更工事をご要望されるお施主様も多いのですが、すべてのケースでベタ基礎が良いというわけではありません。
ベタ基礎は建物全体と同程度の荷重となりますので、建物の重さとのバランスもかかわってきます。足元だけ固めていても屋根を含めた建物とのバランスが悪いと大地震が起きた際にせん断力が働き、ホールダウン金物が抜けるような事態になるケースもあるからです。
大規模な戸建てリノベーションをされる際には、木造を熟知し、実績が豊富な会社へ相談することをお勧めする理由でもあります。
●ベタ基礎って?
布基礎が立ち上がりとフーチングで持たせる基礎に対して、ベタ基礎は、立上りだけでなく、底板一面も耐圧盤を設け、立ち上がりと底面が一体化された鉄筋コンクリートになっている基礎をいいます。
建物の荷重を底板全体の面で受け止めるため、ベタ基礎は不同沈下を起こさない。といわれますが、それは良好な地盤での話です。
基礎の下の地盤面の地耐力が均一でない場合は、不同沈下が起こる可能性が充分あるのです。
耐震の世界では、重い瓦屋根は外して、軽いものに変えましょうと言われておりますが、それ自体は間違っていませんが、この理屈でいくと。屋根の瓦を外して、基礎はベタ基礎にしても、地盤に与える荷重は、瓦屋根以上の荷重がベタ基礎の荷重により地盤面にかかることになります。
地盤が軟弱な場合、布基礎を採用した方が有利な場合も出てきます。
戸建てリノベーションで、基礎補強をする際は、このような知識のある会社に相談することが必要です。
基礎補強工事が終わり現場は大工工事へと移行します。戸建てリノベーション工事において構造躯体の強度を担保するためのメイン工事となります。
▲内部の天井・壁・床・外壁までが解体され躯体だけの状態となっています。
▲腐食していた桁を入れなおし補強
▲土台周りも入れ替えです。
▲構造体の色を見ればわかりますが、新たに使用する構造材の方が多いのがわかります。
▲隣家側の間柱は仮止めし、内側より外壁材を入れる際に外しながら設置できるようにしてあります。階段スペースに沿って尺梁が補強されました。
▲浴室周りには硬質ウレタンで基礎断熱
▲内部の構造材は大幅な間取り変更によりほぼ新しい構造材に入れ替えられました。
▲玄関基礎周りにも硬質発泡ウレタンを充填
▲*外壁が内側から張られているのがわかります。(詳しくは外壁工事で解説)断熱材を入れる前に補強個所のチェックを行います。
▲構造耐力上、二階の階段脇に柱と梁が必要の為、補強。
東京都荒川区のS様の戸建てリノベーションでの断熱材は、セルロースファイバーを採用。
S様のご要望に、夏暑く、冬寒い建物なので断熱もしっかり行いたいとご要望がありました。加えて、外部への音漏れを大変気にされておられました。そこで弊社は、使用する断熱材に吸音性の高いセルロースファイバーをご提案しました。
▲二階の床断熱はスタイロフォームを採用
▲外周周り、いわゆる二階天井・外壁周りはセルロースファイバー充填による断熱改修を行いました。パンパンに盛り上がるほど圧をかけて充填します。
▲二階壁の充填が完了しました。二階の天井より壁の断熱が上に位置しているのは、天井に充填した際に隙間が出来て断熱欠損を防ぐための気流止めになります。
▲施工中はマスクをしていないと入れないほどです。
▲二階の天井壁のセルロースファイバー充填が完了しました。
▲一階の天井壁のセルロースファイバー充填が完了しました。
▲セルロースファイバー充填前にコンセントスイッチの位置を確定させる必要があります。
▲建物全体が魔法瓶状態に断熱充填された状態。工事音が外にもれなくなるのを毎回体感します。
S様戸建てリノベーションでは、外壁の離隔距離が10㎝程度と足場が入らないロケーションであるため、外壁リノベーションは部屋内から外壁を張る特殊工法である「裏打ち工法」を採用しました。外壁と同時に悩みとなるのが、屋根の干渉の問題です。
▲現状の期先を板金で押さえ雨水が垂れ流しの状態になっていました。
▲現状は共用で板金押さえしている状況です。
▲双方の建物の板金の先には共用で溝(ドブ)を使用している状態です。これを独立させたいと仰望がありました。
▲当初2つの建物に樋を設置する計画でおりましたが、あまりにも距離が近いため樋が干渉してしまします。そこでS様側の屋根にパタペットを作り落とし樋を設置する方法をご提案しました。
▲S様邸の屋根に立ち上がりを設け勾配をつけ落とし樋に雨水を流す方法です。
▲お隣の方にも了解を取り、既存の板金を取り換えさせていただき、つながっている板金を解体しました。
▲隣の方は屋根補修をさせていただき、S様宅は立ち上がりが作られ雨水が流れるよう勾配をつけました。
▲雨仕舞を間違えると木造では地名だとなりますので、細心の注意を払い納めます。
工程が前後していますが、S様が最も気がかりであった、隣家と面する外壁のリノベーション工事(裏打ち工法)です。
創業大正8年のハイウィル株式会社では東京の下町エリア、関西においても神戸、大阪での長屋などの改修でこのようなケースをたくさん見てまいりました。外壁の裏打ち工法とは、室内より外壁を内側に倒し解体し、部屋内から外壁材を設置する特殊工法です。
こちらの工法は、他のリフォーム会社より施工を依頼されることもしばしばあります。
▲外壁解体
▲部屋内より外壁の解体が完了
▲目の前10㎝に隣家の防火板があります。
▲10㎝のため、工具も入らない状態です。
▲一階より一枚ずつ上へ張り込んでいきます。
▲450㎜ピッチで金具で固定していきます。
▲外壁材の張り込みが完了しました
▲正面の外壁も完成
構造部の構造補強が終わると、造作工事に入ります。
▲断熱材の充填チェックが終わると造作工事入ります。
▲建具や床の仕上げ材がどんどん搬入されてきます。ここからはスピードが一気に上がってきます。
▲***
▲内装工事も進んでいきます。内装工事の仕上がりも下地工事がすべてのため前工程の木工事が重要なのです。
▲階段の勾配も既存の勾配より緩勾配となりました。
▲一階の洋室も完成です。
東京都荒川区S様邸の戸建てリノベーションもいよいよお引渡しの時を迎えました。約5か月の工事を経ていよいよ竣工です。
S様邸の様子をご紹介します。
== 外観==
▲外壁はサイディング仕上げです。
▲ケイミューネオロック親水16 NW4532Aニューリッジウェーブ MWビバベージュ
== 1F エントランス・玄関 ==
▲玄関ドア LIXILエルムーブ L19型
▲S様にも大変お喜びいただけました。
== 1F LDK ==
キッチンはトクラス社のハイウィルオリジナルキッチン
▲畳の小上がりです。収納スペースになっています。
▲玄関の上の位置に収納を作っています。
既存建物は、弊社ハイウィルの地元でもある荒川区の日暮里エリアです。このあたりは下町で賑やかですが建物が密集しているエリアでもあり、長屋なども多く今回のS様の建物も両隣足場を掛けるスペースがありませんでした。
== 階段 ==
既存階段急勾配でした。新規階段は緩やかな勾配です。位置も間取りに合わせて変わっています。
▲階段は緩やかな勾配です。
▲階段とセットの手摺を設置しています。
== 1F 和室・洋室 ==
▲1階に大きめのWICです。
▲1階WIC内に、枕棚とハンガーパイプを設置しています。
== 1F 水まわり ==
Before
▲既存キッチン
▲既存浴室
▲既存洗面室
▲既存トイレ
▲トクラスハイウィルオリジナル
▲LIXIL アライズ
▲LIXIL ピアラ
▲ハイウィルオリジナル
== 2F 洋室 ==
▲対面式にI型キッチンを納めています。
▲2階LDKの奥に畳が丘を設置しました。
Sさまは、弊社ハイウィルの本社の徒歩圏内にお住いの方で、Sさまは通勤で毎日弊社を通って通勤されておられたようで、ご相談に来られました。お母様とお二人住まいでおられましたので、当初はお母様が半年以上前にハウスメーカーや折り込みチラシのリフォーム会社さまに今回の戸建てリノベーションの相談をされていたようです。金額面やプランを含め、今回のように足場が建たないロケーションでの外壁リノベーション(裏打ち工法)、そして何よりも基礎補強をしてくれる会社が1社もいなかったとのことで、半年間ご計画が止まっていたようでした。「まさかこんな近所にこんな会社があったなんて!」とおっしゃられておりましたが、ハイウィルでは折り込みチラシや巨大な展示場はありませんので、仕方ありません(笑)ハイウィル株式会社では、旧耐震基準の建物については、例外なく基礎補強をご提案しております。それは、上部の構造体をいくら補強しても、基礎から上部構造体が抜けてしまえばその耐震は絵に描いた餅となってしまうからです。S様には耐震・断熱面で新築の最高基準の性能でお引渡しをすることが出来ました。S様、この度はご依頼をいただき、誠にありがとうございました。
■全国のフルリフォーム・リノベーション『ピックアップ事例』※プロの詳細解説付きレポート
戸建てリノベーションの専属スタッフが担当致します。
一戸建て家のリフォームに関することを
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どのようなお悩みのご相談でも結構です。
あなたの大切なお住まいに関するご相談をお待ちしております。
営業マンはおりませんので、しつこい営業等も一切ございません。
※設計会社(建築家様)・同業の建築会社様のご相談につきましては、プランと共にご指定のIw値及びUa値等の性能値の目安もお願い申し上げます。
※現在大変込み合っております。ご提案までに大変お時間がかかっております。ご了承のほどお願い申し上げます。
2025年(令和7年)の4月1日建築基準法改正が決定、2025年(令和7年)4月以降に着手するフルリフォームに確認申請が義務化されることに伴い、2025年3月までの着工希望のお施主様の駆け込み相談で現在大変混みあっております。
お問い合わせ・ご相談多数のため、ご返信、プランのご提案までに日数を頂いております。ご了承の程お願い申し上げます。
現在、首都圏のリノベーションにつきましては、法改正前の着工工事枠は2月着工のお施主様まで埋まっております。
・直近は2025年3月中旬の着工スタートより空きありとなります。※2025年1月20日時点
※ご契約順に施工班の予定を組ませて頂いております。フルリフォームのご予定のお施主様はお急ぎくださいますようお願い申し上げます。
※ローンを利用予定のお施主様は、ローンの審査に平均1か月程度かかっておりますので事前に金融機関に審査依頼をされることをお勧めします。
※すでにプランをお持ちのお施主様・設計資料をお持ちのお施主様は内容をフォームで送信後、フォーム下のメールアドレスに資料をお送りください。対応がスムーズです。
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