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更新日:2025.7.16

 

断熱リフォーム 完全ガイド【部位別 実践編③】足元の冷えを断つ「床断熱」と、最重要エリア「浴室・玄関」の攻略法

断熱リフォーム ハイパフォーマンスグレードバナー

性能向上リノベーション(断熱編)

1. なぜ床の断熱は「気密」とセットでなければならないのか?

2. 【実践】木造住宅の「床断熱」と「気密処理」標準施工法

3. 【特別攻略】浴室と玄関 ― 「局所的な基礎断熱」が必須となる聖域

4. 【本ガイドの結論】「床暖房のいらない床」の作り方 ― 究極の快適性を実現する

5. 【特別編】軽量鉄骨住宅の床断熱

まとめ:床の快適さは、断熱材+気密+αで決まる

「暖房をつけているのに、なぜか足元がスースーする…」

「冬、お風呂に入る前、脱衣所の床が氷のように冷たい…」

この、足元から這い上がってくるような底知れない冷気こそ、多くの住宅が抱える断熱の大きな欠点です。その原因は、単に床下の断熱材が足りないから、だけではありません。断熱材の性能を無に帰す、見えない「隙間」から、床下の冷たい空気が侵入しているケースがほとんどなのです。

この章では、冬でもスリッパなしで過ごせるほど快適な床を実現するための、プロの実践的な断熱・気密施工法を徹底解説します。特に、リフォームでは施工が難しいとされる「浴室」と「玄関」の断熱・気密処理は、家全体の快適性を左右する最重要ポイントです。

1. なぜ床の断熱は「気密」とセットでなければならないのか?

 

プロの現場で「床断熱」というとき、それは必ず「気密処理」とセットで語られます。なぜなら、どんなに高性能な断熱材を敷き詰めても、気密が取れていなければ、その効果は半減してしまうからです。

これは、分厚いダウンジャケットを着ていても、ファスナーを開けっ放しにしているのと同じ状態です。ジャケットの羽毛(=断熱材)が体温を保とうとしても、開いたファスナー(=隙間)から冷たい風がどんどん入り込み、体を冷やしてしまいます。

床下からの冷気の侵入経路は、主に以下の2つです。

  • 床合板の継ぎ目: フローリングの下に敷かれた構造用合板の板と板の間の、ほんのわずかな隙間。

  • 壁と床の取り合い: 床と壁が接する角の部分。特に、柱が貫通する周りは隙間ができやすい。

プロの断熱リフォームでは、この目に見えない隙間を「気密テープ」や「気流止め」といった手法で徹底的に塞ぎ、床下空間と室内を完全に分離させます。この地道な作業こそが、断熱材の性能を100%引き出し、「底冷えしない床」を実現するための生命線なのです。

断熱材の隙間へ気密テープ処理

断熱材の上への防湿シート張り

床下地合板への気密処理

2. 【実践】木造住宅の「床断熱」と「気密処理」標準施工法

ここでは、床を解体して行う、最も確実で効果的な床断熱リフォームの手順を解説します。

 

STEP 1:床断熱材の選定と敷き込み

 

まず、既存の床を解体し、根太(ねだ)や大引(おおびき)と呼ばれる床の骨組みの間に、高性能な板状断熱材を隙間なく敷き詰めていきます。

  • 断熱材の選定: プロの現場では、寸法安定性が高く、カッターで簡単に精度良く加工できる「押出法ポリスチレンフォーム(XPS)」や、より高性能な「フェノールフォーム(ネオマフォーム、フェノバボードなど)」がよく使われます。共有いただいた知見にもあるように、「ミラネクストラムダ」のような高性能製品を75mm以上の厚みで採用するのが理想です。

  • 施工のポイント: 断熱材は、根太の間に「少しきついかな?」と感じるくらいピッタリとはめ込みます。隙間があると、そこが冷気の通り道になってしまうため、丁寧な作業が求められます。

 

 

 

STEP 2:最重要工程!気密層を作り上げる「テープ処理」の鉄則
 

 

断熱材の上に、床の下地となる構造用合板を張ります。ここからが、断熱リフォームの成否を分けると言っても過言ではない、プロの腕の見せ所「気密処理」です。床下の冷たい空気が室内へ侵入する、ありとあらゆる「見えない隙間」を、専用の気密テープで徹底的に塞いでいきます。

プロが遵守する気密処理の鉄則は、以下の3点です。

  • 鉄則①:合板の「継ぎ目」はすべて塞ぐ  構造用合板の板と板が合わさる継ぎ目は、たとえピッタリに見えても必ず隙間があります。この継ぎ目を、専用の気密テープで一筋一筋、丁寧に塞いでいきます。これにより、床面全体を一枚のシートのように一体化させます。

  • 鉄則②:床を貫通する「柱まわり」は完璧に塞ぐ   室内の柱が床を貫通する部分は、円形や四角形など複雑な形状をしており、最も隙間が生まれやすい要注意ポイントです。柱の形状に合わせて気密テープを貼り込み、床下からの空気の通り道を完全にシャットアウトします。

  • 鉄則③:給排水・ガスなどの「配管立ち上がり部分」も確実に塞ぐ   キッチンやトイレ、洗面化粧台などの給排水管やガス管が床を貫通する部分も、気密の弱点です。配管の径に合わせて気密テープを丁寧に貼り付け、ミリ単位の隙間も見逃さずに塞ぎます。この処理を怠ると、床下からの冷気だけでなく、湿気や臭いが上がってくる原因にもなります。

このように完璧な気密層を構築した上で、最後に壁の防湿気密シートの端を床面に折り返して連続させることで、床は完全に室内空間の一部となるのです。

 

3. 【特別攻略】浴室と玄関 ― 「局所的な基礎断熱」が必須となる聖域

さて、ここからがリフォームにおける最難関ポイントです。在来工法の浴室や玄関の土間は、他の部屋と違って床下がなく、コンクリートの土間になっていることがほとんどです。

このような場所では、これまで説明した床断熱は施工できません。ここで必要になるのが、そのエリアだけを狙った「局所的な基礎断熱」という、プロの特殊技術です。

 

浴室の断熱・気密処理

 

在来工法(タイル貼りなど)の浴室からユニットバスにリフォームする際は、断熱改修の絶好の機会です。

  1. 既存の浴室を解体し、コンクリートの土間と、その周りの基礎立ち上がり部分を露出させます。

  2. 土間コンクリートの上に、耐水性の高い板状断熱材(XPSなど)を敷き詰めます。

  3. 浴室を囲う基礎の内壁に、同じく断熱材を隙間なく貼り付けます。

  4. ユニットバスの配管などが壁を貫通する部分は、発泡ウレタンや気密テープで隙間を完全に塞ぎます。

これにより、冷たいコンクリートや基礎を通じて、地面の冷気が浴室に伝わるのを防ぎます。ヒートショック対策として、これ以上ない効果を発揮します。

 

外部の冷気を遮断するためのウレタン処理

ユニットバス周りは断熱欠損しやすいため室内と断熱補強で遮断する

玄関の断熱・気密処理

 

玄関も家の中で最も熱が逃げやすい場所の一つです。

  • 玄関土間の断熱: 浴室と同様に、玄関土間のコンクリート下や、基礎の立ち上がり部分に断熱材を施工します。リフォームでは、既存のタイルを一度剥がして断熱材を入れ、再度タイルを施工する、といった大掛かりな工事になることもあります。

  • 上がり框(あがりかまち)の断熱: 玄関土間と廊下の段差部分である「上がり框」の下にも隙間ができやすいため、ここにも断熱材を充填し、気流を止めます。

  • 玄関ドアの性能: そして何より重要なのが、高断熱・高気密な玄関ドアへの交換です。どんなに床や壁を断熱しても、ドア本体やドアと枠の隙間から熱が逃げていては意味がありません。ドアの交換は、玄関エリアの断熱リフォームの総仕上げと言えるでしょう。

玄関周りも断熱の弱点しっかりと気密テープで遮断する

4. 【本ガイドの結論】「床暖房のいらない床」の作り方 ― 究極の快適性を実現する

 

さて、ここからが本章の核心です。【基礎知識編③】で学んだ「蓄熱」と「自然素材」の知識を、この床断熱の実践と融合させることで、高価な床暖房設備に頼らずとも、陽だまりのような温かさを実現する「究極の床」を創り上げます。

これは、増改築comが数多くの現場で実証し、施主様から絶賛の声をいただいている、最高のレシピです。

 

レシピ①:完璧な「守り」― 超高性能な床下断熱

 

まず、床下の冷気を100%に近いレベルで遮断します。そのためには、一般的な断熱材では不十分です。 私たちは、熱伝導率0.022W/m・Kというトップクラスの性能を誇る「ミラネクストラムダ」を、標準的な厚みの2倍以上である「75mm厚(特注)」で採用します。

 

 

【左:一般的な断熱材と断熱改修で使用する断熱材の厚みの違い】

【右:究極の床30㎜と市販のカラーフローリング12㎜】

厚みと性能が全く違います。

断熱材の厚み比較

床材の厚みの比較

そして、この高性能断熱材を隙間なく施工した上で、前述の完璧な気密処理を施します。これにより、床板は床下の影響を一切受けない、完全に独立した存在となります。

 

レシピ②:最高の「攻め」― 蓄熱する無垢の床板

 

完璧な「守り」で冷気をシャットアウトした土台の上に、いよいよ主役の登場です。仕上げ材には、一般的な合板フローリング(厚さ12mm)ではなく、その2.5倍の厚みを誇る「30mm厚の国産杉板」を採用します。

なぜ、この「杉の厚板」が最高なのか。理由は【基礎知識編③】で学んだ通りです。

  • 低い比重と熱伝導率: 杉は内部に多くの空気を含んでいるため、熱を伝えにくく、素足で触れても体温を奪われず、ほんのりと温かい。

  • 高い比熱: 杉は熱を蓄える能力(比熱)が非常に高い。この30mmという圧倒的な厚みが、日中の太陽熱や暖房の熱を**「熱の塊」として床自体に蓄え**ます。

  • 結果: 蓄えられた熱は、夜間にかけて足元からじんわりと、そして優しく放出されます。これが、機械設備では決して真似のできない、自然で上質な温かさを生み出すのです。

この「超高性能な床下断熱(守り)」と「蓄熱する杉の厚板(攻め)」という完璧な組み合わせによってのみ、「床暖房のいらない、本当に快適な床」は完成します。これは、初期投資とランニングコストの両方を大幅に削減できる、最も賢い選択と言えるでしょう。

床断熱+防湿シート+気密テープ処理

杉板30㎜貼り

5. 【特別編】軽量鉄骨住宅の床断熱

軽量鉄骨住宅の床断熱は、木造とは異なる特別な配慮が必要です。なぜなら、床を支える部材が「鋼製」であり、それ自体が巨大な熱橋(ヒートブリッジ)となるからです。

  • 課題: 鋼製の床梁が、床下と室内の熱をダイレクトに伝えてしまいます。

  • 対策:

    1. まず、鋼製の床の上に、熱を伝えにくい木材で新たに下地(木下地)を組みます。

    2. その木下地の間に、高性能な断熱材(例:ミラネクストラムダ)を隙間なく充填します。

    3. そして最も重要なのが、壁との取り合い部分です。鋼材を伝って壁の中に冷気が侵入するのを防ぐため、床と壁の境界に徹底した気流止めを施工する必要があります。

    4. 最後に、木造と同様に、気密テープ処理を施した下地合板を張って仕上げます。

鋼製の床下地に、熱を伝えにくい木材で新たに下地(木下地)を組む

そこに75㎜のラムダを充填

床下地合板に気密処理を行う

まとめ:床の快適さは、断熱材+気密+αで決まる

「足元の冷え」を根本的に解消する床の断熱リフォームは、単に断熱材を敷くだけの単純な作業ではないことが、お分かりいただけたかと思います。

「高性能な断熱材を隙間なく施工する技術」と、それを支える「徹底した気密処理」。この二つが両輪となって、初めて床断熱はその真価を発揮します。

そして、浴室や玄関といった特殊なエリアに対しては、**「局所的な基礎断熱」**というプロならではの発想と技術で対応することが、家全体の快適性を完成させるための最後のワンピースとなるのです。

さあ、足元の不安が解消されたところで、次は家の中で最も面積が広く、夏の快適性を左右する「天井・屋根」の断熱改修へと進みましょう。

【部位別 実践編④】夏の熱地獄・冬の暖気逃げを防ぐ「天井・屋根」の断熱改修 へ進む

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※すべてのページでYouTube動画解説リンクがありますので、合わせてご覧ください。

< この記事の著者情報 >

稲葉 高志

 

ハイウィル株式会社 四代目社長

1976年生まれ 東京都出身。

【経歴】

家業(現ハイウィル)が創業大正8年の老舗瓦屋だった為、幼少よりたくさんの職人に囲まれて育つ。

中学生の頃、アルバイトで瓦の荷揚げを毎日していて祖父の職人としての生き方に感銘を受ける。 日本大学法学部法律学科法職課程を経て、大手ディベロッパーでの不動産販売営業に従事。

この時の仕事環境とスキルが人生の転機に。  TVCMでの華やかな会社イメージとは裏腹に、当たり前に灰皿や拳が飛んでくるような職場の中、東京営業本部約170名中、営業成績6期連続1位の座を譲ることなく退社。ここで営業力の基礎を徹底的に養うことになる。その後、工務店で主に木造改築に従事し、100棟以上の木造フルリフォームを大工職人として施工、管理者として管理

2003年に独立し 耐震性能と断熱性能を現行の新築の最高水準でバリューアップさせる戸建てフルリフォームを150棟営業、施工管理に従事

2008年家業であるハイウィル株式会社へ業務移管後、 4代目代表取締役に就任。

250棟の木造改修の営業、施工管理に従事

2015年旧耐震住宅の「耐震等級3」への推進、「断熱等級4」への推進を目指し、 自身の通算500棟を超える木造フルリフォーム・リノベーション経験の集大成として、性能向上に特化した日本初の木造フルリオーム&リノベーションオウンドメディア 「増改築com®」をオープン

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