戸建フルリフォームなら「増改築.com®」TOP > 断熱リフォーム(リノベーション)の費用や工期、工事内容について>断熱リフォーム 完全ガイド【部位別 実践編②】「壁」の断熱リフォーム完全攻略
更新日:2025.7.10
1. 外断熱 vs 内断熱 ― 我が家に最適な断熱リフォームはどっち?
2. 【外断熱の決定版】住みながら断熱と耐震を同時に実現する「ソトダンプラス」工法
3. 【内断熱リフォームの定石】コストと効果のバランスを追求する手法
4. 壁断熱リフォームで絶対に失敗しないための「プロの掟」
まとめ:最適な「壁」が、住まいの骨格を変える
【部位別 実践編①】では、住まいの最大の弱点である「窓」と「玄関ドア」を攻略する方法を学びました。熱の出入りが最も激しい場所を鉄壁の守りに変えた今、次なる目標は、家の中で最も広い面積を占める「壁」です。
壁の断熱リフォームは、住まい全体の温熱環境を決定づける、極めて重要な工事です。そして、そのアプローチは大きく二つに分かれます。
「家の外から断熱するか、内から断熱するか」
この最初の選択が、リフォームの費用、工期、住みながらの工事の可否、そして最終的に得られる性能のすべてを方向づけます。この章では、この二つの道を徹底的に比較し、あなたの住まいとライフプランに最適な「壁断熱」の答えを見つけ出すための、完全なガイドをお届けします。
内断熱
外断熱
比較項目 | 外断熱(外張り断熱) | 内断熱(充填断熱/内付加断熱) |
---|---|---|
コンセプト | 家全体を外側から、高性能な断熱材ですっぽりと覆う工法。 | 壁の柱間に断熱材を充填、または室内側に断熱材を追加する工法。 |
断熱性能 | ◎ 優れている 柱や梁を含む構造体全体を断熱材で覆うため、熱橋(ヒートブリッジ)が発生せず、性能を最大限に発揮。 | ○~◎ 柱や梁が熱橋となりやすく断熱欠損が生じやすい。内付加断熱の併用で改善可能。 |
気密性能 | ◎ 優れている 建物外側で連続気密層を形成しやすく、施工性も良好。 | ○ 施工精度に依存 室内側に気密シートを隙間なく施工する必要があり、熟練の技術が求められる。 |
蓄熱効果 | ◎ 最大限に活かせる 構造体が室内側にあるため、建物全体が蓄熱体として機能し、室温の安定性が高い。 | △ 限定的 構造体が断熱材の外側に来るため、蓄熱性能は低くなる。 |
工事中の生活 | ◎ 住みながら可能 すべて屋外での作業のため、生活への影響が最小限。 | × 困難 室内側の壁を解体する必要があり、家具移動や仮住まいが必要なケースも。 |
外観への影響 | △ 大きく変わる 外壁を全面覆うため、外観デザインや仕上げ材は一新される。 | ◎ 変わらない 外装に手を加えず、既存の外観をそのまま活かせる。 |
室内面積 | ◎ 変わらない 断熱施工は外側のため、室内空間は影響なし。 | △ 付加断熱はわずかに狭くなる 内付加断熱により、断熱材の厚み分だけ居住面積が減少。 |
費用 | 高価 高性能な断熱材・足場・外装施工が必要で、コストは高め。 | 比較的安価(断熱材の性能により変動) 外装工事が不要な分、コストを抑えやすい。 |
耐震改修との相性 | ○可能 外壁に構造用合板を張ることで、断熱と耐震補強を同時に実現可能。 | ○ 可能 壁解体時に筋交いや金物の補強ができるため、連動しやすい。 |
【結論】どちらを選ぶべきか?
外断熱がおすすめな方:
性能に一切妥協したくない、最高の温熱環境を求める方
住みながらのリフォームを絶対条件としたい方
外壁の老朽化が進んでおり、いずれ外装リフォームも検討している方
耐震性能も同時に向上させたい方
予算に比較的余裕がある方
内断熱がおすすめな方:
費用をできるだけ抑えたい方
外観のデザインを一切変えたくない方
部屋ごとに、段階的なリフォームを計画している方
大規模なリフォームは考えておらず、特定の部屋の断熱性を改善したい方
「外断熱の性能は魅力的だが、費用や大掛かりな工事が心配…」 そんな方にこそ知っていただきたいのが、本ガイドが最も推奨する外断熱リフォームの進化形、「ソトダンプラス」です。
これは、従来の「外張り断熱」のデメリットを克服し、「住みながら」「高いコストパフォーマンスで」「断熱と耐震を一挙に実現する」ことを可能にした、画期的な上張り断熱リフォーム工法です。
【ソトダンプラスの核心】 この工法の心臓部となるのが、アキレス社が誇る高性能硬質ウレタンフォーム断熱材「キューワンボード」です。 非常に高い断熱性能を持ちながら、軽量で施工性に優れ、国の補助金対象にもなりやすいという特徴を持っています。
【写真で見る!ソトダンプラス 7つのステップ】
Step1. 劣化診断と外装材の部分撤去
まず、専門家が建物の状態を徹底的に診断します。その上で、後の工程(気流止め・耐震補強)のために、壁の上下など、要所の外壁を約300mm幅で部分的に撤去します。 全面解体しないため、廃材を最小限に抑え、アスベスト飛散のリスクも低減できます。
Step2. 気流止めの施工
壁の中の隙間を冷たい空気が通り抜けるのを防ぐため、圧縮したグラスウールなどを壁の上下に詰め込み、気流を完全にシャットアウトします。地味ですが、家の性能を左右する極めて重要な工程です。
Step3. 構造用合板による耐震補強
Step1で外壁を剥がした部分に、厚さ12mmの構造用合板をしっかりと留め付け、柱と横架材(梁など)の接合部を補強します。これにより、建物全体の耐震性能が向上します。
Step4. 既存通気層の閉塞と復旧
補強が完了したら、既存の通気層を塞ぎ、取り外しておいた外装材で元通りに復旧します。
Step5. 高性能断熱材「キューワンボード」の上張り施工
いよいよ主役の登場です。既存の外壁の上から、家全体を包み込むように「キューワンボード」を隙間なく張っていきます。
Step6. 新たな「通気層」の確保
断熱材の外側に、壁内の湿気を外部に排出するための「通気胴縁」を取り付け、新たな空気の通り道を確保します。これにより、結露を防ぎ、建物の耐久性を高めます。
Step7. 新規外装材による仕上げ
最後に、金属サイディングなどの軽量で耐久性の高い外装材で仕上げて完成です。性能向上はもちろん、外観も美しく生まれ変わります。
次に、費用を抑えつつ、着実に性能を向上させる「内断熱」の定石を見ていきましょう。内断熱は、壁の内側からアプローチする方法で、大きく分けて2つの手法があります。
これは、室内側の壁(石膏ボードなど)を剥がし、柱と柱の間の空間に断熱材を隙間なく充填していく、最も一般的な内断熱の手法です。
断熱材の選択と施工:
高性能グラスウール: 最も一般的な選択肢ですが、その施工は非常に難しく、専門性が問われます。柱と間柱の間に、押しつぶしたり、隙間ができたりしないよう、ふんわりと、かつ隙間なく丁寧に充填する必要があります。私たちが日々、既存住宅を解体していますが、このグラスウールが正しく施工されている現場は、ほとんど見たことがありません。
セルロースファイバー: 新聞紙をリサイクルした断熱材で、高い断熱性能に加え、「吸音効果」と「調湿性能」を併せ持ちます。 専門の機械で吹き込むため、隙間なく施工しやすいのが特徴です。
成功の鍵:完璧な「防湿気密」施工
充填断熱の成否は、この「防湿気密処理」で決まります。断熱材を充填した後、その室内側を「防湿気密シート」で完全に覆い、**「家の内側に、もう一つ完璧なビニール袋を作る」**のです。 シートの継ぎ目、柱・梁・床・天井との取り合い、そしてコンセントや配管周りの全ての隙間を、専用の気密テープでミリ単位で塞いでいきます。 この地道な作業こそが、断熱材の性能を100%引き出し、壁内結露を防ぐための、最も重要な工程です。
これは、既存の壁はそのままに、その室内側にさらに板状の高性能断熱材を張り付けて、壁を厚くする方法です。
メリット:
充填断熱と組み合わせることで、外断熱に匹敵するほどの超高断熱仕様を実現できます。
既存の壁を壊さずに施工できる場合もあり、工期を短縮できる可能性があります。
デメリット:
断熱材の厚み分(数cm)、部屋が狭くなります。
コンセントやスイッチ、窓枠などを、厚くなった壁の面に合わせて前に出す「ふかし工事」が必要になります。
出典 FUKUVI
天窓(トップライト): 採光に優れる一方、夏場は直射日光による強烈な熱取得が問題となります。また、高所にあるため結露しても気づきにくく、雨漏りのリスクも高い場所です。改修する際は、実は最も選択肢は狭く、カバー工法はほとんど対応していません。主要メーカーで断熱性能の高い水準の商品はまだまだ少ない実情があります。下の写真は、ベルックス社製の天窓のカバー工法の施工写真です。. ベルックスはデンマークで創業された天窓メーカーです。
断熱リフォームの現場では、必ず「理想」と「現実」の壁にぶつかります。特に多いのが、「理想の断熱材を入れるには、壁の厚みが足りない」という問題です。
【課題】 例えば、セルロースファイバーで高い断熱性能(断熱等級6)を目指すには、120mmの厚みが必要です。しかし、日本の多くの木造住宅の柱は105mm角。15mm足りません。
【プロの思考と解決策】
解決策A:「壁を厚くする」
既存の柱(105mm)の室内側に、厚さ15mmの木材(胴縁)を打ち付け、壁の総厚を120mmに確保します。
解決策B:「断熱材を変える」
壁の厚さを変えられない場合、より少ない厚みで高い性能を発揮する断熱材に変更します。ここで真価を発揮するのが「硬質30倍発泡ウレタン」です。これは、一般的な100倍発泡の軟質ウレタンとは異なり、非常に高い断熱性能を持つため、90mmの厚みで、セルロースファイバー120mmと同等以上の断熱性能を発揮できます。 限られた壁厚で最高の性能を引き出す、プロの選択肢です。
解決策C:「家全体で帳尻を合わせる」
壁の性能が目標値にわずかに届かなくても、そのマイナス分を**「窓の性能」で補うのです。例えば、当初の予定だった「樹脂サッシ+Low-Eペアガラス」から、さらに高性能な「樹脂サッシ+トリプルガラス」**にアップグレードする。これにより、家全体のUA値の帳尻を合わせ、目標性能をクリアします。これは、建物全体のエネルギー収支を計算できる、高度な知識と設計力があって初めて可能な提案です。
既存の柱(105mm)の室内側に、厚さ15mmの木材(胴縁)を打ち付け、壁の総厚を120mmに確保
より少ない厚みで高い性能を発揮する硬質30倍発泡ウレタン
この章では、「壁」の断熱リフォームについて、外断熱と内断熱という二つの大きな選択肢と、それぞれの代表的な工法、そしてプロの応用技術までを解説しました。
最高の性能と住みながらの工事を望むなら「ソトダンプラス」のような外断熱。 コストを抑えつつ着実に性能を上げたいなら「充填断熱+完璧な気密処理」という内断熱。
あなたの家の状況と理想の暮らしに合わせて、最適な工法を選んでください。
壁という広大な面積を攻略した今、次なる目標は、冬の寒さが忍び寄る**「足元」**です。床からの底冷えを完全にシャットアウトし、「床暖房のいらない暮らし」を実現するための、床・基礎断熱のすべてを次の章で解き明かします。
ハイウィル株式会社 四代目社長
1976年生まれ 東京都出身。
【経歴】
家業(現ハイウィル)が創業大正8年の老舗瓦屋だった為、幼少よりたくさんの職人に囲まれて育つ。
中学生の頃、アルバイトで瓦の荷揚げを毎日していて祖父の職人としての生き方に感銘を受ける。 日本大学法学部法律学科法職課程を経て、大手ディベロッパーでの不動産販売営業に従事。
この時の仕事環境とスキルが人生の転機に。 TVCMでの華やかな会社イメージとは裏腹に、当たり前に灰皿や拳が飛んでくるような職場の中、東京営業本部約170名中、営業成績6期連続1位の座を譲ることなく退社。ここで営業力の基礎を徹底的に養うことになる。その後、工務店で主に木造改築に従事し、100棟以上の木造フルリフォームを大工職人として施工、管理者として管理。
2003年に独立し 耐震性能と断熱性能を現行の新築の最高水準でバリューアップさせる戸建てフルリフォームを150棟、営業、施工管理に従事。
2008年家業であるハイウィル株式会社へ業務移管後、 4代目代表取締役に就任。
250棟の木造改修の営業、施工管理に従事。
2015年旧耐震住宅の「耐震等級3」への推進、「断熱等級4」への推進を目指し、 自身の通算500棟を超える木造フルリフォーム・リノベーション経験の集大成として、性能向上に特化した日本初の木造フルリオーム&リノベーションオウンドメディア 「増改築com®」をオープン。
フルリフォーム(全面リフォーム)で最も大切なのは「断熱」と「耐震」です。性能向上を第一に考え、末永く安心して住める快適な住まいを目指しましょう。
戸建てリノベーションの専属スタッフが担当致します。
一戸建て家のリフォームに関することを
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どのようなお悩みのご相談でも結構です。
あなたの大切なお住まいに関するご相談をお待ちしております。
営業マンはおりませんので、しつこい営業等も一切ございません。
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