戸建フルリフォームなら「増改築.com®」TOP耐震補強リフォーム工事 完全ガイド【旧耐震の治療法】無筋基礎を蘇らせる「基礎補強工事」と、骨格を再構築する「壁量・金物」計画 

更新日:2025/08/1

耐震補強リフォーム工事完全ガイド:第2部:築年数別の最適治療計画 ~“三位一体”を取り戻す構造外科手術~⑧

【旧耐震の治療法】無筋基礎を蘇らせる「基礎補強工事」と、骨格を再構築する「壁量・金物」計画

性能向上リノベーション(耐震編)

【導入】プロローグ:あなたの家の“再生手術”が、今、始まる

 

ここでの概要:

前回の⑦の記事で家の深刻な“病状”を理解した読者に対し、絶望ではなく「治療」という希望の光を提示します。耐震リフォームを、単なる工事ではなく、家の命を救うための、緻密で、愛情に満ちた「外科手術」として位置づけ、本編への期待感を高めます。

 

はじめに:絶望の淵でこそ、名医はその真価を発揮する

 

ここでのポイント:旧耐震住宅が抱える深刻な弱点を直視した読者の不安な気持ちに寄り添い、その絶望を「希望」へと転換させます。専門家としての豊富な経験は、まさにこうした困難な状況を克服するためにこそあるのだという、力強いメッセージを伝えます。

 

これまでの章で、私たちは旧耐震基準の住宅が抱える、あまりにも厳しい現実と向き合ってきました。脆弱な無筋基礎、絶対的に不足した壁、そして存在しないに等しい接合部の結束力。その事実を前に、「我が家は、もうダメなのかもしれない」と、深い絶望を感じていらっしゃる方も、少なくないかもしれません。

しかし、もし、あなたがご自身の体のことで、深刻な病名を宣告されたとしたら、どうでしょうか。

その時、あなたが求めるのは、ただ同情してくれるだけの医師でしょうか。そうではないはずです。

あなたが本当に求めるのは、数々の難手術を成功させてきた、経験豊富な名医が、穏やかに、しかし、力強くこう語ってくれることではないでしょうか。

「大丈夫ですよ。難しい手術になりますが、私に任せてください。必ず、元気な体を取り戻せます」と。

旧耐震住宅の再生も、これと全く同じです。絶望的な状況であるからこそ、私たちのような、500棟以上の旧耐震住宅という、最も難しい患者の“外科手術”を執刀してきた専門家の、真価が問われるのです。

 

これからお話しするのは、500棟以上の命を救ってきた、私たちの「手術計画書」です

 

ここでのポイント: これから解説する旧耐震の耐震補強工事の内容が、単なる一般論ではなく、500棟以上の現場で実際に成果を上げてきた、具体的で信頼性の高い「手術計画書」であることを宣言します。みなさんに、プロの思考プロセスを追体験するような、高い臨場感と期待感を抱かせます。

 

この章で、お話ししたいこと。それは、もはや「耐震リフォームは大切です」といった、漠然とした話ではありません。これまで、私たちが500棟以上の旧耐震住宅の命を救ってきた、極めて具体的で、緻密に計算され尽くした「手術計画書(オペレーションノート)」そのものです。

どのような手順で、家の“病巣”にメスを入れ、どの順番で治療を行えば、最も安全に、そして確実に、家を再生させることができるのか。その、門外不出とも言える、私たちの技術と哲学のすべてを、このガイドを読んでくださっているあなたにだけ、お見せします。他でほとんど語られていない重要なノウハウをお伝えします。

 

 

旧耐震住宅の再生は、常に「足元」から。すべての治療は、基礎補強から始まる

 

ここでのポイント: 旧耐震住宅の治療における、最も重要で、覆すことのできない絶対原則を提示します。それは、「すべての治療は、基礎補強工事から始まる」という、私たちの揺るぎない信念です。

 

そして、その手術計画書の、最初の1ページ目に、必ず、そして例外なく記されている、最も重要な原則があります。 それは、「旧耐震住宅の再生は、常に『足元』から。すべての治療は、基礎補強から始まる」ということです。

なぜなら、家のすべてを支える足腰である基礎が、ぐらぐらの状態のままでは、その上で、いかなる高度な治療を施したとしても、全く意味をなさないからです。まず、家の生命維持(バイタル)を司る、この最も重要な部分を、完璧に再生させること。それが、私たちの「構造外科手術」における、絶対的な鉄則なのです。正しい基礎補強ができる会社は日本でもごく少数の施工会社に限られます。。旧耐震の耐震補強工事の内容は、この基礎補強工事なくしては、決して語ることはできません。

 

 

この章を読み終える頃、あなたは、ご自身の家が、再び健康な体を取り戻すための、具体的な道筋を、ご自身の頭の中に、明確に描けるようになっているはずです。

脆弱だった足腰(無筋基礎)が、どのようにして強靭な骨格(鉄筋コンクリート)へと生まれ変わり、絶対的に不足していた体幹の筋肉(耐力壁)が、いかにしてバランス良く再配置され、そして、バラバラだった関節(接合部)が、強靭な靭帯(耐震金物)によって、どのように固く結びつけられていくのか。

その、再生の物語が、今、始まります。

 

第1章:第一の手術「基礎補強工事」~家の“足腰”を、現代の強靭な骨格へ~

1.1 なぜ、すべての治療は「基礎」から始まるのか?~外科手術の絶対原則~

 

ここでのポイント:

 人間の外科手術の比喩を用い、「なぜ、旧耐震の耐震補強工事において、基礎を最優先で治療すべきなのか」その理由を、誰にでも直感的に理解できるように解説します。家の「バイタル(生命維持機能)」である基礎を安定させることこそが、すべての治療の、絶対的な前提条件であることを強調しています。

 

「壁のひび割れが気になるから、まずは壁から直したい」

「リビングの間取りを、早く何とかしたい」。

そのお気持ち、痛いほどよく分かります。

しかし、もしあなたが、命に関わる大手術を控えた患者の家族だったとして、執刀医が、患者の血圧も脈拍も不安定なまま、「では、予定通り、手術を始めましょう」と言い出したら、あなたはその医師を信頼できますか。

できるはずがありません。優秀な外科医は、必ず、まず患者のバイタル(生命維持機能)を安定させ、手術に耐えうる体力を確保してから、初めてメスを握るはずです。

家の再生手術も、全く同じです。旧耐震の耐震補強工事で、私たちが基礎を最優先する理由は、まさに、この外科手術の絶対原則に基づいています。

 

  1.1.1 家の「バイタル」=基礎。ここを治さずして、他のどこを触っても意味がない

 

家の「バイタル」とは、一体どこでしょうか。

それは、言うまでもなく、家全体の重さを支え、地震のエネルギーを地面に逃がす、「基礎」です。

この基礎が、前回の記事でお話ししたように、鉄筋の入っていない、ひび割れた脆弱な無筋基礎の状態であるならば、それは、家のバイタルが、極めて不安定で、危険な状態にあることを意味します。

この状態で、壁を解体したり、柱を動かしたりといった、上部構造に手を入れることは、あまりにも危険です。

工事中のわずかな振動や、荷重バランスの変化が、脆弱な基礎に“とどめ”を刺し、予期せぬ事故を引き起こす可能性すら、ゼロではないのです。

だからこそ、私たちは、まず、この家の生命線を、完璧に安定させることから始めます。

基礎補強工事を行い、その家の足腰を、現代の基準に適合した、揺るぎないものへと再生させる。

それを行って初めて、私たちは、安心して、その上で、壁や柱といった、次の治療へと進むことができるのです。

この旧耐震の耐震補強工事の内容は、この基礎補強工事なくしては、決して語ることはできません。

 

 1.1.2 無筋基礎を“本物の鉄筋コンクリート”へ蘇らせる「ツイン基礎」工事の全貌

 

では、具体的に、どのようにして、この脆弱な無筋基礎を、現代の強靭な“足腰”へと蘇らせるのでしょうか。

そのための、私たちの標準的な術式が、「ツイン基礎(抱き合わせ基礎、増し打ち基礎)」と呼ばれる基礎補強工事です。

これは、ただコンクリートを付け足すだけの、安易な補強とは、全く次元の異なる、高度な技術です。

  • ステップ①:掘削と清掃   まず、既存の無筋基礎の内側と外側の両方を、規定の深さまで、丁寧に掘り下げます。そして、基礎の表面に付着した泥や汚れを、高圧洗浄機などで、徹底的に洗い流します。この、地味で、しかし重要な下準備が、新しいコンクリートと既存の基礎との、完璧な一体化を実現するための、最初の鍵となります。

  • ステップ②:鉄筋配筋とアンカー設置   次に、掘り下げた溝に、設計図通りに、太い鉄筋を格子状に組んでいきます(配筋)。そして、最も重要なのが、既存の無筋基礎に、一定の間隔で穴を開け、「ケミカルアンカー」と呼ばれる強力な接着剤を注入し、新しい鉄筋と、既存の基礎とを、構造的に一体化させるためのアンカーボルトを、確実に打ち込むことです。このアンカーこそが、新旧のコンクリートを、一つの強固な塊として結びつける、生命線となります。

  • ステップ③:型枠設置とコンクリート打設   鉄筋とアンカーの設置が終わったら、型枠を組み、そこに、高強度のコンクリートを、バイブレーターなどを使って、隅々まで隙間なく、密実に流し込んでいきます。そして、十分な養生期間を経て、型枠を外した時、そこには、既存の無筋基礎を、内と外から、強固な鉄筋コンクリートでサンドイッチした、全く新しい、強靭な基礎が誕生します。大谷石基礎などの、さらに特殊なケースにおいても、私たちは、この原則に基づいた、最適な補強方法を提案します。

   

1.1.3 気になる「無筋基礎 補強 費用」のリアルな相場観

 

この、家の命を救うための、最も重要な「第一の手術」。その費用は、一体どれくらいかかるのでしょうか。無筋基礎の補強費用は、家の大きさや、基礎の劣化状態、そして現場の状況によって大きく変動しますが、一つの目安として、一般的な30坪程度の木造住宅の場合、150万円~200万円程度を見ていただくのが、現実的なラインです。

「そんなにかかるのか…」と、思われたかもしれません。

しかし、考えてみてください。これは、あなたの家の、最も根本的な弱点を、未来永劫にわたって、安心できる状態へと生まれ変わらせるための工事です。そして、この費用には、前述した、高度な技術を持つ職人の手間、鉄筋やコンクリートといった材料費、そして、私たちの500棟以上の経験に裏打ちされた、緻密な計画と品質管理のすべてが含まれています。

 

 

>>基礎補強のさらに詳しい解説は下記のコンテンツも参照ください。

基礎補強工事(無筋基礎を鉄筋コンクリート基礎補強工事)完全解説』はこちら

『【基礎補強工事】抱き基礎(ツイン基礎)補強のポイント』はこちら

ベタ基礎補強工事の正しい補強方法を施工事例で解説!』はこちら

『大谷石が基礎のケース『大谷石基礎補強』のポイント』はこちら

 

1.2 第二の手術「骨格再構築」~“三位一体”を取り戻すための壁と金物~

ここでのポイント:

 強固な土台ができた上で、次に行うべき「骨格」の治療について解説します。「耐震の三位一体」の残り二つ、「強度(壁量)」「バランス(偏心率)」そして「結束力(N値計算)」を、具体的な工事としてどのように実現していくのか、その計画術と技術の核心に迫ります。

 

揺るぎない足腰、すなわち強靭な基礎を手に入れた、あなたの家。しかし、それだけでは、まだ巨大地震と互角に戦うことはできません。次に必要なのは、地震の強烈な横揺れを受け止め、受け流すための、強靭で、かつ、バランスの取れた「体幹の筋肉」、すなわち「耐力壁」です。ここではじめて耐力壁なのです。旧耐震の耐震補強工事における、第二の手術。

それは、この絶対的に不足している筋肉を、家全体に、戦略的に再配置していく、緻密な筋力トレーニングなのです。

 

 1.2.1 【強度とバランスの再建】「耐力壁 増設 工事」という名の、戦略的筋力トレーニング

 

旧耐震基準の住宅は、現行基準と比較して、耐力壁の「量」そのものが、絶対的に不足しています。

まずは、この不足分を補い、家全体の「筋力」、すなわち上部構造評点を、私たちの目標である「1.5」以上へと引き上げていく必要があります。

そのために、私たちは、スケルトン状態になった家の骨格の中に、新しい耐力壁を、計画的に増設していきます。耐力壁には、伝統的な木材の「筋交い」を入れる方法と、構造用合板などの「面材」を張る方法がありますが、私たちは、より高い強度と安定性を確保できる、面材による耐力壁を標準としています。この面材も釘のピッチが全て定められています。計画した壁倍率でピッチは変動しますので、しっかりとした指示が必須なのです。下請けに丸投げしている会社では、同じ材料なのに打ち込みのピッチが違うなど対応できるはずがありません。

そして、ここで重要なのは、ただ闇雲に壁を増やせば良い、というわけではない、過去幾多の現場でお施主様から聞かされたいわゆる大工の勘ではダメだということです。耐力壁の増設工事は、家全体の力の流れを読み解き、どこに、どれくらいの強さの壁を配置すれば、最も効果的に地震の力に抵抗できるのかを、緻密に計算しながら、行われなければなりません。大工の技術と耐震計算は別なのです。

 

  1.2.2 【結束力の創造】「耐震金物 補強工事」という名の、靭帯再生手術

 

強靭な基礎という「足腰」を手に入れ、バランスの取れた耐力壁という「筋肉」を身につけた、あなたの家。しかし、その強靭な肉体を、一つの生命体として、確実に繋ぎとめるものがなければ、地震の力の前では、バラバラに崩壊してしまいます。

その、骨と骨とを結びつける、最も重要な「靭帯」。それこそが、「耐震金物」です。旧耐震の家には、もともと存在すらしなかった、この「結束力」を、ゼロから創造する。それが、私たちの再生手術における、第三の、そして最後の仕上げとなる、耐震金物 補強工事です。ここでの耐震金物とは、ホームセンターなどに売っている汎用品の金物ではありません。引き抜き耐力が大臣認定されている金物となります。

 

 1.2.3 これが、旧耐震 耐震補強工事 内容の“完全な処方箋”である

 

ここまで、旧耐震住宅を再生させるための、三つの大規模な「外科手術」について、詳しくお話ししてきました。

  1. 第一の手術:【基礎補強工事】 脆弱な無筋基礎を、強靭な鉄筋コンクリートの足腰へと生まれ変わらせ、すべての力の受け皿となる、揺るぎない土台を築く。

  2. 第二の手術:【耐力壁 増設 工事】 絶対的に不足している壁の量を増やし、家全体のバランスを整え、評点1.5を誇る、強靭な体幹の筋肉を手に入れる。

  3. 第三の手術:【耐震金物 補強工事】 N値計算に基づき、骨格のすべての関節を、強靭な靭帯で固く結びつけ、決してバラバラにならない、究極の結束力を創造する。

この、「基礎」「壁」「金物」という三つの手術が、どれ一つ欠けることなく、すべて高いレベルで連動して初めて、あなたの旧耐震住宅は、私たちが目標とする、上部構造評点1.5という、健康で、強靭な体を手に入れることができるのです。

これこそが、500棟以上の臨床経験から導き出された、旧耐震 耐震補強工事の、唯一無二の“完全な処方箋”です。

 

 

1.3 治療計画の“質”が、あなたの家の未来を決める

ここでのポイント:

これまで解説してきた個別の工事を、一つの「治療計画」として統合する際の、プロの思考プロセスを公開します。単に工事を組み合わせるだけでなく、いかにして無駄なく、効果的で、かつ美しい計画を立てるか。増改築.com®の構造設計思想の神髄を語ります。

 

旧耐震住宅の再生という、極めて難易度の高い「外科手術」。

その成功は、単に、個々の治療法(基礎補強、耐力壁増設、耐震金物設置)の技術力が高いだけでは、決して保証されません。

それらの治療を、どのような順番で、どのように組み合わせ、家全体の再生という、一つの壮大な物語へと紡ぎ上げていくのか。その、「手術計画(オペレーションルート)」の質こそが、最終的な仕上がりの美しさと、お客様の満足度を、決定的に左右するのです。

 

 1.3.1 500棟の執刀経験が導き出す、最短で、最も効果的な“手術ルート”

 

500棟以上の執刀経験を持つ私たちは、旧耐震住宅の再生における、最短で、最も効果的な“手術ルート”を熟知しています。

例えば、私たちは、まず、床を解体し、基礎補強工事から着手します。

家の足元を、最初に完璧な状態にすることで、その後の、上部構造の工事を、安全かつ、高い精度で行うことができるからです。

そして、基礎のコンクリートを養生(固めて強度を出す)している間に、壁や天井の解体を進め、構造躯体を剥き出しにし、傷んだ部分の補修や交換を行う。この、複数の工事を、無駄なく、そして論理的に連携させていく段取りこそが、プロの仕事です。

 

  1.3.2 「木を読む」ということ。~図面には描かれない、現場での最終判断~

 

旧耐震の耐震補強工事は、決して、図面通りに進むだけの、単純な作業ではありません。それは、解体して初めて明らかになる、その家が持つ、一本一本の柱や梁の“個性”と向き合い、対話し、その場で、瞬時に、最善の判断を下していく、極めて創造的なプロセスです。私たちは、これを「木を読む」と呼んでいます。

   

 1.3.3 あなたの家のための、世界に一つだけの「治療計画書」

私たちが提供するのは、画一的なパッケージ商品ではありません。お客様の家の状態と、ご家族の未来の物語に、どこまでも寄り添った、完全オーダーメイドの「治療計画」です。

 

 

第2章:第二の手術「骨格再構築」~“三位一体”を取り戻すための壁と金物~

章の概要:

 

強固な土台ができた上で、次に行うべき「骨格」の治療について解説します。「耐震の三位一体」の残り二つ、「強度(壁量)」「バランス(偏心率)」そして「結束力(N値計算)」を、具体的な工事としてどのように実現していくのか、その計画術と技術の核心に迫ります。

 

2.1 【強度とバランスの再建】「耐力壁 増設 工事」という名の、戦略的筋力トレーニング

ここでのポイント:

 強固な基礎という土台の上で、家の“上半身”を鍛え直す「耐力壁」の増設工事について解説します。旧耐震の耐震補強工事において、単に壁の量を増やすだけでなく、その「配置バランス」こそが重要であるという、プロの計画術の神髄に触れます。なぜ、窓を壁に変えるという一見大胆な提案が、最高の解決策となりうるのか。その理由を、500棟以上の経験から得た知見をもとに解き明かします。

 

 

第1章で、私たちは、あなたの家の再生手術における、絶対的な原則についてお話ししました。

それは、「すべての治療は、足元から。基礎補強工事から始まる」という、揺るぎない真理です。

脆弱だった無筋基礎を、強固な鉄筋コンクリートの“足腰”へと蘇らせる。その第一の手術を終え、あなたの家は、ようやく、巨大地震と戦うための、揺るぎない土俵に立つことができました。

しかし、戦いは、まだ始まったばかりです。強靭な足腰を手に入れたアスリートが、次に必要とするのは、その力を受け止め、相手の力を受け流すための、強靭で、かつ、バランスの取れた「体幹の筋肉」、すなわち「耐力壁」です。旧耐震住宅の再生における、第二の手術。それは、この絶対的に不足している筋肉を、家全体に、戦略的に再配置していく、「耐力壁 増設 工事」という名の、緻密な筋力トレーニングなのです。

 

 2.1.1 絶対的に不足している「壁の量」を、どこに、どれだけ増やすべきか

 

旧耐震基準の住宅が抱える、もう一つの宿命。

それは、地震の横揺れに抵抗するための「耐力壁」の量が、絶対的に不足している、という事実です。

耐震診断を行えば、その評点が、現行基準である1.0を、大きく下回っていることは、火を見るより明らかでしょう。

私たちの再生手術における最初のステップは、この不足している壁の量を、目標である評点1.5以上を達成できるレベルまで、計画的に増やしていくことです。

そのために、私たちは、スケルトン状態になった家の骨格の中に、新しい耐力壁を増設していきます。

耐力壁には、伝統的な木材の「筋交い」をたすき掛けに入れる方法と、構造用合板などの「面材」を張る方法があります。

どちらも有効な手法ですが、500棟以上の現場で、あらゆる時代の家の“声”を聞いてきた私たちの経験から言えば、特に古い木造住宅の再生においては、面材による耐力壁の方が、より高い強度と、安定した性能を発揮しやすい、という結論に至っています。

なぜなら、面材は、地震の力を「線」ではなく「面」で受け止めるため、建物全体の変形を抑え込み、ねじれに対する抵抗力も、格段に高いからです。

しかし、ここで、極めて重要なことをお伝えしなければなりません。

それは、「ただ闇雲に壁の量を増やせば、家は強くなるわけではない」ということです。むしろ、力の流れを理解しないまま、無計画に壁を増やすことは、かえって家のバランスを崩し、地震時に、特定の場所に力を集中させてしまう、極めて危険な行為に他なりません。旧耐震の耐震補強工事の内容で、最もプロの腕が問われるのは、まさに、この「どこに、どれくらいの強さの壁を、配置するのか」という、戦略的な計画術なのです。

 

 2.1.2 4分割法と偏心率計算に基づく、家全体のバランスを整えるための「壁の再配置計画」

 

では、私たちは、どのようにして、その最適な配置計画を立案していくのでしょうか。その羅針盤となるのが、「耐震の三位一体」の第二の柱である、「バランス(偏心率)」という考え方です。

私たちは、まず、家の平面を、東西南北、それぞれ2つずつ、合計4つのエリアに分割します。これを「4分割法」と呼びます。

そして、それぞれのエリアに、どれくらいの量の耐力壁が存在し、あるいは、新たに配置されるのかを、専門のソフトウェアで計算し、その「壁量のバランス」を、徹底的に検証します。

旧耐震の家の多くは、南側に大きな窓、北側に壁、という、極端にアンバランスな構造をしています。この状態で、ただ壁の量を増やすだけでは、北側ばかりがさらに強くなり、家の「重心」と「剛心(強さの中心)」のずれ、すなわち「偏心率」は、ますます悪化してしまいます。

私たちの仕事は、このアンバランスを是正し、家の体幹を鍛え直すことです。壁が不足している南側には、重点的に、新しい耐力壁を増設する。逆に、壁が集中しすぎている北側は、場合によっては、壁の強度をあえて少し落とし、全体のバランスを整える、といった、高度な調整も行います。

この、緻密な「壁の再配置計画」こそが、あなたの家を、地震の揺れをしなやかに受け流す、バランスの取れた強靭なアスリートへと生まれ変わらせる、神髄なのです。この耐力壁 増設 工事の計画なくして、旧耐震住宅の再生はあり得ません。

 

 2.1.3 なぜ、私たちは安易に壁を増やすだけでなく、「窓を壁に変える」提案をするのか

 

この、壁の再配置計画を進める上で、増改築.com®として、お客様に、しばしばご提案させていただく、一つの「逆転の発想」があります。それが、「不要な窓を、思い切って、耐力壁に変えませんか?」というご提案です。

リノベーション雑誌を眺めれば、そこには、大きな窓から光が差し込む、開放的な空間ばかりが並んでいます。

もちろん、それも素晴らしい暮らしの形の一つでしょう。しかし、500棟の家と向き合ってきた私たちは、知っています。多すぎる窓、あるいは、効果的でない場所に配置された窓が、いかに家の耐震性と、そして、冬の快適性を、静かに蝕んでいくか、という事実を。

特に、81-00住宅の時代に建てられた家は、過剰なまでに窓が多い傾向があります。採光や通風にあまり寄与していない北側の小さな窓。隣家との視線が気になり、結局いつもカーテンを閉め切っている窓。家具の配置を妨げ、使い勝手を悪くしている窓。

そうした窓を、この機会に、高性能な断熱材を充填した、強固な「耐力壁」へと、生まれ変わらせるのです。この選択がもたらすメリットは、計り知れません。

まず、高価な断熱サッシを導入する費用を、削減できます。そして、断熱材を充填した壁にすることで、その部分の断熱性能は、どんなに高性能な窓とも比較にならないほど、飛躍的に向上します。そして何よりも、家のバランスを整える上で、最も効果的な場所に、最も必要な「筋肉」を、新たに追加することができるのです。

これは、コストを削減しながら、耐震と断熱という、二つの性能を同時に向上させる、一石三鳥の、極めて賢明な戦略的判断です。旧耐震の耐震補強工事の内容を考える上で、こうした、既成概念に囚われない、柔軟な発想こそが、お客様の満足度を最大化する鍵となるのです。

 

 

2.2 【結束力の創造】「耐震金物 補強工事」という名の、靭帯再生手術

ここでのポイント:

旧耐震住宅に、もともと存在すらしなかった「結束力」を、ゼロから創造する耐震金物の補強工事について解説します。N値計算という科学的根拠に基づき、一本一本の柱に最適な金物を処方する、私たちの緻密なアプローチを示すことで、他社との圧倒的な技術力の差を明確にします。

 

強靭な基礎という「足腰」を手に入れ、バランスの取れた耐力壁という「筋肉」を身につけた、あなたの家。

しかし、その強靭な肉体を、一つの生命体として、確実に繋ぎとめるものがなければ、地震の力の前では、バラバラに崩壊してしまいます。その、骨と骨とを結びつける、最も重要な「靭帯」。

それこそが、「耐震金物」です。旧耐震の家には、もともと存在すらしなかった、この「結束力」を、ゼロから創造する。それが、私たちの再生手術における、第三の、そして最後の仕上げとなる、耐震金物 補強工事です。

 

 2.2.1 旧耐震の家には、もともと存在しない「結束力」を、ゼロから創造する

 

思い出してください。旧耐震の時代、柱と土台の接合は、木材同士の組み合わせと、数本の釘だけで行われていました。

それは、強大な地震の引き抜き力の前では、あまりにも無力です。私たちの耐震金物 補強工事とは、この、失われた、あるいは、もともと存在しなかった「結束力」を、現代の科学と技術の力で、ゼロから創造していく、極めて重要なプロセスです。

私たちは、スケルトン状態になった家の骨格、その一本一本の柱の、柱頭(上部)と柱脚(下部)のすべてに、最適な耐震金物を、規定通りのビスで、確実に、そして丁寧に取り付けていきます。これにより、これまでバラバラだった柱、梁、土台といった部材が、強固な金物によって、一つの、揺るぎない塊として、一体化するのです。

 

 2.2.2 N値計算という科学的根拠に基づき、一本一本の柱に、最適な金物を処方する

 

では、どの柱に、どのような金物を取り付ければ良いのでしょうか。その答えは、大工の経験や勘にあるのではありません。その答えは、「N値計算」という、揺るぎない、科学的な根拠の中にのみ存在します。

私たちは、新たに追加した耐力壁の強度と、その配置から、地震時に、一本一本の柱に、どれくらいの「引き抜き力」がかかるのかを、すべて計算します。そして、その算出されたN値に応じて、その力に耐えうる、最適な金物を、いわば「処方」していくのです。

例えば、引き抜き力が比較的小さい柱には「かど金物」や「羽子板ボルト」。そして、家の角や、強固な耐力壁の端にあり、極めて強大な引き抜き力がかかる柱には、基礎と柱とを、一本の長いボルトで直接繋ぎとめる「ホールダウン金物」を設置します。この、科学的根拠に基づいた、適材適所の金物選定こそが、旧耐震の耐震補強工事の内容の質を、決定的に左右するのです。

 

2.3 これが、旧耐震 耐震補強工事 内容の“完全な処方箋”である

ここでのポイント:

これまで解説してきた「基礎」「壁」「金物」という三つの手術が、すべて連動して初めて、旧耐震住宅が、目標とする評点1.5という健康な体を手に入れることができるのだ、という結論を力強く提示します。部分的な治療がいかに危険であるかを改めて強調し、包括的な治療計画の重要性を訴えかけます。

 

ここまで、旧耐震住宅を再生させるための、三つの大規模な「外科手術」について、詳しくお話ししてきました。

 

  2.3.1 「基礎」「壁」「金物」。この三つの手術が連動して初めて、旧耐震住宅は、評点1.5という健康な体を手に入れる

 

  1. 第一の手術:【基礎補強工事】 脆弱な無筋基礎を、強靭な鉄筋コンクリートの足腰へと生まれ変わらせ、すべての力の受け皿となる、揺るぎない土台を築く。

  2. 第二の手術:【耐力壁 増設 工事】 絶対的に不足している壁の量を増やし、家全体のバランスを整え、評点1.5を誇る、強靭な体幹の筋肉を手に入れる。

  3. 第三の手術:【耐震金物 補強工事】 N値計算に基づき、骨格のすべての関節を、強靭な靭帯で固く結びつけ、決してバラバラにならない、究極の結束力を創造する。

 

この、「基礎」「壁」「金物」という三つの手術が、どれ一つ欠けることなく、すべて高いレベルで連動して初めて、あなたの旧耐震住宅は、私たちが目標とする、上部構造評点1.5という、健康で、強靭な体を手に入れることができるのです。

これこそが、500棟以上の臨床経験から導き出された、旧耐震 耐震補強工事の、唯一無二の“完全な処方箋”です。

 

 2.3.2 部分的な治療がいかに危険か、改めてその理由を解説します

 

「基礎は、そのままで、壁だけ強くできませんか?」 その問いに、私たちは、断固として「ノー」と答えます。

「壁のバランスは、そのままで、金物だけ付けられませんか?」 その問いにも、私たちは、「ノー」と答えます。

なぜなら、家の耐震性とは、これらの要素が、すべて掛け算で成り立っているからです。

どれか一つでもゼロであれば、その答えは、すべてゼロになってしまう。中途半端な、部分的な治療は、かえって家全体のバランスを崩し、これまで存在しなかった、新たな弱点を生み出す、極めて危険な行為なのです。

無筋基礎の補強費用を惜しんで、他の部分だけを強化しても、それは、砂上の楼閣を、さらに高くしようとするのと同じなのです。

 

 

第3章:治療計画の“質”が、あなたの家の未来を決める

章の概要: 

これまで解説してきた個別の工事を、一つの「治療計画」として統合する際の、プロの思考プロセスを公開します。単に工事を組み合わせるだけでなく、いかにして無駄なく、効果的で、かつ美しい計画を立てるか。増改築.com®の設計思想の神髄を語ります。

 

3-1. 500棟の執刀経験が導き出す、最短で、最も効果的な“手術ルート”

ここでのポイント:

 500棟以上の旧耐震住宅という、最も難しい患者の手術を執刀してきた経験から導き出される、無駄がなく、効果的で、かつ美しい「手術計画(オペレーションルート)」の重要性を解説します。スケルトンリフォームだからこそ可能な、構造とデザインの完璧な融合という、私たちの仕事の神髄を語ります。

 

旧耐震住宅の再生という、極めて難易度の高い「外科手術」。

その成功は、単に、個々の治療法(基礎補強耐力壁増設耐震金物設置)の技術力が高いだけでは、決して保証されません。

それらの治療を、どのような順番で、どのように組み合わせ、家全体の再生という、一つの壮大な物語へと紡ぎ上げていくのか。

その、「手術計画(オペレーションルート)」の質こそが、最終的な仕上がりの美しさと、お客様の満足度を、決定的に左右するのです。旧耐震耐震補強工事内容の成否は、まさに、この治療計画の質にこそ、かかっているのです。

 

 3.1.1 どこから解体し、どの順番で補強していくのが、最も効率的で、品質が高いのか

 

500棟以上の執刀経験を持つ私たちは、旧耐震住宅の再生における、最短で、最も効果的な“手術ルート”を熟知しています。

それは、単に工期を短縮するという、目先の効率性だけを追い求めるものではありません。

それは、一つひとつの治療効果を最大化し、家全体の品質を、揺るぎない高みへと引き上げるための、計算され尽くした、論理的な手順なのです。

例えば、私たちは、ほとんどの場合、まず、床を解体し、基礎補強工事から着手します。家の足元、すなわち生命維持(バイタル)に関わる最も重要な部分を、最初に完璧な状態にすることで、その後の、上部構造の工事を、安全かつ、高い精度で行うことができるからです。もし、この順番を間違え、脆弱な基礎の上で、壁の解体や重量物の移動を行えば、予期せぬ事故を引き起こすリスクすらあります。

そして、基礎のコンクリートを養生(強度が出るまで待つ)している、その時間すら、私たちは無駄にはしません。その間に、壁や天井の解体を進め、構造躯体を剥き出しにし、傷んだ部分の診断と補修を行う。あるいは、新たに追加する耐力壁や金物の準備を進めておく。この、複数の工事を、まるでオーケストラの指揮者のように、無駄なく、そして論理的に連携させていく段取りこそが、プロの仕事です。この緻密な計画があるからこそ、私たちは、お客様の大切な時間と費用を、最大限に有効活用することができるのです。

 

  3.1.2 スケルトンリフォームだからこそ可能な、構造とデザインの完璧な融合

 

そして、私たちの「手術計画」は、単に構造の強さだけを追求するものではありません。私たちが手掛ける性能向上リノベーションの最大の魅力は、この、絶対的な安全性を確保するプロセスと、お客様の理想の暮らしを形にする「デザイン」とを、計画の最初期段階から、完璧に融合させられる点にあります。

例えば、家のバランスを整えるために、どうしてもリビングの中に、新しい耐力壁を一枚、増設しなければならない、という状況が生まれたとします。その時、多くのリフォーム会社は、それを単なる「構造上、仕方なく必要な壁」として、無粋に配置してしまうかもしれません。

しかし、私たちは、違います。その壁を、ご家族が集う空間の、新たな「主役」へと昇華させることはできないか、と考えます。その壁を、美しいタイルや、温かみのある木材で仕上げた、見事なアクセントウォールに。あるいは、ご家族の思い出の品や、季節の花を飾るための、お洒落な飾り棚を設ける。さらには、構造的に許される範囲で、美しいスリット(隙間)を開け、隣の空間との繋がりを感じさせることで、圧迫感をなくし、空間に広がりと奥行きを持たせる。

このように、構造的な「制約」を、デザイン上の「魅力」へと転換させる。それこそが、性能向上リノベーションの神髄であり、500棟の経験が培った、私たちのデザイン思想なのです。この、構造とデザインの完璧な融合は、家を一度、骨格だけの状態に戻す、スケルトンリフォームだからこそ、可能になるのです。

 

3.2 「木を読む」ということ。~図面には描かれない、現場での最終判断~

ここでのポイント:

 どんなに緻密な計画も、現場で明らかになる「現実」の前では、修正を迫られることがあります。ここでは、図面には描かれない、一本一本の木の“個性”を読み解き、その場で最適な判断を下す、熟練の棟梁だけが持つ「木を読む」という、究極の技術について語ります。

 

旧耐震耐震補強工事は、決して、図面通りに進むだけの、単純な作業ではありません。

それは、解体して初めて明らかになる、その家が持つ、一本一本の柱や梁の“個性”と向き合い、対話し、その場で、瞬時に、最善の判断を下していく、極めて創造的なプロセスです。

私たちは、これを「木を読む」と呼んでいます。

どれだけ緻密な「手術計画書」を用意しても、最終的な治療の成否は、この、現場での、生きた判断力にかかっているのです。

 

 3.2.1 解体して初めて明らかになる、一本一本の柱の“個性”

 

500棟の現場で、私たちは、同じ図面で建てられたはずの家が、全く違う“顔”を持っている現実を、目の当たりにしてきました。ある家の柱は、驚くほど乾燥し、硬く、100年の時を経ても、なお力強い生命力を宿している。その木材は、まさに「生きて」います。一方で、別の家の柱は、見えない壁の中で、長年の湿気に蝕まれ、その繊維はもろくなり、構造体としての力を、すでに失ってしまっている。

あるいは、図面上は、問題のない一本の通し柱に見えても、解体してみると、過去の不適切なリフォームで、途中で切断され、申し訳程度の金物で繋がれているだけ、という信じがたい光景に出くわすこともあります。

こうした、一本一本の木の“個性”や、その家が歩んできた歴史の“傷跡”は、図面には、決して描かれていません。それは、スケルトンリフォームによって、その“素顔”と向き合った者だけが、知ることのできる真実です。

 

 3.2.2 健全な木材は活かし、傷んだ木材は躊躇なく交換する。その見極めこそが、棟梁の腕の見せ所

 

そして、この「木を読む」力こそが、熟練の棟梁の、真の腕の見せ所です。

「この梁は、まだ十分に強い。その力強い木目を、化粧梁として現しにして、この家の歴史の記憶として、未来へ繋いでいこう」

「この土台は、表面は健全に見えるが、打診ハンマーで叩くと、鈍い音がする。内部の腐食が進んでいる証拠だ。お客様の未来の安全のためには、躊躇なく、すべて交換すべきだ」

「この柱は、蟻害(シロアリ被害)で内部が空洞になっている。新しい柱と抱き合わせて補強する『抱き柱』という手法で、強度を再生させよう」

この、ミリ単位の、そして、何十年先までをも見据えた、現場での最終判断の連続。

それこそが、旧耐震耐震補強工事内容の質を、最終的に決定づけるのです。

 

ここで驚きの真実をお知らせしたいと思います。

我々は解体前の耐震診断に基づく机上での構造壁量計算・N値算定などを計画して、解体に臨みます。

解体後に精密す​旧耐震基準の建物を解体して、精密構造計算をしますが、初期の構造計画のまま完了した現場は一度もないという事実です。つまり、非破壊での診断の精度にどれだけ限界があるのかということがお分かりいただけるのではないでしょうか?

スケルトンリノベーションを専門としてきた経緯には、このような根本的な理由があるのです。

 

マニュアル通りの施工しかできない業者に、この、生きた木との対話は、決してできません。

基礎補強工事を終えた、強固な土台の上で、この「木を読む」技術が、最高の骨格を再構築していくのです。

 

 

3.3 あなたの家のための、世界に一つだけの「治療計画書」

ここでのポイント:

 私たちが提供するのは、画一的なパッケージ商品ではなく、お客様の家の状態と、ご家族の未来の物語に、どこまでも寄り添った、完全オーダーメイドの「治療計画」であることを宣言します。これにより、読者の「自分だけの家づくり」への期待感を最大化させます。

 

ここまで、旧耐震住宅を再生させるための、私たちの「手術計画書」について、詳しくお話ししてきました。

基礎補強工事から始まり、耐力壁の増設、そして耐震金物による補強へ。その一つひとつの工事には、500棟以上の経験に裏打ちされた、明確な理由と哲学があります。

 

  3.3.1 私たちがご提案するのは、パッケージ化された商品ではない

 

しかし、どうか、誤解しないでください。私たちが、あなたにご提案するのは、決まったメニューを組み合わせるだけの、画一的なパッケージ商品ではありません。なぜなら、あなたの家は、世界に一つしかない、かけがえのない存在だからです。そして、そこに住まう、あなたのご家族の物語もまた、世界に一つだけの、尊いものだからです。

 

 3.3.2 あなたの家の“カルテ”と、あなたの家族の“未来の物語”に寄り添った、完全オーダーメイドの治療計画です

 

私たちが最終的に作成する「治療計画書」は、あなたの家の詳細な“カルテ”(耐震診断結果)と、あなたが思い描く、ご家族の“未来の物語”(ライフプラン)という、二つの情報を、完璧に融合させた、完全オーダーメイドのものです。

無筋基礎補強費用を、どう捻出し、その分、どこでコストを調整するのか。 耐力壁増設を、将来の間取り変更の可能性まで見据えて、どこに配置するのが最適か。 耐震金物補強工事のレベルを、あなたの「安心」のゴール地点に合わせて、どこまで高めるのか。

その、無数の選択肢の中から、あなたと、あなたの家にとっての、唯一無二の最適解を、私たちは、対話を重ねる中で、共に見つけ出していきます。それこそが、私たちの仕事の、最大の喜びであり、誇りなのです。

 

【結び】絶望から、最高の希望へ。それが、私たちの仕事です

章の概要:

この記事全体を力強く締めくくります。「旧耐震」という、絶望的とも思える診断結果を突きつけられた読者に対し、この記事で示した具体的な治療法によって、その家が、新築をも超えるほどの、最高の希望に満たた未来を手に入れることができるのだという、力強いメッセージを送ります。

 

「旧耐震」。それは、終わりを告げる診断名ではない。新しい物語の始まりを告げる、号砲である

「旧耐震基準」。その言葉は、多くの施主様にとって、重く、そして、絶望的な響きを持つかもしれません。これまでの章を読み進める中で、ご自身の家が抱える、あまりにも多くの、そして深刻な弱点を直視し、「我が家は、もうダメなのかもしれない」と、暗澹たる気持ちになっていらっしゃる方も、少なくないでしょう。しかし、500棟以上の、同じ絶望の淵に立たされた家々を、その手で再生させてきた専門医として、私は、あなたに、最後に、そして最も力強く、お伝えしなければなりません。

「旧耐震」とは、決して、終わりを告げる診断名ではありません。

むしろ、それは、あなたの家が、これまで何十年もの間、その身に宿し続けてきた、すべての“病巣”と決別し、新しい命を吹き込まれ、未来永劫にわたって家族を守り続ける、強靭で、健康な体を手に入れるための、壮大な再生の物語の、始まりを告げる号砲なのです。

なぜなら、あなたはもう、その絶望的な診断名の先に、具体的な「治療法」が存在することを、知っているからです。

脆弱な無筋基礎を、強靭な鉄筋コンクリートへと再生させる基礎補強工事。アンバランスな骨格を、しなやかで強靭なものへと再構築する、耐力壁の増設と、耐震金物による補強。これら、私たちが持つ最高の外科技術は、すべて、あなたの家の新しい物語のために存在するのです。

 

基礎補強から始まる、あなたの家の再生の物語

 

思い出してください。私たちの再生手術は、常に「足元」から始まります。

まず、第一の手術で、脆弱だった無筋基礎に、鉄筋という名の強靭な“骨格”と、高強度のコンクリートという“筋肉”を与え、現代の巨大地震のエネルギーをも、がっしりと受け止める、揺るぎない土台を再構築します。この基礎補強工事は、単に家の足腰を強くするだけではありません。それは、これまで砂上の楼閣であったあなたの家に、大地に根を張る、絶対的な安定感を与える、最も根源的な治療です。

そして、その揺るぎない土台の上で、第二の手術が始まります。絶対的に不足していた「筋力(壁の量)」を、家全体の「バランス(偏心率)」を緻密に計算しながら、戦略的に増強していく耐力壁 増設 工事

さらに、強くなった筋肉が生み出す強烈な力に耐えうるよう、骨格のすべての関節を、科学的根拠(N値計算)に基づいて、強靭な「靭帯(耐震金物)」で固く結びつける補強工事

この、一連の緻密で、愛情に満ちた外科手術を経て、あなたの家は、ただ昔の姿を取り戻すのではありません。

それは、生まれた時よりも、はるかに強く、はるかに健康で、そして、はるかに価値ある存在へと、生まれ変わるのです。無筋基礎補強費用は、この感動的な再生の物語を手に入れるための、未来への、最高の投資だったと、必ずや実感していただけるはずです。

 

その、感動的な物語を、現実のものとすること。それこそが、500棟以上の旧耐震住宅の再生に、その人生を懸けてきた、私たちプロフェッショナルの、最大の喜びであり、使命です。

私たちは、単に工事を請け負う業者ではありません。あなたの家の歴史と、ご家族の未来に、どこまでも寄り添い、最高の知識と技術で、その命を救う“主治医”です。

あなたの家の“カルテ”を、ぜひ、私たちに見せてください。 そして、あなたの家族が、この先、どのような未来の物語を、この家で紡いでいきたいのか、その夢をお聞かせください。

500棟の経験のすべてを懸けて、私たちは、その夢を、絶対に壊れることのない、最高の舞台の上で実現させることを、ここに固くお約束します。

さあ、次なる章では、多くの方が「安心」という名の“罠”にはまってしまう、「81-00住宅」の、知られざる弱点について、さらに深く、メスを入れていきましょう。

 

>>次は『【81-00住宅の落とし穴】「新耐震なのに倒壊」の衝撃。過渡期の家に潜む“バランス”と“結束力”の罠』へ進む

耐震で失敗しない為の
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耐震補強リフォーム工事をする前に必ず読んでください!

耐震補強リフォーム工事完全ガイドは4部構成(診断編6記事・治療編11記事・計画編4記事・未来編7記事)の全28話構成で、耐震補強リフォーム工事に必要な全知識をを網羅的に解説します。読みたいテーマが決まっている方は以下からお進みください。

※すべてのページでYouTube動画解説リンクがありますので、合わせてご覧ください。

 


 

【耐震補強リフォーム工事完全ガイド】


 

第1部:【診断編】我が家の“カルテ”を読み解き、真実と向き合う

 

診断編の役割とコンセプト: 皆さんの漠然とした「家への耐震不安」に寄り添い、その正体を突き止めるための「診断」に特化したパートです。地震の歴史からご自宅の築年数が持つ意味を学び、耐震性の客観的な物差しを知り、そしてプロの診断技術の深淵に触れることで、読者の不安を「解決すべき具体的な課題」へと転換させます。すべての治療は、正確な診断から始まります。

記事(全6本):

➡️ なぜ今、あなたの家に「耐震」という対話が必要なのか

➡️ あなたの家が生まれた時代:旧耐震・81-00住宅・2000年基準、それぞれの「常識」と「弱点」

➡️ 我が家の体力測定:耐震性の“三位一体”「評点・偏心率・N値」とは何か

➡️ 耐震診断の全貌:費用・流れ・依頼先は?プロが教える診断結果の正しい読み解き方

➡️ 究極の診断法「スケルトンリフォーム」。なぜ私たちは壁を剥がし、家の“素顔”と向き合うのか

➡️ 壁の中に潜む時限爆弾:見えない木材の腐食とシロアリが、あなたの家の体力を奪っている


 

 

第2部:【治療編】築年数別の最適解。“三位一体”を取り戻す構造外科手術

 

治療編の役割とコンセプト: このガイドの技術的な核心です。第1部で明らかになった家の“カルテ”に基づき、それぞれの時代が抱える固有の病巣に対する、具体的な「治療計画=補強工事」を詳述します。旧耐震の宿命である基礎補強から、81-00住宅のバランス修正、そして現代住宅の損傷防止まで。プロが執刀する「構造外科手術」の全貌を、豊富な経験に基づいて解説します。

 

該当記事(全11本):

 

➡️ 【旧耐震の宿命】なぜ「基礎補強」なくして、評点1.5(強度)は絶対に不可能なのか

➡️ 【旧耐震の治療法】無筋基礎を蘇らせる「基礎補強工事」と、骨格を再構築する「壁量・金物」計画

➡️ 【81-00住宅の落とし穴】「新耐震なのに倒壊」の衝撃。過渡期の家に潜む“バランス”と“結束力”の罠

➡️ 【81-00住宅の治療法】偏りを正し、骨格を繋ぐ。あなたの家を“本物の新耐震”にする補強工事

➡️ 【2000年基準以降の課題】「倒壊はしないが、住めなくなる」という現実

➡️ 【次世代の備え】絶対的な耐震性能の上にこそ。「制震」がもたらす“損傷防止”という価値

➡️ 柱の抜けを防ぐ生命線「N値計算」:500棟の経験が明かす、本当に意味のある耐震金物補強の全貌

➡️ 「耐震」「制震」「免震」の違いとは?それぞれのメリット・デメリットをプロが徹底比較

➡️ 【最重要】「制震」は耐震の“代わり”ではない。損傷を防ぐための制震ダンパー“正しい使い方”

➡️ 家全体の歪みを抑え込む「剛床工法」:2階の床と屋根が“三位一体”を支える隠れた主役

➡️ 【専門家向け】許容応力度計算はなぜ必要か?構造計算がもたらす品質と責任


 

 

第3部:【計画編】見えざる壁を乗り越える。法規と費用を味方につける航海術

 

計画編の役割とコンセプト: どんなに優れた治療計画も、現実の壁を乗り越えなければ絵に描いた餅です。このパートでは、リフォーム計画を阻む二大障壁である「法規」と「費用」に正面から向き合い、それらを敵ではなく「味方」につけるための、具体的な航海術を授けます。2025年法改正、補助金、コストコントロール。プロの知恵で、計画実現への確かな道筋を照らします。

 

該当記事(全4本):

 

➡️ 【2025年法改正】建築確認申請を“賢く回避”する、性能向上リノベーションの戦略的計画術

➡️ 検査済証なき家、再建築不可物件の再生シナリオ:法的制約の中で命を守るための現実解

➡️ 【費用全貌】モデルケースで見る耐震リフォーム工事のリアルな費用と、賢いコストダウン術

➡️ 【2025年最新版】耐震リフォーム補助金・減税制度フル活用マニュアル


 

 

第4部:【未来編】最高の選択。命と資産、そして家族の物語を未来へ繋ぐ

 

未来編の役割とコンセプト: このガイドの最終到達点。技術論を超え、あなたの、そしてご家族の「未来」をどう創造するかを共に考えるパートです。耐震と断熱を掛け合わせた究極の価値、500棟の軌跡が証明する再生の物語、そして、その未来を託すに足る真のパートナーを見抜くための最後の選択。あなたの決断を、私たちが全力でサポートします。

 

該当記事(全7本):

➡️ 【最終方程式】「最強の耐震」×「最高の断熱」=家族の健康と資産価値の最大化

➡️ 【実例集】私たちの500棟の軌跡:狭小住宅、ビルトインガレージ、築80年古民家の再生工事事例

➡️ 耐震リフォーム業者選び、9つの最終チェックリスト:「三位一体」と「制震の役割」を語れるか

➡️ なぜ、大手ハウスメーカーは木造リノベーションが不得意なのか?業界の構造的真実

➡️ セカンドオピニオンのススメ:あなたの家の診断書、私たちにも見せてください

➡️ 【最終章】無料診断で始まる、あなたの家の新しい物語:私たちが提供する“絶対的な安心”の全プロセス

➡️ 【特別寄稿】耐震とは、文化を未来へ繋ぐこと。棟梁として、四代目として。

 

断熱リフォームで失敗しない為の『断熱リフォーム 完全ガイド』

500棟以上のスケルトンリノベーションの断熱改修知見を網羅!

断熱リフォームをする前に必ず読んでください!

何から読めばいいかわからない方は総合案内よりお進みください。

導入編2記事・基礎知識編3記事・部位別実践編4記事・特殊ケース攻略編2記事・計画実行編5記事の全16話構成で、断熱リフォームに必要な全知識をを網羅的に解説します。読みたいテーマが決まっている方は以下からお進みください。

※すべてのページでYouTube動画解説リンクがありますので、合わせてご覧ください。

< この記事の著者情報 >

稲葉 高志

 

ハイウィル株式会社 四代目社長

1976年生まれ 東京都出身。

【経歴】

家業(現ハイウィル)が創業大正8年の老舗瓦屋だった為、幼少よりたくさんの職人に囲まれて育つ。

中学生の頃、アルバイトで瓦の荷揚げを毎日していて祖父の職人としての生き方に感銘を受ける。 日本大学法学部法律学科法職課程を経て、大手ディベロッパーでの不動産販売営業に従事。

この時の仕事環境とスキルが人生の転機に。  TVCMでの華やかな会社イメージとは裏腹に、当たり前に灰皿や拳が飛んでくるような職場の中、東京営業本部約170名中、営業成績6期連続1位の座を譲ることなく退社。ここで営業力の基礎を徹底的に養うことになる。その後、工務店で主に木造改築に従事し、100棟以上の木造フルリフォームを大工職人として施工、管理者として管理

2003年に独立し 耐震性能と断熱性能を現行の新築の最高水準でバリューアップさせる戸建てフルリフォームを150棟営業、施工管理に従事

2008年家業であるハイウィル株式会社へ業務移管後、 4代目代表取締役に就任。

250棟の木造改修の営業、施工管理に従事

2015年旧耐震住宅の「耐震等級3」への推進、「断熱等級4」への推進を目指し、 自身の通算500棟を超える木造フルリフォーム・リノベーション経験の集大成として、性能向上に特化した日本初の木造フルリオーム&リノベーションオウンドメディア 「増改築com®」をオープン

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    4代目代表よりご挨拶

    稲葉高志

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