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更新日:2025.2.11

サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)申請手続きガイド

サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型) 申請手続きガイド


目次

  1. 事業概要
    1.1 サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)とは
    1.2 本事業の目的・背景
    1.3 補助対象・必須基準の概要
    1.4 補助金額・対象棟数・実施期間

  2. 申請条件
    2.1 必須要件
    2.2 対象物件
    2.3 補助金額の詳細と注意点
    2.4 申請にあたっての留意事項

  3. 申請手続きの流れ
    3.1 ステップ①:申込(交付申請)
    3.2 ステップ②:工事開始前の準備・測定
    3.3 ステップ③:工事中の要件遵守・見学会
    3.4 ステップ④:工事完了後の測定・実績報告
    3.5 ステップ⑤:補助金交付決定・振込

  4. スケジュール
    4.1 物件申込期間と交付申請期間
    4.2 審査・交付決定のタイミング
    4.3 工事実施・測定期間
    4.4 実績報告と補助金振込の時期

  5. 推奨仕様(断熱・設備等)
    5.1 断熱性能(外皮性能)の向上
    5.2 開口部(サッシ・玄関ドア)の高性能化
    5.3 給湯器・空調設備の省エネ仕様
    5.4 BELS評価とYKK AP製品の必須採用について

  6. 計測機器とデータ収集
    6.1 改修前後の測定項目一覧
    6.2 Switch Bot シリーズの概要と設置ルール
    6.3 その他の計測機器(RATOC、Nature Remo E など)
    6.4 設置手順・注意点
    6.5 データの保存・提出方法

  7. 見学会の実施要件
    7.1 見学会の目的・意義
    7.2 開催時期と内容
    7.3 集客方法と情報提供
    7.4 実施レポートの提出

  8. 気密測定(C値測定)の詳細
    8.1 改修前後の気密測定が求められる理由
    8.2 測定基準と測定方法
    8.3 IBECsの技能者による測定と報告書
    8.4 測定結果が基準に満たない場合の対応

  9. BELS評価書の取得
    9.1 BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)とは
    9.2 評価書の取得手順
    9.3 BELS評価とBEIの関係
    9.4 発行費用と補助対象範囲

  10. 実績報告書の作成
    10.1 必要書類一覧
    10.2 実績報告書のポイント
    10.3 提出期限と審査フロー
    10.4 不備が指摘された場合の修正対応

  11. 補助金の振込・注意点
    11.1 補助金額の確定
    11.2 振込時期と手続き
    11.3 補助対象外となる費用の例
    11.4 補助金交付後の維持管理・報告義務

  12. 想定されるQ&A
    12.1 申請時によくある質問
    12.2 工事中・工事後のよくある質問
    12.3 補助金交付・実績報告時によくある質問
    12.4 データ測定・見学会に関するFAQ

  13. まとめ・メリットと将来展望
    13.1 本補助制度を活用する意義
    13.2 光熱費削減・健康向上・資産価値アップ
    13.3 2030年のZEH基準義務化と先行的取り組み
    13.4 持続可能な住宅リノベーションの未来

  14. 付録(関連資料・用語解説)
    14.1 関連法規・ガイドライン一覧
    14.2 用語解説(BEI、BELS、気密測定 など)
    14.3 参考文献・ウェブサイト
    14.4 各種様式のサンプル


1. 事業概要

1.1 サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)とは

サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)は、日本国内の住宅および建築物の省エネルギー性能を飛躍的に向上させることを目的とした、国土交通省の補助事業です。特に、既存住宅の断熱改修や設備改修を支援することで、CO2排出量削減、住環境の快適化、建物の資産価値向上を実現することを狙いとしています。

省CO2先導型の特徴は、一般的なエコリフォーム支援制度よりも高い性能基準を設け、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)相当、あるいはそれを上回る断熱・省エネ改修を行うことを要件とする点にあります。

1.2 本事業の目的・背景

  1. CO2排出量削減の加速
    日本政府は、2030年に向けてCO2排出量を大幅に削減する国際的な公約を掲げています。建築物はエネルギー消費の大きな割合を占めており、その省エネ化は大きな削減ポテンシャルを有しています。

  2. 既存住宅ストックの活用
    日本の既存住宅の多くは、旧来の断熱性能のままで建築され、快適性や健康面、エネルギーコストの面で大きな課題を抱えています。本事業では、既存住宅の性能向上リノベーションを促進することで、その住宅ストックを有効活用する狙いがあります。

  3. 住宅産業の技術革新の推進
    省CO2先導型は、先端的な省エネルギー技術の導入や高性能建材の普及を支援します。これにより、建築産業全体の技術レベル向上と、関連産業の活性化が期待されます。

1.3 補助対象・必須基準の概要

  • 補助対象住宅: 「性能向上リノベの会」の会員施工店によるリノベーション住宅
  • 必須基準:
    • BEI(建築物のエネルギー効率指数)0.7以下
    • 断熱等級6以上
    • 既存住宅が断熱等級4以下の物件
  • 補助対象棟数: 総数110棟(1社あたり最大5棟まで)

1.4 補助金額・対象棟数・実施期間

  • 補助金額: 1棟あたり最大200万円、または補助対象工事費用の1/2(少額の方を適用)
  • 申込受付期間: 2024年12月3日~2026年12月31日
  • 交付申請受付: 毎年2月1日~12月31日
  • 工事着手: 交付決定後に開始可能
  • 補助対象棟数: 総数110棟(年度内の割当がある場合は早期終了の可能性あり)

2. 申請条件

2.1 必須要件

本事業の補助金を申請するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 改修前のデータ測定

    • BEI算定用のエネルギー使用量調査
    • 気密測定(改修前の相当隙間面積C値)
    • 室温・湿度・外気温の基礎データ収集
  2. 工事中または完成後の見学会開催

    • 一般住民や専門家、自治体関係者を対象とした見学会を実施する。
    • 省エネ改修のメリットや技術内容を周知する機会とする。
  3. 改修完了後の気密測定

    • 改修後のC値測定を行い、基準値を満たしているか確認。
    • この測定には、IBECsの技能者が立ち会う。
  4. 改修後3年間のエネルギーデータ測定

    • 改修後の光熱費や室温、湿度などをモニタリングし、性能向上の効果を確認する。
    • 必要に応じて、計測機器の導入・定期的なデータ送信を行う。

2.2 対象物件

  • 木造住宅のリノベーション
    在来工法や2×4工法、その他の木造(枠組壁工法など)を問わず、木造であれば対象。
  • 持ち家のみ(賃貸物件は対象外)
    オーナー自らが居住する住宅が条件。賃貸物件や投資用不動産は対象外。

2.3 補助金額の詳細と注意点

  • 1棟あたり最大200万円または補助対象工事費の1/2
    実際に200万円を超える費用が発生しても、支給額は最大200万円。
  • 補助対象外の工事
    • 意匠的改修(デザイン変更)にかかる費用
    • 耐震補強等の構造補強費用(省エネと直接関連がない場合)
    • 外構工事や増築部分の工事費用

2.4 申請にあたっての留意事項

  • 設計・施工を行う事業者の要件
    「性能向上リノベの会」の会員である施工店のみ申請可能。会員でない施工店による工事は不可。
  • 書類の整合性
    BEI計算書、BELS評価書などで矛盾があれば審査を通過できない。
  • スケジュール管理
    交付申請から交付決定まで約1か月かかるため、工事着手時期との調整が必要。

3. 申請手続きの流れ

本節では、補助金を受け取るまでの一連の流れをステップごとに解説します。

3.1 ステップ①:申込(交付申請)

  1. 申込期間

    • 2024年12月1日~2026年12月31日の間に申込を行う。
    • ただし、実際に交付申請できるのは毎年2月1日から12月31日まで。
  2. 申請書類の準備

    • 住宅所有者と施工店が協力し、以下の書類を作成する:
      • 交付申請書(事務局指定様式)
      • 既存住宅の図面、仕様書
      • BEI計算結果、BELS評価予定の計画書
      • 見学会実施計画書
  3. 事務局への提出・審査

    • 申請書類に不備がない場合は、およそ1か月程度で審査完了。
    • 審査過程で追加書類や修正を求められることがある。
  4. 交付決定通知の受領

    • 交付決定通知が下りると、補助金の適用が正式に確定。
    • 通知後に工事着手が可能となる。(通知前に着工すると補助の対象外になるため注意)

3.2 ステップ②:工事開始前の準備・測定

  1. 計測機器の設置

    • 改修前の温湿度測定、気密測定のため、必要な計測機器(Switch Bot シリーズなど)を設置。
    • 屋内(リビング・寝室・脱衣室)および屋外に温湿度計を設定。
  2. 改修前の気密測定

    • IBECsなど専門技能者がC値を測定。
    • 測定結果を記録し、BEI算定や事後比較に活用。
  3. 着工準備

    • 断熱材や高性能サッシなど、省エネ改修に必要な部材・設備の発注。
    • 改修計画に沿った施工手順の確認。

3.3 ステップ③:工事中の要件遵守・見学会

  1. 断熱・省エネ改修工事の実施

    • 断熱等級6以上を満たすため、壁・床・天井などに高性能断熱材を導入。
    • 窓・サッシの交換や玄関ドアの高断熱ドア化。
    • エコキュートや高効率エアコンなど省エネ設備の設置。
  2. 工事中の測定

    • エネルギー消費量の実測や室内環境データを必要に応じて記録。
    • 施工店と連携し、計測機器を破損・移動させないよう注意。
  3. 見学会の開催

    • 工事中または完成後に1回以上、見学会を行う。
    • 省エネ改修の具体的な工事内容を公開し、一般の方や行政担当者にPR。
    • 見学会実施報告書を作成し、後日事務局へ提出。

3.4 ステップ④:工事完了後の測定・実績報告

  1. 改修後の気密測定

    • 再度IBECs技能者が気密測定を実施し、C値を算出。
    • 必須基準を満たしていることを確認し、報告書を作成。
  2. BELS評価書の取得

    • 完成後の性能を評価し、BELS評価書を発行してもらう。
    • 発行費用は補助対象として認められる。
  3. 実績報告書の提出

    • 工事完了後、実績報告書をまとめて事務局へ提出。
    • 工事内容、費用明細、測定結果、見学会の写真・報告内容などを添付。
    • 提出期限は2026年1月15日まで。

3.5 ステップ⑤:補助金交付決定・振込

  1. 事務局による審査

    • 実績報告書に不備がないか確認。
    • 追加提出を求められる場合があるため、余裕を持って対応する。
  2. 補助金交付決定通知

    • 審査を通過した場合、事務局から交付決定通知が出る。
    • 補助金額が確定する。
  3. 補助金の振込

    • 2026年4月上旬より順次振込予定。
    • 実際の振込時期は審査完了時期や事務処理状況によって前後する。

4. スケジュール

4.1 物件申込期間と交付申請期間

フェーズ 実施内容 期間
2024年12月1日~2026年12月31日 物件申込受付 申請対象物件の登録を行う
毎年2月1日~12月31日 交付申請受付 交付申請書の受付
  • 書類準備に時間がかかるため、早めに施工店と相談を開始することが望ましい。

4.2 審査・交付決定のタイミング

  • 交付申請から交付決定通知まで約1か月。
  • 書類不備や追加確認が発生した場合は、さらに時間を要する。

4.3 工事実施・測定期間

  • 交付決定後に工事着手が可能。
  • 工事期間中に改修前の測定データを取得していない場合は、別途対応が必要。
  • 見学会の開催時期は施工店と相談し、広報にも配慮する。

4.4 実績報告と補助金振込の時期

  • 実績報告書提出期限:2026年1月15日まで
  • 補助金振込開始:2026年4月上旬

事務局の処理状況によっては前後するため、工事終了直後に早めの報告書提出が推奨される。


5. 推奨仕様(断熱・設備等)

5.1 断熱性能(外皮性能)の向上

  • 断熱等級6以上を目指すために、高性能グラスウールや吹付硬質ウレタンフォーム、セルローズファイバーなどの高断熱材を使用し、気密性を高める施工が求められる。
  • 床下や小屋裏など、見落とされがちな部位も徹底して断熱処理を施す。

5.2 開口部(サッシ・玄関ドア)の高性能化

  • YKK AP製品の必須採用
    • 例:「マドリモ」「APWシリーズ」などの高断熱サッシ。
    • 玄関ドアは「ドアリモ D30/D50」「イノベスト D70/D50」など断熱・気密性能に優れた製品を推奨。

5.3 給湯器・空調設備の省エネ仕様

  • 給湯器
    • エコーネットライト規格のエコキュートを推奨。
  • 空調設備
    • BELS評価に有利となる高効率エアコンを選定し、台数や設置位置を最適化。

5.4 BELS評価とYKK AP製品の必須採用について

  • BELS(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)評価
    • 省エネ性能を星の数(★1~★5)で表示する制度。
    • 本事業ではBELS評価書の取得が必須となっており、評価書発行費用は補助対象。
  • YKK AP製品の採用
    • 本事業独自の要件で、窓・玄関ドアにYKK AP製品を使用することが義務付けられている。
    • 社会実証プロジェクトとしての位置づけがあり、性能保証およびデータ一貫性の確保のための要件。

6. 計測機器とデータ収集

省エネ改修の効果を科学的に検証するため、改修前後のエネルギー使用量や温度・湿度などを正確に測定・記録する必要があります。

6.1 改修前後の測定項目一覧

  1. 温度・湿度(リビング・寝室・脱衣室・屋外)
  2. 気密性(C値)
  3. エネルギー使用量(電気、ガス、水道など)
  4. 太陽光発電量・蓄電量(設置している場合)

6.2 Switch Bot シリーズの概要と設置ルール

機器名 価格(税込) 台数 測定項目 設置場所
Switch Bot ハブ2 ¥9,980 1台 温度・湿度 リビング
Switch Bot 温湿度計 ¥1,980 2台 温度・湿度 主寝室・脱衣所
Switch Bot 防水温湿度計 ¥1,980 1台 外気温・湿度 屋外(直射日光NG)
  • ハブ2: Wi-Fi環境が必須。これを介して他の計測機器からクラウドへデータ送信。
  • 温湿度計・防水温湿度計: 電池式のため、定期的な電池交換・データ確認が必要。

6.3 その他の計測機器(RATOC、Nature Remo E など)

機器名 価格(税込) 台数 測定項目 設置条件
RATOC 環境センサー(RS-WFEVS2) ¥19,800 1台 CO2濃度 研究協力物件のみ
Nature Remo E ¥39,800 1台 エネルギー使用量・太陽光発電・充電量など 工事前:協力物件のみ / 工事後:必須(Wi-Fi必須)
  • RATOC 環境センサー: CO2濃度測定が必要な場合に導入。通常の一般物件では必須ではない。
  • Nature Remo E: スマートメーターや太陽光発電システムと連動し、エネルギー使用量を可視化。補助事業の実測データ取得のために、工事後は原則必須。

6.4 設置手順・注意点

  1. 設置高さ: 床上1,100mm程度を目安に、人の活動域に近い高さで計測する。
  2. 直射日光・エアコン風の影響回避: 温湿度計が極端な値を示さないよう注意。
  3. 屋外の防水対策: 防水温湿度計を利用し、日陰かつ雨ざらしにならない位置に設置。
  4. 電源確保: Switch Bot ハブ2やNature Remo EはコンセントとWi-Fiが必要。事前に配線計画を立てる。
  5. 定期的なデータ確認: 電池切れや通信トラブルを放置しないよう、月1回以上の確認を推奨。

6.5 データの保存・提出方法

  • データの収集期間: 改修前の一定期間(最低2週間~1か月)と改修後3年間。
  • クラウド管理: Switch BotやNature Remo Eを活用し、クラウドサーバに蓄積する。
  • 報告書添付: 年1回の定期提出、または事務局が指定するタイミングでCSV形式などで提出。

7. 見学会の実施要件

7.1 見学会の目的・意義

  • 一般住民や専門家、自治体関係者に対して、省エネ改修の実際を体感してもらい、普及啓発を図る。
  • 施工店側にとっては、自社の技術力や実績をPRする機会。

7.2 開催時期と内容

  • 工事中見学会: 断熱材や気密処理がどのように行われているか、施工の重要ポイントを解説。
  • 完成後見学会: 実際の居住空間の快適性と、エネルギー使用状況の概略を紹介。

7.3 集客方法と情報提供

  • 施工店や「性能向上リノベの会」のウェブサイト、SNSを活用して告知。
  • チラシやパンフレットなど、改修前後のビフォー・アフターを分かりやすく示す資料を用意。

7.4 実施レポートの提出

  • 開催日時、参加人数、主な質問内容、見学者の感想などをまとめたレポートを作成。
  • 写真や動画などの記録も添付し、事務局へ提出。

8. 気密測定(C値測定)の詳細

8.1 改修前後の気密測定が求められる理由

  • 断熱だけでなく、隙間風の抑制が暖房効率や冷房効率に大きく影響するため。
  • 高断熱化を行っても、気密性能が低いと実際の省エネ効果が得られない場合がある。

8.2 測定基準と測定方法

  • 測定基準: 相当隙間面積(C値:m²/m²)を測定。
  • 測定方法: ブロワードアテスト(送風機で室内外の圧力差を一定に保ち、空気漏れ量を測定)。

8.3 IBECsの技能者による測定と報告書

  • 本事業では、**IBECs(建築省エネルギー機構)**の技能者や同等の資格を有する専門家が測定を実施。
  • 測定結果を報告書にまとめ、改修前後でのC値変化を可視化。

8.4 測定結果が基準に満たない場合の対応

  • 部分的な補修や気密処理のやり直しを検討し、再測定する。
  • 改修後の測定で基準不達の場合、補助金減額や不交付のリスクがあるので注意。

9. BELS評価書の取得

9.1 BELS(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)とは

  • 建築物の省エネルギー性能を客観的に評価・表示する制度。
  • 評価結果は星1つ(★1)から星5つ(★5)までの5段階で示される。

9.2 評価書の取得手順

  1. 設計段階(改修前): 設計者がBELS評価機関へ評価依頼(設計BELS)。
  2. 完成段階(改修後): 実際の施工内容が設計通りかを確認し、BELS評価書を発行してもらう(実績BELS)。

9.3 BELS評価とBEIの関係

  • **BEI(Building Energy Index)**が低いほど高性能(0.7以下が必須基準)。
  • BELS評価では、断熱性能だけでなく設備効率や再生可能エネルギー利用なども含めて総合的に算定。

9.4 発行費用と補助対象範囲

  • BELS評価書の発行費用は、本事業の補助対象工事費に含めることが可能。
  • 評価手数料は評価機関によって異なるが、一般的に数万円程度が多い。

10. 実績報告書の作成

10.1 必要書類一覧

  1. 工事内容報告書
    • 実際に施工した部位と仕様の詳細。
  2. 費用明細書
    • 領収書や請求書の写し、工事内訳書。
  3. 気密測定報告書(改修後)
  4. BELS評価書(実績値)
  5. 見学会実施報告書
  6. 改修後の写真(施工前後の比較が分かるもの)

10.2 実績報告書のポイント

  • 改修前後のデータ比較
    • 温湿度やエネルギー使用量がどの程度変化したか、グラフや数値表で明確に示す。
  • 工事内容と補助対象項目の整合性
    • 断熱改修やサッシ交換など、補助対象となる工事だけを費用明細に含める。
  • 写真資料
    • 改修前の状態、断熱材の施工過程、完成後の仕上がりなどを時系列で整理。

10.3 提出期限と審査フロー

  • 提出期限: 2026年1月15日まで。
  • 審査フロー: 事務局にて書類確認 → 不備があれば修正依頼 → 修正後、再提出 → 審査完了。

10.4 不備が指摘された場合の修正対応

  • 多くの場合、書類の形式的な誤りやデータ不足が原因。
  • 指定された期限内に追加書類や修正済み書類を再度提出する。
  • 修正期間が長引くと補助金交付が遅れるため、迅速な対応が望まれる。

11. 補助金の振込・注意点

11.1 補助金額の確定

  • 補助金額 = 補助対象工事費(実際の支出) × 1/2 または 最大200万円(少額の方を適用)。
  • 事務局での審査結果により、最終的な確定額が決定する。

11.2 振込時期と手続き

  • 振込開始: 2026年4月上旬より順次。
  • 振込口座: 申請者(住宅所有者)名義の口座。施工店名義の口座は不可。

11.3 補助対象外となる費用の例

  • アンティーク家具の調達など、インテリアに関するコスト。
  • エクステリア(庭・塀・駐車場)改修費用。
  • 耐震補強やバリアフリー工事費用(省エネと直接関連がない場合)

11.4 補助金交付後の維持管理・報告義務

  • 3年間のエネルギーデータ測定
    • 指定機器が故障した場合は速やかに修理・交換し、測定継続。
  • 追加報告
    • 事務局から求められた場合、定期的な使用実態や性能状況を報告する義務がある。

12. 想定されるQ&A

12.1 申請時によくある質問

  1. Q: 交付決定前に着工したらどうなる?

    • A: 交付決定通知より前に工事着手してしまうと、補助の対象外になる恐れがあるため厳禁。
  2. Q: 対象棟数の上限に達した場合は?

    • A: 本事業の補助対象棟数は110棟(1社あたり最大5棟)まで。申請数が上限に達した場合、その年度の募集は締め切られる可能性がある。

12.2 工事中・工事後のよくある質問

  1. Q: 気密測定のタイミングを逃したら?

    • A: 必須要件となっているため、改修前後ともに実施できないと補助対象外となる可能性が高い。
  2. Q: 見学会はどの程度の規模が必要?

    • A: 特に規定はないが、地元住民や専門家など幅広い層に周知できる形が望ましい。最低でも数名の一般参加が得られるよう企画する。

12.3 補助金交付・実績報告時によくある質問

  1. Q: 実績報告に必要な書類が紛失した場合は?

    • A: 領収書や請求書の再発行を施工店に依頼するなど、できる限り書類を揃えて提出。紛失した場合、審査が通らないリスクが高まる。
  2. Q: 補助金は一括で振り込まれる?

    • A: 原則、審査完了後に一括で振り込まれる。ただし、不備があると審査が遅れ、振込時期も遅延する可能性がある。

12.4 データ測定・見学会に関するFAQ

  1. Q: データ測定をやめたい場合は?

    • A: 3年間のデータ測定は必須要件のため、中断すると補助金の返還を求められる可能性がある。
  2. Q: 見学会の開催が難しい地域の場合は?

    • A: オンライン見学会や、地域の公民館などを活用した展示会形式も検討できる。事前に事務局に相談することを推奨。

13. まとめ・メリットと将来展望

13.1 本補助制度を活用する意義

  • 最大200万円の補助が受けられるため、初期投資の負担を軽減できる。
  • BEI0.7以下、断熱等級6以上という高い基準を満たすことで、光熱費の大幅削減(約50%カット)と快適な室内環境が得られる。

13.2 光熱費削減・健康向上・資産価値アップ

  • 高断熱化により、冬場のヒートショックリスクを低減し、住まいの健康性が向上。
  • 長期的に見れば、光熱費削減効果により改修費用を回収できる可能性が高い。
  • 省エネ性能が高い住宅は市場評価が高まる傾向にあり、資産価値の向上が期待できる。

13.3 2030年のZEH基準義務化と先行的取り組み

  • 2030年には新築住宅においてZEH基準が義務化される見通しがある。
  • 既存住宅についても高性能化が求められる流れの中で、本事業は先行的に断熱・省エネ改修を進める絶好の機会。

13.4 持続可能な住宅リノベーションの未来

  • 日本の住宅ストックの大半は、断熱性能が低く快適性に課題を抱える物件が多い。
  • 本制度を活用することで、持続可能な住宅リノベーションが広く普及し、国全体のCO2排出量削減に寄与するとともに、住まい手の健康や生活の質を高める。

14. 付録(関連資料・用語解説)

14.1 関連法規・ガイドライン一覧

  1. 建築物省エネ法
    • 日本の建築物の省エネルギー基準および適合義務を定めた法律。
  2. ZEHロードマップ
    • 国土交通省・経済産業省の共同で策定された、住宅のエネルギー消費を実質ゼロに近づける指針。
  3. BELS評価ガイドライン
    • 国土交通省などが策定したBELS評価手順・表示方法に関するマニュアル。

14.2 用語解説(抜粋)

  • BEI(Building Energy Index): 建物の設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で除した値。低いほど省エネ性能が高い。
  • BELS: 建築物省エネルギー性能表示制度。第三者機関による認証・評価で星1~5までの5段階評価を行う。
  • C値(相当隙間面積): 床面積1㎡あたりの隙間面積(㎠)。数値が小さいほど気密性が高い。
  • IBECs: 一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構。建築物の省エネルギーに関する調査研究や評価制度の運営を行う団体。

14.3 参考文献・ウェブサイト

  1. 国土交通省 ホームページ
    https://www.mlit.go.jp/
  2. BELS評価機関リスト
    https://www.hyoukakikan.org/例示)
  3. 性能向上リノベの会 公式サイト
     

14.4 各種様式のサンプル

  1. 交付申請書サンプル
  2. 実績報告書サンプル
  3. 見学会実施報告書サンプル
  4. BELS評価依頼書サンプル

上記サンプル様式は事務局から提供される正式版を必ず使用してください。)


おわりに

サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)は、ZEH基準を超える高性能な住宅リノベーションを支援することで日本の既存住宅ストックの質的向上とCO2削減に貢献する重要な制度です。最大200万円の補助や、断熱等級6以上・BEI0.7以下といった高い性能要件をクリアすることにより、今後の住宅政策のトレンドに先駆けた住まいづくりを実現できます

本ガイドで示した申請手続きフローや必須要件、計測機器の設置方法、見学会の実施手順などを参考に、ぜひ制度活用の検討を進めてみてください。健康で快適、かつ経済的にもメリットの大きい住環境の実現が、皆様の豊かな暮らしと地球環境の保護の両面で大きく貢献することでしょう。

なお、最終的な申請方法や必要書類、各種手続きの日程などは変更される場合があります。必ず国土交通省や事務局が公開している最新の公募要領や公式ガイドラインを確認のうえ、正確な申請手続きを行ってください。

以上で「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型) 申請手続きガイド」を終わります。本ガイドが、みなさまの省エネリノベーションにおける一助となれば幸いです。

お問合せ方法

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■窓の枠内寸法(すべての窓)幅・高さ・奥行:(例)幅1650・高さ1800・奥行き100

 

以上の情報に、

■窓の画像 ※窓を正面から見た写真(室内・外から見た写真)

      ※窓の画像ファイルに番号をつけていただき、番号別に寸法を入れていただくとスムーズです。

■平面図(あれば)※平面図に番号を入れて頂けるとスムーズです。

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営業マンはおりませんので、しつこい営業等も一切ございません。

設計会社(建築家様)・同業の建築会社様のご相談につきましては、プランと共にご指定のIw値及びUa値等の性能値の目安もお願い申し上げます。

※現在大変込み合っております。ご提案までに大変お時間がかかっております。ご了承のほどお願い申し上げます。

※すでにプランをお持ちのお施主様・設計資料をお持ちのお施主様は内容をフォームで送信後、フォーム下のメールアドレスに資料をお送りください。対応がスムーズです。

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    4代目代表よりご挨拶

    稲葉高志

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