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更新日:2025.7.7

断熱リフォーム 完全ガイド【基礎知識編②】見えない敵「結露」を断つ!家の寿命と家族の健康を守る徹底対策

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性能向上リノベーション(断熱編)

1. 結露はなぜ起こる? ― グラスの水滴で学ぶ「露点温度」の科学

2. 見える結露、見えない結露 ― 2種類の結露とその恐怖

3. 夏にも結露は起こっている ― 「夏型結露」のリスク

まとめ:結露は「現象」ではなく「設計・施工不良」である

冬の朝、窓ガラスがびしょ濡れになっている。カーテンの裾には黒い点々としたカビが生えている…。 多くの方が「結露は仕方ないもの」と思われているかもしれません。しかし、それは大きな間違いです。

結露は、単なる不快な現象ではありません。それは、あなたの住まいが発している「内部が病んでいる」という危険なサインであり、放置すればアレルギーの原因となったり、家の構造体を腐らせたりする、「家のガン」とも呼ばれる深刻な問題なのです。

 

断熱リフォームを成功させることは、この「結露との戦い」に勝利することとほぼ同義です。この章で、そのメカニズムと完全な対策法をマスターしましょう。

1. 結露はなぜ起こる? ― グラスの水滴で学ぶ「露点温度」の科学

 

結露の原理は、夏場に冷たい飲み物を入れたグラスの周りに水滴がつく現象と全く同じです。

空気は、その温度によって内部に含むことができる水蒸気の量(飽和水蒸気量)が決まっています。暖かい空気ほどたくさんの水蒸気を含むことができ、逆に冷たい空気は少ししか含むことができません。

 

例えば、温度20℃・湿度60%の室内の空気は、たくさんの水蒸気を含んだ状態です。この空気が、外の寒さでキンキンに冷えた窓ガラス(例えば表面温度8℃)に触れると、空気は急激に冷やされます。冷やされた空気は、今まで抱え込んできた水蒸気を持ちきれなくなり、溢れた水蒸気が水滴となってガラスの表面に現れるのです。

 
 
この、空気が限界まで冷やされ、水蒸気が水滴に変わり始める温度のことを「露点温度(ろてんおんど)」と言います。

つまり結露とは、「室内の暖かい空気が、家のどこかで『露点温度』以下にまで冷やされてしまうことによって発生するのです。

 

 

2. 見える結露、見えない結露 ― 2種類の結露とその恐怖

結露には、窓ガラスに発生する「見える結露」と、壁の中で人知れず発生する「見えない結露」の2種類があり、後者の方がはるかに深刻な問題を引き起こします。

 

見える結露(表面結露)― カビ・ダニの温床

これは、私たちが日常的に目にする、窓ガラスやアルミサッシの枠に発生する結露です。

この水分は、カビやダニにとって最高の繁殖環境となります。カビの胞子やダニの死骸はアレルギーや喘息の原因となり、ご家族、特に小さなお子様の健康を脅かします。 また、常に濡れている状態は、窓枠の木材や壁紙、カーテンを劣化させる原因にもなります。

 

見えない結露(内部結露・壁体内結露)― 家の寿命を縮める“静かな殺し屋”

 

そして、断熱リフォームにおいて最も警戒しなければならないのが、この「壁内結露」です。

【基礎知識編①】で学んだように、気密性が低い家では、室内の暖かく湿った空気が壁の中の隙間に入り込んでしまいます。そして、その空気が断熱材を通り抜け、冷たい外壁の裏側あたりで「露点温度」に達すると、見えない壁の中で結露が発生するのです。

 

 

壁の中で一度発生した結露水は、なかなか乾きません。その結果、

  • 断熱材が濡れて性能がゼロに: 水で濡れた断熱材は、もはや断熱材としての役割を果たしません。

  • カビの大繁殖: 壁の中はカビにとって天国のような環境となり、室内にカビ臭さが漂い始めます。

     
  • 構造体の腐食: 最も恐ろしいのが、柱や土台といった家の構造を支える木材が腐ってしまうことです。 家の耐震性が著しく低下し、大規模な修繕が必要になるケースもあります。

「断熱材を入れたのに、前より家が寒くなった」「なんだかカビ臭い」といったリフォームの失敗談の多くは、この壁内結露が原因です。

 

 

3. 夏にも結露は起こっている ― 「夏型結露」のリスク

結露は冬だけの問題ではありません。夏場には、冬とは逆のメカニズムで「夏型結露」が発生することがあります。夏は、高温多湿の外の空気が、壁の中に侵入し、エアコンで冷やされた室内の冷たい空気と壁の中で出会って結露を起こします(逆転結露)

温度を保つことは、隙間が出来やすい内断熱でも可能ですが、少しの隙間でも、空気が入り込めば、結露は起こるのです。 結露が発生すれば、グラスウールやロックウールは、水分を含んで、断熱材としての役割を果たさなくなり、直接接する柱などの木材を腐らせたり、カビ、シロアリ等の発生原因となります。 ベニヤなどは、湿気を大量に含むと、張り合わせた層がはがれ始め、板材としての機能を完全に失います。 充填工法では、隙間の無い断熱・防湿層の施工が完璧でない限り、結露の心配が離れません。 これは 現場で施工する業者の知識や技術力まかせとなり、品質にもバラツキが出ることになります。

特に、防湿性能が高すぎる壁の場合、一度壁内に入った湿気が抜けにくくなり、夏型結露のリスクを高めることがあります。

この対策として、近年では湿気の状態に応じて水蒸気の通しやすさが変化する「可変透湿気密シート」なども開発されており、より高度な温熱環境のコントロールが可能になっています。

4. 結露を完全に断つための「3つの処方箋」

では、この厄介な結露を根本から断つにはどうすればよいのでしょうか。答えは、結露が発生する原因を一つひとつ取り除いていくことです。そのための処方箋は3つあります。

「高断熱」で壁や窓の温度を下げず、「高気密」で壁の中に湿気を入れず、「計画換気」で室内の湿気を追い出す。 この3つの処方箋を組み合わせることで、結露という「家のガン」を根本から治療し、再発を防ぐことができるのです。

  • 処方箋①:断熱性能の向上 ― 壁や窓の表面温度を上げる 結露は、空気が「露点温度」まで冷やされることで発生します。ならば、そもそも壁や窓の表面温度が露点温度以下にまで下がらなければ良いのです。 壁や天井、床に高性能な断熱材を隙間なく施工し、窓を断熱性の高い樹脂サッシや複層ガラスに交換することで、外の寒さの影響を受けにくくなり、室内側の表面温度を高く保つことができます。 これにより、表面結露のリスクは劇的に低減します。

  • 処方箋②:防湿・気密施工の徹底 ― 壁の中に湿気を入れない  壁内結露を防ぐための、最も重要で絶対的な対策です。 断熱材の室内側に**「防湿気密シート」**を隙間なく連続して施工し、テープで丁寧に処理することで、室内の水蒸気が壁の中に入るのを完全にシャットアウトします。 【基礎知識編①】で学んだ「気密」は、隙間風を防ぐだけでなく、この壁内結露を防ぐという、極めて重要な役割も担っているのです。

  • 処方箋③:計画的な換気 ― 室内の余分な湿気を排出する    断熱・気密性能を高めた上で、最後の仕上げとなるのが「換気」です。 人間が生活しているだけで、呼吸や料理、入浴などから多くの水蒸気が発生します。 この室内にこもった余分な湿気を、機械換気によって計画的に屋外へ排出することで、室内の湿度を適切にコントロールし、結露の発生リスクそのものを低減させます。

  •  

まとめ:結露は「現象」ではなく「設計・施工不良」である

結露は、避けられない自然現象ではありません。それは、断熱・気密・換気の知識不足によって引き起こされる、明らかな「設計・施工不良」なのです。

結露との戦いは、科学的な知識に基づいた、正しい設計と丁寧な施工によってのみ勝利することができます。

ここまで、私たちは断熱リフォームにおける「守り」の科学、つまり熱と湿気をいかにコントロールするかを学んできました。しかし、最高の快適性を追求する旅は、ここで終わりません。次の章では、一歩進んで「攻め」の科学、**「蓄熱」と「自然素材」**がもたらす、ワンランク上の心地よさの秘密に迫ります。

【基礎知識編③】【本ガイドの核心】断熱の先にある快適性:「蓄熱」と「自然素材」という選択肢 へ進む

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※すべてのページでYouTube動画解説リンクがありますので、合わせてご覧ください。

< この記事の著者情報 >

稲葉 高志

 

ハイウィル株式会社 四代目社長

1976年生まれ 東京都出身。

【経歴】

家業(現ハイウィル)が創業大正8年の老舗瓦屋だった為、幼少よりたくさんの職人に囲まれて育つ。

中学生の頃、アルバイトで瓦の荷揚げを毎日していて祖父の職人としての生き方に感銘を受ける。 日本大学法学部法律学科法職課程を経て、大手ディベロッパーでの不動産販売営業に従事。

この時の仕事環境とスキルが人生の転機に。  TVCMでの華やかな会社イメージとは裏腹に、当たり前に灰皿や拳が飛んでくるような職場の中、東京営業本部約170名中、営業成績6期連続1位の座を譲ることなく退社。ここで営業力の基礎を徹底的に養うことになる。その後、工務店で主に木造改築に従事し、100棟以上の木造フルリフォームを大工職人として施工、管理者として管理

2003年に独立し 耐震性能と断熱性能を現行の新築の最高水準でバリューアップさせる戸建てフルリフォームを150棟営業、施工管理に従事

2008年家業であるハイウィル株式会社へ業務移管後、 4代目代表取締役に就任。

250棟の木造改修の営業、施工管理に従事

2015年旧耐震住宅の「耐震等級3」への推進、「断熱等級4」への推進を目指し、 自身の通算500棟を超える木造フルリフォーム・リノベーション経験の集大成として、性能向上に特化した日本初の木造フルリオーム&リノベーションオウンドメディア 「増改築com®」をオープン

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