「おばあちゃんの原宿」として、テレビ番組などで取り上げられることが多い巣鴨のまち。巣鴨地蔵通り商店街のなかに「とげぬき地蔵」で有名な高岩寺があります。とげぬき地蔵より徒歩5分圏内にO様宅はございます。
O様は、築60年の木造2階建てで老朽化が激し い為、全面的なリフォームを希望 ・可能であれば間取りの変更も行いたい 。水道管の交換したい。予算は2300万円 (解体費や諸費用含む) 着工、完了を急いでいる訳ではないのですが、老朽化が激し い為、少しずつでも進めていきたいとご要望を頂きました。
(建物概要) | |
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名前 | O様 |
場所 | 東京都豊島区 |
築年数 | 築60年 |
構造種別 | 木造一戸建て |
家族構成 | 大人3人 |
対象面積 | 31.1坪 |
リフォーム部位 | ベタ基礎/基礎補強/間取変更/断熱サッシ取替/外壁サイディング/断熱工事/耐震等級3/外構 |
工期 | 7ヶ月 |
価格 | 2700万(税別)※外構別途 |
今回のリフォームで、O様からのご要望は以下の6点です。
お母様が住まわれている家に、息子さんご夫婦の同居を機に耐震・断熱を見直し、性能向上リノベーション(フルリフォーム)のご要望を頂き、1階に家族が集まるLDK配置し、その他お母様の寝室・浴室・トイレをプランしています。2階は息子さんご夫婦スペースとして3部屋造らさせて頂きました。
解体後、屋根裏の構造を確認し小屋裏収納を造らさせて頂きました。
O様は完全同居(共有)型の二世帯住宅になります。
▲再建築不可のため、建物のロケーションをよく調査し搬入搬出経路を検討します。
▲奥まったところに玄関がありました。
●再建築不可の建物は建物だけでなく現場を取り巻くローケーションの調査が大切になります。足場が架けられる状態かどうか、資材の搬入搬出はスムーズかどうか、車両はどこまでの大きさの車両が進入できるのか?
基礎補強を行う現場では、コンクリートミキサー車が停められるのかどうかなど調査する項目はたくさんあります。
▲再建築不可の建物では足場が入らない建物も多く存在しますがOさまの建物の廻りに十分なスペースが有るので、足場を掛けるのも心配がいりませんでした。
▲外壁はモルタルとトタンでは分かれている状態です。
●ロケーションのほかには、外壁や屋根の痛みを外から目視できるので、このまま使用に耐えられるのかどうか、剥離解体が必要かなどをチェックしていきます。
●1階お施主様既存玄関
1階既存玄関は広々とした玄関です。
▲既存玄関スペースはたっぷり1坪ありました。
▲既存玄関にはガラスが多く採光がありますが断熱で見ると欠損している状態です。
●既存キッチン
既存キッチンはブロックキッチンです。
▲各居室は片引き戸で間仕切られています。
●和室に広縁
既存1階は主に和室造りです。広いお庭に面してたっぷりの広縁があります。
▲日差しがたっぷり入る広縁
間取りの変更プラン
▲1階 既存平面図
▲2階 既存平面図
▲1階 新規平面図
▲2階 新規平面図
O様の同居型2世帯フルリフォーム工事はこうしてはじまりました。
●解体は手壊し作業
O様邸の延べ床面積30坪と豊島区内では広い建物となります。今回のフルリフォームでは外壁までの解体となり手壊し解体となります。フルリフォーム後の間取りを考慮しながら慎重に進めていきます。
●解体後の躯体チェック
解体後には、構造担当の設計士と施工管理者、大工での精密調査を行い、机上での耐震補強計画が可能なのか、図面と適合している箇所、適合していない解体後に判明する躯体状態などしっかりと調査を行います。構造計画では構造計算と同時にN値計算を行うことから、柱が想定した箇所にそもそも入っているのか(大壁となっており柱が見えない箇所などは柱が想定した位置に入っていないこともしばしば)入念にチェックを行います。主要構造部の痛みや腐食している箇所の特定などもここで行い、一部計画変更があれば、変更等も行います。
●解体後の躯体チェック
解体後には、腐食部のチェックを行いますが、O様の建物では、土台の腐食は想定していたものの二階バルコニーとの取り合いの桁部分が腐食しており横架材の入れ替えが必要になりました。一般的な耐震補強のみのリフォームではこのようなことは築かずにそのまま施工されていたはずです。スケルトンリフォームをしていなければ、このような状態を知ることもできなかったため大変良かったです。
!大事な構造部のすべてが目視可能となるスケルトンリフォーム
内外部のスケルトンリフォームの最大のメリットはこのような重要な主要構造部のすべての状態が目視でわかることになります。
フルリノベーション後は、これらの構造上の弱点をすべて修正し補強することで新築以上の建物性能をもつ構造躯体へ甦らせることが可能となります。同時に全体の断熱改修が可能となるため、断熱性能も格段に向上させることが可能となります。
構造上のチェックが終わると、フルスケルトンリフォームでは、基礎工事へと移行していきます。
O様はベタ基礎への基礎補強をご希望されておられました。地盤調査の上、安全であることを確かめてからベタ基礎をご提案させていただきました。
▲ベタ基礎への補強で大切なのは、立ち上がり基礎をしっかりと既存の布基礎に緊結させることです。ケミカルアンカーで施工します。
▲D13のアンカー筋を刺していきます。
▲D13のアンカー筋は150㎜ピッチで2段設置し底面のスラブ筋と継手筋・補強筋をしっかりと定着させます。
▲間取り変更により新たな間仕切壁が設置される位置へは新たに布基礎が新設させるため、立ち上がり基礎の配筋をします。
▲ベタ基礎への補強で大切なのは、立ち上がり基礎をしっかりと既存の布基礎に緊結させることです。ケミカルアンカーで施工します。配筋が完了しました。
▲コンクリートミキサー車によるコンクリート打設。
▲底面基礎よりコンクリートを打設していきます。
▲ミキサー車で圧送後は慣らしていきます。
▲コンクリートミキサー車によるコンクリート打設。
▲Oさまの建物は密集地のためミキサー車が建物に横付けできず、ギリギリの場所まで進入し、道路は許可証を警察署にあらかじめ申請しました。
▲職人が慣らしながら圧送していきます。
▲Oさまの建物は密集地のためミキサー車が建物に横付けできず手運びとなるため大変手間がかかる工事となります。
▲立ち上がり基礎への枠工が完了しました。
▲新築では基礎の打設は一回で行うこともありますが、リフォームでは底面と立ち上がりで2回打ちとなります。
▲まずは底面(ベース)から打設していきます。
▲底面ベース基礎の打設が完了しました。
▲立ち上がり基礎まで打設が完了しました。
▲間取り変更により新たな耐力壁となる位置には、基礎を新設します。
▲手前は立ち上がり基礎の添え基礎、間取り変更により新たな耐力壁となる位置には、基礎を新設します。
▲アンカーボルトも等間隔であらかじめ仕込みます。
▲湿潤期間を置き、枠を外していきます。既存基礎の内側に添え基礎(ツイン基礎)補強されているのがわかります。
▲脱型後
▲脱型後、補強の利かない柱はすべて取りました。
▲脱型後の土台敷き
O様邸では地盤が良好であることからベタ基礎を採用しました。
すべてがベタ基礎が良いというわけではありません。
ベタ基礎は建物全体と同程度の荷重となりますので、通常の布基礎の建物であった場合は2棟分の荷重が地盤にかかります。建物の重さとのバランスもかかわってきます。足元だけ固めていても屋根を含めた建物とのバランスが悪いと大地震が起きた際にせん断力が働き、ホールダウン金物が抜けるような事態になるケースもあるからです。
大規模な戸建てリノベーションをされる際には、木造を熟知し、実績が豊富な会社へ相談することをお勧めする理由でもあります。
●ベタ基礎って?
布基礎が立ち上がりとフーチングで持たせる基礎に対して、ベタ基礎は、立上りだけでなく、底板一面も耐圧盤を設け、立ち上がりと底面が一体化された鉄筋コンクリートになっている基礎をいいます。
建物の荷重を底板全体の面で受け止めるため、ベタ基礎は不同沈下を起こさない。といわれますが、それは良好な地盤での話です。
基礎の下の地盤面の地耐力が均一でない場合は、不同沈下が起こる可能性が充分あるのです。
耐震の世界では、重い瓦屋根は外して、軽いものに変えましょうと言われておりますが、それ自体は間違っていませんが、この理屈でいくと。屋根の瓦を外して、基礎はベタ基礎にしても、地盤に与える荷重は、瓦屋根以上の荷重がベタ基礎の荷重により地盤面にかかることになります。
地盤が軟弱な場合、基礎補強は布基礎への添え基礎(ツイン基礎補強)を採用した方が有利な場合も出てきます。
戸建てフルリフォームやリノベーションで、基礎補強をする際は、このような知識のある会社に相談することが必要です。
▲ベランダ下地へは構造用合板を互い違いに2重張りし、補強を入れます。
▲バルコニー部の防水が完了しました。
▲O様邸のバルコニーは大工の造作バルコニーとなります。
基礎が終わり大工工事へと移行します。構造躯体の強度を担保するためのメイン工事となります。
車を横付けできない為、建材の搬入には大変苦労するのが再建築不可リフォームでの悩みとなります。
▲搬入は人海戦術で手運びです。
▲都内では一度に建材を搬入しても置き場がない事も多いため、何回にも分けて資材を搬入します。
▲仮筋交いを外しながら補強をしていきます。
▲どこから構造体を組み上げていくかなど、建物の傷み具合で千差万別となるので大工の技術が問われるのが木造リノベーションです。
▲O様邸では使える柱は少なく、現場で確認を頂き、新設する構造材を追加させていただく事になりました。
▲基礎・柱の緊結に欠かせないホールダウン金物び設置
▲N値計算書に基づき柱と横架材に金物補強
▲補強梁と既存桁部への補強
▲新設柱と筋交いへの金物補強
▲二階を背負う1階の構造は梁補強を入れて構造補強をします。
▲一階の梁は二階の床板(24㎜)と緊結し水平耐力を持たせます。
▲井桁状に梁を組み二階の床と緊結する工法を剛床工法と言います。
▲既存利用の躯体は一部となりました。ほぼ新しい構造体です。
▲既存屋根荷重に耐えうる梁補強も構造計算の上で飛ばすスパン、梁背(高さ)が決まります。しっかりと補強していきます。
▲外壁面は既存躯体とモイスを全面張りすることで補強していきます。
▲モイス全面張り
▲モイスは大変優れた耐力面材ですが、重いのが施工する側にとっての悩みでもあります。特にロケーションが悪い建物のケースでは苦労します。
豊島区O様の戸建てリノベーションでの断熱材は設計に基づき、アクリアマットを採用。
1階床下断熱材は、アクリアUボードピンレス32を採用しました。
充填断熱材には、グラスウール・セルロースファイバー、軟質ウレタン、硬質ウレタン等様々な素材、工法がありますが、
最も施工法に気を払うのがグラスウールとなります。断熱工事の基本は、隙間を作らないこと。
隙間を作ったまま、後の工程である造作で塞がれてしまうと、断熱欠損となり、無意味なものとなってしまうからです。
外周面には充填後に気密シートを貼ります。
今回の二世帯住宅フルリフォームでは、屋根は葺き替えでしたが完成後の写真は取り忘れてしまいました。
▲O様邸の外周面はモイス全面張りです。
▲外周面はモイスを全面張りとなり壁補強していきます。
▲モイスを張り終えると防水シート張りとなります。
▲防湿シートを全面に張っていきます
▲防湿シートを張り終えました。
▲防水防湿シートは下から張り上げていきます。
▲サイディングが建張りのため、通気胴縁は横に施工していきます。
▲サイディングが張り終わりました。
構造部の構造補強が終わると、造作工事に入ります。
▲大工工事が終わりボードを貼り、仕上げ工事です
▲クロス下地
▲クロスが貼り終わるとクリーニングが入るので養生を剥がしていきます。
▲剥がせる箇所から養生を剥がしています。
▲外構も同時に進めていきます。
▲玄関ポーチにはタイルを貼ります。
約7か月の工事を経て、いよいよ竣工です。
O様邸の様子をご紹介します。
== 外観==
▲外壁はサイディング仕上げです。
== 1F エントランス・玄関 ==
▲玄関
▲玄関
== 1F LDK ==
▲LDK(1階)高所用窓+掃き出し窓
▲LDK(1階)
既存建物はキッチンはブロックキッチンです。
== 階段 ==
既存階段です。(急勾配)
== 2F 洋室 ==
▲2階に大きめのWIC
▲親世帯和室(1階)
== 1F 水まわり ==
Before
▲既存和便トイレ
▲既存和便トイレ
▲既存浴室
▲既存浴室段差
▲TOTO ザ・クラッソ
▲TOTO サザナ1616サイズ
▲TOTO オクターブ
▲TOTO ネオレスト
== 2F 小屋裏収納==
O様邸は屋根工事をしていないので、屋根勾配は既存ままでその中で小屋裏収納を作っています。
▲小屋裏収納
▲収納力は十分な広さです
== ルーフバルコニー ==
▲新規バルコニーです。バルコニー屋根も設置しました。
▲新規バルコニーは壁面と一体型の造作です。
■全国のフルリフォーム・リノベーション『ピックアップ事例』※プロの詳細解説付きレポート
戸建てリノベーションの専属スタッフが担当致します。
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2025年(令和7年)4月1日より建築基準法改正が施行されました。現在大変混みあっております。
お問い合わせ・ご相談多数のため、ご返信、プランのご提案までに日数を頂いております。ご了承の程お願い申し上げます。
改正後の新法では、4号特例措置が廃止され、一般住宅の多くの建物である2階建て以下かつ200平方メートル以下の建築物は2号となり、大規模修繕・大規模模様替えを行う場合には、建築確認申請が必要となります。
大規模修繕や大規模模様替えを行う場合、
つまり、主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)の50%を超える修繕工事等を行う場合は、建築確認申請が必要となることが決まりました。
今回の改正では、床の下地を含む張替え、階段の変更、間取りの変更等が含まれます。
詳細解説はこちらをお読みください。
⇒ https://www.zoukaichiku.com/application
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