戸建フルリフォームなら「増改築.com®」TOP >耐震補強リフォーム工事 完全ガイド>リフォームで「耐震等級3」は取得できるのか?その方法と費用、そして本当の価値
更新日:2025/08/19
【序章】:中古住宅は、新築の「最高等級」を公式に名乗れるか?
第1章:「上部構造評点」と「耐震等級」。似て非なる二つの“強さ”の指標
第2章:運命の分かれ道 ― 「設計図書」の有無が“申請の手間”を決定する
第3章:「確認申請」に匹敵する覚悟 ― 図面ゼロから「等級3」を証明する全手順
第4章:「耐震等級3」がもたらす、絶大なメリットと未来への価値
【終章】:結論:リフォームは、中古住宅を最高の「公認資産」へ変える挑戦
✔ここでの概要:
これまで、私たちは耐震補強の、様々な技術の核心に迫ってきました。
この「技術編」の最終章として、全ての知識と技術の、その到達点とも言える、最も壮大で、そして希望に満に満ちたテーマについてお話しします。
それは、「既存の住宅のリフォームで、国の定める最高レベルの安全性『耐震等級3』の、公式な“証明書”を取得することは、果たして可能なのか?」という、究極の問いです。
この問いに、私たち増改築ドットコムは、長年の経験と数々の実績をもって、条件付きながらも、明確に「イエス」とお答えします。しかし、そこへ至る道は、お住まいの「履歴書」とも言える、設計図書の有無によって、その手間と費用が劇的に変わるという、厳しい現実も存在します。
この章では、その全貌を解き明かすための、最終的なロードマップを、皆様にご提示いたします。
✔ここでのポイント:まず、中古住宅のリフォームに対する、一般的な「思い込み」を、一度、皆様と共に、取り払うことから始めたいと思います。リフォームは、決して、新築の性能に劣る「妥協の産物」ではありません。正しい知識と技術をもって臨めば、新築の最高レベルの安全性能をも手に入れることができる、という、新しい常識をご提案します。
「古い家だから、耐震性もある程度までしか上がらないでしょう」
「新築じゃないのだから、仕方ないわよね」。
性能向上リノベーションをご検討されるお客様とお話ししていると、時折、このような、少し寂しげな「諦め」の言葉を耳にすることがあります。中古住宅のリフォームとは、どこか「妥協」や「制限」の中で、やりくりするもの。それが、これまでの、世間一般の常識だったかもしれません。
しかし、今日、私は、その古い価値観に、真っ向から、異を唱えたいと思います。
もし、築40年、50年と、ご家族の歴史を見守ってきた愛着のある我が家が、現代の、そして、これからの未来においても、最も安全な場所へと生まれ変わることができるとしたら。
もし、その安全性が、消防署や警察署といった、地域の防災拠点と同じ、国の定める最高レベルの「耐震等級3」であると、公式に証明することができるとしたら。 皆様は、それを「夢物語」だと思われるでしょうか。
私たちがご提案する性能向上リノベーションは、単なる「修繕」や「改修」ではありません。
それは、既存の家の、素晴らしいポテンシャルを最大限に引き出し、現代の科学的な知見と、私たちの持つ最高の技術を注ぎ込むことで、その価値を、未来へと、全く新しい形へと昇華させる「再創造」のプロセスです。
その再創造の、最も重要な柱こそが、リフォームで耐震等級3を目指す、という、一見、無謀にも思える、しかし、極めて価値のある「選択」なのです。
それは、過去の制約に縛られるのではなく、「これから先、50年、100年と、この家で、どのような安心と共に、豊かな時を過ごしたいか」という、未来からの視点に立つこと。
そして、その理想の未来から逆算して、今、何をすべきかを、主体的に選び取っていく、という、極めて前向きで、そして、創造的な行為に他なりません。
この、リフォームに対する、新しい価値観を、まずは、皆様と共有すること。それが、この壮大な物語の、始まりとなります。
✔ここでのポイント:
ただ、技術的に家を強くするだけでなく、なぜ、その性能を、第三者機関から「公式な証明書」として得ることが、これからの時代において、決定的に重要なのか。
その理由を、「安心感」「資産価値」「経済的メリット」という、3つの具体的な価値から解説します。
「御社が、きちんと工事をして、安全だと言ってくれるなら、それで十分じゃないですか」。
お客様から、このような、ありがたいお言葉をいただくこともあります。
もちろん、私たちも、自らの仕事に、絶対的な誇りと責任を持っています。
しかし、これからの時代、それだけでは、もはや不十分なのです。
私たち施工会社が発行する「工事完了報告書」や「構造計算書」は、あくまで、私たちとお客様との間の「私的な約束」です。
それに対し、「住宅性能評価機関」という、国の定めた、公平な第三者機関が発行する「建設住宅性能評価書」は、その家の性能が、客観的な基準に基づいて、最高レベルにあることを、社会全体に対して証明する「公的な約束」となります。
この「公的なお墨付き」があるかどうか。それが、皆様の未来に、計り知れないほどの、大きな違いをもたらすのです。
まず、何よりも、ご家族の「安心感」が違います。「専門家が、大丈夫だと言っていた」という安心から、「国が認めた機関が、最高等級だと証明してくれた」という、揺るぎない「確信」へと、その質が変わります。
次に、「資産価値」が、全く変わってきます。将来、そのお住まいを売却されたり、お子様へ相続されたりする際に、この公式なリフォーム 耐震等級証明は、その家が、単なる「古い家」ではなく、「最高レベルの安全性能を持つ、極めて価値の高い優良ストック住宅」であることを、誰の目にも明らかにする、最強の武器となります。
そして、より現実的な価値として、この「証明書」は、皆様に、直接的な「経済的メリット」をもたらします。
例えば、火災保険とセットで加入する「地震保険」。
実は、この保険料は、建物の耐震性能に応じて、大幅な割引制度が設けられています。そして、耐震等級3の認定を受けた住宅は、その最大の割引率である、実に50%もの割引を受けることができるのです。
これは、何十年と払い続ける保険料を考えれば、莫大な金額の差となります。
さらに、住宅ローン減税といった、国の税制優遇制度においても、この公式な証明書は、その適用条件をクリアし、最大限の恩恵を受けるための、必須のパスポートとなります。
このように、耐震等級3の取得は、もはや、単なる安全への投資、というだけではありません。
その費用の一部、あるいは、それ以上を、具体的な経済的メリットとして、将来にわたって、回収していくことができる、極めて合理的な「資産運用」でもあるのです。
✔ここでのポイント:
最後に、この章全体を通じて、皆様がどのような知識と判断力を手に入れることができるのか、そのゴールを明確に提示します。漠然とした「夢」と「不安」を、具体的な「知識」へと変え、皆様が、リノベーションの賢明な当事者となるためのお手伝いをします。
この、一見、不可能にも思える、「リフォームで耐震等級3を取得する」という、壮大な夢。それを、現実のものとするためには、正しい知識と、明確な計画、そして、信頼できるパートナーが、不可欠です。
この記事は、その夢への道のりを、一歩一歩、具体的に照らし出す「ロードマップ」として、皆様を、ゴールまで、安全に導くために、書き下ろされました。
この先の章で、私たちは、以下の、全ての工程を、皆様と共に、歩んでいきます。
Step 1.【定義の理解】: まず、私たちが目指す「耐震等級」とは何か、そして、よく似た言葉「上部構造評点」との、決定的な違いを、明確に理解します。
Step 2.【挑戦権の確認】: 次に、そもそも、あなたのお住まいが、この挑戦のスタートラインに立てるのかどうか。そのための、避けては通れない「絶対条件」を確認します。
Step 3.【実務プロセスの全貌】: そして、いよいよ、耐震等級3 取得方法の、具体的な実務プロセスを、申請から、検査、そして、証明書交付まで、その全てを、明らかにします。
Step 4.【メリットの再確認】: 最後に、この挑戦を乗り越えた先に待っている、絶大な「価値」と「メリット」を、もう一度、確認し、皆様の決断を、力強く、後押しします。
この旅を終える頃には、あなたは、単に「リフォームで耐震等級3が取れるらしい」という、漠然とした知識を得るだけではありません。 その、取得方法の、具体的なハードルと、それを乗り越えるためのプロセス、そして、その先にある、本当の価値の、全てを理解し、ご自身の家と、ご自身の人生にとって、それが、本当に価値のある選択なのかどうかを、主体的に判断できる、賢明な「当事者」となっているはずです。
さあ、それでは、中古住宅の可能性を、最大限に引き出し、最高の未来を、その手で掴み取るための、壮大な旅へと、出発しましょう。
章の概要:
序章では、リフォームで新築の最高等級である「耐震等級3」を目指すという、壮大で価値ある選択についてお話ししました。では、その「強さ」は、一体、どのような「物差し」で測られるのでしょうか。
この第1章では、皆様がリフォーム会社との打ち合わせの中で、必ず耳にすることになるであろう、二つの重要な言葉、「上部構造評点」と「耐震等級」の定義を、明確に区別することから始めます。
私たちプロが、構造計算という技術的な裏付けとして用いる「評点」と、国の定めた第三者機関が、その家の社会的な価値を証明する「等級」。この二つは、似ているようで、その持つ意味と役割が、全く異なります。
この違いを正しく理解することこそが、なぜ、手間と費用をかけてまで「性能評価機関への申請」というプロセスが重要なのかを知る、最初の鍵となるのです。
✔ここでのポイント:
まず、耐震診断や補強計画の現場で、私たち専門家が使う、技術的な「強さ」の指標である「上部構造評点」について解説します。この数値が、何を基準に、どのように算出されるのか。そして、「評点1.0」と「評点1.5」が、それぞれ、どのような安全レベルを意味するのかを、具体的にご説明します。
皆様が、私たちのような専門会社に、耐震診断をご依頼された際、その結果として、まず、ご提示されるのが「上部構造評点(じょうぶこうぞうひょうてん)」という、数値です。これは、いわば、皆様のお住まいの、現在の「耐震的な体力」を、客観的なスコアとして示したものです。
「上部構造」とは、文字通り、建物のコンクリート基礎よりも「上」の部分、すなわち、土台や柱、梁といった、木造の骨格全体を指します。そして「評点」とは、その骨格が、現在の建築基準法が求める耐震性能に対して、どの程度の強さを持っているか、という評価点です。
この評点は、以下のように、解釈されます。
評点1.0:現在の建築基準法が要求する耐震性能と、ちょうど同じ強さを持っている状態。
評点1.0未満:現在の建築基準法が要求する耐震性能を満たしていない状態(既存不適格)。
評点1.5:現在の建築基準法が要求する耐震性能の、実に1.5倍もの強さを持っている状態。
例えば、築40年のお住まいを診断した結果、「評点0.4」という数値が出たとします。これは、現在の基準の40%の強さしかなく、大地震に対しては、倒壊の危険性が高い、ということを意味します。 そして、私たちが行う耐震等級3 リフォームとは、この評点を、様々な補強工事によって、「1.5以上」にまで引き上げることを、技術的な目標とする、ということです。
この「上部構造評点」は、私たちが、詳細な現地調査と、専門的な構造計算ソフトを駆使して、一棟一棟、オーダーメイドで算出する、極めて信頼性の高い、技術的な数値です。
そして、補強後の「評点1.5」という数値は、「私たちの設計と施工によって、あなたの家の強度は、国の基準の1.5倍に達します」という、私たちプロフェッショナルから、お客様への、技術的な「お約束の証」に他なりません。
しかし、ここで、非常に重要なことがあります。この「評点」は、あくまで、私たちとお客様との間で、その価値が共有される、いわば「社内的な体力測定の結果」です。
それは、社会全体に対して、法的な効力を持つ「公式な証明書」とは、異なるものなのです。
✔ここでのポイント:
次に、もう一つの指標である「耐震等級」について解説します。これが、施工会社ではなく、国の定めた「第三者機関」によって評価・認定される、極めて公的な「等級(グレード)」であること。そして、その評価が、「住宅性能表示制度」という、国が定めた、客観的な物差しに基づいて行われることを説明します。
では、「上部構造評点」とは別に存在する、「耐震等級」とは、一体何なのでしょうか。
これは、2000年に施行された「住宅性能表示制度」という、国の定めた法律に基づいて、家の様々な性能を、専門知識のない方でも、分かりやすく比較・検討できるように「格付け」したものです。
例えるなら、レストランの「星」や、家電製品の「省エネ性能ラベル」のようなもの、と言えるかもしれません。
この制度では、耐震性能は、3段階の「等級(グレード)」で評価されます。
耐震等級1:建築基準法で定められた、最低限の耐震性能を満たすレベル。(上部構造評点1.0に相当)
耐震等級2:等級1の1.25倍の地震力に対して、倒壊・崩壊しないレベル。(上部構造評点1.25に相当)
耐震等級3:等級1の1.5倍の地震力に対して、倒壊・崩壊しないレベル。(上部構造評点1.5に相当)
お気づきでしょうか。私たちが、技術的な目標として掲げる「上部構造評点1.5」は、この「耐震等級3」と、強さのレベルとしては、全く同じなのです。厳密には計算方法は異なりますが相当と考えてよいといえます。実務者目線でお話しするならば上部構造評点の方が厳し目の数値が出るのですが、ほぼ同等と考えてよいでしょう。
では、その違いは、どこにあるのか。 それは、「誰が、その強さを証明するのか」という、一点に尽きます。
「上部構造評点」が、私たち設計・施工会社の、いわば「自己申告」であるのに対し、「耐震等級」は、国土交通大臣が登録した、利害関係のない、公平な「第三者機関(住宅性能評価機関)」が、厳しい審査と現場検査を経て、「この建物は、間違いなく、等級3の性能を有しています」と、公的に「認定」してくれるものです。
この、「第三者による、客観的な証明」である、という事実こそが、「耐震等級」が、「評点」とは比較にならないほどの、絶大な「社会的価値」を持つ、最大の理由なのです。
✔ここでのポイント:
技術的には同じ強さである「評点1.5」と「等級3」。なぜ、私たちは、手間と費用をかけてまで、公式な「等級」の取得を目指すべきなのでしょうか。このセクションでは、その公的な証明書がもたらす、「安心感の質の違い」「資産価値の向上」、そして「具体的な経済的メリット」について解説します。
「御社が、きちんと評点1.5の計算をして、その通りに工事をしてくれるなら、それで十分じゃないですか」。
お客様から、そうおっしゃっていただくことも、もちろんあります。
しかし、私たちは、もし、お客様のお住まいが、次の章でお話しする「条件」をクリアしているのであれば、ぜひ、この「住宅性能表示制度」に基づく、リフォーム 耐震等級証明の取得に、挑戦していただきたい、と考えています。
なぜなら、その「一手間」が、皆様のリフォームの価値を、全く異なる次元へと、引き上げてくれるからです。
① 安心の「質」が変わる
私たちからの「評点1.5です」という報告書は、お客様に、技術的な「安心」をご提供します。
しかし、第三者機関からの「等級3です」という証明書は、その安心を、誰にも揺るがすことのできない「確信」へと、変えてくれます。それは、ご家族や、ご親戚、そして、将来、この家を受け継ぐかもしれない、次の世代に対する、何より雄弁な、安全の証となります。
② 資産としての「価値」が変わる
将来、もし、皆様が、そのお住まいを売却される、という局面を迎えたとします。
その時、「私たちが、評点1.5で補強しました」という説明と、「国の登録機関が、最高等級である“耐震等級3”を証明しています」という、公式な評価書。
どちらが、買い手にとって、より魅力的で、そして、より高い資産価値を持つと、評価されるでしょうか。答えは、明らかです。耐震等級3の取得は、皆様の家を、単なる「築古リフォーム住宅」から、「性能が客観的に証明された、極めて価値の高い優良ストック住宅」へと、その社会的地位を、格上げしてくれるのです。
そして、何よりも、この公式な証明書は、皆様に、極めて現実的な「経済的メリット」をもたらします。
例えば、序章でも触れた「地震保険割引 耐震等級」制度。耐震等級3の証明書があれば、地震保険料は、実に50%もの割引が適用されます。
また、住宅ローン減税などの、国の税制優優遇を受ける上でも、この証明書は、極めて強力な武器となります。
これらの経済的なメリットは、耐震等級3の取得にかかる、申請費用や、補強費用の一部を、長期的に見れば、十分に回収してくれる可能性を秘めています。
このように、等級取得への挑戦は、単なる自己満足ではありません。それは、皆様の安心、資産、そして、家計を守るための、極めて合理的で、そして賢明な「投資」なのです。
次の章では、いよいよ、その投資を行うための、具体的な「挑戦権」、すなわち、どのような条件が揃っていれば、この等級取得への道が開かれるのか、そのお話をさせていただきます。
章の概要:前章で、私たちは「上部構造評点」と「耐震等級」という二つの指標の、決定的とも言える違いについて学びました。そして、最高の安全と社会的な価値を手に入れるためには、第三者機関による公式な「耐震等級3」の認定を目指すべきだ、という結論に至りました。しかし、その「耐震等級3」取得への道は、全ての家にとって、平坦な一本道ではありません。ここからが、この章の核心です。その道のりは、新築時の「設計図書(図面)」や「確認済証」といった、家の“カルテ”が残っているかどうかで、その手間と費用が、天と地ほどに分かれる、厳しい現実があります。なぜ、資料の有無が、それほどまでに決定的な影響を与えるのか。そして、その現実を踏まえた上で、どのようなリフォーム計画を持つ方にとって、等級取得が最も合理的で賢明な選択となるのかを、私たちの豊富な経験から解説します。
✔ここでのポイント:
まず、耐震等級3取得への、最も現実的で、そして理想的なルートについて解説します。それは、1981年6月1日以降の「新耐震基準」で建てられ、かつ、新築時の設計図書一式が、きちんと保管されているお住まいの場合です。なぜ、これらの条件が揃っていると、比較的スムーズに、そして、コストを抑えながら、等級取得を目指すことができるのか。その理由を、申請プロセスの観点から具体的にご説明します。
皆様が、病院で精密な検査を受ける時を、想像してみてください。もし、あなたが、これまでの健康診断の結果や、過去の病歴、手術の記録といった、詳細な「カルテ」を持参したとしたら、医師は、どう思うでしょうか。まず、あなたの身体の状態を、迅速に、そして正確に把握することができます。そして、その信頼性の高い情報に基づいて、的確な追加検査を行い、無駄のない、最適な治療計画を立てることができるでしょう。
家のリフォームにおける耐震等級証明の取得プロセスも、これと全く同じです。 新築時の「設計図書」や「確認済証」、「検査済証」は、まさに、その家の成り立ちと健康状態を示す、最も信頼性の高い「公式なカルテ」に他なりません。
特に、1981年6月1日以降の「新耐震基準」で建てられたお住まいで、これらの資料が、完璧な形で残っている場合。私たちは、そのカルテを基に、極めて有利な状況から、耐震等級3 取得方法の、第一歩を踏み出すことができます。
なぜ、図面があると、プロセスがスムーズになるのか。 それは、私たちが、第三者機関である評価機関に対して、「この家は、もともと、これだけしっかりとした計画に基づいて、建てられているのですよ」という、客観的な「出発点」を、明確に示すことができるからです。 私たちの仕事は、ゼロから全てを証明する、という困難な作業ではなく、「既存の図面通りに、家が建てられているかを確認(検証)し、その上で、耐震等級3の基準に足りない部分を、どのように補うか(追加)を、合理的に説明する」という、極めて論理的なプロセスになります。
評価機関の審査も、この「公式なカルテ」を基準に進められるため、論点のズレや、手戻りが少なく、比較的、スムーズに進行します。もちろん、それでも、専門的な構造計算や、詳細な補強設計といった、高度な作業は不可欠です。しかし、その手間と時間は、次にお話しする「図面がない場合」とは、比較になりません。 もし、あなたのお住まいが、この「恵まれた道」を歩む条件を備えているのであれば、「耐震等級3」の取得は、決して、夢物語ではないのです。
✔ここでのポイント:
では、次に、多くの旧耐震基準の建物が、これに該当しますが、新築時の図面が、一切残っていない、というケースについて、お話ししましょう。 これは、先ほどの病院の例で言えば、記憶を失い、身元も分からない、カルテの一切ない患者を、緊急手術するようなものです。医師は、まず、この患者が、一体、何者で、どのような身体的特徴を持っているのかを、CTスキャンや血液検査など、あらゆる手段を尽くして、ゼロから調べ上げなければなりません。 図面のない家の耐震等級3取得への道も、これと全く同じで、「失われたカルテを、ゼロから復元する」という、膨大で、そして、困難な作業から、始まります。
ここで、リフォーム業界における、一つの重要なキーワードをご説明します。それが、「確認申請(かくにんしんせい)」です。 これは、建築基準法で定められた、一定規模以上の増改築や、大規模なリフォームを行う際に、その計画が、法律に適合しているかどうかを、工事の前に、役所や指定確認検査機関に申請し、許可を得なければならない、という、非常に厳格な法的手続きのことです。この手続きには、新築時と、ほぼ同等の、詳細な図面や計算書の提出が求められ、その手間と費用は、リフォーム工事の中でも、最も大きなハードルの一つとされています。
そして、ここからが、最も重要なポイントです。 私たちが、500棟以上の経験から断言できること。それは、「図面が一切ない状態から、住宅性能表示制度の、耐震等級3の認定を取得するために必要な書類作成の手間は、この、最も大変な『確認申請』の作業と、ほぼ変わらない」という、厳しい現実です。
なぜなら、どちらも、「この建物は、一体、何者なのか」という、その存在の根幹を、第三者に対して、客観的な書類だけで、ゼロから証明しなければならないからです。この、想像を絶するほどの、膨大な復元作業の道こそが、「茨の道」の正体なのです。
✔ここでのポイント:
これら、二つの、全く異なる道のりを踏まえた上で、私たちプロが、お客様に、最も戦略的で、そして賢明な選択として、ご提案する、一つの「答え」があります。それは、この困難なプロセスを、逆手に取った、発想の転換です。
前項で、図面のない家が、耐震等級3を取得する道のりは、「確認申請」に匹敵するほど、険しい「茨の道」である、というお話をしました。 では、もし、皆様が、もともと計画されているフルリフォームが、柱や梁を大きく動かすなど、いずれにせよ、「確認申請」が、法律上、必要となる規模の大規模なものであったとしたら、どうでしょうか。
その時、皆様の前には、二つの、別々の「茨の道」が現れます。 一つは、法律を守るための「確認申請」という道。 そして、もう一つが、最高の安全性を証明するための「耐震等級3申請」という道。 この二つの道は、必要となる書類や、計算のレベルが、非常によく似ています。もし、これらを、別々のものとして、個別に対応したとしたら、その手間と費用は、二重にかかり、計り知れないほどの、大きな負担となるでしょう。
そこで、私たちプロは、お客様に、こうご提案します。 「どうせ、同じような、険しい道を歩むのであれば、その二つの旅を、一つに束ねて、同時に、そして、最も効率的に、ゴールを目指しませんか?」と。
つまり、「確認申請が必要となる、大規模なフルリフォームを行うのであれば、そのプロセスの中に、耐震等級3の申請を、完全に組み込んで、同時に取得を目指す」という、極めて戦略的な選択です。
確認申請のために必要な、詳細な現況図や構造計算。その数値を、より高いレベル(評点1.5)で設定し、住宅性能評価機関の基準に合わせて、再編集する。これにより、一つの大きな労力で、「建築基準法への適合」と「最高の安全性能の証明」という、二つの、最も価値ある果実を、同時に、その手にすることができるのです。
これは、耐震等級3 取得方法における、最も賢明で、そして、最も合理的な「裏技」とも言えるかもしれません。
私たち増改築ドットコムが、創業以来、単純なリフォームではなく、「性能向上」を伴う、大規模なリノベーションに、こだわり続けてきた理由。
その一つが、ここにあります。
次の章では、もし、あなたが、この「茨の道」を行くと決意した場合、具体的に、どのような覚悟が必要となるのか、そのお話をさせていただきます。
章の概要:
✔ここでのポイント:
まず、全ての計画の、まさに「ゼロ地点」から、私たちが何を行うのかをお見せします。それは、もはや存在しない、家の「設計図」を、現代の技術と、地道な調査によって、完全に「復元」する作業です。この、建築史家にも似た、膨大な手間のかかるプロセスこそが、「茨の道」の、最初の、そして、最も過酷な一歩となります。
前章で、図面のない家の等級取得申請は、「カルテのない患者の手術」のようだと、お話ししました。
医師は、まず、その患者の身体を、ゼロから調べ上げなければなりません。私たちも、全く同じです。 新築時の設計図書がない、ということは、私たちが、これから乗り出す、耐震等級3 リフォームという、壮大な航海の「海図」が、一枚も存在しない、ということを意味します。
私たちは、まず、自分たちの手で、この、白紙の地図を、一から描き上げることから、始めなければなりません。 この作業を、私たちは「現況調査(げんきょうちょうさ)」と呼びます。それは、単なる「現地調査」とは、その密度と精度において、一線を画すものです。
具体的に、私たちは、何を行うのか。 私たちの建築士と現場監督が、チームを組んで、お客様のお住まいの、あらゆる場所を、文字通り、ミリ単位で、実測していきます。
床下に潜り、小屋裏に頭を突っ込み、時には、壁の一部を、お客様のご許可を得て、少しだけ剥がして、その内部の構造を確認することもあります。
柱の位置と太さ、梁の大きさ(幅と高さ)、壁の配置と長さ、窓やドアの大きさ、基礎の形状と状態…。家の骨格を構成する、全ての情報を、レーザー測定器などの最新機器も駆使しながら、一つひとつ、丁寧に拾い上げていきます。
それは、まるで、一体の恐竜の化石を発掘し、その骨を、一本一本、正確にスケッチしていくような、途方もなく、地道な作業です。
そして、その膨大な実測データを、事務所に持ち帰り、CADソフトを使い、コンピュータ上で、家の「骨格図」を、完全に復元していくのです。平面図、立面図、断面図、そして、構造の核心である、各階の「伏図(ふせず)」。 この、「失われた設計図書の復元」作業だけで、時には、数週間という時間と、多大な労力を要します。しかし、この、正確無比な「現在の地図」なくして、私たちは、耐震等級3 取得方法という、未来への、正しい航路を、決して、描き出すことはできないのです。
✔ここでのポイント:復元した図面は、あくまで、私たちの「主張」に過ぎません。その主張が、客観的な「事実」であることを、第三者である評価機関に、いかにして証明するのか。このセクションでは、そのために必要となる、「証拠書類の山」とも言える、膨大な資料の種類と、その作成の意図について、解説します。
苦労の末に、私たちは、家の「現在の姿」を、図面として、描き上げることができました。
しかし、それは、まだ、旅の始まりに過ぎません。
なぜなら、第三者機関である評価機関は、その図面を、すぐには「真実」として、認めてはくれないからです。図面が揃っている「恵まれた道」のケースでは、評価機関は、その「公式なカルテ」を、ある程度の信頼をもって、見てくれます。
しかし、図面が一切ない「茨の道」のケースでは、私たちが作成した全ての書類に対して、「本当に、そうなのか?」という、厳しい「疑いの眼」が向けられます。私たちは、その疑いを、一つひとつ、客観的な「証拠」を積み上げることで、晴らしていかなければなりません。その「証拠書類」の量は、文字通り、「山」となります。
具体的に、私たちが、どのような書類を作成し、評価機関を「ゼロから説得」していくのか。その、代表的なものをご紹介します。
① 現況調査報告書 および 写真台帳 復元した図面が、何を根拠に描かれたのかを示す、最も重要な証拠です。柱や梁の実測箇所の写真、基礎の状態、壁の内部の状況など、数百枚に及ぶ写真を、図面と照合できる形で、詳細な報告書としてまとめ上げます。
② 既存構造計算書 復元した図面に基づき、「現在の、ありのままの家の状態では、上部構造評点は、〇.〇点です」という、現状の強度を、まず、科学的に計算し、証明します。
③ 補強設計図書 および 構造計算書 その上で、「この、現状の家に対して、私たちは、このような補強(壁の追加、構造用合板 床 剛床工法の採用、ノボパンによる面材耐力壁 リフォームなど)を行うことで、評点を1.5以上に引き上げます」という、未来の計画を、図面と、それを裏付ける、詳細な構造計算書として、提示します。
④ 仕様書・メーカー認定書 使用する、ノボパンや、合板、金物といった、全ての部材が、きちんと、国の定めた基準を満たした製品であることを、メーカーが発行する、公式な認定書や仕様書を添付して、証明します。
これら、全ての書類を、評価機関の担当者が、誰の目にも、論理的に、そして客観的に理解できるように、完璧な形で、ファイリングしていく。この、弁護士が、法廷に提出する、証拠資料を作成するような、緻密で、膨大な作業こそが、リフォーム 耐震等級証明を、ゼロから勝ち取るために、不可欠なのです。
✔ここでのポイント:最後に、皆様が、最も気になるであろう、「費用」の核心に迫ります。なぜ、図面のない家の等級取得には、「相当な費用」がかかるのか。その費用の「正体」が、これまでに解説してきた、膨大な「知的労働」の対価であることを、透明性をもって、ご説明します。
第2章で、私は、図面のない家の等級取得にかかる手間は、「確認申請に匹敵する」と、申し上げました。そして、それは、そのまま「費用」にも、直結します。 皆様に、正直にお話しします。このケースで発生する、耐震等級3 費用の、その内訳のほとんどは、材料費や、工事費ではありません。それは、ここまでお話ししてきた、膨大な量の、調査、設計、計算、そして、書類作成に要する、私たちの、専門家としての「時間」と「知識」、すなわち「知的労働」に対する、対価なのです。
建築士や構造設計者といった専門家が、何週間、時には、何ヶ月という時間をかけて、皆様の家と、真剣に向き合う。そのための費用が、どうしても、必要となるのです。
なぜ、これが確認申請と、ほぼ同等のコストになるのか。
それは、要求される「証明のレベル」が、全く同じだからです。
確認申請とは、法律(建築基準法)が、「この大規模なリフォームは、本当に安全か、第三者機関が、厳しくチェックしなさい」と、私たちに義務付けている、公的な手続きです。
一方、図面のない家の「耐震等級3申請」とは、法律上の義務はありませんが、私たちが、お客様の未来のために、「この家は、最高のレベルで安全であることを、第三者機関に、公的に証明してもらいましょう」と、自主的に、確認申請と、ほぼ同じレベルの、厳しい審査の土俵に上がる、という行為なのです。
どちらも、家の安全性を、ゼロから、客観的に、そして科学的に証明しなければならない、という点において、その労力と、求められる専門性の高さは、全く変わりません。
だからこそ、そこに発生する費用も、また、同等レベルにならざるを得ないのです。
この「相当な費用」は、決して、私たちが、不当に請求しているものではありません。
それは、皆様の家を、「カルテのない状態」から、最高の「公認資産」へと、生まれ変わらせるために、絶対に必要な「手術費用」であると、どうか、ご理解いただけますと幸いです。
次の章では、その苦労の先にある、絶大なメリットについて、お話しします。
章の概要:
これまでの章で、私たちはリフォームで耐震等級3を取得するための、時に険しい道のりについて、詳しく見てきました。多大な労力、そして、決して安くはない費用。その現実を前に、「本当に、そこまでして、挑戦する価値があるのだろうか?」と、疑問に思われる方も、いらっしゃるかもしれません。この章では、その問いに対する、私たちの明確な答えをお示しします。最高の安全性がもたらす、皆様の暮らしと資産への、絶大なメリット。それは、単なる精神的な安心感に留まらない、具体的な数値で示される、明確な「経済的恩恵」と、これからの人生を、より豊かにする、未来への「無限の可能性」です。
まず、耐震等級3の取得が、皆様の家計に、いかに直接的で、そして長期的な恩恵をもたらすのか。その最も代表的な例である「地震保険料の割引制度」について、具体的な割引率と共に、詳しく解説します。これは、補強にかかる費用を、将来にわたって回収していく、賢明な資産運用という側面です。
皆様は、「地震保険」に、ご加入でしょうか。地震大国である日本で、大切な住まいを守るために、火災保険とセットで加入することが、もはや常識となっています。しかし、その保険料が、皆様のお住まいの「耐震性能」によって、大きく変わる可能性があることを、ご存じでしょうか。
国と保険会社が定める「地震保険割引 耐震等級」制度。これは、地震によるリスクが低い、すなわち「安全な家」に対して、そのリスクの低減率に応じて、保険料を割り引く、という、極めて合理的で、公平な制度です。 そして、その割引率は、公的なリフォーム 耐震等級証明によって、明確に定められています。
耐震等級1(建築基準法レベル)の証明がある場合 → 10%割引
耐震等級2の証明がある場合 → 30%割引
耐震等級3の証明がある場合 → 最大となる50%の割引
「50%割引」と聞いても、ピンとこないかもしれません。
では、具体的なシミュレーションをしてみましょう。
仮に、皆様が、現在、年間4万円の地震保険料を支払っているとします。
もし、リフォームによって、公式な「耐震等級3」の証明書を取得できれば、その保険料は、翌年から、半額の2万円になるのです。つまり、毎年2万円が、皆様の家計に、戻ってくるのと同じことです。
もし、皆様が、これから30年間、その家に住み続けるとしたら、その差額は、2万円 × 30年 = 60万円にもなります。 前章まででお話しした、耐震等級3 取得方法にかかる、申請費用や、補強費用の一部は、この、長期にわたる保険料の割引によって、十分に相殺され、将来的には、プラスに転じる可能性すらあるのです。
これは、もはや、単なる「安全対策」ではありません。皆様の、将来の家計負担を、確実に軽減するための、極めて有効な「資産防衛策」と言えるでしょう。そして、この最大の恩恵を受けるための唯一の鍵が、第三者機関が発行する、公式な「性能評価書」なのです。
現在の日本は、国を挙げて、既存住宅(中古住宅)の性能を向上させ、長く、安全に、そして快適に住み継いでいく、「ストック型社会」への転換を、強力に推進しています。そのための、最も有効な「アメ」として、用意されているのが、様々な「税制優遇制度」です。 国は、「質の高い、価値あるリフォームを行う、賢明な消費者に対しては、税金の面で、手厚く応援しますよ」という、明確なメッセージを発しているのです。 その、数ある税制優遇の中でも、特に影響が大きいのが、リフォームのために組んだローンの一部が、所得税から控除される「住宅ローン減税」です。
しかし、この「住宅ローン減税」の恩恵を、誰もが、同じように受けられるわけではありません。
実は、そのリフォームが、どのくらい「質が高い」ものであるかによって、控除される金額の上限や、期間が、大きく変わってくるのです。 そして、その「質の高さ」を、税務署に対して、客観的に、そして、疑いの余地なく証明するための、最も強力な「パスポート」。それこそが、「耐震等級3」が記載された、公式な「建設住宅性能評価書」なのです。
この公式なリフォーム 耐震等級証明を提出することで、皆様のリフォームは、「長期優良住宅化リフォーム」などの、最も優遇されたカテゴリーに該当する可能性が高まります。
これにより、一般的なリフォームに比べて、より多くの金額が、何年にもわたって、皆様の手元に還ってくることになります。
その差額は、数十万円単位になることも、決して珍しくありません。
これもまた、耐震等級3 費用の、一部を回収し、皆様の投資を、より価値あるものへと変えてくれる、具体的な経済的メリットの一つなのです。このパスポートがなければ、どんなに素晴らしい工事を行っても、その価値を、税制の世界で、正当に評価してもらうことはできないのです。
最後に、目先の経済的メリットを超えた、最も本質的で、そして長期的な価値、「資産価値の向上」についてお話しします。公式な「耐震等級3」の証明書という“お墨付き”が、いかにして、皆様の家を、ただの「古い家」から、住宅市場において、誰もが欲しがる「優良資産」へと、生まれ変わらせるのか。そのプロセスを解説します。
リノベーションにおける、最大の課題の一つ。それは、「壁の中の見えない性能を、どうやって、他人に証明するのか」という問題です。 新しくなった、美しいキッチンや、デザイン性の高い内装は、誰の目にも、その価値が分かります。
しかし、その壁の裏側で、どれほど緻密な構造計算が行われ、どれほど丁寧な補強工事が施されたのか。その、最も重要な「本質的な価値」は、残念ながら、第三者には、見えません。
もし、将来、皆様が、そのお住まいを、売却、あるいは、賃貸に出すという局面を迎えた時、どのようにして、その「見えない価値」を、買い手や借り手に、納得してもらうのでしょうか。
ここで、「耐震等級3」の公式な証明書が、その真価を発揮します。 この一枚の証明書は、皆様の家に対する、社会的な「評価」を、一変させるほどの、絶大な力を持っています。
証明書がない場合:あなたの家は、不動産市場において、「築40年、リフォーム済み」という、その他大勢の、古い家の一つとして、扱われるでしょう。
証明書がある場合:あなたの家は、「築40年、しかし、性能は、新築の最高等級である“耐震等級3”であることが、国の登録機関によって証明されている、極めて稀少で、価値の高い、優良ストック住宅」として、扱われます。
この二つの家の、どちらが、より早く、そして、より高く、評価されるか。もはや、説明は不要でしょう。 この、公的な「お墨付き」は、皆様が、リフォームに投じた情熱と費用を、単なる「自己満足」の消費ではなく、社会が、そして市場が、客観的に認める、確かな「資産」へと、昇華させてくれるのです。
それは、ご自身の暮らしを守るだけでなく、その価値を、いつでも、次の世代へと、自信を持って、引き継いでいくことができる、という、何物にも代えがたい、心の余裕にも繋がります。 次の終章では、いよいよ、この、最高の未来を、その手で掴み取るための、最後のメッセージをお届けします。
章の概要:
この長く、そして専門的な耐震計画の物語も、いよいよ、その最終的な結論を迎えます。私たちは、リフォームで「耐震等級3」という、新築の最高レベルの安全性を、公式に取得するための、具体的な道のり、そして、その途中に横たわる厳しい現実について学んできました。この終章では、それら全ての議論を統合し、なぜ、その困難な挑戦が、皆様の未来にとって、計り知れないほどの価値を持つのか、その最も重要な結論をお伝えします。正しい知識と、信頼できる技術力、そして、透明性の高いプロセスを踏むことで、中古住宅のリフォームは、単なる修繕ではなく、その家の価値を、新築の最高等級と同等、あるいは、それ以上の「公式な資産」へと引き上げる、最高の「価値創造」となり得る、という希望にに満ちたメッセージです。
まず、皆様が最も懸念されるであろう「費用」に対する、新しい視点をご提案します。「耐震等級3」の取得にかかる費用は、決して、ただ失われる「コスト(消費)」ではありません。それは、皆様の未来の家計を助け、資産価値を向上させる、極めて合理的な「投資」である、という事実を、具体的な経済的メリットから、改めて明らかにします。
これまでの章で、私たちは、特に図面のない古いお住まいの場合、公式な耐震等級3をリフォームで取得するためには、時に、「相当な費用」がかかる、という厳しい現実を、包み隠さずお伝えしてきました。 その事実を前に、多くの方が、こう思われるかもしれません。「やはり、そこまでお金をかけるのは…」と。 しかし、そのご判断を下される前に、一度だけ、立ち止まって考えてみていただきたいのです。皆様が、これからリフォームに投じようとしている、その大切なお金は、果たして、ただ消えてなくなるだけの「消費」なのでしょうか。それとも、将来、それ以上の価値となって、皆様の元に還ってくる、賢明な「投資」なのでしょうか。
第4章で詳しく解説した、具体的なメリットを、もう一度、ここで、足し算してみましょう。
まず、「地震保険割引 耐震等級」制度による、最大50%の保険料割引。
これは、この先、何十年と、皆様の家計を、確実に助け続けてくれます。
30年間で考えれば、数十万円という、明確なリターンです。
次に、「住宅ローン減税」に代表される、国の税制優遇制度。公式なリフォーム 耐震等級証明は、その恩恵を、最大限に引き出すための、必須のパスポートです。
これもまた、数十万円単位の、具体的なリターンとなります。 そして、何よりも大きいのが、皆様の家の「資産価値」そのものの、飛躍的な向上です。「築40年の中古住宅」と、「性能が公式に証明された、耐震等級3の中古住宅」。その二つが、10年後、20年後の不動産市場で、一体、どれほどの評価額の差となって、現れるでしょうか。
これら、全ての経済的なリターンを合計した時、皆様は、驚くべき事実に気づくはずです。多くの場合、当初の「耐震等級3 費用」は、これらの将来にわたるリターンによって、十分に相殺され、長期的には、むしろ、大きなプラスを生み出す可能性すらあるのです。
そして、この計算には、まだ、最も大切な価値が、含まれていません。それは、ご家族の命と、穏やかな暮らしを守る、という、お金には決して換算できない、プライスレスな価値です。 そう考えた時、この挑戦は、もはや、単なる「高い買い物」ではなく、皆様の未来全体を豊かにするための、極めて合理的な「投資」であると、言えるのではないでしょうか。
リフォームが、私たちにもたらしてくれる価値には、大きく分けて、二つの種類があります。
一つは、「自己満足」という価値です。 新しい、美しいキッチン。自分の趣味に合わせて選んだ、壁紙や照明。それらは、間違いなく、皆様の心を、日々、満たしてくれるでしょう。それは、極めて個人的で、そして、何にも代えがたい、素晴らしい価値です。 しかし、その価値は、あくまで、皆様ご自身の「主観」の中にあります。将来、その家を売却する時、次の買い手が、同じキッチンを、同じように、素晴らしいと感じてくれる、という保証は、どこにもありません。
しかし、私たちが、この章でお話ししてきた、「耐震等級3」という価値は、その性質が、全く異なります。
それは、皆様の主観を超えた、「社会的価値」です。
皆様の家が、国の定める最高等級の安全性を有している、という事実は、もはや、個人の感想や、好みの問題ではありません。それは、「住宅性能表示制度」という、社会的な物差しによって、客観的に証明された、揺るぎない「事実」なのです。
この、公式な耐震等級証明を取得するという行為。それは、皆様が、ご自身の家を、単なる「私有財産」から、日本の住宅ストック全体の質を向上させる、価値ある「社会的資産」へと、引き上げる、極めて公的な意味を持つ行為でもあるのです。
皆様のリフォームが、ただ、ご自身の満足のためだけではなく、お子様、お孫様の世代、そして、ひいては、社会全体に対して、胸を張って、その価値を主張できる、普遍的なものへと進化する。その、壮大な視点に立つ時、リフォームという行為は、全く新しい、輝きを放ち始めるのではないでしょうか。
最後に、この長く、そして専門的な物語を通じて、皆様が手に入れられた、最も重要な「財産」について、お話しします。それは、最高の未来を、ご自身の力で選び取るための「正しい知識」と、それを共に実現する「パートナーを見抜く眼」です。
この長いガイドを、ここまで、読み通してくださった皆様。誠に、ありがとうございました。 皆様は、もはや、リフォーム会社の、巧みなセールストークや、インターネット上の、断片的な情報に、惑わされることは、ありません。 なぜなら、皆様は、もう、知っているからです。
「評点」と「等級」の違いを。
耐震等級3 取得方法の、具体的なロードマップと、そのための費用の考え方を。
「設計図書」の有無が、いかに重要であるかを。
そして、その全てのプロセスを、誠実に、そして、科学的に、実行できるパートナーこそが、本当に信頼できる、ということ。
その、自ら考え、判断し、そして、選択するための「正しい知識」こそが、皆様が、この旅で手に入れた、何より大きな財産です。
私たちは、この「技術編」の最終章で、中古住宅のリフォームが、新築の最高等級を超えるほどの、「公式な資産」へと、生まれ変わる可能性を、お示ししてきました。
しかし、その、輝かしい未来への扉を開ける、最後の鍵。それは、皆様ご自身の「選択」です。
どの会社を、未来へのパートナーとして、選ぶのか。
その会社は、リフォームの、楽しい、夢のある側面だけでなく、その裏にある、構造的なリスクや、費用の現実について、誠実に、そして、正直に、語ってくれるでしょうか。
その会社は、「私たちの仕事は、これだけの科学的根拠に基づいています」と、その証拠となる、詳細な計算書や、第三者機関による証明書を、胸を張って、皆様に、提示してくれるでしょうか。
私たち、増改築ドットコムは、数々の性能評価実績があり、いつでも、その準備ができています。
この、長く、厳しい、しかし、最高の価値を創造するための挑戦を、ぜひ、私たちと、共に、歩んでいただけますと幸いです。皆様の、賢明なご判断を、心より、お待ちしております。
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ハイウィル株式会社 四代目社長
1976年生まれ 東京都出身。
【経歴】
家業(現ハイウィル)が創業大正8年の老舗瓦屋だった為、幼少よりたくさんの職人に囲まれて育つ。
中学生の頃、アルバイトで瓦の荷揚げを毎日していて祖父の職人としての生き方に感銘を受ける。 日本大学法学部法律学科法職課程を経て、大手ディベロッパーでの不動産販売営業に従事。
この時の仕事環境とスキルが人生の転機に。 TVCMでの華やかな会社イメージとは裏腹に、当たり前に灰皿や拳が飛んでくるような職場の中、東京営業本部約170名中、営業成績6期連続1位の座を譲ることなく退社。ここで営業力の基礎を徹底的に養うことになる。その後、工務店で主に木造改築に従事し、100棟以上の木造フルリフォームを大工職人として施工、管理者として管理。
2003年に独立し 耐震性能と断熱性能を現行の新築の最高水準でバリューアップさせる戸建てフルリフォームを150棟、営業、施工管理に従事。
2008年家業であるハイウィル株式会社へ業務移管後、 4代目代表取締役に就任。
250棟の木造改修の営業、施工管理に従事。
2015年旧耐震住宅の「耐震等級3」への推進、「断熱等級4」への推進を目指し、 自身の通算500棟を超える木造フルリフォーム・リノベーション経験の集大成として、性能向上に特化した日本初の木造フルリオーム&リノベーションオウンドメディア 「増改築com®」をオープン。
フルリフォーム(全面リフォーム)で最も大切なのは「断熱」と「耐震」です。性能向上を第一に考え、末永く安心して住める快適な住まいを目指しましょう。
戸建てリノベーションの専属スタッフが担当致します。
一戸建て家のリフォームに関することを
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