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更新日:2025.7.10

 

断熱リフォーム 完全ガイド【計画・実行編③】住宅の燃費「BEI」と、それを達成する「設備」の最適解

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性能向上リノベーション(断熱編)

1. 「BEI」とは何か? ― 我が家の“燃費性能”を測る、国のものさし

2. 冷暖房設備の最適戦略 ―「畳数」で選ぶ時代の終わり

3. 給湯設備の選択 ― エネルギー消費の“大ボス”を攻略する

4. 換気と照明 ― “チリツモ”の省エネを極める

5. BEI 0.7以下を達成するための「勝利の方程式」

まとめ:「燃費」という視点が、リフォームを成功に導く

これまでの章で、私たちは家の「ボディ(車体)」にあたる断熱・気密性能と、「内装・乗り心地」にあたる素材選びについて学んできました。家の構造と素材という「ハードウェア」を、最高の状態にするための知識です。

しかし、最高のボディを持つ車も、燃費の悪い旧式のエンジンを積んでいては、その真価は発揮されません。ガソリンを無駄に消費し、快適なドライブもままならないでしょう。

家の世界にも、これと全く同じことが言えます。

家の「エンジン」にあたるのが、エアコンや給湯器、換気扇といった「設備」です。

そして、その家の総合的な“燃費性能”を示す、国が定めた唯一の公式なものさし、それが「BEI(Building Energy Index)」なのです。

この章では、専門家でなければ理解が難しい「BEI」の世界を、誰にでも分かるように紐解き、最高のボディ(高断熱な家)に相応しい、最高のエンジン(省エネ設備)を選ぶための、完全なガイドをお届けします。

1. 「BEI」とは何か? ― 我が家の“燃費性能”を測る、国のものさし

 

「BEI」とは、「Building Energy Index(建築物エネルギー消費性能指数)」の略称です。 難しく聞こえますが、考え方は非常にシンプルです。

BEI = あなたの家の年間のエネルギー消費量 ÷ 国が定める“標準的な家”のエネルギー消費量

つまり、「あなたの家は、標準的な家と比べて、どれくらいエネルギーを使いますか?」ということを示す数値なのです。

  • BEI = 1.0 → 標準的な家と同じ燃費性能です。

  • BEI < 1.0 → 標準的な家より燃費が良い(省エネ)です。数値が小さいほど高性能になります。

  • BEI ≦ 0.8 → 国が定める「一次エネルギー消費量等級6(最高等級)」に相当する、非常に優れた燃費性能です。

  • BEI ≦ 0.7 → 標準的な家より30%もエネルギー消費が少ない、超・高性能住宅です。

このBEIを計算する際、家で使われるエネルギーは、以下の5つの要素に分解して評価されます。

  1. 暖房エネルギー消費量

  2. 冷房エネルギー消費量

  3. 換気エネルギー消費量

  4. 照明エネルギー消費量

  5. 給湯エネルギー消費量

断熱リフォームにおけるBEIの目標設定とは、これら5つのエネルギー消費量を、

「①優れたボディ(断熱・気密)」と「②燃費の良いエンジン(省エネ設備)」の組み合わせによって、

どこまで削減できるかに挑戦することなのです。

2. 冷暖房設備の最適戦略 ―「畳数」で選ぶ時代の終わり

 

高断熱リフォーム後、多くの人が陥る最大の過ちが、エアコンの「オーバースペック(過剰性能)」です。

 

 
パラダイムシフト:高断熱住宅に、大きなエアコンは不要
 

 

家電量販店で「14畳のリビングなので、14畳用のエアコンをください」と伝えるのは、もはや過去の常識です。なぜなら、カタログに書かれている「〇畳用」という目安は、断熱性能が低い、昔の日本の家を基準に作られているからです。

断熱リフォームで家の性能が飛躍的に向上すると、昔の家と同じ感覚でエアコンを選ぶと、パワーが強すぎることになります。強すぎるエアコンは、部屋がすぐに冷えたり暖まったりするため、一見快適に思えますが、実は「ON/OFF運転(短時間での運転と停止)」を繰り返すことになります。これは、車の運転で急発進と急ブレーキを繰り返すようなもので、最もエネルギー効率が悪く、電気代を無駄にする運転方法なのです。

 

真の快適性と省エネを実現するのは、「適切な容量の小さなエアコンが、常に低い出力で静かに連続運転している状態」です。そのためには、家の断熱性能(Ua値)を基に、専門家が「暖冷房負荷計算」を行い、必要最小限の能力を持つエアコンを選定することが不可欠です。

 

 
 
エアコンの「燃費」を見極める指標“APF”
 

 

エアコンの省エネ性能を測る最も重要な指標が「APF(通年エネルギー消費効率)」です。これは、1年間を通して、消費した電力1kWhあたり、どれだけの冷暖房能力を発揮できるかを示した数値で、この数値が高いほど「燃費の良い」エアコンということになります。 最新の高性能機種を選ぶことが、BEIの数値を下げる上で非常に効果的です。

 

 
 
全館空調 vs 個別エアコン
 

 

高断熱・高気密住宅では、家全体の温度が均一になりやすいため、小屋裏に設置した一台のエアコンで家全体を空調する「全館空調」も現実的な選択肢となります。

  • 全館空調: 初期費用は高いが、家中の温度差が全くない究極の快適性を実現できる。見た目もスッキリする。

  • 個別エアコン: 初期費用を抑えられ、使わない部屋の電源はOFFにできるなど、柔軟な運用が可能。

 

どちらが良いかはライフスタイルによりますが、いずれの場合も「高断熱化によって、これまでよりはるかに小さな能力のエアコンで足りるようになる」という事実を、ぜひ覚えておいてください。

3. 給湯設備の選択 ― エネルギー消費の“大ボス”を攻略する

 

住宅における年間のエネルギー消費の内訳を見ると、暖房に次いで、あるいは暖房以上に大きな割合を占めるのが,

実は「給湯」です。この“大ボス”をいかに攻略するかが、BEIの数値を大きく左右します。

 

高効率給湯器“三種の神器”
 

 

  • エコキュート(自然冷媒ヒートポンプ給湯機):

    • 仕組み: 空気の熱を集めて、その熱でお湯を沸かす、エアコンと同じ「ヒートポンプ」技術を使った電気給湯器。

    • 長所: 消費電力の3倍以上の熱エネルギーを生み出す、極めて高い省エネ性能を誇る。深夜電力プランと組み合わせることで、ランニングコストを大幅に削減できる。

    • 短所: お湯を貯めておく巨大なタンクが必要で、設置スペースを選ぶ。お湯切れのリスクがある。初期費用が高い。

  • エコジョーズ(潜熱回収型ガス給湯器):

    • 仕組み: これまで捨てられていた排気ガスの熱(潜熱)を回収して、お湯を沸かすエネルギーに再利用する、高効率なガス給湯器。

    • 長所: 瞬間的にお湯を作るため、お湯切れの心配がない。エコキュートに比べて初期費用が安く、設置スペースも小さい。

    • 短所: 省エネ性能(エネルギー効率)はエコキュートに劣る。

  • ハイブリッド給湯器:

    • 仕組み: 「エコキュート」と「エコジョーズ」を良いとこ取りした、電気とガスのハイブリッドシステム。

    • 長所: 普段使いの少量のお湯は高効率なヒートポンプで沸かし、お風呂など大量のお湯が必要な時はパワフルなガスで沸かす、という賢い使い分けを自動で行う。省エネ性と利便性を両立した、BEI削減の切り札となりうる選択肢。

    • 短所: 設置スペースが必要で、初期費用は最も高価。

 

 
設備の性能を活かす“小さな工夫”
 

 

給湯器本体だけでなく、「高断熱浴槽」(お湯が冷めにくい浴槽)や「節湯水栓」(少ない水量でも満足感のあるシャワーヘッドなど)を併用することで、そもそも使うお湯の量を減らし、BEIの数値をさらに改善することができます。

 

4. 換気と照明 ― “チリツモ”の省エネを極める

冷暖房や給湯に比べると一つひとつの消費エネルギーは小さいですが、24時間365日稼働する「換気」と「照明」も、BEIに影響を与える重要な要素です。

 

 

換気:熱を捨てない「熱交換換気」という選択

 

【基礎知識編】で学んだように、高気密住宅には24時間運転の機械換気が不可欠です。しかし、一般的な換気扇(第3種換気)は、冬場にせっかく暖めた室内の空気を、そのまま屋外に捨ててしまいます。

そこで選択すべきなのが「第1種 熱交換換気システム」です。

これは、汚れた空気を排出する際に、その空気が持つ「熱」だけを回収し、新たに取り込む新鮮な外気にその熱を移してから室内に供給する、という非常に賢いシステムです。 これにより、換気による熱の損失を70~90%も削減することができ、冷暖房の負担を劇的に軽減します。BEI 0.7以下を目指すなら、ほぼ必須の設備と言えるでしょう。リフォームでは、大掛かりなダクト工事が不要な「ダクトレス熱交換型」が主流です。

 

 

照明:LED化は絶対条件

 

もはや常識となりつつありますが、住宅内の全ての照明を「LED」に交換することは、BEI削減の基本中の基本です。白熱電球に比べて消費電力は約86%も削減でき、家全体のエネルギー消費量を着実に押し下げます。

 

5. BEI 0.7以下を達成するための「勝利の方程式」

それでは、これまでの知識を統合し、断熱リフォームでBEI 0.7以下という高い目標を達成するための「勝利の方程式」をまとめます。

  • 方程式①:【外皮性能の徹底強化】

    何よりもまず、断熱等級6(UA値0.46以下 ※6地域)以上、C値1.0以下という、圧倒的に高性能な「ボディ」を作り上げることが大前提です。この土台なくして、省エネ設備は決して活かせません。

  • 方程式②:【高効率設備の戦略的導入】

    家の性能に合わせて適切に小型化した「高効率エアコン」、ライフスタイルに合わせたハイブリッド給湯器 or エコキュート」、熱を捨てない第1種 熱交換換気システム、そして全照明のLED化」を戦略的に導入します。

  • 方程式③:【専門家によるシミュレーション】

    決定した「家の仕様」と「設備の仕様」を基に、専門家が専用のプログラムでBEIの数値を計算します。ここで初めて、あなたの家の“燃費性能”が明らかになります。

  • 方程式④(オプション):【創エネの追加】

    もし、①と②だけではBEI 0.7に届かない場合や、さらに上を目指す(ZEH)場合は、「太陽光発電システム」を導入します。 自宅でエネルギーを創り出す「創エネ」分は、エネルギー消費量から差し引かれるため、BEIの数値を大幅に改善することができます。

     

まとめ:「燃費」という視点が、リフォームを成功に導く

この章では、家の燃費性能を示す「BEI」と、それを達成するための最適な設備選びについて解説しました。性能向上リノベーションの世界ではやっと浸透してきた指標でもあります。一般のリフォーム会社や建売住宅などではまだ、あまり聞かない指標かもしれませんが、断熱を知るうえで必ず必要な指標でもあります。

もはや、断熱リフォームは単に「暖かくする」「涼しくする」だけのものではありません。家の性能を「Ua値」や「BEI」といった客観的な数値で捉え、ボディ(外皮)とエンジン(設備)の両面から、総合的なエネルギー性能を設計していく。この「燃費」という視点を持つことこそが、これからの時代のリフォームを成功に導く、最も重要な鍵なのです。

なるべくわかりやすいように解説をさせていただいたつもりですが、より突っ込んだBEIの解説が読みたいという方は、さらbに詳細の解説もございます以下のリンクからお読みいただけます。

 

さて、最高の「ハコ」と「エンジン」を選ぶ知識を身につけた今、次はいよいよ、最も現実的なテーマ、「お金」の話へと進みます。

これら最高の断熱リフォームを実現するためには、一体いくらかかるのか。そして、その負担を劇的に軽くする「補助金」という切り札を、どう使いこなすのか。次の章で、その全てを解き明かします。

 

【計画・実行編④】気になる費用と、知らないと損する「補助金」活用術 へ進む

詳細解説『戸建てリフォーム&リノベーションでBEI0.7以下を達成する方法』はこちら

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何から読めばいいかわからない方は総合案内よりお進みください。

導入編2記事・基礎知識編3記事・部位別実践編4記事・特殊ケース攻略編2記事・計画実行編5記事の全16話構成で、断熱リフォームに必要な全知識をを網羅的に解説します。読みたいテーマが決まっている方は以下からお進みください。

※すべてのページでYouTube動画解説リンクがありますので、合わせてご覧ください。

< この記事の著者情報 >

稲葉 高志

 

ハイウィル株式会社 四代目社長

1976年生まれ 東京都出身。

【経歴】

家業(現ハイウィル)が創業大正8年の老舗瓦屋だった為、幼少よりたくさんの職人に囲まれて育つ。

中学生の頃、アルバイトで瓦の荷揚げを毎日していて祖父の職人としての生き方に感銘を受ける。 日本大学法学部法律学科法職課程を経て、大手ディベロッパーでの不動産販売営業に従事。

この時の仕事環境とスキルが人生の転機に。  TVCMでの華やかな会社イメージとは裏腹に、当たり前に灰皿や拳が飛んでくるような職場の中、東京営業本部約170名中、営業成績6期連続1位の座を譲ることなく退社。ここで営業力の基礎を徹底的に養うことになる。その後、工務店で主に木造改築に従事し、100棟以上の木造フルリフォームを大工職人として施工、管理者として管理

2003年に独立し 耐震性能と断熱性能を現行の新築の最高水準でバリューアップさせる戸建てフルリフォームを150棟営業、施工管理に従事

2008年家業であるハイウィル株式会社へ業務移管後、 4代目代表取締役に就任。

250棟の木造改修の営業、施工管理に従事

2015年旧耐震住宅の「耐震等級3」への推進、「断熱等級4」への推進を目指し、 自身の通算500棟を超える木造フルリフォーム・リノベーション経験の集大成として、性能向上に特化した日本初の木造フルリオーム&リノベーションオウンドメディア 「増改築com®」をオープン

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